一ヶ月以上もあけて申し訳ないです。
そして今回書いてて思いました。
くそつまらねー。
ぶっちゃけ読まなくていいレベルです。
読んでくれる優しいかたはどうぞお読みください。
次回は早めに更新しようとおもいます。(白目)
ーーーーーーー
「ちょっと!これいつになったら着くのよ!」
指示標識があった場所から30分程度歩いているがいっこうにゴールに辿り着けない。むしろ、道が整備されてない所が多くなっている。閃たち四人は流石に異変を感じて桐華が声をあげた。
「おかしいな。看板を曲がれば直ぐって書いてあったんだが…。」
「閃。もしかして、あの看板の指示が間違ってたんじゃね?」
「あー。その可能性が一番高いな…。」
「どうするのよ!みんなきっともう待ってるわよ!」
慌てる桐華に息を整えている志乃。学校で支給される簡易地図を見直す新。そして、閃は……。
「落ち着け、河野。嘆いたって仕方ないだろ。」
「!?……ごめんなさい。そうね。こういうときこと冷静にならないとね。それで?この後はどうするの?」
「知らん。」
「はぁぁぁ!?」
落ち着きを取り戻した桐華だが、新の適当な返事にまたしても声をあげてしまった。
「うるせーな。大丈夫だよ。閃が今考えてるんだ。だからあまり邪魔してやるなよ?」
手をポケットに突っ込み、片手で前髪を弄りながら下を向いて何やら考えている閃に、新は指を指す。
「閃は成績はあまりよくないが、こういうときの頭の回転が人一倍良い。そして、なにより頼りになる。」
すると、閃が顔をあげて髪を弄っていた右手を下ろすと、新たちの元に戻ってきた。
「お?閃。その顔は何か思い付いたな?」
「まあ、そんな大それたことじゃないけどな。……河野、お前体力に自信はあるか?」
「何よいきなり……。そうね、ある方だとは思ってるわ。」
「よし。なら、新と一緒に先に正規のルートに戻って先生に知らせてくれ。新、あとのことは任せる。頼んだぞ。」
新とは長い付き合いなので、少しの会話でお互いが何を言いたいのかがなんとなくわかる。はず。多分。そして、それが伝わったのか通ってきた道を引き返し始めた。
「あいよ。行くぞ~河野。」
「ちょっと指示ってそれだけなの!?待ちなさい!」
スタスタ歩いていく新に戸惑いながらも付いていく桐華を見送ってから、閃は木の根に座っている志乃に声をかけた。
「ごめんな。東雲。疲れただろ?」
「ううん。大丈夫だよ。私こそみんなに付いていけなくてごめんね。」
「何いってんだ。お前が落ち着くまで待ってやるからゆっくり休めよ。」
「いつもありがと」
志乃は微笑みながら閃にお礼を言うが、言われた本人は気まずくなって赤くした顔を反らしてしまった。その時、閃のさわがしい心臓の音を消すかのように、少し強めの風が吹き、木々を揺らした。
ーーーーーー
閃たちと別れた新は、桐華と一緒に標識があった所まで引き返していた。
「少し休憩したら走るからな。」
「それより説明してくれない?私未だに理解できてないんだけど。」
「何が?」
「何がって、全部よ。なんでわざわざあの二人を置いて別行動にしたのよ。普通一緒に行動するのが当たり前じゃない?」
その言葉を聞いて新はため息をつき、面倒くさそうに頭をガシガシ掻きながら近くに腰を屈め、指を伸ばして説明し始める。
「はぁ。……三つあるが。まず、一つに、この状況をいち早く先生に伝えなきゃいけない。」
「ええ。それはさっき言っていたからわかるわ。」
「じゃあ二つ目、これは勘だが…東雲の調子がよろしくない。」
「!?……。」
そこで桐華は黙ってしまった。さっき二人で話していたので志乃の身体のことは理解している。だからこそ心配になる。新はそんな桐華に気にせず続ける。
「んで、俺の勘が当たっていれば恐らく閃は、おぶってでも東雲を運ぶつもりだ。」
「なら、私も手伝ったのに…。」
「そこだ。」
「え?」
「お前がそういうと思ったから閃は俺と行動を共にさせたんだよ。中学生と言えど女子だ。おぶられてる姿を周りに見られるのは友達でも抵抗あるだろ?それに、おんぶは最終手段だ。」
「そうね。仮にクラスの人に見られたら、冷やかしの対象になるでしょうね。」
「まあ、俺たちはまた戻ってこなきゃならんけどな、見られる人数も最小限にするって訳だ。」
「次は近場の施設に移動だものね。それなら周りの目もあまり気にならない…。」
「そして三つ目だが……(天気が心配だが、あいつなら何とかするだろ。それよりこいつに無駄な心配かける必要もないな。)」
さっきより新の顔が真剣さが増したのをみた桐華は、ゴクリと唾を飲んだ。
「三つ目は…………特にないな。」
「……は?」
「まあ、なんだ?心配すんなってことだよ。そ、それじゃ走るぞ~。」
最後のひとつは言わないことを決めて、緊張しくなってしまった場を和ませようとした結果、素面な顔プラス低く冷たい声が返ってきた。その視線と声に危機感を覚えた新は、逃げるように休憩を終えて走り出した。
ーーーーーーーー
一方その頃、閃と志乃も休憩を終えて歩き出していた。志乃の体調を気遣って、ゆっくりと一歩ずつ足を進めている。
この辺は道が大して整理されておらず、木の根が飛び出ていたり、大きめの石が転がっていたりして危険なところが多々ある。
「峯内君。聞いていいかな?」
「なんだ?」
「何でいつも助けてくれるの?」
今まで何度が聞いてみたかったが、タイミングが掴めず聞けずにいたことを志乃はやっとの思いで言うことができた。
「別に、たまたまだよ」
「嘘。……………いつも気にしてくれてる。助けてくれる。それを"たまたま"なんて言われても納得できないよ。」
真っ直ぐに閃の瞳を見つめる。絶対に今このタイミングで聞きたい。じゃないとこの先聞けないかもしれないから。志乃はそんな思いを込めてじっと見つめる。
閃は、"たまたま"や"偶然"等の言葉では言い逃れられないと思い、理由を探すがうまく出てこない。
「本当に、これといった理由は無いんだ。ただ"あの日"東雲に保健室で手当てしてもらったお礼として何かお返ししたくてさ。まあ何もしてあげられてないけど…」
物を贈ることも考えたのだが、当時の閃はそれほどお金に余裕はなかった為に、別のことしてあげようと考えて、考えた末何も浮かんでこず、今に至ってしまう。
「だからせめて少しでも負担を減らしてあげようとしたんだ。日直の手伝いとかなら俺でも出来るからな。」
「それだけでも充分助けてもらってるよ!ううん!むしろ、私の方こそお礼しなくちゃいけないのに、いつも助けてもらってばっかりで感謝しても足りないくらいだよ!」
その言葉を聞いて閃は安心した。役にたててること、助けになっていること、今までの行動が無駄じゃなかったことに安堵する。そしてその嬉しさにほほを緩めて告げる。
「君の役にたててるなら良かった。」
更に、本当に良かった。と独り言のように溢し下を向いた。
******
独り言を溢した後、気まづさのあまり沈黙して休憩している。だが、何時までも休憩しているわけにはいかない。一先ず正規のルートまで戻らなくてはいけないのだ。
「そろそろ行くか、東雲、大丈夫か?」
「うん、大丈夫。……あの、峯内君…。」
「ん?」
「私のこと下の名前で呼んでくれないかな?」
「……は?」
いきなりの発言に固まる。同性なら名前呼びは大して変ではなく、当たり前のことだ。異性でも仲が良かったり、家が近所で幼馴染みだったりするとお互いを名前で呼び合うことはある。だが、閃は名前で呼ぶような女子はいない。故に理解するのに時間がかかり、素っ気ない反応をしてしまった。
「…ダメ、かな?」
「ダメって訳じゃないけど、いきなりで驚いて…。」
「じゃあ、これからは志乃って呼んで?」
「わ、わかった。なら、俺も閃でいいぞ?」
「うん。そうするね。改めてよろしくね!閃君!」
「っ!!!……よろしくな…し、志乃。」
満面の笑みの志乃の顔を見て恥ずかしさのあまり顔をそらすと、同時に身体の向きも変える。
「さ、そろそろ行くぞ」
「うん!」
そして、二人は再び歩み始める。
ーーーーーー
「お、見えたな」
正規のルートから走って十数分、新と桐華はやっとゴール地点まで来ていた。
「先生!」
桐華は担任、新は養護教諭にそれぞれ状況を伝える。指示標識の向きが変わっていたこと、閃と志乃がまだ山道を歩いていること等を簡潔に話していく。すると、担任は他の先生たちにも話を通し、生徒たちにも声をかける。レクが終わったあとは、飯盒炊飯の予定なので近くの施設に移動を始める。
「先生、俺たちは閃たちの元に戻ります。荷物だけお願いしていいですか?」
「何言ってるの!あなたたちはみんなのところにいって!先生が迎えにいくから!」
急いで閃たちの所に向かおうとするが、担任に止められる。新は時間が惜しく、小さく舌打ちした。
「いや、でも……」
志乃の体調が悪く、最悪歩けなくても閃が背負うとは思うが、荷物を持ちながらだと流石に辛いはずだ。せめて荷物持ちにでもと早く戻ってやりたいと思うが、なかなか担任が認めてくれない。そこに一人の若い男性教師が声をかけてきた。
「なら、俺が同伴しましょう。」
彼の名前は「山口 賢人」隣のクラスの担任であり、数学教師。生徒からも授業が分かりやすいと評判が良い。それに加え、スラッとしていて、顔も整っているので、女子からの人気はもちろん、PTAの方々からも人気がある。愛称はグッチー。
「ですが…」
「こういうときは、力と体力がある男性のほうが適任です。それに、道を案内してもらうのに彼らの協力があった方がいい。」
「……わかりました。お願いします。」
「任せてください。」
「あなたたちも気を付けてね!」
「「はい!(うす。)」」
こうして何とか閃たちを迎えに行ける準備ができた。
「じゃあグッチー、走るよ」
「先生をつけなさい。ああ、道案内頼むよ」
「行きましょう」
ーーーーーー
「やっと戻ってこれたね。」
「そうだな。……やっぱり標識が変わってる」
「でも、何でだろう?誰かのイタズラかな?」
「それはたちが悪いな。」
閃は標識の辺りを見渡す。地図を見て進めば間違いに気付くかも知れないが、気付かずに進んだら迷って戻れなくなる可能性もある。普段は道が塞がってるらしく、近くに立ち入り禁止の札が付いているロープが落ちていた。明らかに人の手で外されたものだ。
「全く、こんなバカなこと誰がやるんだ。」
若干怒りの混じった声を出したが、声が小さかったので志乃には聞こえなかった。すると……
「……ーぃ……ぉーぃ」
何処からか声が聞こえた。
「志乃、なんか言ったか?」
「ううん?言ってないよ?」
「おーい!」
すると今度ははっきりと閃の耳に届く。
「この声は…新か!」
そして段々新たちの姿も見えてきた。
「良かったな志乃。もう大丈夫だ。」
「うん!」
*********
先程、合流を果たし班員が全員そろった。そして新と桐華についてた数学教師、山口の説明もされ、これからどうするかを話し合っている。すると、数学教師
「さて、これからだけど一先ずみんなのところに戻って東雲さんを保険の先生に診てもらわないとね。」
「新、こっから何分くらいでつく?」
「そうだな~東雲の事を入れるとして、15分あればつくんじゃねーの?」
「なら、志乃は俺が背負うから、新は荷物を頼む。」
「はいよ。……ん?志乃?」
「あー、さっき名前で呼びあうようにしたんだよ」
「なるほど。まあ、今はそんなことよりゴールまでいかないとな。」
新の言葉に閃は頷く。そして、みんなに声をかけ出発することを告げる。
「志乃、恥ずかしいと思うが我慢してくれ。」
「う、うん。ありがと」
お互い赤面しながら、閃が背を向けしゃがむ。それに遠慮がちに身体を預ける志乃は閃の首に手を回す。
「変なとこ触るんじゃないわよ。」
「おい、河野!冗談でも今はやめてくれ!これでも死ぬほど恥ずかしいんだからな!」
「あら?私は別に冗談を言ったわけじゃないわよ?」
「はぁ。閃、そろそろいくぞ。河野もその辺にしとけ」
時間もないのにじゃれあっている生徒たちを山口はニヤニヤしながら見ている。
「いや~若いっていいね~」
「先生!アンタもまだ若いでしょ!あーもう!先行くぞ!」
閃は逃げるようにはや歩きでその場から逃げた。一方、背をわれている志乃はあまりの恥ずかしさに赤面したまま黙っていることしかできなかった。
ーーーーーーーー
ゴール地点についた後、近くの施設に移動し、志乃は養護教諭のもとに、他の三人はお昼を作っていた。遠足等ではお馴染みのメニューでカレー。お手頃につくれて嫌いな人はほぼいない。そして、美味しい。閃たちは他の班に遅れて調理を開始したが、思いの外差が出ていなかった。理由は……
トントントン!!
「峯内君!そっち終わった?」
「おう!……次はこっちの野菜切ればいいか?」
「うん、お願い!それが終わったら……」
物凄いスピードで調理を進めている二人がいるからだ。
「あいつらスゲーな……」
新は飯盒に濯いだ米を入れ、炊いている。炊飯器じゃないので、薪に火をつけ炊く。火の加減を調節するためにその場からあまり離れることは出来ないが、なにかしら手伝う事はできるだろうと、カレー作り担当の二人に視線をやったのだが、必要無さそうなので団扇で火を扇ぎながら二人を見ていた。
「周りのやつも若干引いてんじゃねーか……。」
二人の働きぶりに溜め息をついてると志乃が戻ってきた。
「お?おかえり。大丈夫なのか?」
「うん。薬も飲んだし、ありがとね。……それよりあれは?」
志乃も気になったのか二人のほうを指差して聞いてきた。
「何か、遅れを取り戻す!とか言って気合い入れた結果があれだ。ほっとけ」
「アハハ……二人ともすごいね。」
「味に期待だな。」
********
「「完成!!」」
机の上には、ホカホカの炊きたてご飯に具沢山のカレーがかかっているお皿が四つ並べられていた。
「おつかれさん」「お疲れ様」
満足気にしている二人をみて新は呆れつつも、目の前にあるカレーに釘付けだった。
「そんじゃいただきますか」
「「「「いただきます」」」」
一斉にカレーを一口食べると手が止まる。だが、次の瞬間には全員が黙々と食べ始めた。
***
「はぁ~食ったわ~」
「おい、新。すぐ横になるなよ……てか片付け手伝え。」
「あいよ。二人は休んでな」
「そんなの悪いわ、私も手伝う」
「そうだよ!私だって何もできてないし」
「いーんだよ、こんくらい俺たちだけで充分だ」
手伝うと引き下がらない女子二人を置いて、新は食器を洗い場に持っていき、閃と二人で手分けして片付ける。
ーーーーーー
飯盒炊飯が終わり、あとは、帰るだけなのでそのため全員でバスに乗った。
「あー。疲れたぁ……」
愚痴をこぼしながら席につくと、桐華と新と話していたときのことを思い出す。片付けが終わり、集合場所に移動しようとしたら呼び止められたのだ。なぜ、お互い名前呼びになったのかを聞かれた(桐華にしつこく。)ので、あったことを話した。
(なぜ、志乃とのことを全部話さなくちゃいけないんだ。)
などと、思った閃だか、ごねるよりすべてを話した方が早いと判断した。その話を聞いた桐華はみんな名前呼びに変更するなどと勝手なことをいい始め、閃と新は嫌々承諾した。
◆
「その後、当時放送してたアニメを見てから、仲間意識に変なスイッチ入って。コイツらは何があっても守ってやる!って意気込んで、木刀振るようになりました。」
「いや!さっきの話、なんだったの!!」
長い話が終わったと思いきや、適当なオチに迅は思わずツッコまずにはいれなかった。
「でも、新や志乃、桐華を守りたいって思ったのは本当です。後日、四人で遊んでた帰り、柄の悪い不良に絡まれたときは、新と一緒に撃退しましたし。」
「できれば、そっちの話を聞きたかったな……」
迅はアハハと、乾いた笑いをする。
「でも、そのとき志乃と桐華がケガをしたんです。軽い擦り傷でしたけど、血が出てて、それ見たとたんに俺は……」
閃の声が段々低くなっていった。いつもの穏やかな表情とは違い、周りの空気がピリつくほど強張った表情をしている。
「……俺は、不良をボコボコにしたらしいです。」
「らしい?」
「その時、怒り狂ってて、新に止められるまでの記憶が無いんですよ。」
「記憶が…ね。」
「事件後、ショックがでかくて精神が安定しなかったんですが、剣を振ってる時だけは自然と落ち着けたんです。」
あの頃の記憶を思いだし、右手を見つめてた視線を空に移した。
「ボーダーに入った理由も自分が落ち着きたいだけなのかもしれません。」
「まあ、理由はともかく、お前はボーダーに入って正解だよ。……さ、だいぶ長話しちまったな。そろそろ戻るか」
「そっすね。」
「そんなに、気にするなその内ちゃんと三人に会えるさ」
そういいながら迅は屋上から消えていった。