突然ですが活動報告でアンケートをやっていますのでよろしければ記入お願いします。
それでは本編へどうぞ
熊谷からメールを貰った翌日……
大雪の中俺は走っている。何てこった……炬燵で寝落ちしたらかなり際どい時間になっていたので全力疾走をしている。
俺が目的地に到着すると店の前には照屋、巴、熊谷がいた。
「すまん遅れた」
「遅いよ比企谷。何かあったの?」
「炬燵で寝落ちした」
「比企谷先輩、炬燵で寝るのはダメですよ」
照屋に注意される。こいつの「めっ」って指を立てて注意するの似合うな。
「まあまあ。比企谷先輩も来たんですしお店に入りましょうよ」
「おう。てか歌川と菊地原は?」
「歌川君は家の用事で菊地原君は興味ないだって」
……うん。あの捻くれ野郎ならそう言うと思ったぜ。
「いやあんたも十分捻くれてるからね」
熊谷がいきなりそんな事を言ってくるが人の心を読むな。
内心熊谷に突っ込みながら店の中に入る。
店の中に入りそれぞれ注文をする。
1番初めにドリンクが来たので全員がグラスを持つ。
「じゃあ……全員B級に上がった事を祝って……乾杯!!」
「「乾杯!!」」
「乾杯」
4人でグラスをぶつける。そして各々飲み始めると音頭をとった熊谷がジト目で見てくる。
「比企谷、もうちょっと元気に言いなさいよ」
まあ祝い事をする時は元気な方がいいだろう。それはわかる。それはわかるが……
「じゃあ熊谷。俺が元気に言ってるところを想像してみろ」
「……ごめん」
熊谷が謝ってくる。ほらみろ。元気な俺なんて俺じゃねーよ。ハイテンションの俺とか不気味過ぎだからな?
「まあそれはともかくこれで俺の顔見知りは全員Bに上がったな」
「そうね。ところで比企谷と文香はどんなトリガー構成にしたの?」
「あ、それは俺も気になります。俺と熊谷先輩はまだトリガー構成決めてないので参考にしたいです」
「教えるのは構わないが照屋はともかく俺のは絶対に参考にならないぞ」
何せここにいる4人の中で俺だけメインがスコーピオンだし。
「まあそうかもね。でもあんたのトリガー構成は予想がつかないから気になるよ」
「あっそ。俺はメインでスコーピオン、シールド、ハウンドにグラスホッパーでサブにバッグワーム、シールド、ハウンド、テレポーターだ」
「ハウンドを入れているという事は万能手を目指してるんですか?」
巴がそんな事を聞いてくるが……正直微妙なところだ。一応射撃トリガーは入れているが……
「あんまり考えてないな。ハウンドはあくまで牽制でトドメがスコーピオンのつもりだからな。もし万能手を目指す事になったらアステロイドは入れるだろうし。てか熊谷はトリガー構成決めてんの?」
「私?私はとりあえず弧月だけかな。射撃トリガーは弧月でマスターになったらって考えてる」
まあ1つに絞るのも選択の1つだろう。現に太刀川さんは弧月1種類だけで最強の地位にいるしな。
「私は万能手を目指していますので射撃トリガーは入れてますね」
「へえ。文香は何入れてんの?」
「メイントリガーに弧月、旋空、シールドでサブトリガーにはアステロイドとハウンドとシールドとバッグワームです」
「随分とバランスタイプだな。銃は使うのか?」
「はい。突撃銃タイプの銃型トリガーにしました」
「銃型トリガーって扱いはどうなんですか?」
「そうね……初めは銃を撃った事がないから緊張したけど慣れれば良い武器ね」
ほー、まあ俺としても銃を撃つのは興味があるが手が塞がれるのは割と痛いからなぁ……。それに手を斬り落とされたら銃は使えないし。
「巴はトリガー構成はイメージ出来てんのか?」
「一応照屋先輩と同じように万能手を目指していますが射手タイプにするか銃手タイプにするかは決めてないですね」
「じゃあひとまず弧月だけ鍛えて組むチームによって決めたらどうだ?」
巴の入るチームによってからでも遅くはないだろう。
「それもそうですね。ありがとうございます」
「おう、気にすんな」
「そういえば文香は防衛任務どうだった?」
「あ!それは俺も気になります」
「てかそれ以前に何処のチームと組んだんだ?」
「私は風間隊ですね。歌川君や菊地原君と顔見知りもいた上、風間さんは凄く頼りになる人でした」
ああ、あの人確かにクールでかっこいいからな。頼りになる雰囲気があるし言いたい事は理解できる。
「それで防衛任務なんですけど終盤にモールモッドを倒す事が出来ました」
嬉しそうに顔を綻ばせている。その笑顔を見るとこちらとしても気分が良くなってくる。
「私も早く防衛任務をやってみたいわね」
「まあお前は受験終わってからにしろよ」
確か第一中学の試験日は1週間切ってるし。
「それもそうね。あんたは受験大丈夫なの?」
「ん?死ぬ気で数学やったから少しは伸びたから大丈夫だと思う」
てかあれだけやって落ちたら泣くぞ?
「そう。頑張ってね」
「お前もな。さっさと終わって防衛任務に集中したい。受験さえ終われば高校入学までかなり暇だから大量に防衛任務をやりたい」
俺がそう言うと事情を知っている照屋だけは真剣な表情で俺を見てくる。
「頑張ってお金を稼いでくださいね。……ところで比企谷先輩は何処のチームに入る事は考えているんですか?」
照屋はいきなりそんな事を聞いてくる。チームだと?また難しい質問だな。
「特に考えてないな」
正直言って俺が誰かとチームを組むのは想像出来ん。ボーダー入って多少はコミュ障が改善されているが知らない人が多い場所に馴染めるのは難しいだろう。
「あ、でもこの間茜と会ったけど、もしボーダーに入隊出来たらあんたとチームを組みたいって言ってたよ」
マジで?……まあ知り合い、しかも割と仲の良い奴なら……
「まあその話はあいつが入隊出来てからでいい。とりあえず今は組む気はない」
少なくとも入隊出来るかはまだわからないんだ。そういう話は入隊出来てからでいい。
「ところで照屋はどうなんだ?」
照屋の場合、今期でトップクラスの実力で美人で優しいときてるし、争奪戦が激しくなりそうだ。
「私ですか?そうですね……支えがいのある人はいるんですけどその人はもうチームに入っていますから今のところは特に考えていないです」
「支えがいのある人?誰だそれ?」
「嵐山隊の柿崎さんです」
「柿崎さん?何だ知り合いなのか?」
「いえ。2年前にテレビで見た時にあの人は支えがいがあると思ったんです」
2年前って言えば嵐山さんと柿崎さんがボーダーの宣伝番組に出てたと思う。まああんまり記憶にないけど。
「あ、俺もそれ見てかっこいいと思いました」
巴も見ていたようでかなり好評みたいだ。
「まあ柿崎さんは嵐山隊にいるから無理だろうな。これからゆっくり違う支えがいのある人を探してみたらどうだ?」
「そうですね。とりあえず私は今のところチーム入りは考えていないですね」
「私も自分の実力を向上を優先したいからあんまり考えてないな。巴君は?」
「俺もですね。先ずは自分自身が強くならないとダメですし」
どうやら全員現時点ではチーム入りは考えてないようだ。
そう結論づけていると頼んだ料理がやってきたので話すのを一旦止める。
それと同時に香ばしい料理がテーブルの上に並べられるので各々料理に合った食器を取り出した。
料理が全て並ぶと同時に全員で手を合わせ挨拶をする。
「「「「いただきます」」」」
挨拶を交わして食事を始める。やっぱりこの店の料理は最高に美味いな。
「美味しいですね」
「まあな。外食は余りしないから新鮮に感じる」
「普通は中学生はこういうお店じゃなくてファミレスだからね。そう言えば総武高はいつ試験なの?」
「バレンタイン」
今年は確か2月14日だったと思う。俺が嫌いなリア充が騒がしい日だ。中2の頃は特に騒がしかったし。そんな日に試験でも問題ない。
「頑張ってくださいね」
「おう。ところで巴、お前はどこ中行くんだ?」
「俺は第二中学です」
「私の所ね」
第一は碌な面子がいないから正しい判断だろう。まあ巴は知らないだろうけど。
「中学になったら小学校と変わりますか?」
「勉強だね」
「勉強ね」
「勉強だな」
3人が一斉に答える。小学校から中学校に変わった時に一番感じたのが勉強だ。算数は数学となり、理科は生物だの物理とか細かくなってより深い勉強となったくらいだ。
「小学校のテストは勉強しなくてもある程度は取れるが中学校のテストは勉強していてもガチでヤバいぞ」
クラスでも勉強しなくても余裕だぜ、とか言ってる奴がテストになって焦るのは毎回恒例だし。
「そうね。私も中1の時は驚いたわ」
熊谷が意見に同意する。
「そうですか。色々とありがとうございます。俺、頑張ります」
そう言って意気込む巴を見て軽く笑いながら食事を再開した。
祝賀会はこんな調子で楽しいまま終わった。
食事を済ませ食後のコーヒーを飲んで祝賀会はお開きとなった。
「んじゃまたな」
「比企谷先輩と熊谷先輩は受験頑張ってくださいね」
「ありがとう文香」
「先輩達の受験が終わったらこの4人で防衛任務しましょうね」
巴の意見に全員が頷く。同期として競い合ったこのメンバーで防衛任務とは柄じゃないがワクワクする。
「じゃあまたね」
熊谷がそう言って全員がそれぞれの帰路についた。
(……さて、帰ったら勉強やるか)
どうせやるなら合格して楽しい気分で防衛任務をしたいし。
「あったけぇな」
帰宅した俺は即座に炬燵に入る。やっぱり帰ったら炬燵に限る。
俺はそのまま鞄から教材を取り出して勉強を始める。試験まで余りないし少しでも数学を向上しておきたいし。
暫くの間勉強していると玄関から物音がしてリビングの扉が開いた。
「あ、お兄ちゃんただいまー」
「八幡さんこんにちは!」
小町と日浦が入ってきた。すると同時に飼い猫のカマクラが日浦に近寄っている。あいつ……俺の時は飯を準備した時しかこないのに。どんだけ俺は舐められてんだ?
「やっぱりカマクラ可愛い〜!」
そう言って日浦は頬ずりをしている。その顔は本当に幸せそうだ。
(……うん。これだけ可愛がってるなら懐かれて当然だな)
そう結論づけて2人に話しかける。
「おかえり。日浦はいらっしゃい。今日は飯食ってくのか?」
「はい!というより明日は土曜日ですからお泊りしに来ました!」
「わかった。一階で遊ぶならどくぞ?」
「ん?いいよ。小町の部屋で遊ぶから。お兄ちゃんは炬燵で勉強してて大丈夫だよ」
随分気遣いのできる妹になったな。お兄ちゃん嬉しい。
「サンキュー」
「いやいや」
「勉強頑張ってくださいね!!」
2人に励まされて一層やる気を出して勉強に励んだ。
(……この調子なら行けるな)
俺は少し前の自分以上に自信を持ちながら問題を解く。
決戦の日は近い。
2月14日、試験当日
今日は雪は降っているが大雪ではなかった。昨日の予報では大雪になる可能性があると言っていたので良かった。これなら電車も止まらないだろう。
「受験票持った?筆記用具やハンカチある?」
小町が心配そうに確認してくるので再度確認する。……全部あるな。
「大丈夫だ。全部ある」
すると小町は笑顔で頷く。
「よし!はい、じゃあこれ!」
そう言って小町はラッピングされた包みを差し出してくる。これって……
「チョコか?」
今日はバレンタインだしそう考えてもおかしくない。
「うん!試験のお昼休みにでも食べて頭をリフレッシュしてね!」
何て良い妹なんだよ。やっぱり俺の家族は最高だ。
嬉しくなった俺は小町の頭をワシャワシャする。
「ありがとな。頑張ってくる」
「うん!」
そう言って顔を見合わせる。俺が言う事はただ1つだ。
「いってきます」
「いってらっしゃい。気をつけてね」
小町に笑顔で見送られながら俺は駅に向かって歩き出した。
駅に着いて切符を買おうと券売機に行こうとした時だった。
「八幡さん!!」
聞いた声がしたので振り向く。
「……日浦?どうしてここに?」
目の前には日浦がいた。てかお前ここは通学路じゃないだろ?何でいるんだ?
「は、はい!これどうぞ!!」
そう言って差し出してきた物はラッピングされた包みだった。
「バレンタインチョコです。良かったら試験のお昼休みに食べてください!」
ヤベェ嬉しい。日浦と小町からは毎年貰っているがここまで気遣って貰えると嬉しい。
「サンキューな。ありがたく貰うぜ」
「はい!それとこれもどうぞ!」
そう言って差し出してきたのはお守りだった。しかもこれ湯島天神のお守りじゃねぇか。
「ありがとな。チョコのお返しは来月にちゃんと返す」
「はい!試験頑張ってください!」
笑顔で頭を下げられて日浦は去って行った。
(……こりゃ合格しないとな)
改めて決心した俺は切符を買って改札に向かった。
電車に乗って目的地の駅に着いた俺は係員の案内の指示に従って総武高に向かう。
(……中々立派な学校だな)
そんなどうでもいい事を考えながら指定された席に着く。
最後の復習をしているとメールが来たので見てみると照屋からで『試験頑張ってください。終わったら基地に来てくれませんか?』とメールが来ていたので『了解』と返事をする。
送信すると同時に試験官が来たので問題集を仕舞って前を向く。
そして間もなく試験が始まった。絶対に合格してやるぞ。
改めて決心してペンを手に取った。
「……ふぅ」
午前中の試験が終わって現在は昼休みだ。
数学は幸い昨日集中して解いた問題が割と出たのでそこまで悪くないだろう。これで午後の国語で高得点を取れば受かるだろう。
少し気が楽になった俺は朝小町と日浦から貰ったチョコレートを包みから取り出して食べ始める。
「甘いな……」
つい声に出してしまうくらい甘かった。でも頭を使ったばかりの俺にとってはこの甘さはありがたい。しっかり休んで次の試験に挑もう。
俺は念には念を入れて問題集を再度見直す。合格する事を信じて
そして昼休みも終了して午後の試験が続き……
「試験終了です」
試験官のその言葉を聞いてドッと息を吐く。周りの連中も同じような空気だった。
解答用紙を集められて試験は終了した。
俺は歩きながら小町と日浦には『終わった。多分受かる』と、照屋には『終わったから基地に行く。今から30分くらいしたら着く』と送信した。
しかし照屋の奴何で呼び出すんだ?
疑問に思いながら校門を出て歩き出した。
ボーダー基地に着いた俺は扉を開ける為にトリガーを取り出す。それと同時に扉が開き……
「あ?比企谷来た」
扉が開くと照屋と熊谷がいた。
「何でお前らここにいるんだ?」
普通扉の外か個人ランク戦ラウンジにいるかと思った。
「初めは外で待ってたんだけど寒くてさ」
それを聞いて納得した。確かに今日は寒いからな。
「それはわかったが何で俺を呼び出したんだ?個人ランク戦なら構わないぞ」
試験も終わって暇だし。
「それもあるけど……はいこれ」
「試験、お疲れ様でした」
そう言って照屋と熊谷は鞄から美味そうなパッケージのチョコレートを出してきた。
「……え?これを俺に?」
今まで小町と日浦以外からは貰った事ないので正直信じられなかった。
「あんた以外に誰がいるのよ。お疲れって事ではい」
そう言って2人は俺の手にチョコを持たせてくる。色々と言いたい事はあるが……
「ありがとな」
そう言って頭を下げて礼を言う。先ずはお礼を言う事が第一だろう。
「「どういたしまして」」
2人からそう言われて頭を上げる。
「お返しはちゃんとする。そんじゃ個人ランク戦行くか?」
「はい。よろしくお願いします」
「ちょうど試験勉強でストレスが溜まってたからね。思いっきり発散しないとね」
「どうでもいいがお前はまだ試験終わってないんだしやり過ぎるなよ?」
「わかってるわかってる。それより早く行きましょ!」
熊谷がそう言って走り出すので俺と照屋は苦笑する。
とりあえず中学最大のイベントは終わったんだし久々に思いっきり暴れるか。
そう思いながら俺も走り出した。
そして1週間後、自宅に総武高の合格通知が届いて総武高に入学する事が決定した。