ソードアート・オンライン一紅き魔剣士と冥界の女神一   作:ソル@社畜やってます

12 / 35
次の話も同時進行で書いているんですけど、長い…長すぎる!
設定をこれでもかと詰め込みまくると、とんでもないなこれ!不必要なとこ削らないとやってられない…


第8話 兄妹の再会

「空からプレイヤーが降ってきた、なぁ…」

「75層クリアした途端にこんなことが起こるなんて何がどうなってんだか…エギルさんもう一杯」

■■■

76層にやってきた俺を含めた攻略組の名だたる面々は、少しずつスキルを戻しながらフィールドの探索を繰り返していた。

そんな日々の中でシリカ、リズベットと三人での探索を終えてアークソフィアに帰還したその時だった…

(ん?なにあれ?)

(どうかしたか?リズ)

(ほら、あそこなんかおかしくない?)

(…あ、本当です。バグか何かですかね?)

リズベットが指を差した先、アークソフィア出入り口付近の空にどういうわけか小さな穴が開いていた。

(とことんアインクラッドは不安定になってるな………ん?)

(あれ?今、穴からなにか落ちた?)

(人みたいに見えましたけど。ってリクさん!?)

その穴から落ちたなにか…否、誰かを認識したときには既に体が動いて走り出していた。

(ちょ、どうしたのよ!)

慌てて追いかけてきたリズベットとシリカに走りながら答える。

(あれはプレイヤーだ!)

(…は?それってマズいんじゃないの!?)

(圏内ですからダメージはないですけど…!)

(落下の衝撃は別だ!…くっ!間に、合え!!)

落下してきたプレイヤーをスライディングしながら間一髪のところで受け止めると、後からやってきたリズ、シリカと一緒にふぅ…と息をつく。以前の圏内事件でヒースクリフ…茅場晶彦が言っていたが、街や村といった圏内の範囲及び形状は境界から上の層の底まで続く円柱状の空間だ。つまり俺の腕の中にいるプレイヤーは落下したところでダメージを負ってHPが減る、あるいは無くなる危険性はなかったわけだが、それでも落下したときの衝撃は並大抵のものではすまされない。だからこうして地面が焦げるのではないかというくらい全力で走ったわけだが…当の落下してきた本人はというと…

(…気絶してるの?)

(というより、ぐったりしていませんか?)

やたらと露出が多い緑を基調にした皮装備に片胸当ての-見たところ同年代らしき-少女は目を閉じたまま俺に身を任せている。

(…で、どうしたらいいんだこの子?)

(あんた後のこと考えてなかったの!?)

(あー、うん、何も考えてなかった)

(リクさん。たまに後先考えずに突っ走るのなんとかしたほうがいいですよ?)

(申し訳ございません)

明らかに年下の、しかも女の子に咎められる俺…周りからすればなんとも情けなく見えていることだろう。

(それはともかく。真面目にアイデア募集中だ)

(とりあえずダイシーカフェに連れて帰りましょうよ。話聞くにしても場所必要でしょ?)

リズベットの一言で意外と早く解決した。

ついさっきまでどうしようか無駄に悩んでいたのが急にアホらしく思えてきた。

(んじゃ、行きますか…周りの視線がいい加減気になるし)

(ですね)

■■■

これがつい先程の出来事。女の子をベッドに寝かせた途端にドッと疲れがおしよせてきたので今は一杯やっているところだ。

「そういや、リクが来る前にキリトが妖精を連れてきてたな」

「例の森に出現するNPCのことですか?」

「それがどうやらプレイヤーらしいんだとよ」

「………は?」

思わず間抜けな声が出た。

「…ちなみにその妖精の見た目ってどうでした?」

「金髪のポニーテールで、装備は白と緑の剣士タイプ。薄い緑色の羽が4枚背中にあって、アスナ以上にスタイルがメリハリあったな。まんまファンタジー世界の妖精だったぞ」

「羽がある時点でプレイヤーなわけあるか!羽あるとか空飛べるってことじゃねえか!」

「俺もそう言ったんだけどよ…」

いったいなにをどう思ったら妖精をプレイヤーだと判断するのか理解に苦しんでいると、2階の宿屋フロアからドタドタと激しい足音が聞こえてきて…

「エギル!リクは…いた!ちょっと来い!」

と有無を言う間も無くキリトに引っ張られて一室に連れ込まれた。

「おい、急になんなんだよ」

「いいから、ほらそっち見ろ」

「?こいつ、妖精か」

キリトに言われた通りの場所にはエギルさんに教えられたのと全く変わらない、ファンタジー世界からやってきたような妖精が両手を胸の前で組みながら涙目でこちらを見ていた。「お兄ちゃん!」

「………へ?」

妖精は何故か俺のことを《お兄ちゃん》と呼びながら手を握ってきた。

一瞬動揺はしたけど、見知らぬ妖精が兄と慕ってくるクエストの開始かと思い、言った。

「残念だけど、俺は君のお兄さんじゃないんだ」

「いや、リクそうじゃなくt」

「私だよ!お兄ちゃん!」「確かに俺には可愛い可愛い妹がいるけどな…」

妖精と現実にいる妹でもっとも違う部分を指さして思いっきり言った。

「そんなに立派な胸じゃない!」

「~~~っ!バカァ!!」

顔を真っ赤に染めた妖精からの強烈な平手打ちが炸裂して、あまりの衝撃に体が倒れた。

「なにするんだよ!」

「もう!なんで2人揃って私の判断基準が胸なの!?っていうか、これはゲームのアバターだから現実の体と関係…なくもないけど…と、とにかく私だよ!桐ヶ谷直葉!」

「は?」

「だから、この妖精はスグなんだよリク」

「………はああぁぁぁぁぁ!!?」

と叫んだ俺の声が窓ガラスを砕き、地割れを引き起こし、身代わりを貫通してダメージを与え、声が巨大な文字の塊となって上空から飛来してフィールドボスを押し潰した。まあ、当然嘘だが。「す、直葉なのか!?」

「本当だよ!利久兄(にい)!」

「その呼び方…本当に直葉なんだな…!」

「待てリク!お前のスグだって判断する要素それだけ!?俺アスナの前で恥ずかしい過去の話されたのに!」

「直葉!」

「利久兄っ!!」

キリトの存在など関係なしに思いっきり抱擁する俺と直葉。エンディングだぞ、泣けよ。

 

□□□

「…つまり、その友達が隠し持っていたナーヴギアを使ってSAO(ここ)に来たんだな?まったくなにしてるんだろうね、直葉は?どうしてこう破天荒なんだろうな?」

「ごめんなさい…」

「(リクこええ…)」

直葉改めてリーファにどうやってこのSAOにやってきたのか問いただしたところ、同じ中学に通っている長田という同級生の友達がデスゲーム開始直後に政府の手によって回収されたはずのナーヴギアとソフトを隠し持っていたことを知り、この世界にやってきたという。

それを聞いた俺は当然怒った。というより怒らないわけがない。

「はぁ…現実(あっち)に帰ったらちゃんと母さん達に謝るんだぞ?」

「…わかった」

「あれ、それだけなのか?」

「どういう意味だよ?」

「リクのことだからてっきり怒鳴ったりすると思ったんだよ」

「怒ってはいるけどそこまではしないさ。原因は寂しい思いをさせた俺達にもあるしな」

 

そう言ってリーファの頭を撫でると嬉しそうに笑みを浮かべる。

そういえば、現実では直葉が試合で勝ったりするとよくこうしていたな…

「ひとまず皆にも紹介しないとな」

「でも、キリトどうするんだ?ナーヴギア使ってきました、なんて言えないだろ?」

「そこなんだよなー…待てよ、スグ。そのアバターは別のゲームのだって言ってたよな?」

「うん。ALO-アルヴヘイム•オンライン-ってゲームで私が使ってるアバターだよ」

「別のゲームのアバターがこっちで再現されてるってことは、SAOとALOの基幹プログラムが同じ可能性が高い…ならそれを利用して…」

文系の俺にはキリトが何を思いついたのかサッパリわからないが、いい方法を思いついたんだろう。

「よし、ALOをしていたら偶然SAOに巻き込まれたってことにしておこう」

「それ大丈夫なの、お兄ちゃん?」

「ああ、心配するな」

「他に方法も思いつかないし、それでいこう。せっかくだし兄妹だって言って皆を驚かせてやろうぜ」

「ナイスアイデアだ、リク。それじゃあ行くぞ、スグ…じゃなくてリーファ」

「あ、待ってよ二人ともー!」

この数分後、空から落下してきたプレイヤー…シノンが記憶喪失だと判明して更なるカオスになっていくのは言うまでもない。




次回予告
スーパーアカウントの力を使いプレイヤーを誘拐し自らの実験に利用していたアルヘリヒこと須郷伸之。追い詰められたアルベリヒは高レベルのプレイヤーを手駒として操り攻略組と対峙する。
操られたプレイヤー達を退けるも、スーパーアカウントの力で強制麻痺の危機に陥った攻略組…そのとき全ての記憶を取り戻したストレアによって、プレイヤーの心を操るアルベリヒに怒りが最高潮に達したリクの新たな力が解放される。
アルベリヒとリク、二人の勝負の行方は…!?
次回《アルベリヒ死す!覚醒の大魔王リク!》
リンク•スタート!
「知らなかったのか…?大魔王からは逃げられない…!!!」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。