ソードアート・オンライン一紅き魔剣士と冥界の女神一   作:ソル@社畜やってます

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超仲良しな面子なわけだしこれくらいするよね?
勢いとノリで書いた、後悔はしていない


第7話 お泊まり会(前編)

「「「「「おじゃましま~す」」」」」

「いらっしゃい、皆さん!」

「とりあえず必要なものだけ持って、他は剣道場だな」

「剣道場とか…どうなってるの…」

「明日奈さんの家も凄かったですけど、和人さんの家も凄いですよね…」

 

3月も終わりが近づいてきていたある日のこと。「少しくらい復習をしておくべきだと思うの!」という明日奈の提案で、泊まりがけの勉強会(なお約半分は遊ぶ模様)が桐ヶ谷家で行われることになった。

提案者である明日奈の家ではない理由としては、まず親(特に母親)が筋金入りのかたぶつであり許されないだろう、ということから。第二に泊まる人数とスペース上の問題から。明日奈の家は確かに広いが、じゃあ全員泊まれるのか?と言われたらそうではないわけで、母屋の広さこそ劣るが剣道場が備わっている桐ヶ谷家で開催する、という形になった。

「さて、それじゃあ始めましょう!」

「待て明日奈。なんでお前そんな格好してる」

リビングに勉強道具を持って揃ったところで、何故か明日奈が女教師っぽい格好をして立っていることに、利久は思わずツッコミを入れた。

「指導役は必要でしょ?」

「指導役って…それ自分がこの中で一番勉強が出来るっていっててるのと同じだろ」

「私毎日勉強してるよ?」

「さすが明日奈…」

「毎日勉強とか私絶対に無理!」

勉強している、という明日奈の言葉に驚愕するこの中では年上のはずの琴音と里香。

「反論するけど、指導役に学力がいるなら詩乃が適任だろ」

「ちょ、利久、なに言って…!」

「あー確かに。実際学力高いしな」

「和人まで…!」

詩乃がSAOに巻きこまれたのは中学31日年生の冬。丁度受験一歩手前の時期だったため、中学一年生ないし二年生から長きに渡ってSAOをしていた面々と比較すれば純粋に学業に勤しんでいた詩乃の学力は確かに高い。

「詩乃さんが行く予定だった高校ってどこでしたっけ?」

「えっと…湯島の○○高校ってところよ」

「そこって進学校ですよ!」

「なんというハイスペックJK…!」

 

「うん、じゃあ詩乃のんも一緒にお願いね」

「…わかった、やるわ」

詩乃が隣に立ったところで明日奈が言った。

「特に里香と琴音には注意してね」

「なんで私たちだけ名指しなの!?」

「だって二人とも普段勉強しなさそうなんだもの」

「否定できない…!」

「ひより、珪子。遊びそうだったらひっぱたいてでも止めてね」

里香と琴音を挟んで座っている二人に詩乃が言うと、ひよりは「わ、わかりました!」と少し緊張気味に。珪子は「任せてください!」と元気に言った。

「それじゃ、始めようか」

「どれからやる?」

「はい!保険体育とか「却下」ですよねー」

「普通に現文と漢字でよくないか?」

「私漢字苦手~」

「私もです…」

「俺も」

「利久兄教えてー」

「苦手な人多すぎでしょ…」       

ノートにシャープペンシルないし鉛筆の走る音と時計の針が動く音だけが響く静かな空間。時折質問をする声がするものの、それ以外は一切声がせず黙々と勉強をしている中で、里香と琴音の二人だけが退屈そうにしていた。

(暇すぎる!)

(なんで皆そんなに集中できるの!)

どうせゲーマーなんだし遊び始めるに違いないと思っていた和人でさえ文系の教科にに苦戦しながらも、しっかりとノートに書き込んでいる。

朝の9時に始まった勉強会も現代文、数学、日本史と続いて今は英語…数学に並んで「こんなの勉強する意味あるのかよ」と思う学生が非常に多い教科だ。

ちなみに、英語はまだ役立つが化学と物理と数学だけは本当にいらない。これを読んでいて尚且つ高校で理系or文系の選択まで行っていない人は、よっぽど将来専門的な分野に進みたいと思わない限り文系選んでおけ。あんな化学反応だの数式だの力学だの役に立つ職業なんかめったに無いから。数学は基礎だけ頭に入れておけばなんとかなるから。と、本気で天の声も言っている。

 

そんなことはさておき、約二名を除いて集中静かな空間に突如、空腹時の音が鳴り響いた。

「え?」

「ちょっと、里香?」

「私じゃないわよ!利久でしょ!」

「いや、違うぞ。大穴でひよりとか」

「わ、私じゃありませんよ」

「真面目に誰なの?」

「…ごめんなさい、私です」

おずおずと手を上げたのは直葉だった。

「なんだ、スグだったのか」

「そういえば、もう昼だな」

「今日はここまでにしておく?正直久々に本気で勉強したから頭痛いのよね…」

「そうしよっか」

「疲れました…」

「珪子はよく頑張ったね」

各々が勉強道具を片付けてから腕を伸ばしたり、机に突っ伏したりしてだらける。

「昼飯はどうする?デリバリー注文するか?」

「あ、私利久の作った中華料理食べたい!」

と里香が言うと

「私もー」

と琴音

「そういえばまだ食べたことなかったですね」

と珪子が続けざまに同意するのを見て、利久は

「別に作ってもいいけど、そんなに期待するなよ?」

アッサリと承諾した。

 

「「よしっ!」」

「なに二人してガッツポーズしてるんですか」

「あ、利久さん。調理してるところ見て勉強したいんですけど、いいですか?」

「まだ本調子じゃないから参考になるか微妙だけど、それでもいいならいいぞ」

ひよりを連れてキッチンへと向かったのを詩乃が複雑そうな表情で見つめていて、和人は少し面白がるようにからかう。

「まーた嫉妬してるのか?」

「な、そんなんじゃないわよ!」

「えー、本当ですか?実は連れていってほしかったんじゃありません?」

「直葉まで…!」

「おーおー。相変わらずお熱いご夫婦ですこと」

「そういや一足先に卒業したんだったね、おめでとう詩乃」

「あう…////」

 

ここぞとばかりに詩乃にたたみかける全員に、明日奈は少し笑いながら言った。

「もう、詩乃のんが困ってるでしょ?」

「助けて明日奈ぁ~…」

詩乃は少しわざとらしく助けを求めながら明日奈に抱きつく。

「あ、詩乃ずるい!最強の助っ人じゃん!」

「おい詩乃、そこ俺のポジションだろ!」

「今日は私のポジションよ。バ和人は引っ込んでなさい」

「上等だ。義妹だろうが容赦しないぞ!」

「なにさり気なく義兄になってんのよ!」

「無駄です里香さん…もうお兄ちゃんの中では利久兄と詩乃さん結婚してます。なにもしてないのに…」

「いや何かしてるでしょ。正確にはナニかしてるでしょ」

「利久もそうだけど、和人も結構兄弟大好き人間だよね」

ある意味アインクラッドにいた頃よりも激しく、わーわーぎゃーぎゃー騒いでいると、複数の皿を乗せたお盆を両手に持った利久が呆れたような顔で戻ってきた。

後ろで両手でお盆を持っているひよりは少し苦笑いをしている。

「なに騒いでるんだよ…」

「早っ!もうできたの!?」

「中華料理は高い火力をもって豪快かつスピーディーに作るものなんだよ」

そう言いながら利久は各自の前にシンプルな卵とハムの入ったチャーハンとネギのスープを置く。

続いてひよりがテーブルの真ん中に、それぞれ回鍋肉(ホイコーロー)と青椒肉絲(チンジャオロース)の入った大皿を置くと、全員が声を上げた。

「すごいですね…」

「まさにThe 中華ってかんじだね」

「あんたこれ店開けるんじゃないの?」

「そのつもりはないな。とにかく熱いうちに食べよう」

「それもそうだね。それじゃあ…いただきます!」

「いただきます」

「いただきまーす」           

~30分後~

「うぅ…お腹はちきれそう…」

「中華料理の魔力恐るべし…」

昼食を終えたと同時に利久と直葉以外の全員が、ほぼ同時期に床に倒れ込んだ。満腹で。

「利久兄だんだん腕戻ってきたんじゃない?チャーハンすごく美味しくなってたよ」

「ん~…でも全盛期にはまだほど遠いな。もっと腕上げないと」

「なんでそういうところ無駄に貪欲なの利久兄…」

満腹で倒れているメンバーをよそに食後の温かいほうじ茶を飲みながら話している二人。

「なんで二人ともあれだけ食べて平然としてられるの…?」

「利久とスグは、かなり大食漢だからな…特に利久は…」

「嘘でしょ…?あの細い体のどこにそんなにあれだけの量が入るのよ…」

ちなみに利久の食べた昼食の量は

・チャーハン2.5人分

・スープ3杯

・ホイコーロー&チンジャオロース、大皿(約10人分盛れる大きさ)の1/4

もうこの時点で明らかに何かがおかしいが、そこに追撃のデザートである杏仁プリンを丼1杯分が加わってなお、平然としている。

これだけの量を食していながらも、利久は太ることなく体型を維持しながらも日々ジムでのトレーニングによって筋肉量を着々と増やし続けている。

「さて、と。この後どうする?」

「アミュスフィア持ってきてないからALOは無理だしね…」

「たまには外で体動かすのもいいんじゃない?」

「さすがに少しはカロリー消費しておきたいね」

「そんな里香と琴音にいいお知らせ。夕飯は利久と私特製のマーボーカレーよ」

「どこがいいお知らせなのよ!?」

「いやあああ!絶対に美味しいけど太るううう!」

(たくさん食べれば大きくなるでしょうか…?)

(う~ん…それはわからないですね…)

「利久、夕飯は俺の分…」

「わかってる。一味と山椒で激辛にしちゃる」

「パーフェクトだ、利久」

「和人くんの味覚やっぱりおかしいよ…」

「どうなってるんでしょうねお兄ちゃんの味覚…」

会話もそこそこに、利久と直葉が食器を洗い片付けて、動きやすい服装に着替えると桐ヶ谷家からほど近くにある大きな公園へ行く。

大きめの複数人が同時に滑れる滑り台、高さの異なる4つの鉄棒、比較的簡素な作りのアスレチックなどなど、やろうと思えば大概のことができそうな公園になっている。

「で、外出たはいいけど何する?」

腕を伸ばす軽いストレッチをしながら和人が尋ねると

「ここは鬼ごっこだろ常識的に考えて」

と利久

「最初は缶蹴りからにしない?」

と直葉

「だるまさんが転んだは?」

と詩乃。見事なまでにバラバラの意見を出した。

「…よし、多数決だ。ちょっとした口喧嘩に発展する前に決めよう」

「待て。口喧嘩に発展する前提かよ」

「はい鬼ごっこの人!」

「はい!」

「カロリー消費したい!」

手を上げたのは里香と琴音。案の定である。

「じゃあ次、缶蹴りがいい人」

「少しは運動もしておきたいです」

「私も同じ意見だね」

こちらは珪子とひより。

「………んん?」

「最後、だるまさんが転んだ」

「最初は軽めがいい」

「私も。激しく動くのはちょっと…」

これは和人と明日奈。

と、いうことで…

「ど う し て こ う な っ た !」

「まさかの同数…!」

「こうなったらジャンケンだ。もうこれしかない」

「そうね。ジャンケン以上に公平なものはないものね」

「負けても文句は無しだからね!」

「いくぞ!」

「「「ジャンケン…!」」」        

 

□□□

「っあぁー!いい汗かいたー!」

「はぁ~極楽極楽…」

「里香、なんだかおじさんくさいよ?」

公園での一時を終えた一行は、一旦桐ヶ谷家へと帰宅してから着替えとシャンプーやボディーソープを手に、銭湯へ向かった。

「たまにはたっぷりのお湯につかるのもいいね」

「い~い湯っだ~な~♪」

「ニャハハ~ん♪」

「直葉と珪子が楽しそうでなによりだわ」

平日の夕方で貸し切り状態というのもあってか、女性陣のテンションはかなり上がっている。

「それにしても、直葉とひよりは本当にデカいわねー。ちょっと触ってもいい?」

「い、いきなり何言うんですか!?」

「だってやっぱり気になるじゃない?」

里香の視線は言うまでもなく、同年代とは思えない大きさの胸に集中している。

「里香さんだって十分大きいじゃないですか!明日奈さんと琴音さんも!」

「なんかこっちに飛び火した!?」

「そんなこと言うなら詩乃のんだって大きくなってるよ?」

「…ああ」

「確かに。伸びしろでいうなら詩乃が一番よね」

自身を除く全員の視線が詩乃に集まる。

「な、なによいきなり…」

「あれですか、利久さんのためですか。愛の力で成長させたんですか!」

「直葉には及ばないけど…「私を引き合いに出さないでください!」そこそこ出ていて、一番腰細くて、尻もなかなか…妬ましいわね!」

「パルパルパルパル…」

「べ、別に私なんかより明日奈のほうが綺麗な体してるじゃない」

「詩乃のん?今の私なんかって利久くんが聞いてたら絶対に怒るところだよ?」

「卑屈ダメ、ゼッタイ」

なんだかんだで盛り上がっていると、壁を隔てた男湯から声が聞こえてくる。

-なあ利久

-なんだ?

-詩乃とヤッたとき…その、どうだった?

「……え?」

「ヤッた…?」

「待ってなにそれ初耳…」

「………さて、のぼせる前にあg」

話題に引き込まれるまえに逃げようとした詩乃だったが

「ここは!」

「通しません!」

珪子とひよりによって阻止された。

「よくやった二人とも!」

「さあ詳しく話してもらうよ詩乃!」

そこへ里香と琴音が詩乃の両腕を掴んで再び湯船へと入れる。

「ちょ…明日奈、直葉…!」

「ごめんね詩乃のん?お義姉ちゃんとしては聞いておきたいから」

「詳しく教えてくださいね。お義姉ちゃん♪」

「救いは無いの!?」          

~一方、男湯では…~

「いきなり何を聞いてんだよ…」

「だって気になるからな。兄としても男としても」

「どうだったって言われてもなぁ…なんかこう、すごかったとしか」

「SAOやALOでやるのとは全然違うか?」

「全然違う。特にその…一番重要なあたりが」

あの日の夜、現実で初めて見た詩乃の綺麗な体、乱れた声と表情を思い出して、利久は顔が赤くなる。

「お前って初心だったわりに意外とその辺、俺より進んでるよな…」

「なんか自分でもわからない内にリミッター外れるんだよ」

 

「まあ、お前暴走することあるしな」

「…それより、和人は明日奈の家に泊まって何も…ナニもなかったのか」

「いや、明日奈のお母さんがいたのにヤれるわけないだろ」

「じゃあ無理だな。あの人そういうのうるさそうだし」

一早くリハビリを終えて退院した後日に利久は和人と一緒に明日奈の入院していた病院へ見舞いに行ったときに、その母親のことを見かけていたので少しではあるが知っている。

しかも病室で喧嘩しているという最悪のタイミングだったせいで余計に利久の中では印象が悪い。

利久からした明日奈の母親の印象は《自分の体裁のために実の娘を無理やり道具として利用している極悪非道》でほぼ固定されている。勿論実際にはそこまで酷くはないが…

「なあ、もう上がろうぜ。さすがに熱い」

「そうだな、あと心臓に悪い」

先ほどから聞こえてくる女湯からの声は色々な意味でダメだった。具体的な内容なんか到底口にできないレベルで危ないものだ。(R-15では足りない)         

 

体を拭き、脱衣所で着替えてからあらかじめ用意しておいたタオルを頭に被るように乗せて出ると、二人同時に冷蔵庫からコーヒー牛乳入りの瓶を手にして番台のお婆ちゃんに金を払う。

「やっぱりコレだよな」

「銭湯の風呂上がりはコレに限る」

こんなところで無駄に息がピッタリなあたりはさすが双子だと言わざるを得ない。

紙で出来た蓋をとるのに苦労してから、腰に手を当てて一気に飲み干す姿まで完璧に一緒である。

「くぅーっ!美味い!」

「これで手に持ってるのがビールだったら完全にオッサンだよな俺達」

「はは、違いないな」

飲み終えた瓶をゴミ箱に捨てて、すぐさまアイスコーナーへと足を運ぶ。

「冬のアイスって美味いよな」

「もう春なんだけどな。でもそれには完全に同意だ。さて、どれにしよう…」

「その内みんな上がってくるだろうしシェアできそうなやつがいいんじゃないか?」

「んーならこれかな」

利久はア○スの実と自分用にチョコモ○カジャンボを、和人はアイ○ボックスと雪○だいふくをそれぞれ購入する。

「モナカうめえ」パリッ

「だいふくうめぇ」モチモチ

「あー二人ともズルい!」

声のする方向を二人が見ると、そこにはまだ少しだけ髪の濡れている直葉、詩乃、里香、琴音がいた。

「ちゃんとシェアできるアイス買ってあるよ、ほら」

「さっすが利久兄!」

「なお、今回は和人が提案したおかげであって」

「お兄ちゃんもありがとう!」

「スグ、明日奈たちの分忘れよなよ?」

「わかってる!」

 




後編のほうは近い内に…いやほんとだよ。アクセルソードは一通りサブイベントもやり終えたから大丈夫だ。

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