大変申し訳ないです。遅れました。
理由(言い訳)はあとがきの方に記します。
それではどうぞ。
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『私と戦いなさい!』
突如現れ、戦いを申し込んできた女の子によって模擬戦を10本勝負をやり、現在リビングのソファーでぐだっている。
「なんだアイツ強すぎんだろ。斧の二刀流ってチートだろ。それに繋げて斧が大きくなるとか反則だろ。本部じゃ見たことねーし……」
「うちでは独自のトリガーを使ってるからね。本部で見ないのは当たり前だよ。それに小南はアタッカーランク三位だからね~」
「この私が……いきなり3本も取られるなんて…。」
模擬戦の結果は3-6-1引き分けで小南の勝ちだ。
玉狛支部では近界民のテクノロジーを解析して独自のトリガーを開発し使用しているらしい。そのせいでチームでやるランク戦には参加できないらしい。
「小南~威勢よく勝負を挑んだわりには最初から相討ちに持ち込まれてたな~ww」
小南が落ち込んでいるなか迅が小南を煽るような口調で話しかける。
「う、うるさいわね!勝ったから良いじゃない!」
顔を真っ赤に染める小南、ニヤニヤ笑いながらおちょくる迅のやり取りをしばらく見ていると、扉から二人の男性が入ってくる。
「なんだ?小南、騒がしいな。」
「いつもじゃないっすか?」
入ってきたのはA級玉狛第一のメンバーの残り二人だった。
「閃君。紹介するね。こっちの落ち着いた筋肉が木崎レイジ20歳。んで、こっちのもさもさした男前が烏丸京介15歳。」
木崎レイジ。A級玉狛第一(木崎隊)隊長。ボーダー唯一の近中遠に対応できる、パーフェクトオールラウンダー。迅や小南と同じく旧ボーダー時代から参加している古株である。
烏丸京介。同じく玉狛第一(木崎隊)の一人。少し前までは本部にいたらしい。周囲には「からすま」ではなく「とりまる」と呼ばれることが多いとのこと。
一通りの自己紹介を終えた後、閃が玉狛に来た理由等を迅が他のメンバーに簡潔に説明をし始めた。
「ーーーというわけでウチでも鍛える事になったから」
「まあボスの命令なら仕方ないな。」
「そっすね。仕方ないですね。」
木崎と烏丸は命令ということで受け入れ、小南は、
「わ、私もコイツと戦うの嫌じゃなかったし…仕方ないからやってやるわよ!」
と先の模擬戦で少しは認めてくれたのか小南も納得した様子である。
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時刻はお昼を過ぎ日が高くポカポカとした、暖かい陽射しが差し掛かる。玉狛支部で昼食を終えた、閃は再び模擬戦をするために小南とトレーニングステージに入る。
「小南相手に良く戦うな。」
小南との模擬戦をモニターで見ている木崎が独り言のように呟いた。
「でしょ?太刀川さんも気に入って弟子にしたくらいだからね。」
「それにしても、B級上がって一ヶ月足らずでアレは凄いですね。」
烏丸も思うことがあったのか閃と小南の戦いを見てそう溢す。試合の流れ的には、やはりキャリアの違う小南が押しているが、それでも閃も負けじと攻めに入っている。
「まだルーキーなのに小南相手に攻めることは簡単じゃない。それに火力で劣る閃は、上手く小南の攻撃を捌いてる。……お、丁度終わったな。」
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「あーダメだ。4本目が取れん…。」
「当たり前よ。簡単に取らせる訳ないじゃない。」
小南の武器、双月は一発の攻撃が重くまともに受けていたら部が悪い。しかも、斧の二刀流なので、弧月一本で戦う閃はどうしても手数で負けてしまう。そこに、接続器(コネクター)を使用することによって、二本の双月を連結させ一本の大きな斧になる。フルガードでシールドを張っても、真っ二つにされる。
閃は先の模擬戦での反省点を自分で考えるため俯いて集中している横で、玉狛メンバーは閃について話していた。
「迅、アイツどうなってんのよ。どんどん強くなっていくじゃない。」
「太刀川さんが言ってたんだけど、『閃と戦ってると、村上を思い出す。』だって」
「鋼さん…確かにそうね。それはわかる気がする……でも、少し違うわ。それに鋼さんみたいなサイドエフェクトはないはずだし。」
村上鋼。鈴鳴支部、B級鈴鳴第一(来馬隊)の隊員の一人にしてアタッカーランク4位に位置する。県外からのスカウトでボーダーに入隊。サイドエフェクトは『強化睡眠記憶』。一度習った事を15分程度の睡眠でほぼ100%自分のものにする。所謂、学習能力が恐ろしく高い。
「閃は今のところサイドエフェクトは発症してないし。強さの秘密は、閃自身の反応速度、反射神経の方がいいかな?それが高いってところかな。」
「迅さん、小南先輩。俺ちょっとバイト前に本部にいってソロランク戦してきます。」
迅と小南の話を聞いていた烏丸は、同じ弧月使いとして思うところがあるのか閃をチラ見してから、本部に向かう準備を始めた。
「お?京介、珍しいな」
「どうしたのよ?とりまる、いきなり本部でランク戦なんて。ここでやればいいじゃない?」
烏丸は少し前まで本部の隊員だったが、玉狛支部に来てからは木崎や小南と模擬戦をしていてソロランク戦をやりにいくのは久しぶりなのだ。
「いえ、今峯内先輩と戦っても必ず勝つ自信がないので鍛え直そうかと。」
A級部隊の隊員で、しかも古株の小南でさえ苦戦する程の相手に烏丸は今の自分では勝負にならないと思い、本部で腕を磨き直そうと考えた。
「それじゃあ、少し行ってきます。」と烏丸は玉狛支部を出て本部に向かっていった。
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時刻は夜の8時、閃は玉狛支部で晩御飯をいただき、迅が話があると言われ、二人でコーヒーを片手に持って屋上に上がった。
「それで、迅さん。話ってなんですか?」
「今日はお前の過去についてちょっと聞こうかと思ってね。閃の戦い方は、少し異質だ。剣を握るのも初めてって感じがしなかったし、その理由を教えてほしくて呼んだんだよ。」
迅は未来はみえるが過去は見ることはできない。故に、こうして本人に聞く必要がある。そして、二人だけで話すのにも、その方が聞きやすいと思っての行動であり、他のメンバーがいないことによりスムーズに話が進むからだ。
「そういうことでしたか…。まあ、隠す必要はないのでお話しますけど、少し長くなりますよ?」
「ああ、構わないさ。」
「じゃあ……あれは中学の頃でした……。」
◆
当時。閃は一人の男子と仲が良かった。彼は、閃にとって親友でありライバルだった。テストではどちらの点数が高いかを競い、体育のバスケやサッカーでも幾度なく勝負し、ゲームセンターに行けばカーレースやガンゲーム等で競ったり、日々の生活で何かあれば勝負だの何だの言って暴走していた。そして、周りも彼らの暴走を止めることは出来ずに一年が過ぎ、ある日、彼らのクラスに転校生がやってきた。
「おい、閃。今日転校生がくるらしいぞ!」
「転校生?特に興味ないな。」
「全くお前は…。転校生な、女子みたいだぞ?」
「ああ、だからクラスの男子がそわそわしてんのか。」
クラスを見渡すと、男子たちは「かわいいのかな?」などとうつつを抜かしている。女子たちは「男子が良かった~」とか「でも女子なら……」と女子たちもやはりどこか浮かれている。転校生に興味を持たないやつも珍しいが閃にとってはそれほど浮かれる出来事ではないと思っている。
「はい。みんなー今日は転入生を紹介します!」
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あれから数週間時が過ぎた。閃と彼は相変わらずお互いに競い、転校生の彼女は女子友達と仲良くやっていた。だが、ある日、閃のクラスで席替えがあり、その席替えでできる班で来週にある遠足でのレクリエーションの活動班が組まれることになった。
担任の軽い説明が終わり、くじで班決めを行うことになったため、クラス委員の男女二人が前に立って、くじの入っている箱をそれぞれ持ち、男女別れて引いていくことになる。
「じゃあ、男子は俺のところに、女子は彼女のところに並んでくじを引いていってくれ。」
と、クラス委員の彼が言うとそれぞれ並び始めた。
結果…。
まさかの彼らと彼女らが四人が一緒の班になった。
◆
「まあ、最初はこんな感じで俺たちは出会いました。因みに親友の名前は、火野 新(ひの あらた)。その時転校してきた女の名前は、河野 桐華(こうの とうか)。そして、その友達の、東雲 志乃(しののめ しの)です。」
一段落したところで少し冷めてしまったコーヒーを飲むと、迅が続きを促してくる。
「それで?遠足で何かあったのか?」
「はい。……俺たちが一緒にいることになったのはちょっとした事件が理由です…。」
◆
遠足当日。閃たちは学校から観光バスにのり、三門市から離れて程近いところの山にきていた。
「はーい!これから班に別れてレクリエーションを行います!」
担任の女教師にいわれ、各自グループに別れ始め、閃たちの班は四人一グループで班長はこの前、転校してきた河野だった。
「もう一回、手順の説明ね。各チェックポイントにあるお題をクリアしながら山道を進む。頂上付近に先生がいるから、問題を記入した紙を提出してゴール。わかった?」
「「おう!余裕だぜ!!」」
閃と新の息ピッタリな返答に不安になり、頭に手をやりながらため息をつく。
「ハァ。ほんとに分かってるのかしらこのバカ二人は…。」
そこにもう一人の班メンバーの東雲 志乃が苦笑いながら
「ハハハ…大丈夫だと思うよ?桐華ちゃん。」
「まあ、やる気があるだけましね。……さて、行きましょうか」
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幾つかのチェックポイントの問題を解き進めていると、閃は桐華に近付き小さい声で声をかける。
「なあ、河野」
「なに?」
「休憩しねーか?」
「さっきまでの元気はどうしたのよ。疲れたの?」
「……知らないのか?」
「……何によ?」
閃は本当に?と目線で問いかけるが、桐華は思い当たる事がないのか、少し首を傾げた。
「……ならいい。とりあえず休憩はするぞ。いいな?
おーい!ここら辺で少し休憩するから、新は先行くんじゃねーぞ!」
そういうとみんなで近くの岩に腰を掛け、各自水分補給して休憩する。閃は、少し離れたところでバッグを開け、タオルとまだ開けてないペットボトルの水を取りだし、タオルを濡らして軽く絞るとみんなの方に戻る。
「東雲、これ使え。顔拭いてから、少し首の後ろに当てとけよ。」
「あ、ありがと。」
「ん。……新、この先のチェックポイントを最短でいくからした見に行くぞ。手伝ってくれ」
「あいよ~」
そうして、閃と新の姿は遠く小さくなっていった。
残された、桐華と志乃は水を飲みながら休憩していると、桐華が口を開く。
「案外気が利くのね、アイツ。」
「峯内君はすごく優しいんだよ?」
「そうなの?」
「うん。……私昔から病弱で、今でもたまに通院してるし、保健室行くことも少なくないんだけど、小学六年生のとき体育が外でやる競技で、私はその日体調が良くなかったから保健室で休んでたんだ。そしたら、体育で怪我をした峯内君が来て、その時に私の身体の事を話したの。それからは日直とか掃除とかを手伝ってくれて…。」
志乃の話に桐華は口を出さずに真剣に聞いていた。桐華自身、閃のことはふざけたやつ程度に思っていたからだ。
「……まさか、バレてる上に、ここまで準備してるとは思ってなかったけど」
志乃は首に巻いたタオルを指差しながら困ったように笑った。
「じゃあ、アイツは、あなたの体調を気遣って休憩したと言うこと?」
「うん。そうだと思う。それに火野君も歩くときのペースに気を付けてくれてたし、普段の行動で誤解する人多いけど、二人は本当に優しいんだよ。」
桐華は閃たちに対して誤解をしていたことに気づいた。そして、それに気づけなかった自分に腹が立った。
「ごめんなさい。私、何も気付けなくて」
「ううん!大丈夫だよ!私だって心配掛けないように隠してたんだから!」
頭を下げて謝罪をする桐華。手をブンブン振って大丈夫という志乃の元に下見に行っていた閃と新が戻る。
「ん?何やってんだお前ら?」
「な、何でもないわ。…そろそろ行きましょうか。」
「??…まあいいか。東雲、大丈夫か?辛かったら言えよ?」
「うん。ありがとう峯内君。」
そうして休憩を終えた四人は再びゴールに向かって歩き始める。
標識の向きが変わっているのにも気付かずに……。
はい。理由(言い訳)を説明します。
最初は完全ソロ隊員としていこうとしたのですが、
ランク戦ができないのとアフトクラトル戦がめんどくさかったので、新キャラを考えていたとです。
名前は本当に適当に決めました。
キャラ設定も書いてるので後程投稿する予定です。
今回もお読みいただきありがとうございます。
感想・誤字脱字等の報告も受け付けてます。