……体はもらった。
……心はある。
……デビューは華々しかった。
……その後も良く使ってくれた。
……おかしくなり始めたのは紅の角から。
村長との話が終わり、みんなは神があの少女の事を話すと思い身構えていた。
が予想に反して何も話そうとせず神は部屋に戻ろうとした。
あわててベルが聞いた。「神様、彼女の事なんですけど。」
「あれとは言葉が通じるだろう。必要なことは聞けばよいではないか。」と言って部屋に戻った。
女性陣は素早くアイコンタクトをして、ベルを置き去りにして部屋に駆け込んだ。
「まず私たちで調べるから。」と言うエイナの言葉を残して。
ベルはオロオロしながら待っていたが、初めにエイナ、次にアイシャが出入りした。
アイシャは部屋に入る時言った。「もう少し掛かりそうだがあんまり遠くに行かないでくれ。」
することが無いのでベルは鍛練することにした。
外に出て、問題であるモンスターと戦うイメージトレーニングをする。
だがたびたび手が止まる。戦闘の途中でモンスターがしゃべりだす。
断末魔に遺言する。
倒れた後、他のモンスターが駆け寄って泣く。
さまざまなイメージが湧いてきてろくな鍛練にならない。
それでも無理やり続けていく。
その時ふと視線を感じた。物陰から覗いているようだ。
視線の高さからまだ子供だろうと当たりをつけて気にせず続けた。
しばらく続けているとようやくお呼びがかかった。
現れた少女は皮のビキニとへそ当てで、どことなくアマゾネスっぽい格好だった。
そこで分かったことは予想通りの内容であった。
そしてベルを交えていろいろ確かめると次の事が解った。
力はレベル2クラス、足の速さはレフィーヤとほぼ同じである。またベルと離れると眠ってしまい活動不能になる様だ。
それと、好き嫌いがはっきりしていること、と言うより嫌いなものは受け付けない。服装もそれが影響しているらしい。
この事で彼女の物を買いに近くの町に行くことにした。朝食は予約、夕食をキャンセルして向かう事にした。
ベルはエイナを背中に、山の中を突っ切るようにして進んでわずか数時間で着いた。山道を進むと一般人なら3日ほど掛るらしい。
(辺りにはモンスターがいるので、道はあまり出現しない場所で遠回りになっているし、警戒しながら進まなければならない為。)
そこは小さな町だった。ヘルメス支店はそこの一軒だけの旅館兼食堂だった。周りには色々な店が10軒ほど集まっている。
ヘルメス支店でベルとエイナはギルドの報告と換金、その他は少女の買い物に行った。(支払いはベル持ち。)
エイナはベルをちらちらと窺う。ベルは今はやるべき事が有る為、普通に振る舞っている様に見える。
ただ時間が空くと何かを深く考えているベルをたびたび見る。
支店を出てベルは店を回り、店員と相談しながらクエストに必要そうなものを購入していく。
この機会にエイナは、ベルに再度問いただしたかった。だが神ヘルメスの言葉がそれを阻む。
何とも言えない気持ちになり、彼の言動に一層注意しようと強く思った。
一行は帰りの事もあり、食堂で早めの夕食を摂ることにした。
その為か食堂は他に誰もおらずあっという間に食事が終わる。
ただし少女はなにも食べなかった、ただベルがいつもより多く食べていたが。
レフィーヤが脱力して言った。「薄々判ってましたが着替えさせられませんでした。」
少女が言った。「僕はこれでいい、ううんこれが良いんだ。」
アイシャが言った。「護身用の武器もまったく受け付けなかったね。」
少女が言った。「ボクが自分でできる、むしろボクがやるんだよ。」
レフィーヤが続けた。
「なかなか言う事を聞いてくれなくって参りましたけど、リューさんの言う事は聞いてくれたから助かりましたね。」
アイシャも同意して言った。「そういやーそうだったね、ぶっきらぼうのエルフも子供には関係ないのかね。」
それを聞いて少女はリューの所に行って引っ張ってきた。(覆面の為食事は別に摂っている。)
リューをベルの隣に座らせ、自分はその間に入り二人と腕を組んだ。
レフィーヤはその光景に思わずつぶやいた。「まるで夫婦とその子供みたいですね。」
その言葉にアイシャは大笑いし、ベルとリューはそっぽを向き、エイナはなぜか不機嫌になった。
「ルールブレーカー」コレ来たのか?(ロキと敵対させる?)
次はクリーチャーとなった元仲間との死闘となるのか?
それにしてもレヴィスの元は誰なんでしょうね?
分かっていることは、赤髪の女ヒューマンであること。
白髪鬼の同僚と表現されているから、「27階層の悪夢」の犠牲者のうちの一人だろうこと。
戦闘に関しては白髪鬼より上っぽいから元レベルは4ぐらいか?(当時のリューと同格か?」
白髪鬼が知っている「剣姫」の事を知らないことから、記憶を弄られている様。(闇派閥ではないのか?)
当時も名をはせていたフィンとリヴェリアが知らない相手。(覆面でもかぶっていたのかも?)
まったく見当もつきませんが、次の対決には決着がつきそうなんで明らかになるかも。