町へ行ってきた彼女たちが帰ってきたが、残った3人は一応に驚いた。
リューさんは非常にばつが悪そうだ。
「な、な、な」レフィーヤさんはまともにしゃべれない。
ベルは目のやり場に困っている。何故なら彼女たちはまるでアマゾネスのような格好だったからだ。
ただエイナさんは出て行った時と違う事を驚いているだけだ。
「なかなか良いセンスだろう。」アイシャは誇らしげだ。
「リューさん彼女たちはいったいどうしたんですか?」ベルは彼女たちから目をそらしながら言った。
「それが、…彼女たちの強い意思なんです。」
「なんだい、ご主人様に使えるんなら普通だろう。」とアイシャ。
「…まさか今朝の件ですか。」とベル。
「そうです。その女が悪戯していたのを寵愛されていると誤解して真似たいと。」
「寵愛されているのは誤解じゃないだろうが。」ベルにウインクしてアイシャは言った。
アイシャとリューはにらみ合った。
彼女達は家族だけで暮らしていたためイマイチ羞恥心が無い。
今までエルフらしい格好だったのは親から与えられたことと怪我防止の意味だったようだ。
ちなみにハーフエルフのエイナさんがそれほどあわてなかったのは、査察で歓楽街に行っているからだった。
この日の夜、男が一時目を覚ましたが、話を聞ける状況にない。
ポーションを飲ませて再び眠らせる。
次の日、お騒がせの姉妹は父親につきっきりだ。
一緒に居ても気が滅入るだけなので、ククリを連れて黒い谷へ行った。
あの子はついて来ようとしたが身体レベルが違うので付いてくることは出来なかった。
ベルは放っておくことは出来ずに仕方なく抱えて連れて行った。
ここへ来たのはククリとの合体?魔法を検証するためだ。
ちなみに今日も遠くからエイナ達が監視している。
あの固い壁でもう一度試してみる。
威力は高いが違和感を覚えた。ククリと話してみるがよく判らない。
2人であれこれ話しているといつの間にかあの子がいない。だが話に夢中でベルは気付かない。
その内草むらの方で大きな声がしてあの子が飛び出してきた。
どうやらモンスターに遭遇したらしく数匹に追い駆けられている。
だが黒い谷に入ったところで地面の状態が変わったためか転んでしまう。
ベルは思わず大声を出すがモンスターは止まらない。
ベルはステータスの敏捷をいかんなく発揮し瞬時に切り伏せる。子供はモンスターの血が降りかかる。
残ったモンスターは散り散りに逃げる。ククリが追いついたのであれを試そうと手を繋ぐ。
{ファイアーボルト}威力は上がっているが全く当たらない。
戦闘中なのでククリとコミュニケーションが取れない。先ほどの違和感がわかった気がした。
結局モンスターに逃げられて戻ってみると子供は血まみれになっていた。
まるであの時の再現の様だ。アイズさんもこんな風に思ったのかと考えながら声をかける。
だが言葉は通じないためかベルのように逃げ出さない。
そうこうしているうちにエイナさん達が来た。
子供の状態を確認して、川へ連れて行って洗わせようとした処騒ぎ出した。
ベルにしきりと話しかけてくる。だがベルには全く分からない。
何とかなだめて洗いに行かせる。
ククリと話をするが戦闘時に精密照準は不可能だと言う結論に。
戻ってきてもベルに頻りに話しかける。
だが相変わらず何を言っているのか解らない。
だが身振りを見ていると出てきた森の方に何かあるらしい。
その内に森が騒がしくなる。現れたのはブラッドサウルスだ。
あの子は素早く後ろに隠れる。
ククリは構わず話しかけているが全く反応しない。
ほかのモンスターと違い黒い谷へ入ってくる。
明らかに我々を狙っている。黒い谷を越えてくると言うことはこのままでは村が危ない。
ベルは仕方なく迎撃する。近づくと小さな傷だらけ、谷を忌避しないのはそれが原因かもしれない。
大きとはいえ所詮は地上種、蹴りの一撃で難なく倒す。
子供はそれを驚きをもって見ている。
薬草を探していた時に比べて明らかにモンスターが多い。
谷の周辺を一通り調べてから村へ帰ることにした。