ISアドベンチャー 聖騎士伝説   作:イナビカリ

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第027話:金と銀の転校生

 一夏が鈴と千冬から自分の本質を突き付けられた次の日の放課後…

 一夏は改めて太一達と訓練する事になったのだが、やはり鈴を見ると前日の事が原因のせいか表情は暗くなっていた

 さらにそこには…

 

「………」

 

 懲罰房から出て来た箒も【打鉄】を纏ってその場にいた

 

太一

「何故お前もいる?」

 

「私は一夏の訓練担当だ!!」

 

マドカ

「まだ言ってるのか?織斑先生からも役立たずと言われたのに懲りん奴だな?」

 

「何だと!?」

 

太一

「篠ノ之…また刀を振り回すなら力づくで黙らせて放り出すぞ?」

 

「!?…くっ!」

 

 流石の箒もISを纏った太一に力づくと言われては黙る事しか出来なかった

 

太一

「…お前がこの場にいるのは構わん。ただし、お前が教わる側としてならな?」

 

「………いいだろう!ならお前の訓練を見せて貰うからな!!」

 

マドカ

「言ったな?なら余計な口出しはするなよ?」

 

「訓練の邪魔をするなら私達が追い出すからね?」

 

セシリア

「その通りですわ!」

 

「…分かった…」

 

一夏

「………」

 

太一

「さてやるか…<デジタル・セレクト>…【モード:オメガモン】!!」

 

 太一は【オメガモン】を纏うと早速訓練を開始した

 

一夏

「…まずは何からするんだ?」

 

太一

「俺の訓練は常に実戦形式の模擬戦だ。戦いながら色々とアドバイスをしてはその度に改善させている。」

 

一夏

「…実戦形式…」

 

太一

「いつもなら何か条件を付けてやっているが今日はお前達二人もいるから条件無しでやるぞ。」

 

一夏

「条件?」

 

マドカ

「内容は色々あるよ。例えば遠距離攻撃無しとか飛行禁止とかそう言った限定された条件下で太一兄さんは色々と教えてくれてるんだよ。」

 

一夏

「そ、そうなんだ…」

 

太一

「話は終わりだ!始めるぞ!」

 

マドカ&セシリア&鈴

「はい!!」

 

 マドカ達が勢い良く返事をすると太一達4人は上空へ飛び上がった

 一夏と箒も遅れて上がって来た

 

太一

「遠慮は無用!来い!!」

 

「では遠慮なく行くぞ!!!」

 

 太一がそう言うとまずは箒が正面から斬りかかって来た

 

「くたばれえええええぇぇぇぇぇ―――――っ!!!」

 

 物騒な事を叫びながら…

 

太一

「………」

 

 だが太一は体を横に向けるだけで軽く躱し、通り過ぎた箒の背中を蹴り飛ばした

 

「ぐはっ!?…くっ!」

 

太一

「力の入れ過ぎで大振りになってるぞ。もう少し力を抜け。それに正面から斬り付けるにしては速さが足りん。」

 

「黙れえええぇぇぇ―――っ!!!」

 

 太一が改善点を言うが箒は全く耳を貸さず今度は出鱈目に刀を振り回しながら斬りかかって来た

 

太一

「………」

 

 だがそんなただ振り回しているだけの剣が太一に当たる筈も無かった

 

「くそっ!避けるな!!」

 

 すると何時かの一夏の様な事を言いだした

 

太一

「…何を言ってるんだか…まあいいだろう…避けるのは止めてやる。」

 

「何っ!?」

 

 だが、その時と違い太一はいきなり避けないと言って動きを止めた

 それを見た箒は笑いながら刀を構えると…

 

「なら動くなよ…喰らえええええぇぇぇぇぇ―――――っ!!!」

 

 などと明らかに小物の様な事を言って斬りかかった

 だがこの時、周りにいたマドカ達(一夏以外)は箒の浅はかさに呆れていた

 箒は太一が避けないと言った理由が分かっていないからだ

 

「おおおおおぉぉぉぉぉ…」バキッ!「…がっ!?」

 

 太一は箒の剣が当たる直前に左腕を箒の腹に叩き込んだのだ

 殴り飛ばされ吹き飛んだ箒は太一を睨んで来た

 

「卑怯者!!貴様避けないと言ってただろうが!!」

 

 太一を卑怯者呼ばわりする箒だが…

 

マドカ

「お前本当に馬鹿だな。それはただの逆ギレだ。」

 

「何!?」

 

セシリア

「気付かなかったのですか?太一様は避けないとは言いましたが攻撃しないとは一言も言ってませんわ。」

 

「太一はアンタの攻撃が当たる前に殴り飛ばしただけで避けてないじゃない?」

 

マドカ

「それで何故卑怯者呼ばわりされるんだ?」

 

「ぐっ!?」

 

 箒の言う事を逆ギレと言う3人に箒は言い返す事が出来なかった

 

「避けないのならその前に相手に攻撃を打ち込むだけでしょ?アンタ太一が避けないって言った意味が分かってなかったの?」

 

「何だと!?」

 

マドカ

「そもそもお前、以前一夏兄さんが太一兄さんに言われた事忘れたのか?あの時お前もあの場にいたよな?」

 

「何!?」

 

 マドカが言っているのは太一が初めて【ガンクゥモン】を使った時の模擬戦の事だが、箒はその時の太一が一夏に対して言った忠告をキレイサッパリ忘れていた

 

セシリア

「(コレは本当に忘れてますわね…)貴方は本番の試合でも同じ事を言うつもりですか?試合中に相手に避けるなと言って本当に避けない人が何処にいるんですか?貴方は本番の試合の時にも相手にそう言って避けさせないつもりですか?」

 

マドカ

「お前はそんな事で自分の攻撃が当たって嬉しいのか?」

 

「だ、黙れ!!黙れ黙れ黙れえええええぇぇぇぇぇ―――――っ!!!お前は私の言う通りに動かずにやられればいいんだ!!!」

 

 マドカ達の正論に我慢出来ず遂に箒は訳の分からない暴言を言い始めた

 

「それって太一にサンドバッグになってろって事?」

 

マドカ

「お前馬鹿を通り越して最低な奴だな。」

 

セシリア

「それは訓練ではなく只のイジメですわ!」

 

「五月蠅い五月蠅い五月蠅い!!!全部お前のせいだ!!!お前さえ!!お前さえいなければあああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

 もはやマドカ達の言葉すら聞かず全て太一のせいにして襲い掛かって来た

 

太一

「…ハァ…ダメだなコイツ…」

 

 ガキョンッ!ドンッ!ドガァァンッ!(展開⇨砲撃⇨着弾音)

 

「ぐわあああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

 太一は溜息を吐くと《ガルルキャノン》を展開して向かって来た箒を1割以下の最小出力で砲撃した

 さらに…

 

 ドンッ!ドガァァンッ!

 

「ごはあああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

 落下する箒に二発目を撃ち込んだ

 最小出力とは言え《ガルルキャノン》を二発撃ち込まれた箒は地上に墜落して気絶していた

 

一夏

「ほ、箒!?」

 

「放っときなさい。」

 

マドカ

「やっぱり邪魔になったか。」

 

セシリア

「こうなるのが目に見えてましたわね。」

 

 墜落して気絶している箒を一夏は心配するがマドカ達3人は見向きもせずに言い放った

 そんな3人に一夏は何かを言おうとしたが…

 

「言っとくけど今のは全部アイツが悪いわよ。」

 

セシリア

「太一様のアドバイスを聞こうともせずにあのような暴言を吐くんですもの。」

 

マドカ

「自業自得だ。」

 

一夏

「うっ………」

 

 箒に否があると先に言って来た  

 一夏もそう言われてしまっては言い返す事が出来ずに黙り込んでしまった

 

太一

「続けるぞ。」

 

 太一達は気にせずに訓練の続きを始めた

 一夏は箒の事を気にしながらも太一との訓練を始めた

 

一夏

「…いくぞ!!」

 

 そして一夏は太一に向かって行った

 太一は一夏の攻撃を捌きながら問題点を指摘していき、その度に改善させていった

 それは今まで箒と訓練してきた一夏にとって厳しかったがとても充実した訓練となった

 訓練を終えると一夏は気絶した箒を回収して帰って行った

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 それから数日の間も一夏は太一の訓練に参加していた

 但し、マドカ達は今迄と同じ太一との模擬戦だが、一夏は始めはISを用いた基礎的な訓練をさせ、最後に模擬戦を行うと言うものに変えられていた

 更に、訓練を終えた後は自室で1時間ほど座禅を組めとも言われた

 コレは今迄の一夏の失言や行動、更には鈴との一件を考え一夏の精神面が弱すぎると判断した太一の訓練だった

 座禅に関しては理由が分からず一夏が聞いたところ、太一に精神を鍛える為だと言われ納得した

 ちなみに太一に撃ち落とされた箒は次の日もやって来たがマドカ、セシリア、鈴の3人が昨日と同じ事をされるのは迷惑だと言って追い返した

 それからも一夏を連れて行こうと毎日やって来ていたが一夏本人が太一との訓練を選んでいる以上は無理だと言われていた

 当然反発する箒だがその度に3人で返り討ちにしていた

 そんな日々を過ごしていたある日の朝…

 

生徒1

「やっぱりハヅキ社製がいいなぁ。」

 

生徒2

「ハヅキってデザインだけじゃないの?」

 

生徒1

「そのデザインがいいのよ!」

 

生徒3

「性能的にミューレイのがいいなぁ、スムーズモデル。」

 

生徒2

「物は良いけどさぁ、高いじゃん。」

 

 朝から生徒達がISスーツのメーカーの話で盛り上がっていた

 

一夏

「おはよう。」

 

 そこに一夏がやって来ると…

 

生徒3

「あ!織斑君!ねえ織斑君のISスーツってどこのなの?見た事の無い型だけど。」

 

 生徒の一人が一夏のISスーツの事を聞いて来た

 

一夏

「え?何でも特注品らしいよ。どっかのラボで作ったそうなんだ。」

 

生徒1

「へ~そうなんだ~。」

 

真耶

「ISスーツは肌表面の微弱な電位差を検知して操縦者の動きを各部位に伝達、それを受けてISは必要な動きを行います。」

 

 そこにスーツの解説をしながら真耶が教室に入って来た

 

真耶

「また、スーツは耐久性にも優れているので小経口拳銃の銃弾なら完全に受け止めます。ちなみに衝撃は消せませんのであしからず。」

 

生徒2

「山ちゃん詳しい!」

 

真耶

「それは先生ですから…『先生』…ですからね…」

 

生徒3

「あ!」

 

 真耶は自分の変なあだ名にも突っ込まずに自分を『先生』と言った途端に表情が暗くなってしまった

 あれから大分経つが未だに太一に言われた事を引きずっていた

 

真耶

「………今日は…スーツの申し込み開始日ですから…予習してあります…」

 

 真耶は先程の説明の時の口調とは違い沈んだ声音でそう言った

 

生徒達

「………」

 

 そんな真耶に生徒達もどう声を掛ければいいのか分からずにいた

 

本音

「センセ~聞いてもいいですか~?」

 

真耶

「…はい…何ですか?」

 

 そこに本音が話しかけて来たので返事をした

 

本音

「やがみんってスーツ着てないですけど何でですか~?」

 

 太一がISスーツを着ない事を聞いて来た

 今更だが実は太一は今までISスーツを一度も着た事が無かったのだ

 

真耶

「それですか…私も詳しくは知りませんが彼の場合は【ロイヤルナイツ】その物にスーツと同じ機能が組み込まれているようなんです。だから彼自身はスーツを着る必要が無いんですよ…」

 

本音

「そうなんだ~…いいな~着替えなくていいなんて~…」

 

真耶

「…そうですね…私も着替えるのは面倒でしたよ…」

 

 本音が話しかけた事で真耶は少しは立ち直ったようだった

 それを見て生徒達は安心し本音に感謝していた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 それから暫くすると太一が教室に入って来た

 太一が席に着くと今度は千冬とオータムが入って来た

 

千冬

「諸君おはよう。」

 

生徒達

「おはようございます!」

 

 千冬が来ると一瞬で空気が変わった

 

千冬

「さて、今日から本格的な実戦訓練を開始する。訓練機だがISを使用するから気を引き締めて行うように。各自のスーツが届くまでは学校指定の物を使って貰うが、それを忘れたら水着で受けて貰う。それも無いようなら下着でやれ。」

 

 などと男が二人いるクラスで無茶苦茶な事を言う千冬だった

 

太一

「………」

 

千冬

「…まあ下着と言うのは冗談だ。」

 

 千冬自身もこんな事を本気で言ったらまた太一の説教が待っている事は分かっていたのですぐに自分の言った事を取り消した

 

千冬

「まずはHRを始める前に今日からこのクラスに転校生が二人来る事になった、」

 

全員

「え!?」

 

千冬

「入っていいぞ。」

 

 ガラッ…

 

 千冬の合図とともに扉が開き二人の生徒が入って来た

 

全員

「ええっ!?」

 

 だが、クラスの生徒達はその内の一人を見て固まってしまった

 

千冬

「自己紹介をしろ。」

 

?1

「はい!フランスから来ましたシャルル・デュノアです。この学園には僕と同じ境遇の人がいると聞き、本国から転入して………」

 

 一人は男だったからだ

 

女生徒達

「キ…」

 

シャルル

「キ?」

 

女生徒達

「キャアアアアアアアァァァァァァァ―――――――ッ!!!!」

 

 そして3人目が来たともなれば女生徒達も黙っている訳が無かった

 歓喜の雄叫びを上げる中、太一、マドカ、セシリア、千冬、オータムの5人はこうなるだろうと思い予め耳を塞いでいた

 

一夏&箒&真耶

「み、耳がああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

 耳を塞がなかった一夏と箒、真耶は彼女達の雄叫びに耳をやられていた

 

生徒1

「男子!新しい男子!」

 

生徒2

「しかもうちのクラス!」

 

生徒3

「さらに美形!織斑君達と違った守ってあげたくなる系!」

 

生徒4

「地球に生まれて良かった~!!」

 

オータム

「うるせえお前等!静かにしやがれ!!」

 

真耶

「み、皆さん!まだもう1人の自己紹介が終わってませんよ!」

 

 騒ぐ生徒達をオータムと真耶が注意してやっと静かになった

 

シャルル

「ア、アハハハ…」

 

太一

「………(コイツ…まさか?)」

 

 だがそんな中、太一はシャルルを見て違和感を感じていた

 

千冬

「…挨拶をしろ…ラウラ。」

 

ラウラ

「はい、教官。」

 

 太一がそんな事を考えている間に千冬がもう一人の転校生に自己紹介をするように促した

 

千冬

「今の私はお前の教官じゃない、この学園の…教師だ。」

 

ラウラ

「了解…ドイツ軍IS特殊部隊【シュヴァルツェ・ハーゼ】隊長、ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐だ。」

 

生徒達

「………」

 

太一

(ドイツ軍…アイツ軍人か…何故軍人がこの学園に来たんだ?)

 

真耶

「あ、あの…以上ですか?」

 

ラウラ

「以上だ。」

 

 ラウラはそれだけ言うと一夏の前に移動して…

 

ラウラ

「貴様が!!」

 

 バチィン!!

 

 いきなり一夏に平手打ちをかました

 

一夏

「何しやがる!?」

 

ラウラ

「私は認めない!!貴様があの人の弟など!!認めてたまるか!!!」

 

一夏

「…え?」

 

 ザワザワ…

 

 ラウラの突然の行動に生徒達は騒然となった

 

千冬

「(全くアイツは!)HRは以上だ!!今日は2組と合同授業だ!!すぐに着替えて第2アリーナに集合しろ!!」

 

 周りが騒ぐ中、千冬が無理矢理HRを終わらせ授業の為に移動するように促した

 

千冬

「八神、織斑。」

 

太一

「何か?」

 

 太一と一夏が廊下に出ると後から千冬が二人を呼び止めた

 その隣にはシャルルがいた

 

千冬

「デュノアの面倒を頼む。同じ男だろ。とりあえずは更衣室に案内してやってくれ。」

 

一夏

「分かりました。」

 

シャルル

「よろしくね。織斑君♪八神君♪」

 

太一

「あぁ………一夏…悪いがデュノアの案内は任せていいか?」

 

一夏

「え?何でだ?」

 

太一

「俺は少しオータムに用がある。先に行っててくれ。」

 

一夏

「…分かった…なら急ごうぜデュノア!女子は教室で着替えるけど、男子はアリーナの更衣室で着替える事になってるんだ!」

 

シャルル

「あ、うん…」

 

 二人が離れたのを確認すると太一は廊下に出ていたオータムの下に向かった

 

オータム

「用ってなんだ?」

 

太一

「お前も気づいてるんだろ?」

 

オータム

「ん?…クククッ…ああ…シャルル・デュノア…アイツは女だ!」

 

 太一とオータムはシャルルが実は女だという事を見抜いていた

 

太一

「…束に連絡を頼む。あの女の目的を知りたい。」

 

オータム

「分かった。」

 

太一

「…そう言う訳だ…束からの連絡が来たらそっちにも知らせる。」

 

千冬

「…スマナイ…」

 

 太一は後ろにいた千冬にも聞こえる様にそう答えた

 

太一

「こちらとしてもアイツの周りで起きる面倒事を減らしたいだけだ。鈴の時の様な事はもうごめんだからな。」

 

千冬

「…そうだな…本当にスマナイ…あの馬鹿の為に…」

 

太一

「それが俺がココにいる理由の一つだ。」

 

 太一はそう言うと第2アリーナに向かって行った

 

千冬

「………」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 太一と別れた千冬とオータムは一緒に別の通路を通ってアリーナに向かっていた

 

千冬

「…はぁ…」

 

オータム 

「千冬…お前の弟…本当に何とかしねえとマジで色々とやべえぞ?」

 

 その移動中…二人は一夏の今後について話していた

 

千冬

「…分かってる…分かっているんだ…だがアイツは自分を取り巻く環境が分かっていないんだ…いくら言ってもそれを理解しないんだ…この間も外出すると言うから護衛を付けようとしたら拒否した…」

 

オータム

「護衛を拒否しただと?それってよ、殺されても誘拐されてもこっちには文句を言えないって事だぞ?アイツそれを分かって言ってんのか?」

 

千冬

「…分かってる訳無いだろ…アイツは2年前に本当に誘拐されたんだぞ…だから同じ事が起きない様にする為の護衛だと言うのに…その事を分かっていないんだ…」

 

オータム

「なあ、実の姉にこんな事聞くのもどうかと思うけどよ………アイツ脳ミソあるのか?」

 

千冬

「………ある…と断言出来なくなっている…時々カニ味噌が詰まってるんじゃないかと思う時がある…最近ではパチンコ玉くらいに脳味噌が小さいのかと思った事もあったな…」

 

 明らかに失礼な事を聞くオータムに実の弟に対してこれまた失礼極まりない返答をする千冬だった

 

オータム

「………そこまで言うか…」

 

 自分で聞いておきながら千冬がまさかそこまで言うとは思わなかった

 

千冬

「…言うほどだ…それにアイツは今まで自分が男として最低な事をしてきた自覚がまるでなかった…鈴の一件で何とかその事は認識させた…だがそれもどこまで分かっているのか正直分からん…アイツは無自覚に相手を惚れさせ、そのままフッてしまう男だからな…それを今まで無意識にやっていたんだ…分かったからと言って止められるとは思えん…」

 

オータム

「…つまり天然スケコマシのフラグクラッシャーって事かよ…最悪だな…」

 

千冬

「………」

 

オータム

「下手したら今日来たあの二人もアイツの餌食になるぞ?」

 

千冬

「…そうだな…」

 

オータム

「千冬、言っておくが俺がココにいるのは太一のサポートの為だ。お前の弟がどうなろうと興味は無い。アイツが誘拐されようが誰を惚れさせようが勝手にすればいい。だがな、太一の仕事を増やすなよ。アイツの目的はあくまで【七大魔王】を倒す事だ。お前の弟の護衛はそのついででしかないんだからな。」

 

千冬

「分かってる…八神にはそうなった時は【七大魔王】討伐を優先して貰う。アイツが邪魔するようなら私があの馬鹿を叩きのめす。」

 

オータム

「それでいい。尤も太一は【七大魔王】の討伐を優先すると言っていたし、邪魔する奴はお前の弟だろうが束の妹だろうが容赦なく潰すって束には伝えてあるけどな。」

 

千冬

「そうだったのか…そう言っていたならいい…」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 それから二人は第2アリーナに着いたが、太一は既にいたが何故か最初に出た一夏とシャルルはまだ来ていなかった

 生徒の話によると他のクラスの生徒達に追い掛け回されたらしい

 そしてチャイムが鳴ると…

 

一夏&シャルル

「遅くなりました!」

 

 二人がやって来た

 

千冬

「遅い!!」

 

 ガンッ!ガンッ!

 

 とりあえず遅刻した二人に千冬の出席簿が振り下ろされた

 

 




 <予告>

 新しいクラスメイトを加えた2組との合同授業

 千冬はマドカ、セシリア、鈴の3人に太一と戦えと言って来た

 一方の太一は3人に対して最強の盾と最強の槍を持つ第4の聖騎士で迎え撃つ

 果たしてマドカ達3人は勝つ事が出来るのか



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 越えられぬ壁!矛盾のクレニアムモン!!

 今、冒険が進化する!


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