これで鍛冶イベント以外は終了か?
黒の暴虐がオラリオを去りヘルメスはホームへ帰った。
眷属の報告を聞きながらこれまでの事を振り返っていた。
騒動の収束に協力する代わりに要求した事は以下の通り。
・当事者のベルをオラリオから離す。
・その方法はミッションで今回の件の調査とする。
・調査方法には制約を付けない。
これだけの仕込みをして怖いフレイヤ様に渡りをつけた。
人の噂は3か月(90日)もあれば消えるだろうと思って。
これまでのやっかみと合わせると、レベル3で悪目立ちすれば潰される可能性が高い。
子飼いの冒険者を使って(ハデスヘッドの修理代をまける事で)今回のミッションがペナルティであると認識させた。
これでベル君が帰って来た時は悪評は収まっているはずだった。
調査自体はすでに終えている。
そして戦争遊戯の時の約束を果たす一石二鳥の作戦だ。
その約束とは眷属の心を解いたベルに会わせる事だった。
ついでに会わせるのはベル君の悩み事にはぴったりだろう。
ここまでの計画は完璧なはずだった。
ただ誤算だったのは、異端児がなかなか捕まらずダイダロス通りの混乱が長く残ってしまった事だ。
そしてダンジョンの入場制限解除が遅れた事で冒険者の不満が長く残った。
地上で確認されたすべての異端児が、形式上討伐されていればダイダロス通りも疑心暗鬼にならなかっただろう。
それとこの3か月間目立ったイベントもなく皆の目をそらす事も出来なかった事も大きい。
この件に関してはウラヌスやフェルズに文句をつけて良い筈だ。
隠れ家も世話した、まさかこのさして広くないオラリオ内で3ヵ月以上もかかるとは。
幸いなことにベル君に付けたアイシャからは特に問題があるとの報告は無かった。
そしてなぜかロキやフレイヤファミリアの動きが無かったのも誤算だった。
あの二神が3か月も全く動かないとは…
ロキの所はなぜか団長がギルドの資料室でダンジョンでの事故報告を読み漁っていたらしい。
フレイヤ様の沈黙は不気味だったが、貢献としてはアスフィーの臨時バイトで対応できたはずだ。
俺は精一杯やった。だから予想を裏切られた事に悔しさはあるが結果には満足している。
ただ面白い事もあった。
あれだ、あのククリと呼ばれる存在だ。
あれは3柱の女神の正に奇跡の協演の産物だ。
身、心、知3つの要素がぴったりとはまって起きた。
それぞれが女神の本質的な物でありかつ1/3づつという事で、ギリギリ下界での制約に掛かっていない。
これだから下界は面白い。
だから俺はこれに乗っかることにする。
アスフィーにはまた苦労を掛けるがベル君はきっと喜んでくれるだろう。
ベル君、『英雄は色を好む』だよ。
これも予想できたと思います、次回詳細が明らかに!