ISアドベンチャー 聖騎士伝説   作:イナビカリ

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これからも頑張っていきます♪


第020話:少女の怒り 崖っぷちの少年

 

 空中では【オメガモン】を纏った太一に束が開発した新型のISを纏ったマドカとセシリアが向かい合っていた

 戦いを始めようとした時、マドカにクロエから通信が入った

 

クロエ

『マドカ様。一つお願いがありました。《トライデントリボルバー》ですが、先ほども言いましたがそれは撃ち続けると砲身が歪みます。』

 

マドカ

「ああ、分かってる。あまりコイツは使わないつもりだ。」

 

クロエ

『いえ、歪むまで撃って下さい。』

 

マドカ

「何?」

 

クロエ

『私が模擬戦を頼んだのは実戦における《トライデントリボルバー》の耐久力を調べる為でもあります。ですからバンバン撃って下さい。』

 

マドカ

「…なるほどな…分かった!………では早速!!…《トライデントリボルバー!!!》

 

 ドンドンドン!!!

 

 マドカは《トライデントリボルバー》の高速3連射で太一に攻撃を仕掛けた

 

セシリア

「参ります!《サイバーランチャー!!!》

 

 それに続く形でセシリアも右手に構えた《サイバーランチャー》を撃って来た

 

 ドギュゥゥンッ!

 

 だが、二人の砲撃を太一は難なく躱す

 そして、マドカとセシリアは自分で撃った武器に驚いていた

 

マドカ

「くっ!?…何て反動だ!コレでまだ未完成なのか!?」

 

セシリア

「【スターライト】の何倍も威力がありますわね。」

 

太一

「どうした?ドンドンかかって来い。」

 

マドカ

「セシリア!接近戦だ!!」

 

セシリア

「はい!」

 

 マドカは《ジオグレイソード》を展開し、セシリアは左腕の《トライデントアーム》を構え、太一に向かって行った

 

 ガキガキィィンッ!

 

 二人の攻撃を太一は両腕で受け止めた

 

マドカ&セシリア

「くっ!?」

 

太一

「ぬんっ!!」

 

 太一は両腕を振るって二人を弾き飛ばした

 

マドカ

「ぐっ!?…まだだ!!《トライデントリボルバー!!》

 

 ドンドンドン!!!

 

 飛ばされながらもマドカは太一に向かって《トライデントリボルバー》を撃って来たが…

 

 ガキョンッ!

 

太一

ガルルキャノン!!

 

 ドガアアァァ――ンッ!!

 

 太一は《トライデントリボルバー》の砲弾を《ガルルキャノン》で撃ち落とした

 

マドカ

「セシリア!!」

 

セシリア

「はい!!」

 

 マドカは体勢を立て直すと同じく態勢を立て直したセシリアに声を掛け二人は機体の全ビーム砲を太一に向けた

 

マドカ

《ライジング…》

 

セシリア

《ギガ…》

 

マドカ&セシリア

《デストロイヤ―――!!!》

 

 二人は広範囲のビーム攻撃を仕掛けたが…

 

 ジャキンッ!

 

 太一は《グレイソード》で二人のビーム攻撃を一振りで弾き飛ばした

 

マドカ&セシリア

「なっ!?」

 

セシリア

「あれだけの砲撃を剣の一振りで…」

 

マドカ

「…流石は【オメガモン】と言った所か…束の新型ですら歯が立たないとは…」

 

太一

「当然だ。俺の知る限り【オメガモン】は《グレイソード》の一振りで数千の砲撃を弾き返した事もあるからな。この程度は俺からすれば弾幕とも言えん。」

 

マドカ&セシリア

「数千!?」

 

 太一は子供の頃の記憶…【ディアボロモン】との戦いの時の事を思い出しながらそう言った

 

マドカ

「数千の砲撃を弾き返すなんて信じられないが…」

 

セシリア

「太一様なら…【オメガモン】様ならそのくらい出来ても不思議ではありませんわね…」

 

マドカ

「そうだな…」

 

 それから、マドカは《トライデントリボルバー》を、セシリアは《サイバーランチャー》とビットを数度撃ち合うと千冬から終了の声がかかり3人は模擬戦を終えた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

クロエ

「お疲れ様です。どうですかその機体は?」

 

 太一達3人が模擬戦を終えて、地上に降りてくると、クロエは早速マドカとセシリアに新型の感想を聞いて来た

 

マドカ

「悪くないが…《トライデントリボルバー》の反動が強いな。」

 

クロエ

「反動ですか…分かりました。そちらの方もやっておきます。オルコット様は?」

 

セシリア

「【ブルー・ティアーズ】よりも格段に性能が上がってますわ♪ビットの操作もとてもしやすかったですわ♪」

 

クロエ

「それは良かったです。」

 

 クロエはそう答えるとマドカとセシリアのISの確認を始めた

 

マドカ

「クロエ…《トライデントリボルバー》は?」

 

クロエ

「…大分歪んでますね。…データを見る限り今回の模擬戦では6発目までは問題なく撃ててます。…9発目まででギリギリと言った所です。ですが10発目以降は完全に歪んで狙いが定まりませんね。」

 

マドカ

「6発か…《トライデントリボルバー》は一度に3発撃つから2回までしか使えないな。」

 

クロエ

「そうなります。」

 

マドカ

「まあ、太一兄さん以外の相手には2回使えれば十分だな。それに歪んだなら《ソリッドストライク》として使えばいいからな。」

 

クロエ

「そうですね。」

 

 その後もクロエは2機の確認を続けた

 

クロエ

「………《トライデントリボルバー》以外は問題ないですね。…今までとは違ったコンセプトの機体ですから少し心配でしたけど。マドカ様もオルコット様も完全とは言えませんがそれぞれの機体を扱えていますね。お2人とも、これなら大丈夫です。」

 

セシリア

「良かったですわ♪」

 

マドカ

「そうだな。」

 

 それから、クロエは二人にいくつか注意をすると、人参ロケットに乗って帰っていった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 太一がマドカとセシリアの新型と模擬戦をしている頃、別のアリーナでは…

 

一夏

「何だとこの貧乳!!………あ…」

 

 一夏と鈴が口喧嘩をしていたのだが、一夏は鈴の禁句を言ってしまった

 

 バキィッ!!

 

 それを聞いた鈴は右腕のみISを部分展開し、地面を殴りつけた

 

「…今…言ってはならない事を言ったわね…」

 

一夏

「(まずい!鈴に『貧乳』は禁句だった!)ご、ごめん!今のは俺が悪かっ…」

 

「今の『は』!?今の『も』よ!!アンタはいつもそうよ!!いつもいつもアンタが悪いのよ!!いい加減自覚しなさいよ!!!」

 

 鈴が自覚しろと言うが肝心の一夏は何を自覚すればいいのか理解出来てなかった

 

「…素直に謝れば手加減してあげようと思ったけど…もう手加減しない!!全力で叩き潰す!!」

 

 鈴はそう言い残すとアリーナから出て行った

 

一夏

「…やっちまった…」

 

 残された一夏は自分の失言に反省すると同時に、更に追い詰められていくのだった…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 次の日、朝のHRで千冬達からマドカとセシリアの機体【Dシリーズ】の事が説明された

 当然クラスの全員はその事に驚いていた

 そしてその日の放課後、太一はマドカ、セシリアと共に訓練に向かおうとした

 

一夏

「な、なあ…」

 

太一

「ん?」

 

 その時、一夏が話しかけてきた

 

太一

「何か用か?これから訓練に行くところなんだが?」

 

一夏

「…そ、それなんだけど………」

 

太一

「用があるなら早く言え。」

 

一夏

「………頼む太一!!俺を…俺を鍛えてくれ!!」

 

 意を決して漸く太一に訓練を頼んで来た

 

「なっ!?」

 

太一

「………」

 

一夏

「…このままじゃ俺は強くなれない!…だから…頼む!!」

 

 頭を下げて太一に頼む一夏

 

太一

「お前何言ってるんだ?」

 

一夏

「何って…鍛えてくれって言ったんだ!マドカやオルコットはよくても俺は駄目だっていうのかよ!!」

 

太一

「お前自分で言った事忘れたのか?」

 

一夏

「え?」

 

 その反応を見て太一は一夏が本当に忘れているのだと分かった

 すると太一は【デジヴァイス】を取り出し操作し始めた

 

全員

「?」

 

 その場にいる全員が太一のしている事の意味が分からずにいた

 そして、操作を終えると【デジヴァイス】から…

 

一夏

『ま、待てよマドカ…そこまで言わなくても…』

 

 一夏の声が聞こえてきた

 

一夏

「こ、これって…あの時の…」

 

 それは数日前、クラス代表が決まった時の会話だった

 太一の【デジヴァイス】は【イグドラシル】が他にも色々と機能を追加していたのだ

 これはその一つ、いわゆるボイスレコーダーの機能がついていたのだ

 太一はあの時、こっそりアグモンに頼み、自分達の会話を録音しておいて貰っていた

 その後も【デジヴァイス】から聞こえてくる会話を全員が聞いていた

 

一夏

『…俺は太一の手は借りない!!』

 

 この言葉を最後に太一は【デジヴァイス】を止めた

 【デジヴァイス】を仕舞うと太一は一夏に視線を向けると…

 

太一

「一夏…もう一度言ってみろ。」

 

一夏

「うっ…」

 

太一

「俺とオータムはお前に何て言った?お前は俺に何て言った?織斑先生はお前に何て言った?」

 

一夏

「………」

 

太一

「ああ言っても後で頼めば手を貸してくれるとでも思ったのか?それとも本当に忘れてたのか?」

 

一夏

「うっ…」

 

太一

「図星か?随分と都合のいい事を考えていたんだな?」

 

一夏

「………」

 

太一

「自分で言った事くらい自分で責任を持て。…それに、今更遅い。」

 

 太一はそう言うと教室から出て行った

 これは事前に太一自身とオータムが言っていた事だった

 だが、一夏はその事を忘れてしまっていた

 

一夏

「………」

 

 太一が断って出て行った事で一夏は漸く自分の認識の甘さを理解した

 一夏は千冬が推薦した太一との訓練を拒否した

 だがそれも、太一の言う通り忘れていた上に頼めば手を貸してくれるだろうと言う考えがあった

 しかし、実際頼んでみれば太一はあっさりと断ってしまった

 そして一夏の耳には先ほど太一が【デジヴァイス】で再生した言葉が何度も聞こえてきた

 

太一

『俺との訓練が嫌だと言うなら今後お前が泣きついて来ようと俺はお前の訓練は()()にしないからな。』

 

一夏

「………本当に手を貸してくれないのかよ…」

 

太一

『碌な勉強も訓練も何一つしなかったお前が他の連中に追いつくにはそれくらいしないと無理だと思うが?』

 

一夏

「…どうすればいいんだ…」

 

 頼みの太一に断られるとは思っていなかった一夏は途方に暮れていた

 そこに…

 

「一夏!!今のはどう言う事だ!!」

 

一夏

「箒…」

 

 案の定、怒鳴りながら箒が一夏に詰め寄って来た

 

「お前には私が教えているだろ!!何故アイツに頼むんだ!!」

 

一夏

「…何故って…千冬姉も最初は太一に教われって言ってただろ?…だから頼もうと…」

 

「だがお前は断っただろ!!それを何故今になって頼むんだ!!」

 

一夏

「…俺はもっと強くなりたい。でもその為にはお前に教わるだけじゃダメだと思ったんだ。」

 

 一夏はそう言って教室から出て行こうとした

 

「待て一夏!何処に行く!!」

 

一夏

「…もう一度頼みに行ってくる。」

 

 そう言うと一夏は太一を追いかけて今度こそ教室から出て行った

 残された箒は…

 

「何故だ…一夏…」

 

全員

「………」

 

 箒は何故自分では無く太一に頼るのか分からなかったが、クラスの全員からすれば一夏の判断は正しいと思っていたのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一夏の頼みを断った太一は、後から来たマドカとセシリアと一緒にアリーナに来ていた

 

太一

「さて、始めるか。」

 

マドカ

「…なあ、太一兄さん…」

 

太一

「…一夏の事か?」

 

マドカ

「ああ…訓練を付けてやってもよかったんじゃないか?」

 

太一

「…いや…ココで頼みを聞くとあの馬鹿を甘やかす事になる。アイツには少し現実の厳しさを教えておいた方がいい。」

 

マドカ

「………」

 

太一

「お前の心配も分かるがクラス対抗戦が終わるまでは手を貸さん。…終わったら千冬からもう一度頼むように俺から言っておく。悪いがそれで納得してくれ。」

 

マドカ

「…分かった…確かにそうだからな。」

 

セシリア

「では始めましょうか?」

 

太一

「ああ…デジタル・セレクト!!【モード:オメガモン】!!」

 

 太一が【オメガモン】を展開すると二人も自分のISを展開した

 

 ザワザワ…

 

 二人が機体を展開すると周りにいた生徒達が騒めきだした

 

マドカ

「ん?何だ?」

 

セシリア

「恐らくわたくし達の機体が原因でしょう。わたくしの専用機は変わっていますし、太一様の機体もまだ全員が見た事がある訳ではありません。そしてマドカさんも専用機を手に入れた訳ですからね。」

 

マドカ

「なるほどな…」

 

太一

「周りの事は気にするな。始めるぞ。今日はそうだな…お前達二人は遠距離射撃が得意だから接近戦の訓練をするか。」

 

セシリア

「接近戦ですか?…確かにわたくしは接近戦が苦手ですわね。」

 

マドカ

「わたしもどちらかと言えばそっちが苦手だな。」

 

太一

「だから今日はそこを重点的にやる。いいか?遠距離攻撃は禁止だ。それだけを守ってかかって来い!!(…さて、この二人は俺の言った事の意味を理解したかな…)」

 

セシリア

「参ります!!《トライデントアーム!!》

 

マドカ

《ジオグレイソード!!》

 

 セシリアは左腕の《トライデントアーム》で、マドカは拡張領域から《ジオグレイソード》を展開して、それぞれ太一に仕掛けたのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「………なによあのIS…全身装甲なんて初めて見た!?」

 

 太一達と同じように訓練に来ていた鈴は太一達3人のISに驚いていた

 

「…あの性能…明らかに手を抜いているのに私の【甲龍】を遥かに上回ってる!?」

 

 鈴は太一達の訓練を見て太一の力が自分の専用機を超えた性能を持つ事に気付いた

 

「それにあのイギリスの専用機…あんな形じゃ無かった筈よね?…事前に手に入れた情報と形状が違い過ぎる!?どう言う事なの?アレも話に聞いた一部のISに感染しているウイルスが原因だって言うの?」

 

 中でもセシリアの機体が変わっている事に驚いていた

 鈴はこの時点で【SINウイルス】の事は国からの報告で聞いていたが【Dシリーズ】に関する情報は何も聞いていなかった

 一方、もう一度太一に訓練を頼みに来た一夏も始めて見た【Dシリーズ】の機体に驚いていた

 

一夏

「………アレが【Dシリーズ】!?………いや!そんな事より…どうすれば太一に鍛えて貰えるんだ…頼んでも断られたし…」

 

 太一達の訓練を見ながらどうやって頼むか考えていた

 

一夏

「………こうなったら!!」

 

 そして一夏は太一に鍛えて貰う為にある考えが浮かんだ

 だが、それが自分をさらに追い詰める事だとも気づかずに…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一夏が碌でもない事を考えている間も太一達の訓練は続いていた

 太一は《グレイソード》でマドカの《ジオグレイソード》を受け止めると…

 

マドカ

「…え?」

 

 右腕の《ガルルキャノン》をマドカの胴体に押し当てて…

 

太一

《ガルルキャノン!!》

 

 ドゴンッ!

 

 《ガルルキャノン》を撃ち込んだ

 

マドカ

「がはっ!」

 

セシリア

「マドカさん!?太一様!遠距離武器は使用が禁止だと仰ったではないですか!?」

 

太一

「…やはり気付いてなかったか。」

 

マドカ

「ぐっ…どう言う事だ?」

 

セシリア

「マドカさん!大丈夫ですか!?」

 

マドカ

「あ、ああ…兄さん…今の砲撃は何だ?あれだけの至近距離で…いや、0距離であの《ガルルキャノン》を喰らって私のSEが残っているのは何故だ?」

 

太一

「今のは空砲だ。0距離で撃っても精々衝撃を受ける程度だ。」

 

マドカ

「空砲であの衝撃だと!?…いや、そんな事より兄さん!今の言葉はどう言う意味だ!!」

 

太一

「思い出してみろ。俺は訓練を始める前に遠距離攻撃は禁止だとは言ったが遠距離武器を使うなとは一言も言って無い。」

 

マドカ&セシリア

「あっ!?」

 

 太一に言われて二人は気付いた

 確かに訓練を始める前、太一は遠距離から攻撃はするなとは言ったが武器は使うなとは言っていなかった

 

太一

「今日の訓練の本来の目的は遠距離武器…つまり射撃武器を接近戦で使う方法を教える事…そして言葉による駆け引きだ。」

 

マドカ

「言葉の駆け引き?」

 

太一

「そうだ、相手が人間である以上言葉は少なからず交わす。ロボットが相手なら別だがな。」

 

セシリア

「そうですわね…」

 

太一

「言葉はただ会話をする為だけの物じゃない。使いようによっては言葉も武器になる。」

 

マドカ&セシリア

「え?」

 

太一

「分かり易く言えば挑発や悪口の事だ。悪口は言わない方がいいがアレも挑発と似たような物だからな。」

 

マドカ&セシリア

「………」

 

太一

「今の攻防もお前達二人は俺が言った『遠距離攻撃は禁止』と言う言葉を『遠距離武器を使うな』と勝手に勘違いしていただろ?」

 

マドカ&セシリア

「あ!?」

 

太一

「つまり言葉一つでお前達は射撃武器を自分達で封じてしまったという事だ。」

 

マドカ&セシリア

「………」

 

太一

「戦う時は相手の言葉を一字一句聞き間違えないように心がけるんだ。一字違うだけでも言葉の意味は大きく変わる事もある。これは俺の経験から来たものだから覚えておいて損は無い筈だ。」

 

マドカ&セシリア

「はい!」

 

 太一がそう言うと二人は大きく返事をした

 生前外交官をしていた事を知っている二人は太一の言う事に納得していた

 

太一

「次に射撃武器で近接戦をする方法だが…」

 

マドカ&セシリア

「………」

 

太一

「今の俺の攻撃がその一つだ。近接武器で相手に接近し、その隙に射撃武器を至近距離で撃ちこむと言った戦い方だ。」

 

マドカ&セシリア

「………」

 

太一

「幸い、お前達の機体はどちらも強力な近接武器と射撃武器を持っている。今の俺の方法を使う事も出来るだろう。」

 

 そう言われて二人は自分達の持つ武器を見た

 マドカは《トライデントリボルバー》と《ジオグレイソード》

 セシリアは《トライデントアーム》と《サイバーランチャー》を見ていた

 

太一

「射撃武器だから遠くから使う物である必要は無い。またその逆、近接武器も使いようによっては遠距離から使う事も出来る。…こんな風にな!」

 

 太一はそう言うと《グレイソード》を真上に向かって振りぬいた

 

マドカ&セシリア

「!?」

 

 降りぬいた《グレイソード》はそのまま斬撃となって上空に向かって行った

 

太一

「まあ、こんな事も出来る。と言ってもこれは《グレイソード》だから出来る方法でもあるがな。だが、お前達も自分の武器を使いこなせれば、いずれ似たような事が出来るかもしれない。だがまずは接近戦の訓練からだ。」

 

マドカ&セシリア

「はい!」

 

 二人が力強く返事をした時…

 

「うおおおおおぉぉぉぉぉ―――――っ!!!」

 

太一&マドカ&セシリア

「ん?」

 

 声を上げながら誰かが襲い掛かって来た

 太一は声の主が誰かすぐに分かったが、とりあえず《グレイソード》でその攻撃を受け止めた

 

 ガキィン!

 

太一

「何のつもりだ一夏。」

 

 そう、太一に斬りかかったのは一夏だった

 

一夏

「…お前に訓練の相手になって貰う為だ!!」

 

太一

「それはさっき断っただろ?」

 

一夏

「ああそうだ!お前が相手をしてくれないなら無理矢理相手になって貰う!!」

 

 一夏が仕掛けてきた理由を聞き、太一は呆れ果てた

 

太一

「随分勝手だな?俺との訓練を嫌がったのはお前だろ?あれだけ啖呵を切ってそれを今更相手をしろとは随分と虫のいい話だな?」

 

一夏

「ぐっ!…ああその通りだ!…虫のいい話だってのは分かってる!それでも今の俺はそれだけ追い詰められてるんだよ!!」

 

太一

「それはお前の自業自得だ!さっきも言ったが少しは自分で言った事に責任を持て!」

 

 太一はそう言うと《グレイソード》で一夏の【雪片弐型】を弾き飛ばすと《ガルルキャノン》を一夏の体に押し当てた

 

一夏

「…え?」

 

 バコォォン!

 

一夏

「ぐあああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」

 

 先程のマドカと同じ様に0距離で《ガルルキャノン》を撃ち込んだ

 しかし、今度は威力を抑えているとはいえ、実弾を撃ち込まれたので一夏は爆発と共に地上に墜落した

 《ガルルキャノン》を喰らった【白式】はSEが0になり、強制解除してしまった

 

太一

「…さて、続きを始めるぞ。」

 

マドカ

「…いいのか…アレ?」

 

太一

「放っておけ。自分の思い通りにならないからって無理矢理付き合わせようする奴にはいい薬だ。それに…」

 

マドカ&セシリア

「それに?」

 

 太一は地上に落下した一夏が気絶しているのを確認した

 

太一

「…仮にアイツに無理矢理とは言え付き合ったら、それで味を占めて俺が訓練をする度にやってくる可能性がある。」

 

セシリア

「そう…ですわね…」

 

マドカ

「…だな…」

 

太一

(…馬鹿な奴だ…今の行動も自分を追い詰める事だと分からないのか?…これじゃあ、大会の後に千冬に頼んで訓練を当てて貰うのも難しくなったな…)

 

 太一は地上で意識を失っている一夏を見ながら、その愚かとしか言いようのない行動に呆れ果てていた

 

太一

(仕方がない…後で千冬に少し相談するか…)

 

 太一はそんな事を考えながら二人の訓練を続けた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「…アイツ…何してるんだろ?」

 

 鈴はアリーナでのびている一夏を見て一連の行動に首を傾けていた…

 

 

 




 <予告>

 遂に始まるクラス代表戦

 一回戦は何と1組の一夏と2組の鈴

 だが、相も変わらず鈍感な一夏の態度に鈴の怒りは頂点に達した

 それは怒りの魔王の目覚めの時だった



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 魔王覚醒!憤怒の罪デーモン!!

 今、冒険が進化する!


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