ラナークエスト   作:テンパランス

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#004

 act 4 

 

 基礎的な部分をクライムから学び、装備品の確認を(おこな)う。

 王女とはいえ武器を装備できないわけではない。

 一般的にはショートソードとメイス。

 HPは5から10。

 

「……私の生命力も数値化されているのですか?」

「目安ですよ。ガゼフ様くらいになると100ポイントは超えているのではないでしょうか?」

 

 減ったままにはならず、休息やアイテムで回復する。

 特別なスキルというものはまだ分からないけれど、武器が扱えるのならば戦闘は可能だ。今はそれだけ分かればいい、と判断する。

 

 

 ラナー・ティエール・シャルドロン・ライル・ヴァイセルフのステータス。

 職業(クラス)

 『王女(プリンセス)』レベル2

 HP8

 MP0

 物理攻撃9 物理防御7 素早さ15

 魔法攻撃0 魔法防御13 総合耐性12 特殊15

 

 

 ステータスはほぼ全裸の状態が基準となっている。ここに装備や魔法による加護で数値は色々と変動する。

 レベルを上げたり、前提条件を満たせば新たなスキルを追加する事は可能だ。

 武技は(ひらめ)きのようなもので急に使えるようになったとクライムは言った。

 いつの間にか使える能力というのはラナーといえど首を傾げるものなのだが、説明出来ないことは色々とある。

 魔法を使うこともそうだ。

 勉強しただけでは使えない。それなのにある日、突然に魔法の矢が飛び出すのだから。

 

          

 

 一介の冒険者とはいえリ・エスティーゼの第三王女。安物を装備させて危ない場所に放り込む事は出来ない。

 防具は特別に作らせたミスリル製で統一。アダマンタイト製は王国には数えるほどしかない貴重品で尚且つ男性用ばかり。

 強力な武器も無く、また装備の関係からミスリル製を一揃い用意した。

 

「ミスリル鉱山を独り占めする貴族が居たような……」

 

 ラナーは首を傾げた。

 六大貴族の中に利益を独占する者が居た筈だ。だが、それを自分が指摘する立場に無いし、今は冒険者としての目的が最優先事項だった。

 折角、クライムが用意してくれたのだから野暮な詮索はしないでおこうと思った。

 

「ラナー様の筋力ならショートソードが手ごろだと思います。ブロードソードとかはまだ重いでしょう」

「防具も身につけなければなりませんし。わがままは言いません」

 

 王国の秘宝とか。

 

「レベル2でクレイモアを装備するのは無茶ですものね」

「軽い素材なら可能かもしれませんが、扱いが難しいと思います。身体が振り回されると思いますよ」

「盾も必要でしょうね」

「無いよりましですから。小鬼(ゴブリン)と言えど弓兵(アーチャー)が居る可能性があります」

「……痛いのは嫌ですわね」

 

 最初から重装備は出来ないので必要最低限で尚且つしっかりと身を守れる装備を選定していく。

 ミスリルとはいえ、材料不足なのか、とても薄く感じる。軽量化だと思えば納得出来そうだ。だが、命を守るには心許ない。打撃には強いと聞いたけれど。

 小鬼(ゴブリン)程度なら今の装備でも大丈夫なのかもしれない。

 それはおいおい考える事にしよう。一人で戦うわけではないのだから。

 


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