アナザー11   作:諸々

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春姫05

ナァーザに回復魔法について聞いてみる。

「んんん、回復魔法なんて無駄。それよりミアハ印のポーションがおすすめ。」

「それですか」リリが脱力して言った。

「後半は軽いジョーク、ホントはこう。回復魔法は云わばボランティア、当然C/Pは全然良くない。

そんなものにリソースを割くのは勿体無い。そこでこのポーションを。」

「それはもう良いです。…昔なら、勿体無いなら盗めば良いと思ったんでしょうが。」とリリ。

「おいおい物騒だな、発想が悪そのものだぜ。」とワザとらしくヴェルフ。

「いやヴェルフ殿、そうとばかりは言いきれません。義賊と言うものが有ります。」と命。

「鼬小僧の事ですね。お金持ちから盗んで、貧乏人に分ける事をしていましたよ。」と春姫。

「「そんな者がいる、んですね」、んだな」リリとヴェルフ。

ナァーザと別れ更に魔法について調べるが、威力が高いと制約が多い(呪文が長い、マインドを多く消費するなど)

と言う当たり前の事を再確認しただけだった。

ただ付随効果としては相手から奪い取る(ドレイン)魔法は存在することが分かった。

 

ホームに帰り、ヘスティアと春姫の魔法について相談する。

「リリはやっぱり回復魔法を押します。義賊って言うのは良いと思います。」

「攻撃魔法が良かったんだが仕方ねえ、俺もそれでいいぜ。」

「じゃあどんな魔法にするのかイメージは固まったんだね。フェルズ君の話と合わせて

魔道書への想定問答集を作ろう。

問題は最後の言葉だ、『分不相応だ』って言われたらカースになってしまう。条件を見直すんだ。

『欲張りだ』と言われたら少し制約を追加すればいい。これを踏まえて考えよう。」

皆で意見を出し合い、纏めていく。ほぼ決まったところで約束の魔道書が届いた。

「これが魔法書ですか。リリは初めて見ます。」

「俺も近くで見るのは初めてだ。ヘファイストス様は持っていたかもだが。」

「私はこんな高価な物には縁が有りませんでしたから。」

当事者ではない3人は興味津々だ。

「なあヘスティア様、表題、いやせめて1ページだけでも拝ませてもらえねえか?」

「リリも」「私も」

「うーん、フェルズ君の話だと、導入部で魔法の知識を叩き込み、そして発現問答に行く流れらしいから

最初の1ページぐらいは良いんじゃないかな。」

「さすがヘスティア様、話が解るぜ。」と言いながら3人で読み始める。

読み進める内に3人とも微妙な表情になった。

げんなりした表情でリリが本を返しながら言った。「リリ達は明日の準備が有るのでこれで。」

ヘスティアの頭に?が湧きあがる中リリ達は退出した。

ヘスティアは焦りながら春姫に本を渡して言った。

「春姫君、頑張って目的の魔法を発現させてくれ。部屋は客間を使って構わないから。

明日朝ステータスを確認しよう。」

 

次の早朝、早速春姫のステータス更新を行う。

「ぬおー。」ヘスティアが吼えた。

「何かありましたか?」と少し不安そうに春姫が聞いた。

「…いや問題ない、これがそれだ。」と更新用紙を差し出した。

魔法欄にはこう書いてあった。

<<魔法>>

{義賊}

・強制配当

・周囲から強制的に徴収する。

・発動後、一定期間の要間隔。

・詠唱式{***スチール}

***は対象者名、省略時は本人

 

「ヘスティア様、スキル欄が無いのは何故ですか?」とリリ。

「…フェルズ君の言った通りだったんで、ビックリして手元が狂ったんだよ。」

「そうですか、ではこの魔法について考えましょうか」

「確かにそれらしく仕上がっている様だが。」とヴェルフ。

「肝心な効果、範囲、間隔などが具体的に分かりませんね。」と命。

「その辺りは今からダンジョンで調べてくれば良いだろう。」とヘスティア。




鼠ではそのまんまなので鼬に変えました。
春姫の魔法、はたしてどんなチート魔法なんでしょうか。
唱えるだけで一発全快、これでベルも安心だったりして。

狐と言うと、『ごんぎつね』を思い浮かべてしまいます。
盗む、恩返しする、こんなワードが浮かんだので
こんな魔法を考えてみました。
後、同じ獣人のベート君の魔法を参考にしてもいます。

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