アナザー11   作:諸々

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ククリ20

「すみませんクラネルさん、問題が発生しました。」

「こっちはもう良いよ、また今度頼む。」と神様。

「判りました、神様。また今度お願いします。」

部屋を出るとみんな集まっている。なぜかそこにあのエルフの子供がいる。

ベルを見つけると駆け寄ってきてしきりと何かを訴えてくる。

だが相変わらずベルには何を話しているか分からない。困り果ててリューを見る。

「クラネルさん、どうやらこの子の家族がモンスターに襲われているらしいんです。

この子だけようやく逃げ出してきたみたいです。」

「だったらなぜ?すぐに助けに行きましょう。」

「ところがそんなに単純じゃない。どうやらこのエルフたちはラキアの被害者の様でね。

我々に不信感が有るみたいなんだ。それで条件面でもめてるんだよ。」とアイシャ。

それを聞いて、ベルは盾にエルフの子供を乗せて外へ走り出した。ククリがそれに続く。

「あっ、クラネルさん。」 

「…仕方が無い、あの坊やに責任は取ってもらおう。」とアイシャ。

「あの条件では私は手伝えません。」硬い表情でレフィーヤは言った。

エイナはどっちとも付かずになって困り顔だ。

「それじゃあたしは行くぜ。」と言ってアイシャは装備を整えて出て行った。

「仕方ありません、私も行きます。」とリューも後に続いた。

 

勢いで飛び出したがこの子の家を知らなかったことに黒い谷に着いてようやく気が付く。

ここでアイシャとリューが追いつく。

「やっと追いついた、お前さんホントにレベル3かい?」とアイシャ。

「あっ、アイシャさん、リューさんも。」 

「勝手に出て言っちまって、如何するつもりなんだい?」

「すみませんクラネルさん、私の力が足りないばかりに。」と言って頭を下げるリュー。

「そんな、リューさん顔を上げてください。」

「どうやら悠長に構えている場合じゃないみたいだね。」

辺りを確認すると黒い谷の境界付近に数十匹のモンスターがこちらを窺っている。

「では行きます。」と言ってベルは飛び出した。

ベルは姿をさらしモンスターを威嚇する。当然ククリは傍にいる。

背中のあの子ががぶるっと震える。それを合図にモンスターはベル目掛けて殺到する。

ベルは右手を突出し{ファイアボルト}。

この時ククリはベルの右手に左手をからめ右手を突出し{ファイアボルト}と合わせた。

そのときベルの右手からでなく、ククリの右手から炎雷が飛び出す。

ただし規模が大きく違う。瞬く間にモンスターが全滅する。

その光景にククリ以外みんな驚く、ちなみに一番驚いているのはベルだ。

「やっと出来た。いつもは追いつけなかったんだよ。」とククリ。

「今のは?」とリュー。

「そんなこと言ってる場合じゃないんじゃないのかい?」とアイシャ。

「そうでした。前回別れたところまで案内します。そこからはその子に。」と言って走り出した。

 

ようやく着くと、小屋はめちゃめちゃに壊され、そばの大木の周りをモンスターたちが取り囲んでいる。

「何とか間に合ったようだね。」とアイシャ。

ベルの背中が騒がしい。

「一網打尽にするよ。」とアイシャ。

「私がおびき出します、その内にクラネルさんは助け出してください。」

「判りました。」

リューがうまく立ち回り、木からモンスターを引きはがす。

そしてアイシャと挟み撃ちにして殲滅する。

その間に木によじ登る。壮年の男性が体から血を流して気絶している様だ。

その体を2人の少女が必死に支えている。

ベルをおびえた表情で見つめているが、決して男から手を離さない。

背中からあの子が顔を出し声をかける。それからベルはゆっくり近づき男を支える。

そして優しく地面に降ろす。それを見てあの子はベルの背中から飛び出し3人で話し合っている。

だが喜び合っているわけでなく、何か言い争っている様にベルは感じた。

その内、アイシャとリューが帰ってきた。

ノアヒールで傷を治したが男は目覚めない。

3人は男に話しかけたり、頬を叩いたりしていたが一向に目覚める気配がない。

また3人で話し合い、リューを交えて4人で話している。

かなり激しく言い合っていたが、しばらくしてリューがベルの元へ来る。

「すみませんクラネルさん、また説得に失敗しました。」

「彼女たちは何を言ってきているんですか?」

「あの男が目覚めるまで守ってほしいそうです、この後の保護も含めて。」

ため息とともに壊された家をちらっと見ながらリューが言った。

「条件は同じかい?さらに面倒なことになりそうなんだが。」同じく家を見ながらアイシャが言った。

「だったら僕がその条件を呑みます。助けましょう。」

「おっ、欲張りだねー、だが男ってのはそう言うもんだ。」とアイシャ。

「クラネルさん、あのー」リューの言葉をさえぎってベルが言う。

「とりあえず村まで運びましょう。それからの事は後で。」

「お前さんだって判っているだろう。こいつはそう言う奴さ、諦めな。」とアイシャ。

「そうでした。」また溜息を吐いてリューは言った。

 




ここでも微妙に認識に違いが。
原作もベルとアイズの間に有るからそれらしいのかな。

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