アナザー11   作:諸々

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アーデ07

フェルズ様が魔道書を寄贈して下さった。

豪邸一軒と同じ価値が有るものだが、ご自身で作れるので気楽なのだろう。ありがたい事だ。

だがヴェルフ様が空気を読まず中が見たいと言い出した。思わずリリも、と言った。

高価で希少な本、どんなことが書いてあるのか非常に興味が有ります。

ヘスティア様が許可してくださり拝見できることに。……

 

げんなりして3人は部屋を出る。命は言葉が出ない様だ。

「何ですかあれは、胡散臭さ満載です。」

「俺に聞くな、その意見には大いに同意するが。」

「まず題名からしてきわめて怪しいです。

『弱小ファミリアのサポータが、賢者の魔道書を読んだなら』

ピンポイントすぎます。」

「……俺に聞くな、以下同文だ。」

「次のページが読者の声、みんなも先輩に続け、とありましたが

魔道書は、一回読むと効果がなくなるのではなかったですか。」

ヴェルフも、もはや何も言わない。

「一人目、『俺はこれを読んで世界一に。猪人のOさん』これが一番マシなんですよね。」

「二人目、『僕はこれで、仕事は順調、可愛い彼女も出来ました。少人のF.Dさん』あの人に可愛い彼女?」

「三人目、『ワシはこれで長年いがみ合っていたエルフと恋仲に、そして愛に結晶も。ドワーフのG.Lさん』

何から突っ込んで良いのやら。胡散臭さMAXです。」

「……リリスケお前、ほんとに頭が良いんだな。」

「今言われたくは有りませんでしたよ。……明日効果を確認してからクエスト頑張りましょう。」

「そうだな」「そうですね」

 

あんな胡散臭い物でも無事魔法は発動した様です。気になる事は有りますが、テスト結果で考えましょう。

しかしヘスティア様も判りやすい。追加で何らかのスキルが発現した様ですね。

ですがベル様の件を考えると突っ込むのは躊躇しますね。皆さんも同じ意見のようですが。

ある意味危機なこの状況では、有用なスキルであってほしいんですが。

テスト結果はいささか想定外、マインド消費は少ないが効果も少ない。積極的に使いパワーアップするしかないだろう。

この魔法を押した手前、もう少し効果が高い方が良かったですが、今後の成長に期待しましょう。

それより今はクエストです。19階層には、時間はかかるが確実に手に入る場所が有るらしいので。

 

フェルズ様の手配により問題なく19階層へ来た。当然この階層から冒険者が極端に少ない。

慎重に進み目的地に着いた。入口に命と春姫を警護に残し、曲がりくねったルームの奥へ進む。

最奥の岩肌に小型鶴嘴を打ち込み採掘を始めた。黙々とだだ掘り進める。

「確かに確実に手に入るが…」ヴェルフが息を切らしながら言った。

「口を動かすより手を動かしてください、予定量にはまだまだですよ。」

しばらくして崩した岩を選別に入る。

「おっ、これだ」ヴェルフが親指の先ほどの欠片を取り上げた。

「一時間で10個、やはりこの階層ではこの位ですか。」

「しかしよくこんな場所が分かったな。」

「リリの魔法をフル活用しましたから。しょせんリリにはこんな事しか出来ませんから。」

「…なあリリスケ、お前は十分役に立ってるじゃねえか。」

「……ここはパンドリーに近いです、あまり時間はかけられません。さあ始めますよ。」

採掘を再開する、ヴェルフは前より少し早く、乱暴に鶴嘴を動かす。

「ヴェルフ様。もう少し静かにお願いします。」リリは小さく言った。

だがヴェルフは気付かない、何回か注意したが駄目だった。仕方が無く背中をたたく。

「何だ、リリスケ。」手を止めてヴェルフが答えた。

「ちょっとうるさい……」リリは途中で言葉を失った。

それは入口方向から音が聞こえてきたからだ。

「やべえ、命だいじょぶか?」そう叫んでヴェルフは大剣を担いで駆け出した。

リリも慌てて後に続く。すると入り口が見える所にヴェルフが立っていた。

「ヴェルフ様何を…」と言いつつヴェルフの見ている方を見たリリは、その光景に絶句した。

 




余っていた理由が判明しましたね。原作よりひどい?

リリちゃんはダンジョン外で活きるのかな?

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