魔法少女リリカルなのは×銀魂~侍と魔法少女~   作:黒龍

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第二十一話:キングコングだとカッコイイがキングゴリラだとダサくなる

 ジュエルシードが星となって降って来た日の夜……。

 

 ――拝啓お妙さん。

 

 お元気でしょうか。わたしは元気です。

 今は檻に閉じ込められ、犯罪者のような扱いを受けていますが、大丈夫です。巡回の人も人柄がよく、最近はお手をするとバナナをくれます。

 

 わたしはただ、鉄格子から見える空を見る度に、あなたのことを思い出します。

 こんな何もない石造りの部屋の中では、満足にあなたへのリビドーを発散させることもできません。家でパソコンやアルバムに保存した、あなたの写真でエクスタシーに上り詰められないのは辛いです。

 

 最近は『性欲を持て余す』が、わたしの流行語となっています。

 

 あぁ……お妙さん。

 できることなら、あなたへの滾る熱いパッションを、ぼくのお宝写真へとぶつけたい。普段は2,3本わたしのバナナを抜くところですが、今はできることなら10本は抜きたいと思う次第です。

 

 あぁ……Myたえ。

 あなたへのこの下半身に渦巻く熱い思い、伝わっているでしょうか? 伝わっていたらいいなぁ……。

 だからこそ、私の情欲をあなたへの熱い思いと共にポエムとして届けたい。

 聞いてください……、

 

 あぁ、我が愛する女性よ。わたしのラヴソウル、あなたへ届け。

 あぁ、わたしのリビドーよ。我が愛する女性のポッカリ空いた穴へと届け。

 あぁ、もぉあぁ! とにかくあぁ!! わたしはあなたを愛してる~♪

 わたしの理性という鎖を全て解き放ち、あなたへとこの思いを伝えたい。

 近藤勲。心のポエム――。

 

 お妙さん。わたしのこの思い。あなたには伝わっているか分かりません。

 ですが、これだけは伝わって欲しいです

 

 ――『ムラムラ』します。

 

 

 

 キラキラと輝く星が散りばめられた夜空を、体育座りで仰ぎながら目を瞑って、やりきったという表情を作る近藤。

 閉鎖感と圧迫感を感じるこの空間では、正直ポエムの一つでも作らないとどうにかなってしまいそうだ。目の前の白い壁を見ると、気が滅入ってくる。

 

 あらためて、自分が置かれている状況を確認すると、重たいため息しか出てこない。

 

「ここから出たいなァ……」

 

 ポツリと自身の願望を口にした時だった――。

 鉄格子の窓から見えてくる夜空――キラリと星の一つが輝きを放っている。

 

「あ、綺麗だなー……」

 

 ちょっと感動していると、その星は徐々に大きくなっていく。

 なんかこっちに向かってきてね? なんて思った頃にはもう遅く、星は目の前までやって来ていた。

 

「えっ? ええええッ!? も、もしかして隕石!? ちょッ、まッ――!!」

 

 突然の流れ星の飛来。慌てる近藤。

 だが、逃げようにも周りは石の壁と鉄の棒で覆われているので、逃げる術などなく、近藤に光る星は直撃。

 そして、近藤のいた牢屋は眩い光に包まれた。

 

 

 

「………………」

 

 コツコツと靴音を鳴らし、ライトを持って牢屋を巡回する警察官。

 そして、最近捕まったゴリラ似の男の牢屋の前までやって来た。

 

「ウホッ」

「――ん?」

 

 妙な鳴き声が左耳から聞こえてきて、反射的に左側にライトを当てる。

 するとそこには、つぶらな瞳をした真っ黒な毛むくじゃらの男が一人。

 

「ウホッ。ウッホ!」

 

 一人の男というか、まごうことなき一匹のゴリラが牢屋の中にいた。

 ウホウホと鳴くゴリラを見て、目を細める巡回の警察官。

 

「起きてないで、早く寝ろよ」

「ウホッ」

 

 と鳴き声を聞いて、スタスタ歩いていく巡回は首を傾げる。

 

「……あれ? あそこにいた奴って、あんな毛深かかったっけ?」

 

 巡回は「気のせいだな」と言って、見回りを続けるのだった。

 

 

 時間は戻り、現在に至る。

 

 新八たち江戸組となのはたち海鳴市組はいま、翠屋のテラスに座り、白い丸机を二つ占領して、ケーキを食べながら雑談していた。

 話の内容はもちろん、今後の事について。そして、アリサとすずかが魔導師になった経緯についてだ。

 

 アリサとすずかのデバイスに、なのはは目を向ける。

 

「じゃあ、アリサちゃんは『フレイア』を、すずかちゃんは『ホワイト』を手に入れて、魔法を使えるようになったんだね」

「ええそうよ。それでこいつが、そのフレイアってワケ」

 

 アリサが掌のフレイアを見せれば、

 

《よろしくお願いしますね~、なのはさん》

 

 と、翼を生やした炎を模したようなデザインのデバイスは砕けた声音で挨拶。

 

「よ、よろしくお願いします……」

 

 初対面ながら馴れ馴れしい感じのデバイスに、なのはは少し戸惑いながら挨拶を返し、質問をしてみた。

 

「あの、フレイア……さん? はどうやってアリサちゃんと会ったの?」

《それはですねぇ、あなたたちを誘拐した、あのいけすかねぇロリコン誘拐野郎の手元に不本意ながらもいた、不幸な私とホワイトちゃんは、隙を見て逃げ出し、アリサさんとすずかさんと運命的な出会いを果たしたんです。ま~、掻い摘んで言うと、こんな感じですかね》

《――とまぁ、妹であるフレイアはこんな感じの性格なので、軽く流してくれれば結構です》

 

 と冷たく言い放つ姉デバイスの言葉に、妹デバイスは不満をあらわにする。

 

《むッ、わたしをめんどくさいキャラ扱いするとは。いくら姉であるホワイトちゃんでも、許容できませんよぉ?》

《とりあえず、フレイアのことは方っておいて――》

 

 とスルーして、姉のホワイトは自己紹介。

 

《私はすずか様のデバイスとなりました、ホワイトです。以後、お見知りおきを》

「は、はい。どうも」

 

 なのははまたぎこちなく頭を下げる。

 

 堅物というかクールというか、懇切丁寧に話すレイジングハートとは対照的に、フランクな喋り方をするフレイア。

 両機のギャップの差を激しく感じるなのは。

 なんだかフレイアを、レイジングハートのような主に仕える機械的存在としてはまったく感じなかった。対照的に、姉というホワイトからはレイジングハートに近いモノを感じるのではあるが、ちょっとばかし刺々しさも感じる。

 

「そういえば、〝あの時〟はなんでアリサちゃんとすずかちゃんはあそこに現れたの?」

 

 なのはが言う『あの時』とは、病院の外でなのはをジュエルシードから守った時のことだ。

 訊かれた事を理解したのであろうアリサは、説明すべてく口を開く。

 

「それは――」

《それは私がお教えしましょう!!》

 

 横やり入れたフレイアは、「ちょっとあんた!」とアリサに文句言われるが、

 

《ジュエルシードが発動したあの夜……。ホワイトちゃんと、そして契約していたすずかさん、最後に私はジュエルシードから発せられる奇怪な魔力の反応に気付きました――》

 

 主の言葉を無視して回想に入っていくお調子デバイス。

 

 

 ――フェレットを拾った病院の方から、『妙な魔力を感じた』と言った私の言葉にアリサさんは、ユーノさんを心配してこっそり家を抜け出しました。

 ――そしてそれはすずかさんも同じ。揃って家を抜け出したお優しい心の持ち主であるお二人は、病院の近くまでやって来ました。

 ――するとそこには、暴走するジュエルシードに襲われる、なのはさんの姿が……。

 

 

「あ、アリサちゃんあれって……」

「たぶん、あの空を飛んでるのって、なのはよね? 変な格好してるけど……。それに沖田や他の連中も……」

 

 少し顔を青ざめさせたすずかは心配そうな表情で、アリサは怪訝そうな表情。

 二人は電柱の物陰から、ジュエルシードの思念体やなのはたちの様子を伺っていた。

 

 すずかはアリサに顔を向ける。

 

「あ、アリサちゃん。あの黒いお化け、なんだかわかる?」

「あたしもあんなふざけた生き物、見たことないわよ……」

 

 おっかなびっくりとした様子でジュエルシードの思念体に視線を向ける二人の疑問に、

 

《アレは不安定な魔力の塊で出来た生命体。たぶん暴走したロストロギアである可能性が高いと思います》

 

 すずかのデバイスであるホワイトが答えた。

 

「ろすとろぎあ?」

 

 首を傾げるすずか。ホワイトの代わりに、フレイアが答える。

 

《時間がないので説明ははぶきますけどー、チョー危険な魔物って考えてくれれば構いません。しかも、意思があるみたいですし、本能的に魔力を持つ存在を狙ってるようですね》

「つまり、なのはが危ないってこと?」

 

 自身のデバイスの言葉を聞いて、アリサが眉間に皺を寄せた。

 

《まぁ、今の彼女は魔法が使えますし、資質はかなりのモノですけど。ただ、魔導師としてモロ初心者ですからねぇ。苦戦はすると思いますよ》

 

 そうフレイアが言えば、

 

「そっ、わかったわ」

 

 と言って、アリサは諦めたように息を吐く。

 そしてアリサは決意に満ちた表情を浮かべ、手に持ったフレイアに見つめる。

 

「それじゃ、あんた……じゃなくてフレイア。あたしもあんたと『マスター契約』ってのをすれば、魔法を使えるようになるのよね?」

《ええもちろん。どえりゃあスゲェ魔法が使えますよ》

「なんで名古屋弁になったかはこの際置いとくけど……なら、今すぐ契約して簡単なのでもいいから、魔法の使い方を教えなさい」

 

 アリサの言葉にすずかは「えッ?」と意外そうな表情になり、フレイアは「マジですか!?」と驚きの声を漏らす。

 

「いいの? アリサちゃん。今まで魔導師にはならないって言ってたのに……」

 

 不安そうに自身を見つめるすずかに対し、アリサは言う。

 

「癪だけど、コイツが前に言ったみたいに〝魔法が必要な状況〟だから仕方ないわ。危ない目にあって困ってる友達を助ける力があるんだから、当然でしょ?」

「アリサちゃん……」

 

 さも当たり前のように言うアリサに、すずかは目を潤ませる。

 

《いや~、さすがですアリサさん》

 

 フレイアが羽を腕のように組んで、うんうんと頷く。

 

《友ために立ち上がる……いやぁ、王道展開まっしぐらですねぇ》

「ふん! 御託はいいからとっとと契約!」

 

 アリサは少し気恥ずかしいのか顔を背けて頬を赤くさせる。

 

《了解! では、私がこれから言う言葉を大きな声で復唱してください!》

 

 フレイアの言葉にゆっくり頷くアリサ。そして、デバイスは声を張り上げた。

 

《唯我独尊! 天地神明! 粉砕☆玉砕☆大喝采! 我に大いなる力を授けたまえ! 魔法少女に変☆身! グレートハイパースーパーミラクルチェェェェェンジ!! 魔法少女光☆臨!!》

「…………………それ、言わなきゃダメ?」

 

 アリサは頬を引くつかせる。

 さすがにこのセリフを言うのは恥ずかしすぎる、というかアホ丸出し過ぎると思っているのだろう。

 だが、現在進行形で危険な状況の友達を助けるためには、背に腹は代えられないと決意したのか。

 アリサは一旦息を吸い込み気合を入れ、頬を赤くさせながら、フレイアを天に掲げて叫ぶ。

 

「ゆッ、唯我独尊! 天地神明! 粉砕☆玉砕☆大喝采! 我に大いなる力を授けたまえ! 魔法少女に変☆身! グレートハイパースーパーミラクルチェェェェェンジ!! 魔法少女光☆臨!!」

 

 シーン……。

 

 特に何も変化のないアリサ。しかも、何故か笑いを堪えるような声が聞こえてくる。

 アリサはぷるぷると震える手で、手に持ったフレイアに目を向けた。

 

「――ね、ねぇ……今のって、ホントに契約の為の、詠唱?」

《ブッ……!》

 

 吹き出すフレイア。

 

《ま、マジで……い、言うとは……ブフッ!》

「死ねぇぇぇぇぇッ!!」

 

 アリサは思いっきりフレイアを地面に叩き付ける。

 

《あいたぁーッ!!》

 

 痛がるフレイアだが、アリサはまったく気にせず拳をゴキゴキと鳴らす。

 

「あんた、時間ないの分かってんの?」

 

 ゴゴゴゴゴゴ!! と人を殺せそうなほどの殺気の籠った眼力を宿したアリサに、さすがのフレイアもビビッて声を震わす。

 

《す、すみませんすみませんすみませんすみません! ほ、ほんの出来心だったんです!! あ、アリサさんが私を手に持った瞬間にはマスター契約は完了していたんですぅー!!……………………あ》

「……つまり、なに?」

 

 アリサの怒気が余計に膨れ上がった。

 

「あたしの了解も得ずに、とっくにあんたは私を、魔法少女にしてたってことよね、それ?」

 

 さすがにこりゃダメだ、と思ったフレイアは、テヘッ♪ と開き直る。 

 

「うぉぉぉぉぉぉッ!! 死ねぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

 アリサはガンガンガン! と何度もフレイアを踏みつけ、デバイスは悲鳴を漏らす。

 

《ゴフッ! ありさゴフッ! やめゲフッ! しぬゴフゲフッ!!》

「あ、アリサちゃん落ち着いて!」

 

 と、すずかは必死に親友を止めるのだった。

 

 

《――とまぁ、そんなこんなで、アリサさんは私のパートナーになってくれたんですよ》

 

 フレイアの説明を聞いた沖田は、

 

「フッ……ミラクルチェンジ……ブッ……!」

 

 口元を押さえながら笑い声を吹き出し、

 

「変な格好……」

 

 なのはは落ち込み、

 

「恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいぃぃぃぃぃ!!」

 

 そしてアリサは、恥ずかしさのあまり激しく悶える。

 一通りフレイアの回想が終われば、約三名を除き、各々はなるほど、といった顔。

 

 沖田は悶えるアリサの肩に手を置き、少女は自身を見下ろす青年の顔を見上げれば、

 

「魔法少女光☆臨」

「ブハッ!!」

 

 悪意まみれの顔で言われ、アリサは顔を真っ赤にしてテーブルに突っ伏した。

 

「その辺にしてやれ」

 

 さすがに可哀想だと思った土方が、沖田をたしなめる。

 へーい、と答えた沖田は椅子に座り直したところで、ある事を思い出してフレイアに視線を向けた。

 

「そういやァ、さっきお前が言ってたいけすかねェロリコン誘拐野郎って、俺がぶっ倒したヤローのことだろ?」

《ええそうですよ》

 

 返答を聞き、土方は沖田に顔を向ける。

 

「総悟。たしか、お前が見つけた〝俺たちの世界〟の死刑囚のことだったな? なんでそいつが〝この世界〟に来たのか分からなかったのか?」

 

 土方の言葉を聞きながら、フォークを手に取る沖田。

 

「まー、俺もあいつから色々訊き出したかったんですが、どこぞの誰かがあいつの頭だけ持ち帰っちまったお陰で、一切の情報はなしでさァ」

 

 説明した後、沖田はサクっと目の前のケーキの先端をフォークで切り、切れ端をパクリと口に入れた。

 続けて、なのはの膝の上にいるユーノは、真剣な表情で話す。

 

「しかも、首がなくなった胴体はヘドロ、もしくはスライムみたいになって、溶けてしまったんですよね? 沖田さんたちの世界の住人――しかも、デバイスを持っていた。どう考えても、沖田さんたちのように〝異世界に迷い込んだ人間〟、で済ますことはできませんね」

 

 沖田とユーノの話しを聞いていた三人の少女は、少しばかし顔を青くする。

 実は、なのはたち三人がこの誘拐犯の顛末を聞いたのは、今が初めて。

 

 理由としては、誘拐犯の胴と頭が切り取られたというショッキング極まりない話を、珍しく沖田がなのはたちのような小さな女の子に知らせなかったから(めんどくさかっただけ)。

 ただの誘拐犯なら首チョンパなんてグロい話を聞かせなくてもいいのだが、沖田たちの世界の住人な上、胴はドロドロに溶け、さらにデバイスを持っていたとなれば、その顛末を彼女たちにも話さなくてはならない。

 

 新八は顎に指を当て、首を傾げた。

 

「結局、何者だったんでしょうね? 話を総合する限りだと、どう考えてもただの囚人じゃありませんよね?」

「俺も夕観意嘆なら資料で見たが、ただの地球人だ。天人(あまんと)ではなかった」

 

 土方は背もたれに体重を預け、嘆息する。

 

天人(あまんと)って新八さんたちの世界にいる――宇宙人、なんですよね?」

 

 なのはの質問に新八が「うん。そうだよ」と頷く。

 

「しっかし宇宙人とか、時代は江戸時代なのに……」

 

 と言って、アリサは腕を組んで呆れた声を出し、微妙な表情になる。

 

「しかも、宇宙人襲来で文化が江戸から平成並みに発展って……ホントむちゃくちゃな世界よね」

「なんか、日本にやって来た黒船が宇宙人になっちゃったって、感じだね」

 

 と苦笑するすずか。

 すると、神楽が自分の顔を指差す。

 

「ちなみに私も天人(あまんと)アルよ。前に言ったけど」

「へー………………えッ!?」

 

 突然のカミングアウトを軽く流していたアリサは驚き、他の小学生二人も驚きの表情。

 

「か、神楽ちゃん宇宙人だったのぉ!?」

 

 となのはは身を乗り出し、

 

「ほ、ホント……?」

 

 とすずかは口元を抑えている。

 

 あッ、わたし外国人の血が入ってるんですよ、的なノリで言われたので、三人とも中々事実を受け止めきれないようだ。とはいえ、前に説明した時は冗談と捉えたが、今こうやって彼らの出自を確認した後だと、嘘だと否定できなくなっている部分もあるようで。

 

 新八が説明しだす。

 

「本当だよ。神楽ちゃん、こう見えても宇宙最強の傭兵部族『夜兎(やと)』って種族のいる星の出身なんだよ」

「最初に会った時も思ったけど、どっからどう見ても普通の人間じゃない!? コイツのどこが宇宙人なのよ!!」

 

 食ってかかるアリサの疑問に、新八が答える。

 

「まァ、夜兎の特徴で異常なほど大食いだったり、太陽が天敵で肌が異常に白かったり、めちゃくちゃ怪力ってぐあいに、色々と僕たち地球人とは違う特徴があるんだよ」

「まー、原作者は時たま私の設定忘れるけどな」

 

 と、神楽はちょっとしたメタイ説明を付け加えて、ホールのケーキにフォークを突き刺し、一口で口に頬張る。ちなみにこれで三つ目だ。

 

 たしかに、異常なほど大食いだ……、と思ったなのはたち三人。

 

「まぁ、宇宙人なのは百歩譲っていいけど……さすがにこんな天然おとぼけキャラが宇宙最強ってのは信じられないわね……」

 

 頬杖を付くアリサに、疑いの眼差しを向けられた神楽は、

 

「もぐもぐ、わたしが、むしゃむしゃ、いかに強いかは、もぐもぐもぐ、こんど、むしゃむしゃむしゃ、見せて、もぐもぐもぐもぐ――」

「もぐもぐむしゃむしゃうっさいわね!! お口の中の物なくしてから話しなさい!!」

 

 と、アリサが怒鳴れば、

 

「くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃッ!」

「くちゃくちゃ音出して食べるなぁー!! 鬱陶しいぃ!!」

 

 とにかく咀嚼音が無駄にデカイ少女に、アリサは怒鳴り声をまた上げた。そんな怒る彼女をなだめる親友二人。

 土方はコーヒーカップに手を伸ばす。

 

「とりあえず、俺たちの話はもういいだろ。あらかた話したんだ。これ以上いくら話してもキリがねェ」

 

 そう言って、土方はカップに入ったコーヒーをずずずっと啜る。

 

「……それよりも今知りたいのは、お前らが持ってるそのお喋りなアクセサリーについてだ」

 

 土方の鋭い眼光が、アリサとすずかの持っている二機のデバイスに注がれる。

 対し、フレイアは鬼の副長の眼光を意にも返さず、軽口を叩く。

 

《いやいやぁ~、さっき言ったじゃないですか土方さ~ん。私はエンシェントデバイスで、相性の良いアリサさんのパートーになっただけの、いたいけなデバイスなんですよぉ?》

「俺が知りたいのは、お前はなぜ囚人の手にあったかってことだ。正直、得体の知れない犯罪者が持っていたモンだ。きな臭くて仕方ねェ」

 

 それに、とユーノが続く。

 

「エンシェントデバイスなんて種類のデバイスは、僕も聞いたことがありません」

《………………》

 

 二人の言葉を聞いて、無言となるフレイア。

 全員の視線が二機のデバイスに注がれれば、彼らのいる空間だけ、なんとも言えない緊張感に包まれる。

 対してフレイアは、

 

《さぁ?》

 

 と、首を傾げるようにとぼけた声を出し、神楽と沖田を除いた全員が、緊張の糸が解けたみたいにガクッと首を落とす。

 

「〝さぁ?〟ってなんだよ〝さぁ?〟って」

 

 と土方は呆れ眼で、尋ねる。

 

「まさかお前……なにも知らねェってんじゃないだろうな?」

 

 フレイアは羽で頭(?)掻く。

 

《いや~、土方さんの言うとおりでー……私たち、自分たちの出生に関することはなに一つ記憶がないんですよ。気付いたらいつの間にか誘拐犯の持ち物だったんですし》

 

 フレイアのあっけらかんとした態度。すると、冷静な声でホワイトが代わりに説明しだす。

 

《自分たちが何者であるか、どんな性能を有しているのか、そういった記憶は目覚めた時からちゃんとあるのです。ですが、誰が私たちを作ったのか、私たちはどこで作られたのか、そういった記憶を私もフレイアも持っていないんです》

 

 聞いて、ユーノが思い出したように尋ねる。

 

「でもたしか、君たちの開発者は妖精のような存在ってことで、君たちのような機種をエンシェントって名づけたんだよね? それってつまり、開発者の記憶は少なからずあるんじゃ――」

《まぁ、そうなんですけどね》

 

 と頷くフレイアは、残念そうに言う。

 

《でも、本当に記憶は〝それだけ〟なんです》

「それだけ?」

 

 とユーノが首を傾げ、ホワイトが説明を入れる。

 

《つまり、私もフレイアも〝自分についての記憶〟はありますが、〝開発者についての記憶〟はないってことです。名前の由来を付けた人物が私たちの開発者だとしても、開発者がどういう人間かなんてイメージすることはできませんから、そこらへんの記憶は残っていたんだと思います》

「つまり、あんたらを作った人間は自分のことを極力知られたくないってワケね」

 

 アリサは腕を組んで眉間に皺を寄せ、新八がある可能性を示唆した。

 

「じゃあ、フレイアさんたちを作った人間が、この世界に僕たちの世界の囚人を送ったんじゃないですか? しかもフレイアさんたちを渡した上で」

 

 沖田が「それはねェだろ」と即座に否定。

 

「第一、デバイスなんて不思議アイテム作れる奴なんて、俺たちの世界にはいねェ」

 

 新八は「あッ、確かにそうですね」と言う。だが、魔法アイテムだって作れそうなとんでもなくぶっ飛んだ機械(からくり)技師のジジイの姿が、彼の頭をよぎった。

 

「まァ、誰にせよ……」

 

 コーヒーを飲む土方の眼差しは、少しばかし鋭くなる。

 

「わかっているのは、この世界でよからぬことを考えている奴がいるかもしれねェ、ってことだ」

 

 沖田は頬杖つきながら言う。

 

「しっかし、バニング……バーニングも随分といわく付きの厄介なモンに懐かれたもんだな」

「いま、バニングスって言おうとしたわよね!? なのになんで言い直した!? そのままでよかったでしょうが!! ワザと!? ワザとあたしの名前間違えたのか!」

 

 自分をおちょくってる沖田に対して、アリサは憤慨。すると、なのはがアリサをなだめる。

 

「あり……バーニングちゃん落ち着いて」

「なんでなのはまでバーニングって言ってんのよ!?」

 

 なのはからのまさかの言葉に、アリサがぎょっとすれば、

 

「バーニングちゃん落ち着いて」

 

 とすずかも悪ノリ。

 

「すずかぁ!? あんただけは味方だと思ってたのにぃ!!」

 

 うわぁぁぁぁぁんとアリサは机に突っ伏す。

 ちょっと悪ノリが過ぎたと思ったのか、なのははすずかは汗を流しながら苦笑気味に「ご、ごめんね……」とやんわりアリサに謝罪。

 

 そんな中、顎に前足を当てたユーノは難しい表情を作って思案していた。

 

「なんにせよ、フレイアとホワイト。この二機をアリサとすずかに使わせない方が僕はいいと思います」

《ええ~!?》

 

 とフレイアがあからさまに嫌そうな声を出し、

 

《ユーノさん、さすがに今の発言は私も聞き捨てなりません》

 

 ホワイトも不機嫌ボイス。

 不満をあらわにする二機に対し、ユーノは説明しようとする。

 

「それは――」

「ケーキのおかわり持ってきたわよー♪」

 

 突然、ケーキをホールで持ってきた桃子に、神楽と沖田を抜いた面々は肩をビクッとさせ、体を強張らせた。

 その様子を見た桃子は申し訳なそうな顔。

 

「あら? お話のお邪魔だったかしら?」

「だ、大丈夫です!! ぜ、全然問題ありません!!」

 

 新八が慌てて両手をバタバタ振ってフォロー。

 

「そう? あ、これ追加のケーキだから。ゆっくり食べてね」

 

 笑顔となった桃子は、ホールのケーキを机の上に出す。その後、店の仕事に戻って行った。

 声が聞こえないだろう場所まで桃子が行ったところを、さり気なく確認する面々。

 

 そして、土方が深くため息を吐く。

 

「たくッ、喋るイタチのせいで無駄に驚いたな」

「フェレットです」

 

 と訂正するユーノ。

 

「……やっぱり、ここで魔法やら俺たちの世界の話するの、マズくないですか? 他のお客もいるのに」

 

 山崎が至極当然の疑問を言えば、

 

「あッ、山崎、お前いたの? 描写されてなかったから全然気付かなかったわ」

 

 いついたの? と言いたげな顔の土方。

 

「いましたよ!! さいッッしょから俺いましたからね!!」

 

 自分の存在すっかり忘れていた上司に、山崎は悲痛な声で叫ぶ。

 いくら地味と自負していていも、存在まで忘れられてしまったであろう彼は、黙っていられないとばかりに文句を捲し立てた。

 

「つうか〝あの時〟、いくら地味だからって俺だけ置いて逃げるのって酷くないですか!? 目が覚めた時には俺、警察の人たちに捕まってるし、あれやこれや詰問されて大変だったんですよ!!」

 

 敷地内とその周辺が破壊された現場に残っていた重要参考人として、山崎は少し前まで警察に事情聴取を受けていた。

 無難に『夜道を歩いていたら急に衝撃を受けて気絶していた』と言って、なんとか誤魔化して切り抜けて、昼にやっと帰って来たところなのだ。

 

 そして、そんな大変だった山崎の事情を聞いた土方は、

 

「大変だったな」

 

 で、終わらせる。

 

「いや、もうちょっとなにか言ってくれも罰当たりませんよ! つうか罰がそっちに当たりますよ!」

 

 山崎涙目。

 自分と同じ不遇な地味キャラに同情しながら、新八はさきほど言った彼の意見に同意を示す。

 

「でも、先ほど山崎さんが言ったとおり、ここで色々の話すのはちょっとマズイ気が……」

「ま~、大丈夫だろ」

 

 頬杖付く沖田は呑気に言う。

 

「俺たちの話なんざ、他の客共は店に流れるBGM程度、耳になんざ入らねェよ。第一聞かれたとしてもこんな話、常識ある人間はアニメやマンガの話としか思わねェだろーしなー」

「まぁ、それもそうよね」

 

 と、同意を示すアリサ。

 むしろ、今の自分たちの話を聞いた直後に信じる人間の方が、おかしい部類に入るであろう。

 そして沖田は、なのはに視線を向ける。

 

「それにフェレットの野朗も、他の奴らからは見えねェ位置で喋らせてるんだからな」

 

 なのはの膝の上に乗っているユーノ。

 なのはが椅子を深く前に押しているために、その胴長の姿は、机の影に隠れて見えなくなっている。これでは、フェレットが喋っていても、傍からは誰が喋っているのか判別するのは難しいだろう。

 

 でも、と言って山崎は食い下がる。

 

「わざわざここで喋らなくても、周りの視線を気にせず話すなら他にも場所はあるんじゃ……」

「なに言ってるアルかジミー。ここはケーキが食べ放題で、雑談するにはうってつけネ」

 

 と神楽はモリモリ食べながら言う。

 

「いや、それ食べるの我慢すればいいよね?」

 

 と山崎が大食い少女の意見をやんわり否定すれば、ユーノは前脚で頬を掻く。

 

「まぁ、念話ができればここで話していても大丈夫なんですけど、新八さんたちは魔力を持ってませんし……」

 

 魔力を使って相手の頭の中に言葉を送り込む念話。

 これが使えれば、ユーノの言うようにいつでもどこでも誰の目も気にせずに会話が可能なのだ。が、残念ながら新八たち江戸組みには魔力がなかったので、頭の中でテレパシーのように会話するなんて芸当はできない。

 

「とにかくいいんだよコレで。このまま話していたとしても、特に問題はねェよ」

 

 と言って、土方がコーヒーを啜れば、

 

「そういうことでィ。お前らは気にせずペラペラ喋ってな」

 

 沖田もコーヒー啜る。

 

 彼らの言葉に対して、困惑の表情をし、顔を見合わせる面々。

 翠屋のテラスでなるべく話を聞かれないようにしながら、アリサやすずかの事や今後の事を話そうと言ったのは、沖田と土方だ。

 少々納得はいかないものの、なにか考えがあるであろうと思い、彼らの言うとおりここで話しているなのはたち。

 

 真選組の幹部二人の言葉を聞いて、フレイアはさきほどの話の続きに入る。

 

《まぁ、そう仰るのでしたら、話を戻しますよ? そもそもなんでユーノさんは、嫌がるアリサさんから私を無理やり取り上げるなどとトチ狂った事を言ってやがるんですか?》

「なんであたしが、あんたを手放したくない感じになってんのよ?」

 

 アリサはフレイアにジト目を向けた。

 尋ねられたユーノは真剣な表情で言う。

 

「いや、僕の意見は比較的マトモだと思うよ。はっきり言うけど、君たちのような素性の知れない危険なデバイスをなのはたちの友人に使わせることはできない」

 

 危険? と首(?)を傾げるフレイア。

 

《なーに言ってるんですか? 私のような安心安全の四文字が似合うデバイスはいませんよ?》

《フレイア。私が言うのもなんですが、とても白々しく聞こえます》

 

 ホワイトがクールにフレイアの言葉の揚げ足を取り、アリサが口を開く。

 

「まぁ、ユーノの気持ちもわかるけど、あたしはコイツを使っても、体のどこにも異常は出なかったわ」

「だけどそれは今の話……」

 

 ユーノは表情を険しくさせつつ、語る。

 

「もしこれ以上使い続けたら体にどんな悪影響が出るか――いや、もうなにかしらの影響があってもおかしくない」

《ひっどッ!? 私らは放射能か何かですか!》

 

 心外とばかりにフレイアが噛み付けば、

 

「とにかく! 今後、アリサとすずかは二機を使わないで!」

 

 ユーノはデバイスの言葉を無視して語気を強くする。

 彼も自分の都合に巻き込んでいる以上は、最低限彼女たちの身の安全を確保したのだろう。

 

 ユーノの主張を聞いて、フレイアは不満をあらわにする。

 

《そういうこと言うのでしたら、私もはっきり言いますけどね! ユーノさんが持っていたレイハさん――レイジングハートさんも私たちと『同じ人』に作られたんですよ!! 私たちを危険と疑うなら、レイハさんも疑ったらどうですか!!》

「えッ?」

 

 と、なのはが反射的に声を漏らし、他の面々もお喋りなデバイスが言ったとんでもなに驚愕の事実に、えっ? という顔になった。

 

 そして、少しのあいだ沈黙が訪れ、いくばくかの時間が経ってから、

 

「……れ、レイジングハートが――」

 

 なのはが最初に口を開き、

 

「君たちを作った人物に……作られた?」

 

 ユーノはまさかの意外な事実に唖然としている。

 一瞬だが、まるで動揺したかのようにレイジングハートは、キラリと自らを赤く光らせた。

 

 

「ウホッ!」

「や、やっぱゴリラだ! ここ数日観察していてやっと分かった! 間違いなくコイツはゴリラだ!!」

 

 と驚きの声を上げるのは、留置場内を巡回している警察官。

 

 留置場――その檻の中にいたのは紛れもないゴリラ。つぶらな瞳に筋骨隆々な体を黒い体毛で覆っている姿は、間違いなくゴリラそのものだった。

 多くの警察官がゴリラの入った牢屋に押しかけ、ウホウホ鳴き声を出すゴリラに好奇の視線を向けている。

 

「信じられねぇ……。なんでゴリラが留置場にいんだよ? ここは動物園じゃねぇんだぞ」

 

 驚きの声を漏らすのは、海鳴市市警の課長。サングラスを掛け、タバコを吸う角刈りの渋い顔の男だ。

 

 容疑者を檻に閉じ込め拘束しておくのが留置所。動物を檻に閉じ込めておくのが動物園。

 拘留している者がゴリラなら、動物園と揶揄されてもおかしくない。

 

 頭を抱えて被りを振る課長は、視線を鋭くした。

 

「おい、いくら人類の親戚だからってゴリラ逮捕するなんてバカやったのは誰だ? つうかなんで巡回していた奴は気づかなかった? 目ン玉腐ってんのか?」

 

 課長に言われ、巡回を担当していた警官が敬礼する。

 

「す、すみません! じゅ、巡回は私です!! で、ですがそこに入ってたのは間違いなく人間だったはずです!! ゴリラそっくりですが、近藤勲という見た目が三十代前半の男でした」

「その近藤って奴の取調べをした奴は?」

「わ、私と鈴木が担当しました」

 

 課長の鋭い眼光に凄みながらも敬礼する部下二人。

 タバコの煙を、ふぅとため息のように吐く課長は言う。

 

「だが、げんに入っていたのはこの得体の知れないゴリラだ。お前らゴリラと人間の区別もつかなくなったのか? あん?」

「い、いえ! 本当にゴリラではなく、ただの男だったはずです!! 信じてください!!」

「ちゃんと人語を喋っていました!!」

 

 必死に弁明する部下二人。課長はタバコを吸いながらゴリラを横目で見る。

 

「まぁ、さすがにゴリラと人間を間違えるってのは言い過ぎた。だがな、それじゃあこの檻に入ってたその近藤って被疑者はどこに消えた? ゴリラの着ぐるみを被ってるなんてバカな落ちはないだろ?」

 

 本物のゴリラだった場合を考えると、着ぐるみかどうか確かめるのは危険なので、誰も牢屋に入らず確認してはいないが、見た感じは本物のゴリラと思って間違いないだろう。

 すると、部下の一人がある仮説を立てる。

 

「も、もしかしてゴリラにすり替えて被疑者は脱走したんじゃ――」

「アホかぁ!」

 

 課長は怒鳴り散らす。

 

「そんなギャグマンガみてぇなことする奴が現実にいるわけねぇだろ!! まだ着ぐるみだったって方が説得力あらぁ!」

「と、とりあえずこのゴリラどうします?」

 

 アホなこと言った部下を叱責する課長に、おずおずと別の部下が質問した。

 課長は煙を吐きながら冷静に対処を指示。

 

「とりあえず、動物園か保健所、なんでもいいからこのゴリラを処理できるとこに連絡取ってこい。あと、マスコミに嗅ぎ付けられないようにしろよ? ゴリラを留置所に入れたなんて取り上げられたら、俺ら警察は世間様からいい笑いもんだ」

「課長ぉー!!」

 

 と部下が叫ぶ。

 

「誰かがツイッターにゴリラがいることを写真付きでアップしたらしいです!! すでにマスコミが警察署前まで押しかけてます!!」

「どこのバカッターだぁぁ! そんなことしやがったのはぁーッ!!」

 

 課長の怒鳴り声をかき消すほど、警察署前にはマスコミが殺到し、我先にとスクープを撮ろうと躍起になっていた。

 

 

 

『ご覧ください! 今、ツイッターで留置所内にゴリラがいたという書き込みがあり、現在多くの取材陣が押しかけています!』

 

 液晶テレビには、実況するレポーターと、その後ろには多くの取材陣がところ狭しと集まっていた。

 そんな映像をソファーに座り、ジュースを飲みながら見ていたフェイトは後ろに顔を向ける。

 

「ぎんときー。今、けいさつってところにゴリラがいるらしいよ」

「えッ? マジで?」

 

 ソファーでだらしなく開いたジャンプを顔に掛けていた銀時は、上体を起こす。

 

「うん。いま、騒ぎになってる」

 

 フェイトに言われ、顎を撫でながらテレビの映像をマジマジと見る銀時。

 

「へ~……俺の世界にも、警察の局長とストーカーを兼任してるゴリラがいるんだが、この世界にも逮捕されるゴリラがいるんだなー」


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