かてきょーリリカルREBORN   作:BREAKERZ

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遂に新章突入!


Striker編 第二部
運命の休日、くるⅠ


ーーーーあのなのはの暴走から数週間が経過していった。

雲雀は相も変わらず未来の自分が創った会社のプライベートフロアでのんびり過ごしていたり、なのは達隊長陣も、自分の未熟さを理解して、時々ツナ達とガチの模擬戦(リミッター解除で)を行ったりしていた。無論、リミッター付きよりちょっとマシになったレベルの戦い様で、勝敗は敗け続きだが。

そしてそんな中、FW陣はさらなるレベルアップをしていった。

先ずはティアナ。周りへのコンプレックスを解消したせいか、以前よりも視野が広くなって周りに目を向けられるようになり、仲間達との連携と言った戦略を考えたり、リボーンから射撃を、はやてから戦術の勉強を。管理局基準ではトップレベルの幻術使いであるクロームから師事を受け。さらには山本や了平から近接戦闘等を学び、自分の戦闘スタイルの幅を広げていった。

スバルも自分の戦闘スタイルが似ている了平から、近接戦を極めようと努力していた。だがまあ、了平の常時死ぬ気な戦闘訓練にボロボロになるのも常だが。人より頑丈にできてるスバルなら問題ないだろう。

キャロもそんな周りに感化されたのか、以前よりも体力作りや自分の力を引き出す訓練等を行うようになっていた。

そしてFW陣で誰よりも成長しているのは、エリオであろう。明確な目標となる『兄貴分』達の背中を見て、今まで以上に訓練に励み、その姿を雲雀に目撃されてしまったのが運の尽きなのか幸運なのか、雲雀はエリオの素質と才能を見抜き、模擬戦の相手をするようになった。勿論、エンマとザフィーラが見張り役をしている。さもなくば、エリオの保護者である過保護なフェイトが騒ぐからだ。

さらに、ツナ達はFW陣に、自分達が〈ネオ・ボンゴレファミリー〉と〈シモンファミリー〉と言う、地球のマフィア、つまり犯罪組織である事を知ったが、それよりも寧ろ、なのは達の故郷には、管理局の魔導師を遥かに凌ぐ強者達がいる事に驚いていた。

そんなある日。そして、この日ーーーー神様の悪戯か、悪魔の導きか、ツナはある『少女』と出会うのであった。

 

 

 

ーツナsideー

 

『休暇?』

 

食堂で昼食を取っていたツナ達ボンゴレファミリーとエンマは、はやてに告げられた言葉に首を傾げる。

 

「せや。今朝の訓練で、ティアナ達が第2段階の見極めテストに合格してな、今日一日お休みにしたんや。そこで、ツナさん達にも色々お世話になってるから、皆さんにもお休みをあげようと思うたんや」

 

『おおっ!』

 

「街にでも出かけて、遊んで来てエエよ」

 

『やったぁっ!!』

 

この『八年後のミッドチルダ』に来て以降、任務以外では機動六課の隊舎に缶詰めにされていたツナ達は、久しぶりに外に行けるのを喜んでいた。

が、しかし。

 

《・・・・当日は、首都防衛隊の代表レジアス・ゲイズ中将による管理局の防衛思想に関しての表明も行われました》

 

『・・・・?』

 

食堂のモニターに映っているニュースキャスターの言葉を聞いて、その場にいた全員がモニターを見た。

そこには、一人の壮年の男性がなにやら力説している場面が映し出されており。

 

《魔法と技術の進歩と進化は素晴らしいものである。が、しかし! それがゆえに我々を襲う危機や災害も十年前とは比べものにならないほどに危険度を増している!! 兵器運用の強化は進化する世界の平和を守るためである!!》

 

「誰だ? この厳ついオッサン?」

 

獄寺の疑問になのはが答える。

 

「彼は『レジアス・ゲイズ中将』。〈時空管理局地上本部〉の『総司令』だよ」

 

「総司令? そりゃまた随分と偉い人なんだな」

 

「まぁな。でもこのオッサンはまだこんな事を言ってるよ」

 

「レジアス中将は古くからの武統派だからな」

 

山本の言葉に、ヴィータはスープを飲みながら呆れてり、シグナムがレジアス中将を補足する。

 

「だが一理はあるぞ。この間の『新型ガジェット』が良い例だ。ヴィータやシグナムを圧倒するような奴らが現れるからな」

 

リボーンがエスプレッソを飲みながらそう言った。確かに、以前現れた『新型』は、リミッター付きとは言え副隊長達を倒したのだから。クロームはレジアスの隣にいる三人の老人達について尋ねる。

 

「あの中将さんの隣にいる、三人のおじいさんとおばあさんは誰なの?」

 

「右から『ミゼット提督』、『キール元帥』、『フィリス相談役』よ。『伝説の三提督』って言って、管理局の黎明期から今の形まで整えた偉大な方なんだよ」

 

それをフェイトが説明する。

 

「ふーん。あれ、と言う事は、あの人達は〈トゥリニセッテ〉の事とか知ってるのかな?」

 

「リンディ以上の権限を持っているからな。当然、知っているだろうな」

 

エンマの疑問に、リボーンが答えた。〈時空管理局〉にとって、触れてはならない禁忌のロストロギア〈トゥリニセッテ〉。三提督のような上層部なら知っているだろう。

 

「でもこうして見ると、普通の老人会だな」

 

「極限にそうだな」

 

そう言うヴィータと了平をフェイトが注意する。

 

「ダメだよヴィータ、了平、偉大な方たちなんだよ」

 

「おお、すまん」

 

「ま、あたしは好きだぞ。ばーちゃん達」

 

ヴィータがそう言うと、全員の視線が集中する。

 

「防衛任務を受け持った事があってな。ミゼット提督は主はやてやヴィータ達がお気に入りのようだ」

 

「あぁ、そっか」

 

「ヴィータって、ゲートボールのおじいさんやおばあさん達のアイドルだったね」

 

シグナムの言葉に全員が納得した。海鳴市でヴィータはゲートボールをしていた老人達と遊んでおり、すっかりアイドル扱いされていたのだ。

そして山本が思い出したように口を開いた。

 

「そう言えば、街にはどうやって行けばいいんだ?」

 

「あ、そっか。ツナさん達はこの辺の地理はほとんど知らないんだよね?」

 

「一応ここから街までは一本道やけど、歩きやと時間掛かるしなぁ・・・・ツナさん達、バイクとかは?」

 

「心配ねぇ。訓練済みだ」

 

「あっ、僕はバイクの運転できないよ・・・・」

 

ツナ達ボンゴレ(クロームとランボを除く)は『未来での戦い』でバイクの訓練をしていたが、エンマはまだしていなかった。最近、プレシアがファミリー全員用にバイクや車のシミュレーションを作っていた気がしていた。

 

「でも、俺達全員分のバイクって、そんな簡単にーーーー」

 

「ーーーー失礼します。10代目」

 

食堂に人間形態、しかも黒スーツのザフィーラが入ってきた。黒スーツと言う事は、『HUHKI』の重役としてやって来たと言う事を意味しているのだが。

 

「雲雀様から、皆様宛に荷物が来ております」

 

『???』

 

首を傾げる一同をザフィーラが案内すると、六課隊舎前に、運送用トラックが鎮座しており、荷台の側面が開くとソコには。

ーーーーそれぞれの死ぬ気の炎のカラーリングがされていた、〈ミッドチルダ〉製のバイクであった。

 

「ザフィーラ、これって・・・・?」

 

「この時代の10代目が、もしもの時に備えて、雲雀様に預けていたバイクです。雲雀様が、『邪魔だから返してこい』、と言ったので届けに来たようです」

 

「えっ? 俺が?」

 

「おぉおおおおおおおっ! ありがとうございます10代目! 俺の為にこんな素晴らしい贈り物を用意していただいて!」

 

「い、いや、獄寺くん。用意したのは『この時代の俺』だから・・・・!」

 

ザフィーラの言葉に、ツナが目をパチクリさせるが、獄寺は感激したように目を輝かせた。

そして、リボーンがカラーリング的にツナ用のバイクを点検すると。

 

「・・・・・・・・・・・・成る程な。見た目こそ〈ミッドチルダ〉のバイクだが、中身は『死ぬ気の炎』で動くボンゴレ特性バイクだな」

 

「はい。『入江正一』氏と『ジャンニーニ』氏と『スパナ』氏が改良した物です」

 

「フム。ツナ、少し吹かしてみろ」

 

「う、うん・・・・」

 

ツナが自分のバイクに近づくと、ザフィーラから『エネルギー補給用リング』を受け取り、『大空の死ぬ気の炎』を灯し、バイクの給油口になっている窪みにリングを押し付けると、バイクの燃料メーターが一気に『FULL』になった。

 

「あれ? あんまり注入していないのにもう満タン?」

 

「改良されておりますからね。少しの炎で満タンにすれば、ざっと一ヶ月近くは大丈夫との事です」

 

「流石は正一達だな」

 

ツナがバイクを吹かすと、以前は腹に響く程の凄まじい爆音が鳴っていたが、このバイクからは静かなエンジン音が鳴っていた。

 

「音も静かだ。でもさ、俺達免許がーーーー」

 

「あぁ、免許等もこの時代の雲雀様が準備しておいたそうです。交通ルールも地球とそんなに変わらないのでご安心を」

 

「あのザフィーラ、それ偽造ーーーー」

 

「細かい事は言いっこなしやで、フェイトちゃん」

 

汗を一筋垂らすフェイトにはやてが苦笑しながら止めた。雲雀と付き合うようになってから、はやても結構色々と『悪<ワル>』を覚えたようだ。


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