結局努力したがベル様の成長スピードに付いて行く事は出来ないらしい。
だけれども努力は続けている。もう後悔したくないから。
リリは冒険者になってからかなりの時間が経っている。
正しく努力していたならレベル3になっていても可笑しくは無いぐらいだ。
あのファミリアでも経験値だけは横取りする事が出来ないから。
ただその場合はベル様とは出会うことは無かっただろう。
あの経験があったから今がある。そう思えることは素晴らしい事だ。
ただそう思えるのはあのミノタウロスに挑んでからなのだが。
みんなを説得して挑んだが完敗だった。耐久値だけが伸びる結果に。
『当たらなければどうと言うことは無い』を地でいかれた形だ。
改めてベル様の凄さと危うさを実感した。
アマンダイトばかりでは問題があるので、他のギルドクエストを受けることに。
「やはり中層ではほとんどありませんね。」
「それはしょうがないです。基本的に長い間残っている物ですから。」とミイシャ。
パラパラとクエストの紙束をめくりながらリリは考える。
「私たちにできるものと言えばこれぐらいですか。」
「どれですか。ああこれ存在がハッキリしていませんが大丈夫ですか?」
「運が良ければ可能です。他はほぼ無理ですから仕方ありません。
困難なギルドのクエストを受けている事実が重要なんです。」
「おい、あんなクエストを受けて大丈夫なのか?」とヴェルフ。
「今まで発見されていないんですからあまり冒険者がいかない所に有るんでしょう。
春姫さんの力は見せることは出来ませんから必然的にそんな場所に行く必要があります。
注意深く見ていれば見つかる可能性は高いです。
また異端児たちに聞くのも有りだと思います。
それに存在が確認出来ていないなら一定時間が経過すれば降りても文句を言われないはず。
もっと私たちに合ったクエストが出て来て、それに変更ならば喜んで変更させてくれるはずです。」
その言葉に一同言葉もない。しばらくしてようやくヴェルフが言った。
「…やっぱりお前、頭良いな。」
「流石です!」春姫が感心した顔で言った。
「さあ行きますよ、まずはリヴィラへ。」
「おい情報収集は?」
「必要有りません。」と言ってダンジョンへ歩き出した。
リヴィラへ着いてまっすぐあの男のもとへ。
「な、なんだ。おめえらキチガイに用はねえぞ。」
「ボールズ様こちらには有りますよ。中層当たりで人があまりいない場所を教えてくれませんか?」
「なんで俺がそんな事を教えなくちゃならねえんだ。」
「私たちがやってる事は知ってますよね。近くに他のパーティーが居ると効率が悪くなります。
誰かさんの様に無様だとダンジョンが臭くなります。出来ればそれは避けたいので。」
「俺を脅すつもりか?」
「いえいえ、モンスターに会って失禁する様な無様な男にそんな価値はありませんよ。
ばれたら卑怯者としてリヴィラは元よりオラリオにも居られないでしょう。」
「……分かった。人があまり行かない所だな。ちょっと待ってろ。」
奥に引っ込んでしばらくして出てきて紙束を突き出していった。
「ほらよ、塗りつぶしていない所がそれた。用が済んだらもう帰ってくれ。」
「有難う御座います。」と言って立ち去った。
19階層に入ってしばらくしてからリリが言った。
「さすがにつけて来てはいない様ですね。良いものが手に入りました。
後で冒険者たちが集まるところを調べましょうか。」
「集まる場所とは?」と命。
「もらった地図の反対の場所です。冒険者はピクニックでダンジョンに来ている訳では有りません。
ですから冒険者が集まるのには訳があります。裏を取る必要がありますがお宝が有る可能性が高いです。」
「さすがです!リリ様」と春姫。ヴェルフはにやりと笑った。
「ですがまずはクエストです。経験値が稼げる場所と合わせて探しますよ。」
探し回ること数日、ついにそれらしい場所を探し当てた。
「あそこが怪しいです。」
「ですがあそこは…」と命。
このエピソードでリリ編も終了の予定、リリはどうなるのか?