アナザー11   作:諸々

57 / 71
ククリ27

ベルは不意に目を覚ました。少しの間気絶していたらしい。

慌ててあたりを見渡すと、すぐ近くにククリが倒れていた。

その時リューさんの声に気が付いた。慌てて大声で叫び返した。

「リューさん、僕は無事です。」

その声に触発されたか洞窟がまた崩落し始めた。

慌ててククリを抱えて奥に逃げ込む。

幸いなことに小規模の崩落にとどまった。

僕は怪我一つしていない、どうやらまたククリに助けられたみたいだ。

ククリには休養も兼ねてナイフ形態に戻ってもらう。

こちら側からの脱出は不可能と判断して洞窟の奥に進む。

流石にダンジョンで慣れているので戸惑いは少ない。

壁にナイフで傷をつけ迷わないように慎重に進む。

少しの間下り坂だったがすぐに上り坂になっている。

しばらく上ると崖にたどり着いた。レベル3なので何とか登れる。

支道はいくつかあるが基本一本道の様だ。(メタ視点だと溶岩洞窟)

その間にさっきの事を考えていた。

ブラットサウルスはこちらの言葉に反応していない。(声には反応している。)

だから言葉に反応しないのは異端児ではない。

だから「うおーー、死にたくない奴は逃げろー」とでも叫べば判別できる事になる。

うおーーで音の反応を引き出して後の言葉の反応と区別する。

ただ問題は叫ぶことが出来るか、例えばモンスターを呼び込む事にならないか?

言葉で逃げてくれれば問題ないが、某エルフの様に激昂する場合はどうするのか?

またリドさんたちの様に引けない事情があった場合は?

また考えることは多い。

 

探索しながら進む。崖を超えたころから支道の長さが長くなった。

そして行き止まりにはモンスターがいた。ただ何かに怯えている様に思えた。

言葉には反応していないので仕方なく倒してしまう。

後ろからやられる訳にはいかないから。

考えながら歩いているといきなり視界が開けた。

どうやらかなりの距離を進んで広い空間にたどり着いたようだ。

入り口付近でその内部を慎重に観察する。

高い天井には穴が有り光が差し込んできている。

あれが外に通じているようだが上るのは骨が折れそうだ。

仕方なく周囲を見渡した。

部分的に光が入っているのでコントラストが大きく、影の部分ははっきりしない。

まずは光が当たっている所を調べる。

慎重に見ていてそれを見つける。

モンスターの爪や牙が所々に有る。何かの巣かもしれないな。

ただ今の所、気配は特に感じない。だが油断せずに慎重に調べる。

よく見ると影になっている所は崩れているようだ。

慎重に影の領域に近づいていく。

だんだん目が闇に慣れていき、ついにそれを見つけた。

 

 




少し短いですがキリがいいのでここまでにします。

原作を読んでいますが、ヴェルフ君はベルのリクエストに応えていませんね。
今までベルが自身で要求したのは、初めて工房を訪れた時の売れ残りの大剣のみ。
魔剣をリクエストされるかもと思っていたのにまさか売れ残りを、非常に強い印象があったはず。
ミノたんも8巻の小太刀も12巻の短剣も、言うなればヴェルフの勝手だ。
初めてのダンジョンからあの18階層への逃避行まで売れ残りの大剣を上手に使いこなしていた。
真直で見ていた黒のゴライアス、アステリオスは出所不明の大剣でやり合っていた。
これらは強烈な印象をヴェルフに与えたはず。ベルは大剣使いとの刷り込みが有っただろうに。
なのに何故か大剣を作らない。不思議ですね。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。