アナザー11   作:諸々

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ククリ25

捜索隊のメンバーはベル、リュー、ククリ、エルフの子供となった。

初めリューが子供を背負う予定だったが子供が拒否した。

具体的にはベルの背中以外を拒否したのだ、自分はベルのモノだからここだと。

この件で説得は無理なのは十分に分かっているので道案内は方向を指さしてもらうことにした。

まずはエルフの家を目指す。モンスターに注意して向かったが着くまで居なかった。

家は滅茶苦茶に壊れている。修理するより新しくするほうがマシなぐらいだ。

子供はあからさまにガッカリしている。念の為リューはあたりを調べたがモンスターはいなかった。

まずはあの男の証言通りに進んでみる。

逃げる時トラップポイントを経由しながらだったらしいからそれを巡る。

いくつかのポイントは壊されており罠にかかったモンスターが食われている。

さすがのエルフ謹製のトラップといえど5Mのモンスターには効果が薄い。

ただ死体が足止めになっているみたいでブラットサウルスが群がっている。

ベルはそれを見てまた悩む、このまま倒しても良いのかを。

見ているとククリが声をかける。

「お前らは何だ。」だが食べるのに夢中で何の反応もない。

何の反応もないのでククリは近づく。

途端に威嚇の唸り声をあげた。ベルはその様子に相手は言葉を理解できない、と悟った。

ククリはお構いなしに近づき同じことを言った。

「お前らは何だ。」今度は襲ってきた、いや襲い掛かろうとした。

大半のモンスターが吹き飛んだ。3匹は回避に成功したのか距離を開けている。

5匹は中途半端に切れているが、残りの2匹はきれいに切断されている。

残り3匹もベルの敵ではなくきれいに分断される。背中が騒がしい、興奮している様だ。

「クラネルさん、ちょっとその剣を見させてもらっても良いですか?」

リューさんに片手剣を渡す。刃の状態を調べてから感心した様に言った。

「こんな状態の刀でよく切ることが出来ますね。あの鍛錬の賜物ですか?」

「はい、ですがまだまだです。技で切ることが出来れば殺さなくても良いかも知れません。」

「活殺自在、という訳ですか。」考え込みながらリューが言った。

 

いくつかトラップエリアを経由して男が初めに遭遇した場所に着く。

しばらく周囲を捜索していると大きな声?が聞こえてきた。

「これがそうですか。確かにあの山の方から聞こえてくるみたいですが少し変ですね。」

「何がですか?」

「あの山から聞こえたのならエコーが変です。もっと近くかも知れない。」と言って子どもと話し出す。

「これ以上先は分からないそうです。大きなモンスターがいるので近づくなと言われていたそうです。

ただ山の中に洞窟がいくつかあるそうでその辺が怪しいかもとの事です。」

「正確な場所は分からないんですか?」

「父親もモンスターを避けながらだったみたいですね。…とりあえず声のした方向へ行ってみましょう。」

 

暫くしてそれらしい洞窟を見つけた。ただ長雨の影響か一部が崩れている。

地面にぽっかり空いた穴の前で話し合う。

「ここでしょうか?」

「あたりを調べたがここの可能性が高い。入り口でわずかに風を感じるからどこかに繋がっている様だ。

ただ穴はそれほど丈夫じゃない、慎重に行こう。」

穴に小石を入れて深さを調べると、深さ10数Mぐらいで斜面になっている様だ。

リューは近くの森でロープになりそうな蔦を採ってきて加工しはじめる。

こういう事は本職(エルフ)に敵わないのでベルは休憩することに。

片手剣と盾を置き体を休める。子供を抱えてここまで来て少し疲労しているみたいだ。

リューは細い蔦を編んでロープを作っている。子供とククリは珍しそうに穴をのぞき込んでいる。

ベルはそれを少し離れた所で微笑ましく見ている。

子供は長い間ベルの背中であまり動いていない為か少しはしゃいでいる。

突然穴の淵が崩れて子供が穴に落ちる。

ベルは大声を出しとっさに飛び込む、ククリも一緒に。

その声にリューが駆け付ける、ベルは子供をリューに投げ渡す。

必然的にベルたちは穴の中へ、底にぶつかる音がすると同時に穴が崩落する。

「クラネルさん!!」

 




このエピソードで村編は終わりの予定です。
終わりまであと少し、何とか終わらせます。

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