アナザー11   作:諸々

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その後

事件が一段落し、暇になったロキは思いついた。

そう言えば、レフィーヤのステータス更新をしていなかったと。

どうせオラリオの外の事、大して経験値が稼げるとは思っていなかったんで忘れていた。

どうせ暇だし、ついでにセクハラの一つでも、と軽い気持ちで独房へ。

主神特権で独房の合鍵は持っている。

レフィーヤもすることが無かったのか気軽に応じてくれる。

いつものように更新、数値が確定しロキがそれを読み取る。

その途端恐ろしい勢いで外に飛び出した。部屋の扉を開けっぱなしで。

この時すれちがった眷属はこう証言した。「ロキの目、初めて見た」と。

レフィーヤはロキの奇行に固まったままだった。

やがて出て行ったのと同じ勢いで戻ってきた。

ただしリヴェリアを連れてだ。

ロックが解除されたレフィーヤの背中を頻りに指さす。

めんどくさそうに背中のヒエログリフに目を通す。

しばらく読んでいたが突然笑いだして言った。

「ロキ、このステータスは何だ。」と。

「やっぱり見間違いやないんやな。」

混乱しているレフィーヤは言った。

「あのー、私のステータスが何か?」

ロキは共通語にした更新用紙をレフィーヤに手渡した。

襲るそそるそれに目を通したレフィーヤは固まった。

「レフィーヤのステータス、ものごっつう伸びとる。

力や耐久なんかはほぼCランク・・・」ここで言葉を切った。

「そして魔力はなんと999越えのランクSS、今まで見たことあらへん数値や。

上限は999やなかったんかいな。ギルドに上手い事騙されたわ。」

「えーー、本当ですか。有難うございます。」と喜ぶレフィーヤ。

「そや、これでレベル4にあげてもええやろ。

だけどその前にちょっと教えて欲しいことが有んねんけど。」

「はい、なんでしょうか。」

「オラリオの外でなにが有ったん。こんなに伸びるような事、あったんか?」リヴェリアも興味津々の様だ。

そう言われてレフィーヤは今度の旅を思い出す。

要因は見当たらない。さらに思い出す。でも見当たらない。

繰り返す内にとうとう心の奥に閉じ込めた黒歴史にたどり着く。

見られなかった所が無い、触られなかった所が無い、

そのセクハラの連続に己の限界を超えてぶったたき、魔法をぶっ放していた。

これだ、これしかない。だけどとても本当のことは言えない。

レフィーヤは血相を変えて言った。

「知りません。私は何も知りません。」

「うそや、なんか隠しとる。ちゃっちゃと吐くんや。」

「知りません。本当に何も知りません。」首を激しく横に振るレフィーヤ。

その時部屋の隅から膨大な気が放たれた。

その気に当てられてレフィーヤは気絶、ロキとリヴェリアは震え上がった。

その何かは「ズルいね、レフィーヤ。ずるい。」と言葉を発したという。

後日ロキはその時の事をこう語った。

「あん時はもうちょっとで昇天するとこやったわ。」と。

 

それからしばらくレフィーヤはアイズに付きまとわれることに。

旅の前には願っていたシチュエーションだ。まるで神が長年の願いをかなえたかのように。

だがアイズの天然プリを良く知るレフィーヤはどんなに乞われても話すことは無かった。

 

 

レベル6とやり合ったこともあり春姫はすぐにレベル2になった。

ちなみにへっぽこと言われている春姫ですが種族は獣人、身体能力は全種族1位だ。

わかりやすく言うと、ビリギャルだけど通っている学校は有力進学校、みたいな感じ。

ちなみにこの基準で言うとリリは底辺校に通っている事になります。

基本の探索ルーティーンからは外れることになったリリ、どうなったんでしょうか。

 

ダンジョン内でベルは額に冷や汗をかいていた。

ヴェルフを前衛、命を後衛に春姫と中衛(ただしベルが春姫の前)で探索している。

冷や汗の原因ははっきりしている。背中への熱い視線と「う、うー」という唸り声だ。

ベルはたまらず声をかけた。

「ねえリリ、このクエスト本当に必要なの。この前も似たような物をやったばかりだよ。」

「当然です、誰もやりたがらないから報酬も多いし、ギルドにも恩を売れます。良い事ずくめです。

目的地に着いたら起こしてください。」

それを聞いていたヴェルフが言った。

「一理あるっちゃあるんだが、確かに多いな。」

「ですがベル殿のおかげでダンジョン探索は順調ですから、良いんではないでしょうか。

それにレアアイテムの捜索は変身したリリ殿の独擅場ですし。」と命。

「だとよ、もうあきらめろ。」とヴェルフ。

「は、春姫さん。」とべる。

「分かっています。ですが羨ましいんです!」と春姫。

そうリリがいるのはベルの背中、あの盾の中にいる。

「春姫さんはいつも一緒じゃないですか。それにここには大きすぎて入りませんよ。」とリリ。

「う、うーーー」羨ましいの『うー』だ。

「ここはリリの特等席、ここに居れば竜が飛び出て来てもへっちゃらです。」ベルの背中で上機嫌に言った。

つまり正規の探索には同行しないが、レアアイテム捜索クエストなどには同行している。

しかもベルの背中という特等席でだ。

 

リリが普段何をしているかというと、午前中はファミリアの事務処理を、午後はソロでダンジョンへ行っています。

身の丈を超える大戦斧を軽々と扱い、キラーアント、オークなどをぶった切っている。

上層でその姿は非常に目立っています。

時が過ぎてリリがレベルUPして二つ名が決まった時、ミア母さんは大笑いしてリリの肩をバンバン叩いた。

 




これがこの物語でのリリの後日談になります。
一応ヴェルフのも用意してありましたが鍛冶イベントを省略したのでこれもパスです。

原作でも12巻で救済したかのように見えていますが、実はそうではありません。
例えばリリ、指揮官に徹していればついていけるみたいに思っていますが、現実は甘くありません。
あれは遠征で、人数に余裕があったのと、出現するモンスターがレベル2でも対処できたからです。
例えば、イグアスやポイズンウェルミスなんかだと即死してしまいます。
一方ベル君は25階層はソロで余裕、言い換えるともっと下の階層が適正です。
ヴェルフ君も薄々分かっているみたいでゴライアスローブの時と違い、素材に全面的に依存した武器を渡してます。

これですべて終了です。ここまで我慢して読んでくださった方々に感謝を。

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