弧月を握った少年   作:ハヤヲ

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どうも、ハヤヲです。

ホントにすみません。

読んでくれている方は少ないと思いますが
どうぞ。


峯内 閃⑥

***

 

現在、駅の近くにある喫茶店にて、親友の新と数ヵ月ぶりの再開。そして距離感のある会話の後にとんでもないことをコイツは言ってきたのだ…

 

 

「ちょっと待て。誰がどこに入るって?」

 

「だから、俺が・ボーダーに・入るんだよ。」

 

「なぜ!!!???」

 

「元々興味があったってのもあるが、ある人から話を聞いてて決心がついた。」

 

「は?ある人って?」

 

誰だ?ある人って…。

 

「迅 悠一。」

 

「んな!!」

 

なんで新が迅さんを知っているんだ。迅さんが新を知ってるのはわかる。俺が教えたから。だが、逆はない。

 

「なんでお前が迅さんを知っているんだよ!」

 

「さっきお前に会う前に駅前で会ってな。そこでスカウトされた。」

 

ダメだ…もうついていけない。迅さんホントに何やってんの?バカなの?

 

 

 

 

******

 

 

簡単にまとめると、新は俺に会いに三門市にきたら迅さんが待ち伏せしてて、新に接触。俺の名前をだし、その場でスカウトして新も了承。ということらしい。いや、どういうこと?

 

 

「そろそろ話はついたかなー?」

 

・・・。

 

「新、ボーダーに入るっていっても学校は?」

 

「転校する。その辺もボーダー側がやってくれるらしいぜ?」

 

「もしもーし?聞いてる?」

 

・・・・・・。

 

「じゃあ、志乃と桐華はどうなるんだよ」

 

「あいつらもその内来る。今日の話を伝えれば二つ返事でこっちに来るだろうな。桐華の家はボーダーのスポンサーでもあるし」

 

「ちょっとこの実力派エリートを無視しないでくれない?」

 

そろそろいいか。

 

「で、迅さん。これはどういうことか説明をお願いします。」

 

「俺を無視してた件について説明をお願いしたいけど…。

まあいいや、今日の朝、閃がここで新と会う未来が見えたから先にあってスカウトしておいた」

 

「話してて、いい条件だったから乗っておいた」

 

「何を勝手に決めてるんですか。しかも仲良くなってるし…。」

 

仲良く二人でグッジョブしないでください。イラッとする。

 

「でも、閃だって親友と一緒に居たいだろ?あと女の子二人とも」

 

「だからって」

 

だからっていきなりすぎる。それにあの事件以来、まともに会話もしてないし、彼らに謝罪の言葉すら…

 

「勘違いすんなよ?閃。俺はお前を許した覚えはねーからな。……そんな顔すんなって。俺が許してないのは、あの事件のことじゃねー。何も言わずに転校したことだ。だから一発殴らないと気がすまねー。幸い、ボーダーにはそれにうってつけの場所らしいしなww」

 

新は普段、態度は悪いし口も悪い。めんどくさがりやで、気分屋。だが、俺が新と一緒にいる理由は、口は悪くても本音で話してくれて、面倒といいながら面倒見がよく、何より友達を裏切ったりしない。

 

「そう簡単に殴られるかよ。返り討ちにしてやる」

 

だから、俺はこいつと、こいつらと一緒に居たいと思う。

 

 

 

 

 

「あ!でも多分、桐華のグーパン、志乃の長時間説教は避けられないと思うけどな~www」

 

 

 

………ヤダ。やっぱり一緒に居たくない。

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

あの後、新は電車の時間があるからと言って帰った。

帰り際にLINEも交換した。

今は、迅さんと二人で本部に戻っているところだ。

 

「迅さん、なんで新をスカウトしたんですか?」

 

「ん?あぁ、ホントは俺がスカウトしなくても新はボーダーに入ったよ。閃が誘ってた未来も見えたな。…まあでも、俺がスカウトした理由はお前の時みたいに無理やりねじ込む事もできるし、早くB級に上がってもらうためかな?」

 

「次の入隊式前じゃダメなんですか?」

 

次の入隊式は確か、9月だったか?

1ヶ月近く先にはなるが…

 

「それでもいいんだけど…まあ詳しくはまた今度な」

 

「はぁ…」

 

何かはぐらかされた感じだな。迅さんは意味のないことをする人ではないと思うし、これ以上聞いても答えてくれそうにない。

 

「この後、どうする?俺は玉狛に帰るけど」

 

「俺は、千晶を迎えに行ってから、ランク戦やるか帰るか決めます。」

 

「そうか、じゃあここでお別れだな。またな!」

 

「はい、失礼します。」

 

こうして、迅さんと別れ千晶を迎えに開発室へと足を進める。

新に会ったなんて言ったら千晶はなんて言うのだろうか?

そんな事を思いつつ、何処を歩いても景色の変わらない長い廊下を歩いた。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

初対面。それは、今まで一度も会わなかった人と初めて顔を合わせることである。そして、大抵の場合は引き合わせた第三者がいる。しかし、第三者が途中でその場を離れたらどうなるか。答えは言わなくても察するだろう。

ましてや、自己紹介を終わらせただけの状態なら話すこともなく、ただひたすらに時計の針が進む音だけがその空間を支配するは至極当たり前のことだ。

 

さて、なぜこのような下らない話をしてるのかと言うと、目の前で全く逆の出来事が起きているからである。

 

 

「なんだこれ…」

 

鬼怒田さんと千晶が設計図らしきものを見ながらワイワイやっていた。

 

「あ、お兄ちゃんお帰りー!」

 

「おぉ!閃速かったな!」

 

大分席はずしたんだけどな…

 

「で、なにやってるんですか?」

 

「これか?千晶ちゃんがトリガーに興味を持ってな、話している内にわしらが気づかない欠点を教えてくれて、それからこうして次の試作トリガーの話し合いをしていたとこだ」

 

「ボーダーの技術って面白いね!」

 

「面白いねってお前なぁ…」

 

ものの数時間で理解して鬼怒田さんと開発の話とかうちの妹がハイスペックすぎて怖い。いや、怖い…

 

「閃と千晶ちゃんが良ければボーダーに入ってくれんか?まだまだ話したいことも多いし、なにより人手が増えるのは有難いのでな」

 

「はぁ、まあ千晶さえ良ければですけど。どうする?

母さんたちには俺が言っとくけど」

 

俺がいるし、両親はダメと言ったりはしないだろう。あとは、千晶の意思のみだ。

 

「いいの!!じゃあ入る!」

 

 

こうして、妹の千晶のボーダー(開発室)の入隊が決まった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

数日後、俺は忍田さんに呼ばれた。

用件としては、千晶の入隊、新のスカウトの件らしい、

 

「失礼します。」

 

「わざわざ来てもらってすまない。」

 

「いえ、忍田さんが忙しいのは分かってますので」

 

「早速だが、君の妹さんに鬼怒田開発室長からボーダーへの入隊、そして是非開発室に…という話が来ているんだが。」

 

「はい。その件は親も同意のされてるので、そちらが良ければいつでも大丈夫です。…本人は今すぐにでも入りたいみたいですが」

 

困ったように言うと忍田さんも少し苦笑いだった。

 

入隊するための手続き等の話を一通りし、話題は新の話になった。

 

「迅から聞いたんだが、火野 新くんは君の親友らしいな」

 

「はい。」

 

「迅が何を考えているかは知らないが、すぐにでも入隊させた方がいいと言っている。ボーダーのためにも、そして、君のためとも言っていたな。」

 

「そうですか。まあ迅さんのことなんで、何か考えがあっての行動だと思います。俺にはさっぱりですが。」

 

迅さんは本当に何考えているかわからない。でも、みんなが幸せになれるように日々暗躍してくれているのはわかる。

 

「そうだな。ではそちらも準備しておこう。」

 

「よろしくお願いします。」

 

こうして、千晶と新、後日に志乃と桐華の入隊が決まった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

本部長室をでた俺は久しぶりにランク戦をやるためにスマホで対戦相手を募集した。

 

 

ーーボーダー高1ーー

 

 

閃「個人ランク戦の相手募集。」

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

よし、これで誰か来るだろう。

………来なかったら泣く。

 

 

そんなくだらないことを考えているとブースについた。

誰かいないかと探していると槍バカが中学生とランク戦をしていたので、観戦することにした。

 

「おぉ、あの中学生速いな…。」

 

グラスホッパーでピョンピョン飛び回って相手を翻弄している。

 

「グラスホッパーにあんな使い方があるのか。」

 

小柄ゆえにできる技だとは思うが、似たような動きができれば手札にはなりそうだな。そうだランク戦してもらおう。

そして、ちょうど10本勝負を終えてブースから出てきた二人に声をかける。

 

「よ、槍バカ」

 

すると、陽介がこちらに気づき中学生と一緒に近づいてくる。

 

「誰が槍バカだ!って閃じゃん!お前もランク戦か?」

 

「まあな。」

 

「よねやん先輩、この人は?」

 

「そういえば初対面だったな。こいつは峯内閃。最近上がりたてのB級ソロだ。」

 

「峯内閃だ。よろしく」

 

「んで、こっちが緑川駿。A級草壁隊のアタッカーだな」

 

強いとは思っていたが、まさかA級だとは思わなんだ。

まあ、陽介と対等に戦えることはつまりそういうことなんだろうけど。

 

「へぇーB級ソロなんだ。そうだオレとランク戦しようよ。」

 

緑川は明らかに此方を舐めているようだ。笑いに含みがあるのが明らかである。念のため陽介に確認を取ることにする。

 

「陽介、やっちゃっていいの?」

 

「おう。存分にやっちゃって。お前なら負けねーよ。」

 

緑川に聞こえない程度の声量で会話をし、OKがもらえたとこで、緑川を締めることに決めた。

 

「じゃあやろうか。」

 

二人は適当に空いているブースに入り、

10本勝負を始めた。

 

 

 

 




本来やりたかった話と違ってきたな~と
思う今日この頃です。

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