アナザー11   作:諸々

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オラトリア7.1(6話で終了)
https://novel.syosetu.org/115222/
もよろしく。短いのですぐ読めると思います。
原作両7巻を読むとより楽しめるかと。



アーデ09

リリは早朝一人でダンジョンに向かった。

神タケミカヅチの指導を受けてから早朝イメージトレーニングを重ねてきた。

そこで学んだことは正に目から鱗だった。今日それを実践すべくダンジョンへ来た。

新たな気持ちでダンジョンに臨む。まずゴブリンと1対1で戦う。

教え通り相手の武器を破壊、死角に回り込みとどめを刺す。

大した時間も掛らず自分は無傷で倒せる。今までの苦労は何だったんだろうと言うぐらいあっさりとだ。

冒険者としては早々に諦めた為殆ど無いが、サポータとしてはモンスターの動きはいやと言うほど見てきた。

サポーターとして、ある意味モンスターの行動を先読みしていた。それを利用すれば倒すのも簡単なことだった。

1時間ほどで10体倒したところで、一度ホームに戻る。

戻ると玄関に誰かいる。近寄ってみるとそれは椿だった。

「椿様、何か御用でしょうか?」

「ほれ、これだ。」と言って紙を差し出した。

それを見るとクエスト依頼書、珍しい石(鉱石)のだ。確かに前回見た時、依頼主は確認していなかった。

とりあえず工房に招き入れ、リドからもらった石を持っていく。

ヴェルフはそこに居た、ちょうど起きたヴェルフが椿を見て顔をしかめている。

「おお、おぬしもついにいろいろ作るようになったか。」工房を見渡し作りかけの武器を見て言った。

「うるせえ、それで何の用だ。」

「これです。」リリがあの石を出した。

「ほう、それか。」と椿。

「ギルドの換金所で確認しましたが判らないようです。」

「あい判った。で報酬の件だがどうする?」

「その価値は椿に判断してもらえ、鍛冶に関しては信用していい。」

「それではそちらで価値を判断してください。」

「ヴェル吉にそう言われるとは、いろんな武器を作っている事と言い一皮剥けたな。

そう言う事なら最上鍛冶師の名に懸けて判断しよう。」

「そうだ、なら報酬は試作品でどうだ。確かいっぱい作っていただろう。」

「それであればこっちとしては大助かりだが。」

「なら少し色を付けてくれ。リリスケ、どうせ必要だし不要になれば売れば良いだろう。」

「そうですね、ではそれでお願いします。」と言ってリリは頭を下げた。

クエスト依頼書に終了のサインをしてリリに渡して椿は去って行った。

 

今日はタケミカヅチファミリアと警護を交代する日だ。

春姫はメイドとしてハウスキーピング、ヴェルフは鍛冶、命はタケミカヅチファミリアへ出張

そしてリリは犬人に変身して鼻を生かして館の警備を行った。

「はあー、それにしてもあっさりしたものでしたね。」と独り言を言った。

神タケミカヅチの指導で思った事、早朝のイメージトレーニングで感じた事、そして今朝体験した事でハッキリした。

私リリは冒険者の才能が無い訳では無い。むしろ逆に才能が有るんじゃないかとさえ思えるぐらいだ。

レベル1は神と契約を結べば誰でもなれる。レベル2も偶然とか優れた仲間とかでなれる可能性が有る。

本当の冒険者の才能とは、ファーストラインを超えられるかが最初の分かれ目ではないか、そう思ってしまう。

ファーストラインで死にかけた身だからこそ余計に強く思う、あれは才能、運、実力すべてが無いと乗り越えるのは難しい。

とは言え時間は戻らない。これで明日春姫さんの魔法の再テストの準備は整った。

場所に関しては索敵スキルの事も有るので命様にお願いしてある。

明日はミアハファミリアに頼む予定だ。お礼も兼ねてポーションを明日大量購入しよう。

へステイア様がカーゴの手配をしてきて下さり、明日朝詳しい打ち合わせを行い予定だ。

命様の話だと件の19階層のルームと似た地形は3階、7階、10階、15階に有るそうだ。

先ずは春姫さんの魔法の再検証だ。うまくいけばかなりの助けになるはず。

 

翌朝、警備に来たダフネ様にポーションの事を話すとナァーザ様に聞いてくれとの事。

何故か厭そうだったのが気になりますが、ダンジョンに行く前に話しておきましょうか。

ヘスティア様に連れて来れられたのは、ガネーシャファミリアの本拠地、アイ・アム・ガネーシャだ。

春姫さんが狼狽えていたのが少し気になった。ある意味見慣れているだろうに。

娼婦の嗜みだろうと思い門番に用件を伝える。話は通してありすぐに部屋に案内される。

部屋には神ガネーシャ、副団長のイルタ、と苦労人ぽい男だった。

「やあガネーシャ、約束通り来たよ。」とヘスティア。

「俺がガネーシャだ!」

「…分かってるよ。」

「すまん。」

「だから分かってるって。」

「いや違う。前にも言ったが改めて皆の前で言わせてくれ。お前の子に大きな負担をかけてすまない。

あの事件はこちらに責任がある。本当にすまなかった。」と言って3人は頭を下げた。

「昨日も言ったけどもう良いって。ベル君にも今度の事は良い経験になると思うよ。それよりカーゴの件だ。」

「ダンジョンから運び出したいんだったか。」とイルタ。

「そうです。明日何台かお貸し願えたらと思いまして。」とリリ。

「そう言う事ならちょうど良い。おいモモンガ何とかしてやれ。」とイルタ。

「自分はモダーカです。今ちょうどリヴィラの再建にカーゴを使っています。帰りは空ですから自由にどうぞ。」

「おい、かんとか。今人手が有るんだから運んでやったらどうだ。」とイルタ。

「人手が有るって?」とヘスティア。

「俺がガネーシャだ!ダイダロス通りの違反者が大量に出た。罰として俺の所の手伝いをさせている。」

「ですから自分はモダーカです。そう言う事なんで遠慮なく。明日は一日リヴィラに居ますから声をかけてください。」

「よろしくお願いします。」と言って館を出た。

ここでヘスティアと別れ、ミアハの所へ。

妙なテンションのナァーザにポーションを頼むと、快く引き受けてくれた。

なにやら”特需”とか”爆買い”とかのフレーズを口ずさんでいたが、よく判らないのでスールした。

 




春姫はスキルと魔法で比較的簡単に強化できそうですが、リリちゃんもだとあまりに御都合主義が過ぎます。
何とか活躍できる場所が有れば良いんですが。
方法を考えているんですが、ベル君に追いつくことは無理そう。(哀)

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