ソードアート・オンライン一紅き魔剣士と冥界の女神一   作:ソル@社畜やってます

22 / 35
3月14日だからね、仕方ないね。
え?2月22日はどうしたのかって?すいません完全に忘れてましたorz


イベント ホワイトデー

3月14日

これまたいつから定着したのかは知らないが、今日はバレンタインデーに対するホワイトデー。一言で言ってしまえば本命のチョコないしプレゼントを貰った男性が女性にそれ相応か3倍のお返しをする日だ。

明日奈、珪子、里香、直葉、琴音、ひよりと現実だけでも6人から本命をもらったことで色々と苦悩している和人に対して、俺はと言えば詩乃以外からは友チョコ-広義では義理ともいう-を貰っただけなので何の気兼ねもなく詩乃へのお返しを用意することができた。

しかし、将来的な意味での嫁から本命を貰えた反面、それ以外に本命が無いというのはそれはそれで和人に嫉妬する面が少なからずある。

もっとも、こんなことを言ったら詩乃が怒りそうなので口が裂けても言うことはないが…

「…久…利久?」

と、向かいに座っている詩乃の声に慌てて思考の海から現実に切り替える。

SAOで和人と長く行動を共にしていたせいか、考え事が異様に長くなって無駄に集中してしまうという変な癖が移ってしまった。

「ごめん、またやった…」

「もう、こういうときくらい止めてよね。せっかくのデートなんだから」

そう。俺と詩乃はデート中だ。

ただお返しのプレゼントを渡すだけというのもなんだか味気なかったし、なにより最近二人きりでいることもそう多くはなかったので久々にデートすることにした。

ちなみに、このことを聞いた他の女性陣から「毎日お家デートしてるようなもんでしょうが!」や「普段買い物デートしてるのに足りないの?」など言われた。

まあ間違ってはいない。恋人同士で出掛けることをデートと言うなら、スーパーに行くことや散歩だってデートになるし、一緒に暮らしているから家の中で過ごすことさえ四六時中お家デートしているようなものだ。

が、しかし

「…そんなんじや足りないんだよなぁ」

「利久、何か言った?」

「なにでもない」

周りがどう思っていようが俺としてはそれはデートとはカウントしていないし、家族がいる手前大してイチャイチャできてないのが実態だ。

だからこうして朝9時という明らかに早すぎる時間帯から詩乃と二人っきりでいるわけで。

「そろそろ行こうか」

「ん、そうね」

さすがにこんな時間帯でやってる店は少なかったので、一時的に喫茶店でコーヒーを飲みつつ軽く時間を潰す。

会計は言うまでもなく俺持ちだ。というよりデートで全額出そうとしないような男なんているのだろうか?いたとしたらそいつは男じゃない。男の皮を被った別の何かだ。

「どこ行くの?」

「詩乃が行きたいところでいいよ」

デートとは言うが、毎回何かしらのコンセプトがあったりするわけでもない。

俺も詩乃もとりあえず二人きりで出掛けて周りが血涙流すくらい盛大にイチャコラしたいだけだ。

「じゃあ服見てもいい?あと、選んで欲しいかな」

「おおせのままに、お姫様」

早速視界の端で誰かが羨ましそうな顔で俺たちを見ている。

どうだ、俺の嫁の可愛さは底無しだろう?                    

早速普段から利用してる服屋に到着すると一緒に見始める。

女性用のコーナーにいるというのは少し心臓に悪いが、当然そんなことも言ってられない。

…敢えて言うがユニ○ロとかでは決して無いからな?それなりのブランドだから間違えないように

「んー…どっちがいいかしら?」

詩乃が手にしているのはそれぞれピンクのスカートと黒のショートパンツ。

俺は迷うことなく

「こっちだな」

黒のショートパンツを指差す。

以前詩乃が直葉と母さんに色々とコーディネートを伝授されていた時に判明したのだが、詩乃はあまり暖色系より寒色系の服の方がずっと似合う。

普段から-ただし俺と二人の時以外-クールなのも相まってか、特に青色や黒色が似合うことが多い。

俺自身好きな色でもあるためえらんだだが、詩乃はなんの迷いもなくスカートを元の位置に戻して次へと向かう。

 

しかし…なんで最近の詩乃はああも露出が多い服をチョイスしているんだろうか。いやまあ足スラッとしてて綺麗だし、意外と出るとこ出てきてるし、露出が多いならそれはそれで俺としては眼福なんだけれども。

「利久、これならどっちがいい?」

と、いかんいかん。切り替えねば…

「んんー…そうだな、これなら…」    

数十分後、買い物を終えてご満悦そうな詩乃と一緒に再び町を歩く。

ご満悦なのはなによりなのだが…

「結構買っちゃったわね」

「あの、詩乃さん?結局ほとんど俺が選んだ服しか買ってないですよね?」

「別にいいじゃない。明日奈も結構センスあるって褒めてたし」

「そ、そうか?」

あの女子力ほぼカンストレベルの明日奈に褒めてもらえるのは悪い気がしない、というか普通に嬉しい。

「さ、次はどこにしようかしら。利久は行きたいところないの?」

「わかってると思うけど、詩乃が行きたいところに俺はお供するからな」

「…ホワイトデーだからってそこまでしなくてもいいんじゃない?」

「俺が決めたからな。今日は姫様最優先でございます」

「んー…でもあまりコレだ!って浮かぶ場所も無いのよね…」

「ならいっそのこと普段全く行かないとこはどうだ?」

「普段行かないところ、ね。となると…」

詩乃が軽く辺りを見回しつつ考えながら進んでいくと、ある時点で立ち止まった。

「あれなんてどうかしら?」

「ああ。そういえば俺もあまり行ったこと無いな」

詩乃が指差した先には最大手のカラオケチェーン店があった。

思えばカラオケなんて数年間まともに行っていない。

「じゃ、あそこに決定ね」

店内に入ってカウンターで諸々の手続きをしてから少し大きめの部屋に入る。

荷物を置いてドリンクも注文したところで早速何を歌おうかと迷う。なんで歌うという目的でカラオケ店に入ったにも関わらず1曲目にしていきなり迷うのかは全人類の永遠の疑問だと思う。

「あ、詩乃先に歌いたかったらいいぞ?」

「利久が先でいいわよ」

「そうか、そう言うなら遠慮なく歌わせてもらうな」

さて、1曲目だし何かこう…外気で少し冷えてる体を温めつつ、一気に雰囲気を盛り上げるような曲は…多すぎる!

該当する曲山程あるじゃないか!

よし、ここは持ち歌の…

♪真赤な誓い

TVアニメ-武装錬金-より

「…全力で歌うと疲れるもんだな」

「まだ1曲目でしょ!?」

いや詩乃さん、この曲イントロ流れた瞬間全力で歌わざるを得ない何かがあるんですよ。

地球温暖歌っていうのはそういうもんなんです。

「じゃあ私は…これにしようかしら」

♪LAST IMPRESSION

OVA-新機動戦記ガンダムW Endless Walts-より

…すごい歌唱力だ。

何気に初めて聞いたけど冗談抜きで詩乃は歌うの上手い。高い声も曲にマッチしてるし。

「よーし、負けてられないな」

「別に競ってはいないと思うけど…」

♪カサブタ

TVアニメ-金色のガッシュベル-より

「…ねえ利久」

「ん?なんだ?」

「ちょっと、ザケル!って言ってみて?」

「?おう…ザケル!」

「次、ザケルガ!」

「ザケルガ!」

「第4の術…」

「バオウ…ザケルガァァァァァ!って何で!急に何を言わせてるんだ!?」

「声似てるなーって思って。さ、次は私ね」

♪桜ロック

TVアニメ-家庭教師ヒットマン REBORN-より

「これ、失恋ソング…?」

「だと思うけど、いい曲でしょ」

「確かにいい曲だな。あと詩乃」

「?」

「この曲と同じようにはさせないからな、絶対」

「………////」

♪表裏一体

映画&TVアニメ-HUNTER×HUNTER-より

「の、喉が…死ぬ…」

「そうなるならなんで歌ったのよ?」

「だって一番好きだしな、この曲…」

「どうする?私のあと歌う?」

「1曲だけパスする…」

「ん、わかったわ」

♪夢のマニュアル

-桜ロックと同じく-

「これもいい曲だな。どこで知ったんだ?」

「お母さんがCD持っててよく聞いてたのよ」

「…あとでCDショップ寄ってみないか?」

「奇遇ね、私も同じこと思ってた」

♪ブラックロックシューター

ニコニコ動画より(ボカロ曲だしね)

「これも詩乃のお母さんが?」

「ううん。この曲はこの前偶然耳にして気にいったの。自意識過剰に聞こえるけど…なんか、歌詞が私みたいだなって思って」

「ああ、言われてみれば…ラストのサビの部分なんか特にそうだな」        

その後もたっぷりと歌い続けて3時間。気がつけば昼時を少し過ぎていたので俺達は少し離れた場所にある大きめの公園で昼食をとることにした。

昼食はお互いに作ってきた-当然中身がバレないように時間差で-弁当を食べさえあいっこした。

幸い他に人はいなかったので羞恥心で顔が真っ赤になるなんてことはなかった。

少し遅めの昼食のあと、カラオケで言った通り中古の商品も取り扱ってるCDショップへ行って俺は詩乃が歌っていた曲の、詩乃は俺が歌っていた曲のCDをわりと悩みながらそれぞれ数枚購入した。

その頃には夕暮れに差し掛かりそうな時間帯になっていたので自宅へと戻った。

 

 

「ただいまー…って、誰もいないのか?」

「変ね。直葉から出掛けるって話は聞いてないけど」

仕事で遅い母さんと俺と同じくデート中であろう和人はともかく直葉がいないのを疑問に思ったけど、急に予定が入って出掛けることなんて稀によくあることだから、と無理やり納得することにした。

「詩乃、荷物置いて整理したら俺の部屋に来てくれ」

「ええ、わかったわ」

手に持っていた服を詩乃に返して、自室に戻り購入したCDを棚にしまうと直葉にメールを送る。

直葉なら大丈夫だろうとは思いつつも、やっぱり兄としては少し心配なわけで…

「え、返信早いな」

ある程度時間が掛かると思っていたメールの返信があっという間に来たので早速内容を確認する。

「な…!////」

そしてすぐに赤面した。

From:直葉

件名:Re:家にいないけど

本文:伝えるのすっかり忘れてた!ごめんね利久兄!今日ひよりの家に珪子と一緒に泊まることになったんだー。

あ、あとお母さんが泊まりがけだから夕飯はいらないって。

お兄ちゃんは明日奈さん家にいるらしいから何かあるかもねー。なんだったら今晩利久兄も詩乃さんに野性的な部分を全部見せちゃいなYO☆             

 

 

野性的な部分を見せるって、つまりそういうことですか直葉さん!?やれと?詩乃と夜の営みをやれと!?

いやでも和人が帰ってくる可能性はまだ十分あるわけで…

とりあえず落ち着け…これから詩乃にプレゼントを渡すのにこんな状態ではダメだKOOL、じゃない…COOLだCOOLになれ桐ヶ谷利久。

■■■

「利久、入るわよ?」

「いいよ」

部屋に入ってきたのは動きやすさと過ごしやすさ重視で少し大きめのボーダーとハーフパンツ姿の詩乃。

ベッドで隣に腰かけるのを見てから軽く深呼吸をして綺麗にラッピングされたプレゼントを渡す。

「詩乃、バレンタインのお返し」

「ありがとう。早速開けて見てもいい?」

「どうぞどうぞ」リボンと包装紙を外して、蓋を開けて中にあったものを見て詩乃は小さく声を漏らす。

「綺麗…」

利久のプレゼントは詩乃の誕生石であるペリドットのネックレスだった。

雫の形をした小さめのライムグリーンの宝石に詩乃は見とれてしまいそうになる。

「これ、高かったんじゃないの?」

「まあ、トリプル諭吉システム作動させたけど」

「…受け取れないっていうのは」

「当然無し。受け取ってくれ」

「ん、ありがとう…」

ネックレスの入った箱を大事そうに抱えて顔を赤くする詩乃に利久は言う。

「立て続けで悪いんだけど、ALOにログインしてくれないか?」

「いいけど、なんで?」

「俺なりの向こう(ALO)でのお返し、かな」

そう言われてALOにログインしたシノン/詩乃は、すぐさまリク/利久に連れられて新生アインクラッドの一層《はじまりの街》にやってきた。

「ねえ、どこまで行くのよ?」

「もう少しかな」

手を握られたまま歩くこと数分、やってきたのは教会だった。街の中心部にあるものに比べると少し小規模だが、それでも立派なものだとシノンは思った。

中に入って教壇の前までやってくるとリクが振り返ってから言った。

「本当ならもう少し形のあるちゃんとしたものが良かったんだけどな…」

「?」

「二回目になっちゃうけど、シノン…いや、詩乃」

名前を呼ぶと、リクは胸ポケットから小さな箱を取り出して、それをシノンの前に差し出して蓋を開けながら顔を赤くして言った。

「俺と、結婚してください」

「…っ!////」

ALOにアインクラッドが新たに実装するにあたって、これまでのALOにはなかった新しいシステムが幾つか追加され、その中には結婚システムがあり、それをリクはこの日のためにとっておいたのだ。

 

「はい…ふつつか者ですが、よろしくお願いします」               

数時間後-桐ヶ谷家、利久の部屋

 

 

 

「詩乃…始めるよ」

「うん…利久の全部、私に刻み込んで…私を、あなただけのものにして」

この日、二人は本当の意味で

一線を超えた関係になった。




ブラックロックシューターの歌詞とファントムバレット編のシンクロ率は異常。
シノン/詩乃「今から始まるの、私の物語」 

ペリドットの意味もシノン/詩乃にはピッタリ。多分川原先生は狙ってやったに違いない。
石言葉が《夫婦の愛》とか…おい、結婚しろよ(キリシノ的に考えて)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。