ラナークエスト 作:テンパランス
聖王国以外の存在を忘れていたが、そちらは時間制限が無いらしいので後回しにする。
地上に居る人間達ものんびりと
せいぜい元の世界に帰る方法がわからない程度。
それはオメガデルタが検討している案件でもある。
もっとも、オメガデルタは長い時間をかけて自力で帰る方法を模索している。
彼女達が自力の方法を選んだ場合は途中は死ぬ確率がほぼ確定になる。
「せめてクローシェ様だけでも助けて上げて下さい」
そう言ったのは地上で顔合わせした
青黒い髪の女性で金髪で胸の大きなクローシェ・レーテル・パスタリエを抱き寄せていた。
「毒とか?」
「
彼女達レーヴァテイルにとって
見た目はポーションと一緒。
短命な運命を背負っているレーヴァテイルは定期的に
その薬が切れるとレーヴァテイル達の人生が終わる。文字通りの死だ。
「……裸云々とか余計な事は聞いてませんよね?」
オメガデルタは先に尋ねた。
既に聞いているとただただ騒がしくなる。
それはまるで文字数稼ぎしている行為のようで嫌気が差す。
「……多少は……」
恥じらいながら言われるとオメガデルタも少し困惑する。しかし、そんな欲望は今はどうでもいいので話しを進める事にする。
今回の自分の役割はただの脇役だ。
メインの主役たるラナーは何をしているのか。
まだ金貨の落下でも眺めているとか、かと思った。
確かにあれは数時間は終わらない。
「……本体ならまだしも今の私は
シズ・デルタを素体としているのだが、これでもオリジナルより高性能にカスタム化されている。
機能面のみに特化した身体だ。
† ● †
そんな事を考えても、言っても彼女達には関係ないので思考を切り替える。
レーヴァテイルは寿命が迫ると一気に老化するわけではなく、身体が不調を訴えるようになるだけ。
延命剤という名前なので寿命を延長すれば健康になれるなら、出来ない事は無い。
貴重な人種は手に入れたいが、それを彼女たちが素直に了承する筈がない。
胸揉みはもちろん個人の趣味だ。それに拒否権は行使できる。
「……いい声してるから声優コレクションも……」
ただし、並ぶのは『口唇蟲』だ。見た
それと自分で声を出す事になってもあまり実感が湧かない。
他人の声としては満足できるのだが。そこはどうしてなのか疑問だ。
自分の声ではないから魅力を感じるものなのかもしれない。
「声ですか?」
「気にしないで下さい。バカな未来が浮かんだだけです」
生き物だし、声質も変化しそうだ。それに長生きする確証がない。
仮にあったとしても一時の満足で終わるのが関の山だ。
「君たちがどういう成長を遂げるのか興味がある。その身を差し出すならば……、私は可能な限りの願いを叶えると約束する」
意地悪な言い方だが間違っていない。
この施設を十全に扱えるのは自分だけだ。部外者にはまだまだ時間がかかる厄介な施設だから。
「……クローシェ様のためならば……何なりと……」
瑠珈は深く頭を下げた。
その覚悟に見合う何かを彼女は抱いている。とはいえ、オメガデルタは彼女達の事情にはあまり興味が無い。
あるのはただの興味。自分の欲望に見合うものだけだ。