ISアドベンチャー 聖騎士伝説   作:イナビカリ

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第052話:エヴォリューションプログラムの謎

 太一と一夏の勝負の翌日…

 太一とコロモンはマドカ、セシリア、鈴の3人と千冬に連れられ束のいる研究室に来ていた

 尚、千冬がマドカ達を連れていく際、一夏と箒が自分も連れて行けと言い出したのだが…

 

千冬

「あそこに出入り出来るのは私とオータム、八神とコロモンを除けば束に呼ばれた奴だけだ!お前達は呼ばれていない!」

 

 そう言って2人の同行はアッサリ拒否された

 そして6人が研究室に来ると…

 

「皆~待ってたよ~♪」

 

 束が笑顔で出迎えた

 

太一

「束、昨日の事だが…」

 

 すると太一は昨日の一件を聞いて来た

 しかし…

 

「あぁアレ?束さんは別に気にしてないよ?」

 

千冬

「…え?」

 

 驚いた事に束は全く気にしていなかった

 束の事を昔からよく知る千冬からすれば信じられなかった

 束は千冬と箒、そして一夏にはとことん甘いのだ

 そんな束が一夏を擁護しないので千冬は驚いていた

 だが…

 

「だって昨日の勝負は誰がどう見たってたっくんの勝ちじゃん。いっくんは負けて無いって言うけどいっくんじゃどうやってもたっくんには勝てないよ。だからあのタイミングでのちーちゃんの判定は間違って無かったと思うよ?そんな訳で束さんは文句なんか言う気は無いよ。」

 

 束もあの勝負は太一の勝ちと見ており文句を言うつもりがなかったのだ

 

千冬

「…そうか…(変わったなコイツ…以前の束ならこんな事は言わなかった…必ず一夏に対して贔屓目で見て公平な判断はしなかったんだがな…)」

 

 そんな束の変わりように千冬は驚いていた

 

千冬

(…いや、それだけじゃない…アイツはデジモンを公表した時、各国に向かって『責任を取る』と言った…自分の罪を認めたんだ………私も…責任を取らなければな…その為にも…私もまた変わらなければ!!)

 

 そして、束と同じように自分もまた変わるべきだと決意した

 

千冬

(………一夏も…それが分かってくれればなぁ…)

 

 同時に弟も変わってくれる事を願うのだった…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

千冬

「それで束、今回は何の用だ?」

 

 千冬は気を取り直し、自分達を呼んだ理由を尋ねた

 すると…

 

太一

「マドカ達も呼んだって事は【Dシリーズ】の事じゃないのか?」

 

「ピンポ~ン♪」

 

 太一は今回呼ばれた理由に見当が付いていた

 それは正解だった

 

マドカ

「【Dシリーズ】の単一仕様(ワンオフ・アビリティー)の事か?」

 

「うん、そう、色々と分かったから報告しとこうと思ってね。」

 

マドカ

「なら私達3人が何故同じ能力が発現したのかも分かったのか?」

 

 マドカのその質問にセシリアと鈴も頷いた

 それがマドカ達が一番知りたい事だった

 

「勿論!…って言いたいけど…推測の域を出ないんだよ…それでもそれを伝えようと思ってさ…」

 

 だが、流石の束でも【Dシリーズ】の進化についてはまだ不明な事も多く完全には解析出来ずにいた

 

千冬

「ならそれを教えてくれ。それにお前が調べたんだ、まるっきり的外れでは無いだろ?」

 

 千冬がそう言うと太一達も頷いた

 束はなんだかんだ言ってもこのIS世界最高の頭脳の持ち主なのだ

 その束が調べた事が全て間違っているとは誰も考えてはいなかった

 そんな千冬達の言葉に束は照れながら説明を始めた

 

「えへへ…えっと…皆が気になるのは何故3人の単一仕様(ワンオフ・アビリティー)が同じかって事だよね?」

 

 束の問いかけに全員が頷いた

 

「まあそうだよね…束さんだって驚いたんだから…それでこの3機を調べた結果、恐らくデジモンをモデルにしたからだと思うんだ。」

 

千冬

「デジモンを?」

 

「うん、皆も知ってるけど【Dシリーズ】はISでデジモンを再現した機体なんだよ。この子達を造る時にモデルにしたデジモンのデータを入れたんだ。」

 

太一

「それが【ライズグレイモン】【メタルグレイモン(CW)】【メガログラウモン】の3体か?」

 

「そうだよ!それでデータを見ていると単一仕様(ワンオフ・アビリティー)が発動した時に3機のモデルになったデジモンのデータが強く反応してたんだ!」

 

 そう言って束はモニターに3機のモデルになった3体の完全体デジモンのデータを表示した

 

「そこから考えるとISの単一仕様(ワンオフ・アビリティー)のデータにデジモンが生物として持つ進化のデータが組み合わさって【エヴォリューションプログラム】って言う能力が生まれたんだと思う。後はあの時のマドちゃん達の心理状態も影響したんじゃないかな?」

 

太一

「成程な…」

 

 束の説明に全員が頷いていた

 

「コレが束さんが考えた理由だよ。間違ってたらゴメン…」

 

太一

「謝るな。それにあながち間違ってもいないだろ。」

 

「…だと思う…」

 

太一

「それにISもまだ分からない未知の部分があるんだろ?そこにデジモンのデータが加わったんだ、お前でも解明出来ないくらい複雑になっていても不思議じゃない。」

 

「たっくん…」

 

 太一のその言葉に全員が頷いた

 

「…そうだね…でも、分からない事をそのままにするのは束さんのプライドが許さないから何時か解明してやるんだよ!!」

 

太一

「フッ…その意気だ!」

 

「やったるぞ~~~!!!」

 

 更なるやる気を出した束に全員が微笑むのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「さて単一仕様(ワンオフ・アビリティー)で分かった事はこのくらいだから次にそれぞれの機体の説明をするね。」

 

 続いて束は3人の進化した【Dシリーズ】の話題に変えた

 

「まずマドちゃんの機体!【シャイン・ドレイク】の事だけど…」

 

マドカ

「究極体デジモン、【シャイングレイモン】がモデルなんだろ?」

 

「およ?知ってたの?」

 

マドカ

「【バルバモン】との戦いの時にウォーグレイモンが教えてくれた。」

 

コロモン

「教えたって言っても戦闘中だったから名前だけだよ。」

 

「そうなんだ、それなら話が早いね♪」

 

 そう言って束はモニターに【シャイングレイモン】のデータを表示した

 

マドカ

「コレが【シャイングレイモン】…光竜型デジモンか…」

 

「そうだよ!じゃあマドちゃん、【バーストモード】の事も知ってるの?」

 

マドカ

「【バーストモード】だと?」

 

 【バーストモード】と言う単語にマドカは首を傾げた

 それは太一を除く他のメンバーも同様だった

 

マドカ

「なんだそれは?」

 

 【バーストモード】についてマドカが尋ねると…

 

太一

「【シャイングレイモン】を含めた極一部の究極体が使える能力だ。」

 

マドカ

「極一部のデジモン?」

 

太一

「ああ、【バーストモード】はデジモンと人間の絆が頂点に達した時に発動出来る力でな、デジモンの持つ限界以上の能力を発揮出来るんだ。」

 

 太一が代わりに説明してきた

 太一は生前、別世界で出会った『大門大』とその相棒の【シャイングレイモン】が【バーストモード】を発動させているのを見た事があったのだ

 

マドカ

「限界を超えた力…【バーストモード】…なら【シャイン・ドレイク】も…」

 

「うん!使えるよ!【シャイン・ドレイク】の特殊能力って扱いになってるよ。ただ発動させると【白式】の【零落白夜】と同じでSEを消費し続けるから使う時は気を付けてね。」

 

マドカ

「分かった。」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「じゃあ次はセシリアちゃんの【クロスウォー・ドレイク】だね。」

 

 【シャイン・ドレイク】の次に【クロスウォー・ドレイク】の説明を始めた

 

セシリア

「ウォーグレイモンさんがモデルですよね?」

 

「うん、半分はね。」

 

 そう言って束は今度は全員がよく知るウォーグレイモンのデータを表示した

 

セシリア

「…半分…ですか?」

 

「そうだよ、君も不思議に思ってたんでしょ?」

 

セシリア

「…はい…《プラズマレールガン》に《ハイパーランチャー》…ウォーグレイモンさんはそんな武器を持ってはいません。…ですよね?」

 

コロモン

「うん!」

 

 セシリアの質問にコロモンも頷いた

 ウォーグレイモンをモデルにしている筈の自分の機体に本来存在しない装備がある事にセシリアも疑問に思っていた

 すると…

 

太一

「《プラズマレールガン》と《ハイパーランチャー》…【ジークグレイモン】か?」

 

 太一が別のデジモンの名前を出した

 

セシリア

「【ジークグレイモン】…ですか?」

 

「これだよ!」

 

 そして束はモニターにウォーグレイモンとは別の金色のデジモンを表示した

 

千冬

「コレが【ジークグレイモン】…」

 

 そのまま全員が【ジークグレイモン】のデータを見ていると武装と技の所で目が止まった

 

「あっ!?《プラズマレールガン》と《ハイパーランチャー》がある!?それに…《トライデントファング》?…他にも武装があるのコイツ?」

 

セシリア

「それも装備されてますわ!」

 

「え?ついてんの!?」

 

セシリア

「はい…」

 

「でもこの《トライデントファング》って手甲でしょ?あんた手甲は《ドラモンキラー》って言ってたじゃん!」

 

セシリア

「はい…ですから右腕が《ドラモンキラー》で、左腕が《トライデントファング》になっているんです。」

 

「大砲だけじゃなくて手甲まで左右で違ってたの!?あんたの機体一体どんだけ武器を積んでんのよ!!」

 

 鈴のツッコミにマドカも頷いた

 鈴の言う通りセシリアの【クロスウォー・ドレイク】は明らかに武器の量が多すぎるからだった

 その理由は…

 

千冬

「ってちょっと待て!!なら束!オルコットの機体はウォーグレイモンと【ジークグレイモン】の2体のデジモンの能力を持つのか!?」

 

「調べた結果そうとしか言えないね。」

 

 千冬の言う通り、【クロスウォー・ドレイク】には2体分のデジモンの能力が組み込まれていたからだった

 

マドカ

「何故セシリアの機体だけそんな事に…」

 

太一

「…恐らく…メタルグレイモンをモデルにしたからだ…」

 

全員

「え?」

 

コロモン

「太一、どう言う事?」

 

太一

「以前も言ったがメタルグレイモンは2種類存在する。セシリアのISのモデルになっているのはコロモンの完全体とは違う方のメタルグレイモンだ。」

 

千冬

「確かにそう言ってたな…」

 

太一

「そしてこの2体のメタルグレイモンのそれぞれの進化形がウォーグレイモンと【ジークグレイモン】になる訳だが、違うデジモンとは言っても()()()()()()()()()()()()()だ。」

 

全員

「え?」

 

太一

「もしセシリアのISが2体のメタルグレイモンのデータを一纏めにして単一仕様(ワンオフ・アビリティー)を発動させたとしたらどうする?」

 

全員

「!?」

 

「確かに…それならウォーグレイモンと【ジークグレイモン】…2体を合わせた機体になってもおかしくは無いよ!!」

 

 太一の立てた予想に束は同意した

 むしろそれしか理由が思いつかなかったのだ

 

千冬

「それでこんな無茶苦茶な機体に進化したのか!?」

 

太一

「俺はそう思う。それで束、【クロスウォー・ドレイク】はどんな機体になっているんだ?」

 

「うん、この機体は見ての通りウォーグレイモンがモデルになってるけどウォーグレイモンの持つ格闘能力に【ジークグレイモン】の砲撃能力を合わせたものになってる。」

 

千冬

「つまり遠近両方に対応してる訳か…」

 

「しかも背中には《ブレイブシールド》って言う巨大な盾まで装備してるから防御能力も高いよ。武装だけでも盾を含めて全部で5つあるよ。」

 

マドカ

「5つだと!?」

 

「更に言えば使える技も2体分になってるね。ウォーグレイモンの《ガイアフォース》から始まって《ポセイドンフォース》と《グレートトルネード》…【ジークグレイモン】からは《デストロイスマッシャー》と《ファイナルストライクス》…こっちも5つあるよ。」

 

「それって全部で10個って事ですか!?」

 

マドカ

「いくら何でも多すぎるだろ!?」

 

「そう言われてもこういう機体になっちゃったから束さんでもどうしようもないよ…」

 

全員

「………」

 

 束のその一言で先程までの騒ぎが一気に静まり返った

 確かに進化した以上もはやどうしようもないのだった

 その為…

 

太一

「取り合えずセシリア…お前はコイツを使いこなせる様になれ。」

 

セシリア

「…はい…」

 

 乗り手であるセシリアが使いこなせるようになるしかなかった…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「え~っと…最後は中国の…そう言えば名前聞いてなかったね?」

 

 最後に鈴の機体の説明をしようとしたのだが、束は鈴の名前を知らなかったのを思い出した

 

「あっ!凰鈴音です!!鈴って呼んで下さい!!」

 

 なので鈴の自己紹介から始まってしまった

 

「フム鈴ちゃんだね。分かったよ。」

 

「は、はい…よろしくお願いします!(…アレ?今名前を覚えて貰ったのかな?…確か博士って一夏達しか眼中に無いって聞いたけど…)」

 

 束が鈴の名前を覚えた事に鈴自身は戸惑っていた

 だが、そんな鈴の戸惑いに気付かず束は説明を始めた

 

「君の機体は【四大竜】の一体、【メギドラモン】がモデルになってるんだよ。」

 

 そして束はモニターに【メギドラモン】を表示した

 だが、それを見て鈴の眼が点になった

 

「………え?…何このデジモン…無茶苦茶悪そうなんですけど?」

 

 それが【メギドラモン】を見た鈴の感想だった

 鈴の感想に千冬達も頷いた

 【メギドラモン】は余りにも凶悪な姿をしていたからだった

 だがそれも仕方なかった

 何故なら…

 

「そりゃそうだよ。【メギドラモン】はウイルス属性の邪竜型デジモンなんだから。」

 

「じゃ、邪竜型!?しかもウイルス種なんですか!?」

 

 【メギドラモン】はウイルス種の邪竜型デジモンと言う、【七大魔王】の側にいそうなデジモンだったからだ

 自分の機体のモデルとなったデジモンが他の二人とあまりにも違い過ぎたのだ

 

「ちょっと太一にコロモン!!【四大竜】って【ロイヤルナイツ】と同じ良いデジモン達じゃなかったの!!」

 

コロモン

「う~ん…それなんだけど…」

 

太一

「鈴、【四大竜】の残り3体はワクチンとデータ種の聖竜型デジモンだ。」

 

「…え!?聖竜?ワクチン?データ?………な、何で邪竜型がいるのよ!!何でよりによってそれに進化するのよ!!聖竜型に進化しなかったのよ!!」

 

太一

「落ち着け!」

 

「でも!?」

 

太一

「なら一つ教えてやる。【ロイヤルナイツ】の中にもウイルス種のデジモンは存在するぞ。」

 

セシリア&鈴&千冬

「ええっ!?」

 

 太一は騒ぐ鈴を落ち着かせる為、【ロイヤルナイツ】にもウイルス種が存在する事を教えた

 【ロイヤルナイツ】にウイルス種がいると知り、鈴だけでなくセシリアと千冬までも驚きの声をあげた

 

千冬

「ウイルス種の聖騎士だと!?」

 

太一

「ああ、お前達も同じ考えを持っていたようだがウイルス=悪ではない。まあ【七大魔王】や暗黒系デジモンはウイルスだが、全てのウイルス種が悪いデジモンとは限らないんだよ。」

 

「…そうだったんだ…分かった…ゴメン…」

 

セシリア

「わたくしもウイルスが悪だと思っていました…」

 

千冬

「私もだ…そう思い込んでしまっていた…」

 

 太一の話を聞きウイルス種は悪いデジモンしかいないと言う先入観を持っていた事を3人は素直に謝った

 

太一

「分かってくれればそれでいい…それにこの機体が【メギドラモン】をモデルにしたのは【メガログラウモン】をモデルにしたからだ。」

 

「………え?…もしかしてそう言う進化の流れになってたの?」

 

太一

「ああ…(【デュークモン】の事は言わない方がいいな…)」

 

 実は【メガログラウモン】にはもう一つの進化形があるのだが、それこそ【ロイヤルナイツ】の1体【デュークモン】だった

 だが今の鈴にそれを話せばそっちが良かったと再び大騒ぎしそうだったので黙っておく事にした

 

「それじゃあしょうがないか…」

 

 そのお陰で鈴も大人しくそう言う進化なのだと諦める事にした

 

「納得したところで機体の説明をするよ。」

 

「あ、はい!すみませんでした…」

 

「まあ気持ちは分かるよ。束さんも【メギドラモン】を見た時は何コレって思ったもん。」

 

「ア、アハハハ…やっぱりですか…」

 

「まあね…(それにしても…自分で造っておいて何だけど…この子の機体に選んだデジモン…【メガログラウモン】…本当にとんでもないデジモンだよ…まさか進化形が【ロイヤルナイツ】と【四大竜】だなんて…)」

 

 束も【メガログラウモン】が【デュークモン】への進化が可能だという事は知っていた

 そして改めて【メガログラウモン】の規格外さに内心驚くのだった

 

「じゃあ説明するね。」

 

 気を取り直して鈴の進化したIS【メギド・ドラグーン】についての説明を始めた

 

「まず【メギドラモン】には武器と呼ばれる物は無いんだよ。でもこの機体の武装は進化前の【メガロ・ドラグナー】に装備していた《ペンデュラムブレイド》と《アサルトバランサー》が強化された物になってるよ。」

 

「それが《クリムゾンブレイド》と《クリムゾンテイル》…」

 

「そうだよ、そしてこの機体にはマドちゃんの【シャイン・ドレイク】のような特殊能力は付いてないんだ。」

 

「え?」

 

千冬

「どう言う事だ束?それでは凰の機体は八神妹とオルコットよりも劣ってしまうぞ?」

 

 千冬の言う通りだった

 鈴の【メギド・ドラグーン】はマドカの【シャイン・ドレイク】の様な特殊能力も無ければ、セシリアの【クロスウォー・ドレイク】の様に多種多様の武装と技も無かった

 だが…

 

「確かに能力や武装を見ればそうなるね。でもその代わりこの機体は基本スペックが一番高いんだよ。他の2機と比べて5割増しってところかな?。」

 

全員

「5割!?」

 

 これが理由だった

 鈴の機体は進化した【Dシリーズ】の中で一番性能が高かったのだ

 

「そ!つまり【メギド・ドラグーン】は能力と武装の無さを機体性能で補ってるって事。その中でもパワー…攻撃力が特に高いよ。まあ、あの【メギドラモン】がモデルになってるから攻撃力が特に高くなったとしても不思議じゃないね。」

 

太一

「確かにそう言われれば納得出来るな…だが5割って事は1.5倍も性能差があるのか…」

 

千冬

「…束…お前から見てこの3機が戦えばどれが勝つ?」

 

「う~ん…何とも言えないね?その時の状況や乗り手の練度にもよるけど、この3機は言うなれば三つ巴みたいな物なんだよ…能力、武装、性能のね…」

 

太一

「マドカが能力、セシリアが武装、鈴が性能か…確かに三つ巴と呼べるな…」

 

「そう言う事…てなわけで鈴ちゃん、君の機体は一番性能が高い分、扱いも一番難しくなってるから、機体に振り回されないように気を付けてね。」

 

「はい!!」

 

 束の忠告に鈴は力強く頷いた

 それに束は満足そうに笑うのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 3機の説明が全て終わると…

 

「ねえ太一…他の【四大竜】ってどういうデジモン?」

 

太一

「ちょっと待て。」

 

 突然鈴が【四大竜】について聞いて来たので太一は【デジヴァイス】を取り出し残りの3体のデータを表示した

 

「これが…残りの3体…」

 

千冬

「何々?…【ゴッドドラモン】に【ホーリードラモン】、【チンロンモン】か…」

 

「そうだよ、ちなみに【チンロンモン】は【四聖獣】の一体でもあるよ。」

 

「え?【四聖獣】って…あの【四聖獣】ですか!?じゃあ【チンロンモン】って東の聖獣【青龍】だったんですか!?」

 

「そうだよ。流石は中国の代表候補生だけあって【四聖獣】を知ってたんだね。」

 

「はい、それくらいなら…」

 

 【四聖獣】について鈴は知っていたのだが、生憎とセシリアと千冬は何の事だか分からずにいた

 

千冬

「スマン…その【四聖獣】とは一体なんだ?」

 

マドカ

「お前知らないのか?」

 

セシリア

「すみません…わたくしも分かりません…」

 

「まぁセシリアは仕方ないわよ。【四聖獣】は日本と中国に知られてる言葉だもん。むしろイギリス人のあんたが知ってたら逆にこっちが驚くわよ。」

 

千冬

「それで【四聖獣】とは何だ?」

 

「はい、【四聖獣】って言うのは東西南北の四方を守護する4体の聖獣の事です。それぞれが【北の玄武】【南の朱雀】【東の青龍】【西の白虎】って言います。」

 

セシリア

「…では【チンロンモン】と言うのがその【東の青龍】なのですか?」

 

太一

「そうだ、俺のいた世界の【デジタルワールド】は【イグドラシル】では無く彼ら【四聖獣】が管理していた。」

 

「へ~…じゃあ残りの【四聖獣】はどんなデジモンなの?」

 

 鈴がそう聞くと太一は今度は残りの【四聖獣】のデータを表示した

 

太一

「これが残りの3体、【南のスーツェーモン】【北のシェンウーモン】【西のバイフーモン】と言う。そして【四聖獣】には共通するものがあってな、4体全てが4つの目と12のデジコアを持っている。」

 

 太一がそう説明すると千冬達は【四聖獣】の画像に目を凝らして見始めた

 

セシリア

「言われてみると…4体とも目が4つありますわね…」

 

千冬

「それに周囲に浮かんでいる玉も12個あるな…コレがデジコアと言う奴か…」

 

太一

「そうだ、そして【四聖獣】の力は並の究極体が束になっても足元にも及ばない。その為、一部では最も神に近いデジモンと言われている。」

 

マドカ

「神に近いデジモンか…」

 

太一

「そして第5の聖獣も存在する。」

 

全員

「第5の聖獣!?」

 

マドカ

「【四聖獣】に5体目がいるのか!?そんな話聞いてないぞ!!」

 

「そうだよ!!それに【四聖獣】は四方を守護してるんだよ?5体目がいたとして何処を守るって言うのさ?」

 

 【四聖獣】に5体目が存在する事は束とマドカも知らなかった

 だが…

 

「…5体目…何処を守る………まさか!?」

 

 束の言葉を聞いて鈴が何かに気付いた

 

セシリア

「どうしました?」

 

「…あるわ…5体目が守護する場所が…」

 

千冬

「何?何処だ?」

 

「四方の…『中心』です!!」

 

全員(太一&鈴以外)

「中心!?」

 

「ええ、それに今思い出したけど…【四聖獣】を束ねる聖獣がいるって話を聞いた事があるわ…」

 

「【四聖獣】を束ねる!?そんなのがいるの!!」

 

「はい…【黄龍】…黄金の龍です!…そうよね太一?」

 

太一

「そうだ、【四聖獣】を束ねる第5の聖獣…それが【ファンロンモン】だ。」

 

 そして太一は今度は【ファンロンモン】のデータを表示した

 

千冬

「【黄龍ファンロンモン】…」

 

 【ファンロンモン】の存在に全員が度肝を抜かれていた

 

「ねえ太一…デジモンの勢力ってどれが一番強いの?やっぱり神に一番近いって言う【四聖獣】なのかな?」

 

太一

「それは俺にも分からんが、仮に【四聖獣】が【七大魔王】辺りと戦えば世界が崩壊するかもしれんな。」

 

千冬

「世界の崩壊って…そこまでの強さがあるのか!?」

 

太一

「ああ、尤も【四聖獣】が誰かと戦うなんて事は滅多に起きないけどな…【四聖獣】は基本、【デジタルワールド】の安定を行う為に動く事は無い。どうしても動かなければならない時は配下のデジモンである【十二神将(デーヴァ)】が代わりに動くそうだ。」

 

セシリア&鈴&千冬

「【十二神将(デーヴァ)】?」

 

「【四聖獣】に仕える12体の完全体デジモンの事だよ。それぞれが【十二支】を模したデジモンらしいんだ。」

 

千冬

「【十二支】か、それなら私も知ってるな。」

 

「まあ【十二支】を知らなかったらホントに日本人かって疑う所だよね~?…ちなみにちーちゃん…ちーちゃんの【干支】ってさ~…な~に~?」

 

 【十二神将(デーヴァ)】の説明を終えると突然束は顔をニヤつかせながら千冬に自分の【十二支】を聞いて来た

 それを聞いた瞬間…

 

千冬

「貴様ぁぁぁっ!!…その質問…そのまま返してやるぞぉぉぉっ!!!」

 

セシリア&鈴

「ヒッ!?」

 

 千冬は凄まじい怒気を発し束を睨みつけた

 そのまま二人は睨み合っているのだが…

 

セシリア

「あ、あの太一様…何故お二人はいきなりあの様な険悪な雰囲気に?」

 

 セシリアは何故この様な状況になったのか分からずにいた

 だが、セシリア以外はその理由が分かっているので説明する事にした

 

太一

「それはな…【十二支】を知られると自分の歳がバレるんだよ。」

 

セシリア

「へ?歳?何故ですか?」

 

「日本と中国じゃ毎年【十二支】の動物をローテーションしてんのよ。そして自分の生まれた年がその人の【干支】になるの。つまり…」

 

セシリア

「12年毎に自分の【干支】が回ってくるわけですから、その人の【干支】が分かればそこから逆算して年齢を割り出せるという訳ですね?」

 

「正解!」

 

セシリア

「だから織斑先生は怒ってるんですね…自分の歳を聞かれているのと同じですから…」

 

「そう言う事、だからセシリア、あんたも面白半分で【十二支】を聞かない方がいいわよ。」

 

セシリア

「分かってます、女性に年を聞くのはマナー違反ですもの、同じ女性からでも聞かれたくは無い物ですわ。」

 

 【十二支】の意外な使い道を知ったセシリアは絶対に【十二支】を聞かないと心に決めた

 一方…

 

千冬

「た~ば~ね~~~!!!」

 

「ニャハハハッ♪」

 

 束と千冬はいつの間にか組み合って力勝負をしていたのだった

 そんな二人に太一達は邪魔をしてはいけないと思い、静かに研究室を出て行ったのだった…

 

 




 <予告>

 騒動の落ち着いたIS学園では次のイベント、臨海学校に向けて生徒達がはしゃいでいた

 そんな休日のある日、セシリア、鈴、ラウラ、シャルロットの4人は買い物に出かける

 4人はそこである人物達と出会うのだった



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 休日の一幕

 今、冒険が進化する!


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