アナザー11   作:諸々

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ククリ13

戦闘が終わった気配を感じてアイシャは、近づきながら声をかける。

だが返事が無い。あわてて駆け寄るとベルは十数匹のアルミラージの死体の中で佇んでいた。

「無事でよかったよ、どうしたんだい?」少し明るく大きな声でアイシャは言った。

片手剣ではなくナイフを握りしめてベルは何も言わない。

声を聞きつけて村長の妻たちが駆け寄り、アルミラージの死体たちを見て怯えて言った。

「きょうはこの位にして帰りましょうか。」

アイシャはベルの傍に散らかっていた物を回収して言った。

「だそうだ。一緒に帰ろうか。」ベルは黙ってアイシャ達の後に続いた。

 

村へ帰るなりベルは、リューに神様への拝謁を希望した。

希望は直ぐ叶い、ベルはククリの事を話した。

神様は手にとっていろいろ調べていたが、やがて考えが纏まったのか告げた。

「大丈夫だよ、人で言えばマインドダウンとおんなじじゃ。一晩寝れば元通りになる。」

ベルはほっとして言った。「ありがとうございます。」

「ワタシは何もしてないよ。それにあれも喜んでるみたいだね。」

ベルは判らないと言う様に首を傾げた。

「お前さんの役に立ったのが嬉しいらしい。

あれからどんな事が有ったんじゃ、詳しく聞かせておくれ。リューや。」

「分かっております。」と言って部屋を出て行った。

ベルは請われるまま語った。ただし黒い谷の事は話さなかった。何故だかベルにもわからない。

エルフであるリューに配慮したのかもしれない。

神は興味深そうに聞いていた。ただベルは話すことで、問題が少し整理できることになった。

「お前の話は面白いな。時間が有ったらまた話を聞かせておくれ。」

 

今日レフィーヤさんが町へ行って何か棒状の物を買ってきた。

対ベル君用の物らしいんだけど、これで関係が改善されれば良いんだけどね。

 

次の朝、神様の言う通りククリは復活していた。話を聞くと形態変更は出来るが元に戻るには時間がかかるらしい。

今日は薬草が見つかってほしいが、昨日あんな事が有ったから気を引き締めて行かないと。

昨日の事もあって別の場所を慎重に探索。午前中、アイシャを先頭ベルが殿で周りを警戒しながら探す。

「アイシャさん如何しますか。昨日の半分ぐらいしか調べられていませんが。」

アイシャは少し考えてから言った。「安全第一だ。少し開けたところを探してそこを調べようか。」

午後は打ち合わせ通り開けた場所を探しながら行く。

効率は上がったが薬草は見つからない。しばらく探した後、立ち止まってアイシャが辺りを見回してから言った。

「あっちの方が開けているみたいだね。今度はそこへ行こうか。」

方向を変え慎重に歩き出す。すると突然ベルが鋭く言った。

「アイシャさん、何かいるみたいです。そこの草むらで音が聞こえました。僕が見てきます。」

「わかった、ここらで待機する。」ベルは腰をかがめて草むらに慎重に入っていく。

アイシャ達が固唾をのんで見守っていると、突然ベルがすごい勢いで駆けてくる。

途中不自然な場所であたりを見回し、黒い谷の方へ逃げて行く。

その直後、何かが後を追いかける。しばらくして黒い谷の方で甲高い音が聞こえてきた。

呆気に捕られていたアイシャ達だが、不自然なベルの行動に疑問を感じ、その辺りを調べることに。

程なくして薬草が見つかる。村長の妻が言った。「あの子は持ってるね。」

この間にいつまでたっても戻ってこないレフィーヤを心配してエイナが合流した。

「アイシャさん、レフィーヤさんを知りませんか?」

「ああ、後で回収に行こうか。」エイナは訳が解らず首を傾げた。


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