アナザー11   作:諸々

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レフィーヤが丁度真上に来たとき、杖が淡く光った。なぜかレフィーヤは気付かない。

同時にレフィーヤの手から滑り落ちた。あわてて拾おうとしたレフィーヤも結局落ちてしまう。

当然ベルの背中を杖が直撃、今までの疲れと、突然の衝撃に、背中に熱を感じて仰向けに転がった。

そこへレフィーヤが落ちてきた。あまりの事にベルは中途半端に手をかざす事しか出来なかった。

両者しばし呆然、耐久値の高いベルが先に硬直から抜け出す。

感じたのは、歯の痛みと掌の柔らかい感触。確かめようと指を動かしているとその感触が不意に消える。

目の前に両手で胸を隠し顔を真っ赤に染めたレフィーヤがいる。

訳が解らないベルだが、ふと歯の痛みを思い出し指で口にふれた。

それを見たレフィーヤはさらに顔を赤らめて、近くに落ちていた杖を拾いベルに殴り掛かってきた。

それを見はベルは思わず逃げ出した。ただし前回の失敗は身に浸みているので、迷子のならない様に円を描きながら逃げる。

レフィーヤは怒りに任せて滅茶苦茶に杖を振り回す。少なくない回数ベルに当たる、しばらく鬼ごっこが続いた。

殴り疲れてレフィーヤが少し冷静になった時、エイナが声を掛けた。「どうしたんですか?」

「胸を揉まれました。」ビックリしてベルを呼んで皆で事情を聴いた。

事情聴取の結果、レフィーヤの自爆と判明。ベルはノアヒールで治してもらった。

レフィーヤは納得いかなそうだったが、一応ベルに謝ったためこの場は収まった。

アイシャはそんな偶然に笑い転げ、エイナはベルに一応注意をした。

 

夕方前に目的の村に着いた。アイシャが聞いた。「で神様はどこにいるんだい?」

「今の時期なら村長の所だろう。予め言っておく、この村の住人はエルフ程ではないが排他的だ。

先ず私が先に村長に会って話をつけてくる。少しここで待っていてほしい。」と言ってリューは村に入った。

しばらくして村長夫妻を連れて戻ってきた。そして村外れの比較的大きな建物に案内された。

村長が言った。「ここは村の集会場です、神様はここにおわします。今晩はご自由に、明日以降はご相談ください。」

奥さんが言った。「ただし食事は別です、一人朝食50、夕食100ヴァリスで提供しますよ。」

とりあえず全員両方注文することにして村長からカギを受け取った。では後ほどと言って村長たちは引き上げた。

一同は中に入った。集会場と言うことで大部屋を想像していたが、内部にはドアがいくつかあった。

リューが先回りして言った。「ここは、時折訪れる商人たちの為の簡易宿泊所も兼ねている。

先ず私一人でお会いしてくる。」アイシャが手紙を渡した。「ヘルメス様からだよ。」

それを受け取り一番奥のドアをくぐった。神威は部屋の外に居ても感じられるほど強い。

その間、ベル達は他のドアを調べた。言われた通りベット2つだけの簡素な寝室が数部屋。

タンク式のシャワー室とトイレが有った。後気になったのはドアに付けられた刃こぼれした武器だ。

リューが戻ってきて言った。「クラネルさんと一対一で話がしたいそうです。会ってもらえませんか。」

そのためにここまで来たも同然なベルは、緊張した面持ちで部屋に向かう。

アイシャが言った。「粗相をするんじゃないよ、変なお願いをされないようにね。」

部屋に入るなりベルは跪いた。「遠慮は無しで良いよ。」女声で聞こえた。

ベルが顔を上げると、リューと同じ覆面をした神物がいた。おまけにぶかぶかの服装で外見は窺えない。

「こんな格好で失礼するよ。オラリオとは少々有ってね、何も聞かないでくれるとありがたいね。」

「もちろんです。」敬う姿勢を崩そうとしないベルに苦笑して言った。

「お前さんはあの子の言う通りの人物なんだね。早速で悪いんだがオラリオでのあの子の事を聞かせてくれないかい。」

ベルはこれまでの経緯から、あの子とはだれかを察して話をした。神は頷きながら聞いていた。

「よく判ったよ、ところでさっきから気になっているんだがお前さん懐に面白いものを持っているね。

少し見せてくれないかい。」ベルは懐の紫紺に輝く神様のナイフを渡した。

神はそのナイフをじっと見つめ、時々相槌を打つようなしぐさを見せていた。

やがて刀身を指でなぞった。ベルには淡い緑に光って見えた。その光はゆっくり刀身に溶けて行った。

「ありがとう、もういいよ。思いのこもった良い品だ、大切にしておやり。」と言ってナイフを返してくれた。

「もちろんです、へステイア様に貰った大切な物ですから。神さま、それで僕にやってほしいことは。」

「それは明日の朝食後に話そうと思う。その時に村長も呼んでおいてくれないかね。」

「分かりました。」と言ってベルは退出した。

 

部屋に戻ると食事の準備が出来ていた。メニューは近くの川でとれた魚の焼き物、たっぷりの野菜スープ、とパン。

食事は塩のみの味付けで、可もなく不可もなくと言ったところだった。指示通り食器を玄関先においた。

ここでベルが報告した。「明日の朝村長さんを交えてクエストの話が有るそうです。」

エイナが聞いた。「どんな神物ですか?」「覆面で姿ははっきりしませんでした、ただ声の印象は老女神でした。」

ここでベルが大きな欠伸をした。アイシャが笑いながら言った。「もう眠くなったのかい、あたしが添い寝してやろうか。」

当然レフィーヤとリューがその言葉に烈火のごとく怒った。

いろいろ話し合った結果部屋割りは、エイナとレフィーヤ、アイシャとリューでベルは個室、ただしトイレの横。

ちなみにベルの部屋のドアには、山刀(ククリナイフ)が飾ってあった。

翌朝エイナはベルがなかなか起きてこないので起こしに行った。ドアをノックしても返事が無い。

調べるとドアに鍵がかかっていない。ベルはド田舎育ち、その後廃教会の地下室、なのであまり鍵をかける習慣がない。

部屋に入りシーツを盛大にめくった。「朝だよベル君………キャー」叫び声が響き渡った。

 




ここでザッピング、もう一人がいよいよ登場、?が取れる日も近い。

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