龍の乗り心地   作:パリの民

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...


一(はじめ)は一般人だ。

この世界には大きな国が5つある。

 

 

エルフの国、コートル王国。

 

中央の大陸の西にある大きな島が、そのままが彼らの領土だ。その島にはほぼ中央に巨木であるユグドラシルが生えていて、彼らはその木を御神木のように崇めてる。そう、あのユグドラシルだ。エイルの育てたユグドラシルと同じ種類で、小さいものでも500mを越える。大きいものでは1km以上もある。非常にプライドが高いため、あまり他国との"表向き"の貿易は行われていない。プライドが高いのは、ある男の方が傾向が強く、男性至上主義の国だ。そのため、女のエルフが国から逃げ出すことが希にある。

 

 

獣人の国、スレイ王国。

 

領土の北側に世界最大の鉱山がある。ちなみに、この世界にもオリハルコンはあるのだが、加工できる人は極々僅かだ。オリハルコンは世界一硬い鉱物で、融点は10万度ぐらいで、とても加工しずらいのだ。加工の仕方は科学が発展しない世界では魔法しかないのだ。加工するならせめて魔力量が100万以上あり、その上で鍛冶師をしている人なんて、限りなくいないに等しい。そのため、オリハルコンはそこまで値が高くない。それでもダイヤよりは高いが。また、この国は島国なのだが、アスフェル帝国の領土に非常に近くに、1本の巨大な橋によって繋がっている。

 

 

人の国である、アスフェル帝国。

 

現在一とエイルがいる国である。帝都付近にある巨大なダンジョンを中心に発展した国である。流石に帝都の中にダンジョンがあると、強力な魔物が出てきた時の被害が大きいので、帝都の中ではなく、ダンジョンのすぐ横に帝都を置いたのだ。帝都から北東にある町、アルトレアに一達は滞在中だ。なぜ、この国は王国ではなく、帝国なのかと言うと、この国の王がほかよりも上だとわからせるために、王が自らを皇帝と名乗ったからである。この国は、全ての国の中で最大の領土を誇っている。

 

 

マートン王国。

 

アスフェル帝国の傍に位置する王国で、よく戦争するのだが、今は平和条約を結んでいる。

 

 

サリエル王国。

 

昔に、召喚された勇者、いや英雄によって作られた国だ。魔族も含む全ての種族を受け入れる国として有名で、その理由もあってか、人間の国に嫌われている。今も国のトップは、その英雄の子孫である。この国は基本どの種族も受け入れるが、知性がある事が条件だ。そして、王が人間なので、一応人の国と分類される。

 

 

地図作ってみました。

 

 

【挿絵表示】

 

 

砂漠の中心付近にある●が、エイルの封印されていた場所です。

 

また、地図中の草原でも砂漠でもないところは、森と考えて構いません。帝都を除いて。

 

 

 

 

斉藤 一 (さいとう はじめ)

 

身長 178cm

 

体重 58kg

 

魔力量 約20兆

 

...魔力を見る魔法は自分を見ることは出来ない。鏡を見たとしても、それは厳密には自分ではないので、自分の魔力量を見る方法はない。

 

容姿

 

黒髪が肩よりも長くなっている。元はそこまででもなかったが、森の中で一年過ごし、女の子並の長さになっている。そのため、見た目は顔が中性的なこともあり、背の高い女性にしか見えない。

 

性格

 

基本無表情で、自己中心的と言うか、エイル中心的だ。感情がところどころ欠如している。特に、人を殺すこと、死ぬことに対しては。前世では基本部屋の中にいた。

 

 

過去

 

 

小学5年のとき、帰宅すると、両親が死んでいた。だが、特に何も思うことなく、そのせいで皆から気味悪いと思われる。後に親戚に引き取られるが、特に関わることもなく、一は家にいる時は殆ど自分の部屋にいた。学校には普通に行っていて、いじめもなかったが、関わろうとする人もいなく、常に1人だった。

 

中2(14さい)のときに召喚され、エイルによって作られた、始まりの森で一年過ごした後、人が住む街に行った。

 

 

使用武器、封刀(「鎖」)

 

...この世界にレベルアップシステムはないので、この刀の能力 (相手の力を奪う能力) が唯一強くなる手っ取り早い手段だ。ちなみに、一は刀を腰にさすこともあるが、基本は手で持っている。どこに刀があろうが、一が考えただけで、刀は現れる。また、他人が使うと、使用者は死ぬ。

 

 

お金

 

銅貨、銀貨、金貨、白金貨、聖金貨があり、ぞれぞれ100枚ごとに硬貨が変わる。昔は硬貨がバラバラだったのだが、貿易のことも考え、全て統一した。ちなみに、貿易していないコートル王国は硬貨の統一をしていない。

 

 

 

 

エイルは一と一緒に宿を探していた。割と広い道は、夜だが人が多かった。

 

一とエイルは、北門からギルドに伸びる大きな道を歩いていた。周りには露店などが多い。一は鍛冶屋に行き、そこで魔物の素材やらを売るつもりだった。特にワイバーンなどの竜の鱗などは防具などに使えるので、かなりの値段になるはずだ。勿論誰かに聞くなどということはせず、あくまで推測だが、恐らく当たってるだろう。

 

「うむ、ではお金はどうする?」

 

「すみません、エイルさん。スラム街の付近で野宿することになるかもしれません」

 

「まあ、気にするな。と言うか、お主なら家程度すぐに作れるんじゃないのか?私はそこまでこだわりはないぞ?」

 

「そうですね…そう言ってもらえると嬉しいです」

 

そんな話を道の中歩きながらしていたせいか、偶然にもそれを聞いていた人がいた。

 

「その話、聞かせてもらったわ!あなた達、特に姉の方は服がかなり上質なものだから、それを売ってもらえれば、私が宿を紹介するわ!」

 

通りかかった店、恐らく服屋の前で仁王立ちしている態度だけでかいお嬢様のような赤髪のショートの女の子が一たちに言った。

 

「いいですよ?その代わり、自分の新しい衣装を同じものを5着、彼女が好きな服を5着、と言うことにしましょう。それと1週間の宿代です」

 

「はあ!?流石に多すぎない!?」

 

「いえいえ、妥当だと思いますよ?よく見てください、この繊維のきめ細かさ、引っ張ってもそう簡単には破けない頑丈さ。更に言うと...エイルさん。自分に小規模の水魔法を当ててください」

 

「うむ、承知した」

 

手のひらサイズの水の玉ができ、一の服にぶつかる。これには女の子も驚く。せっかく買おうとしていた服が濡れ、汚れてしまったからだ。いや、乾かせば大丈夫だろうと自分を落ち着かせる。

 

「実はこれ、水を弾きます」

 

「な!?」

 

彼女は慌てて水に濡れるはずだった部分を見るが、少しも濡れていなかった。そう、一の学校の制服は防水性に優れている。だが、この程度の技術実はこの世界にもある。ただ、珍しいだけだ。そして、そう言った物は帰属らによく売れる。まあ、この世界の防水加工といえば植物の特性を利用したもので、科学的なものではないのだが。

 

「わかったわ、交渉成立よ。私はステラ。それと、服はそこまで高いのを買わないでね」

 

 

「ああ、よろしくお願いします。ステラさん自分は一と言い、こちらはエイルさんです」

 

今日は一もエイルも色々疲れたし、服を買うのは明日になった。

 

 

 

 

一たちが泊まることになった宿は、街にある二つの門から伸びた道の交差する場所にある寄り道亭と言う宿屋だった。ゲームで見た事のある宿屋にそっくりだった。これなら自分が作った家の方がマシだったと後悔する一だった。エイルはたまにはこう言うのもいいかと納得していたので、一は特に気にしなかった。

 

宿屋で出迎えてくれたのは、どうやら看板娘らしい。水色の腰まで伸びる可愛らしい女の子だった。特徴と言えば、大きいと言うぐらいか。身長は160前後だが、胸がかなり大きい。まあ、ステラが小さいと言うか無いので、それと比べてしまったせいで大きく感じるだけかもしれない。ステラの胸は、見た目が10歳ぐらいとエイルほどの大きさしかない。貧乳というやつだろう。

 

「なるほど、これが格差社会ですか」

 

「なんで私の胸を見ていうのよ!第一に、あんたも私よりでかいのに、胸同じくらいじゃない!」

 

「何言ってるんです?自分は男ですよ?」

 

「は?何言ってんの?」

 

「いいですよ、信じなくて。信じられた試してが無いので慣れました」

 

「その顔で信じろという方が無理であろうが」

 

一は1年森の中にいて、髪を切っていないのでもうどこから見ても女の子だ。

 

「全く、エイルさんまで...まあ、何にせよ。すみません。ここの宿1週間分お願いします。宿代はそっちの貧相な赤毛が」

 

「え?あ、はい!では中に」

 

「私のどこが貧相なのよ!胸か!胸なのか!?」

 

一達は宿で出された食事をし、濡れたタオルで体をふきベットにダイブした。ちなみに、一とエイルは同じベットで寝ている。男女が一緒のベットなので卑猥な雰囲気があっても良さそうだが、どう見ても姉妹が一緒に寝てるとしか思えない。

 

 

一達は次の日、ステラの店に来ていた。

 

「はい、好きなの持って行きなさい」

 

ステラは親が帝都にいて、彼女1人ここに来て、わずか17歳で自分の店を持っている。準備には親が手伝ってくれたが、その後は自分1人でなんとかやっているすごい子だ。たまに親が訪ねて来るらしい。まあ、一は特に興味がない話だが、エイルは割と感動してたりする。

 

一よりもよっぽどエイルの方が人間らしい性格をしている。

 

「んー、エイルさんの執事的な存在さしなー、自分。燕尾服とか良いかも」

 

「我はこう言うのがよくわからんな。着ればいいだろうが、なんでも」

 

「エイルちゃん!あなたそんなに可愛いんだから!もういいわ、私が選んであげる。それとハジメは男なら、男だと思われるような服装にしなさい」

 

ステラはエイルを店の奥に連れていく。エイルの位置は気配で一は把握してるので、万が一の時でも対応できるだろう。

 

「うーん、自分の制服でも男物なのに、なんでそう見えないんだろう?ああ、なるほど、顔ですか。だから、周りから見て男装してるとしか見えないんですね。ならば...」

 

一の服装選びは、10分もかからなかった。と言うか、ほとんど欲しいものを探す時間に使われてたのでもっと早くも終われたのだ。一が選び終わってから更に30分後に、やっとエイルとステラがやってくる。一の性格上、よく待ってあげた方である。これがエイルを待つのでなければ、一は少したりとも待たなかっただろう。

 

「じゃーん!どう?可愛いでしょ?なんだか妹ができた見たい。まあ、妹は本当にいるけどね」

 

エイルの腰まで伸びた銀髪をまとめあげ、ポニーテールにし、麦わら帽子を被らせ、白いワンピースを着せている。時間がかかったのは髪の毛のせいだろうと予想がつく。

 

「流石エイルさん、可愛いですね」

 

「お、お主にそう言ってもらえると嬉しいな」

 

一とて、一般的な男子高校生(笑)なので、そういうことにも興味が無いわけでなない。ただ、それを押さえつける理性が強すぎるのだ。

 

「ではステラさん、自分の服はここに置いていきますよ。1年間なら汚れると勝手に綺麗になるサービスつきです」

 

一は既に選んだ燕尾服に着替えている。燕尾服は黒の割合が多いやつを選んでいる。

 

「あんたそれでも女の子に見えるわよ?」

 

「ええ、だからこれを顔につけ、髪を後ろでまとめ、黒いローブを着ます」

 

言葉通りに実行していく一。仮面は店に飾ってあった不気味な微笑みをしている仮面をつけた。更に黒いローブを着て、これで鎌でも持てば死神だろう。

 

「あ、その仮面一つしかないからごめんねー。燕尾服は5着持って行っていいわよ。どうせあんた服は全部同じでいいとか思ってるでしょ。でもエイルちゃんは私が選んだのを持っていってね」

 

そして彼らはここで別れ、一達はギルドへと向かった。2人とも冒険者らしくない格好だと言うことは間違いないだろう。何一つ防具をつけてないのだから。武器を持っているのは一だけで、しかも今はそれをしまっているので、冒険者には見えないだろう

 

と言うか、一が完璧に変な人だ。白いワンピースを着た可愛い少女につきまとう黒いローブの仮面の人と言う構造なのだから。




眠い。

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