かてきょーリリカルREBORN   作:BREAKERZ

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最強の守護者、未来に来る

ーなのはsideー

 

なのはが漸く泣き止んだその時、ガジェットが出現したという報告が入り、ツナと一緒にヘリポートに行くと、フェイト達にFW陣も既に集合した。

 

「今回は空戦だから出撃は私とシグナム副隊長、ヴィータ副隊長の三人だよ」

 

「えっ、フェイトちゃん、私は・・・・」

 

「なのは。お前は五日間の謹慎処分中だろ。まだ二日しか経ってねぇんだ。今回はFWの奴らと一緒にお留守番だ」

 

「自業自得だぞ」

 

「うっ・・・・!」

 

ヴィータとリボーンの言葉に、なのはは何も返せず下がった。

 

「FW陣も、それでいいな?」

 

「「はい!」」

 

「「はい・・・・」」 

 

エリオとキャロは元気良く返すが、ティアナとスバルが少し元気なさげに返した。

と、その時、なのは達にはやてからの念話が、ツナ達のインカムからアインスの声が響いてきた。

 

《大変や皆! これ見たって!》

 

《10代目! 皆さん! 映像を送ります! ご覧ください!》

 

空中モニタが表示され、全員の目が集まると、モニタの中でホテル・アグスタでヴィータとシグナムとザフィーラを圧倒した“新型ガジェット”、しかも形状が異なっており、さらに改良されたのが分かる機体が十数機、内の三機がーーーー紫色のトゲ付きの雲に串刺しにされて爆発した。

 

『・・・・・・・・あっ!』

 

『・・・・・・・・げっ!』

 

「「「「???」」」」

 

その紫色の雲を見た瞬間、ツナ達の反応は、ガジェットと交戦しているのが誰なのか察して顔を青ざめたり苦笑する者達、苦虫を千匹ほど噛み潰したような渋面を作る者達と別れた。

FW陣が首を傾げていると、リインは念話と通信、どちらにも嬉しそうに弾ませた声を響かせる。

 

《雲雀さんですぅーーーー!!》

 

リインの声に続くように、モニタから胸にカプセルを着けた仮面の戦士二人と交戦している、『雲雀恭弥』が猛禽類の如く鋭い目付きと、ニヤリと冷笑を浮かべながらトンファーを振るって元気に戦っている姿が現れた。

 

「おっ、あれって『伊達さん』に『後藤さん』か?」

 

「いや良く見ろ」

 

山本が仮面の戦士達の名を呼ぶが、獄寺が指差すと、仮面の戦士二人が雲雀のトンファーに貫かれ、そのままデータのように消えてしまった。

 

「おおっ! 二人が消えてしまったぞ!」

 

「データのようになって消えた。・・・・『ディエンド』、いや、『海東』さんだね」

 

「あの『泥棒ライダー野郎』が雲雀を連れてきやがってって事だな」

 

何やらあの仮面の戦士の事を知っているような口振りのツナ達に、なのは達が首を傾げていると、リボーンが面白くなりそうだと含み笑みを交えて声を発する。

 

「ーーーー雲雀が戦い始めたら相手を殲滅するまで止まらねえからなぁ。ツナ、エンマ、空中戦になるならお前らが行け」

 

「「やっぱり俺(僕)達!?」」

 

「あの! 私達も!」

 

「アホか。お前らでどうにかできる相手じゃねえぞ雲雀は」

 

『うっ・・・・』

 

リボーンの言葉に、フェイトとシグナムとヴィータが口ごもる。ツナとエンマに手も足も出ずにボロ負けしたなのはとフェイトはもとより、二人とほぼ互角のシグナムとヴィータでは、雲雀の相手が務まるとは思えない。

 

「それと、はやて。リインとザフィーラも連れていくから許可をくれ。雲雀を宥められるのはアイツらくらいだ。後、こっちに来た雲雀にハンバーグでも作っておいてくれ」

 

《了解や。久しぶりに『はやてちゃん特性 スペシャルハンバーグ』の出番やなぁ! 腕が鳴るわ! んじゃリイン。ザフィーラにも連絡を《主。宜しいでしょうか?》 ありゃザフィーラ?》

 

はやてとの通信中に、ザフィーラが割り込んできた。どうやら司令室に入ってきたようだ。

 

《妙な感覚を感じたのですが、何か起こりましたか?》

 

《・・・・ツナさんばりの直感力しとんねんな。ほら、あの人や》

 

《っ! 雲雀様!?》

 

ザフィーラがモニタに映る雲雀を見て、思わず様付けで呼んだ。

 

《ザフィーラ。リィンを連れてツナさん達と一緒に雲雀さんを迎えに行って。私は特性ハンバーグ作っとくから》

 

《承知いたしました。行くぞリィン》

 

《はいですぅ!》

 

《じゃぁ皆、あとよろしくな》

 

そう言ってはやてからの念話と通信が切れた。

エリオが堪らずツナに話しかけた。

 

「ねえツナ兄ぃ、雲雀さんってツナ兄ぃ達の仲間、なんだよね?」

 

「う~ん・・・・」

 

ツナが困ったような笑みを浮かべ、他の人達も渋面を作った。リボーンがニヤニヤと笑みを浮かべながら話し出した。

 

「自分の掲げる『正義』を第一に考えて行動するヤツでな。さらに馴れ合うのと命令に束縛されるのが大嫌いな性格で、時には味方には敵にもなる。そんなヤツだぞ」

 

「・・・・どういうヤツなのよ」

 

「ムカつくが、俺ら守護者の中じゃかなり強い方だ。10代目と古里でも、野郎とタイマンするなら無事じゃすまねえ」

 

半眼になるティアナに、獄寺がため息混じりにそう言った。

と、そこで狼形態のザフィーラとその頭の上にリインがやや早歩きで向かってきた。

 

「お待たせしました10代目。すぐに参りましょう」

 

「雲雀さんをお迎えに行くですぅー!」

 

リインが雲雀に会える事を嬉しそうに言い、ザフィーラはキリッと真面目にしているが、尻尾がフリフリと振られており、喜びを隠しきれていないのが丸分かりである。

 

「お前らとはやてだけだよ、雲雀が来るのを歓迎しているのは・・・・」

 

呆れる獄寺を尻目に、ツナはなのはに耳打ちする。

 

「なのはちゃん。これを機に皆とちゃんと話し合うんだ」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

不安そうになるなのはに、ツナが後ろを向かせるとソコには。

フェイトにヴィータ、シグナムが「私達がいるんですけど? 忘れてませんか? ツナ(10代目)に比べたら頼りないでしょうけど」と言いたげな目でなのはを半眼で見据えていた。

 

「・・・・にゃははは、皆、ありがとう・・・・」

 

なのはが小さく笑みを浮かべてフェイト達に感謝を言った。

 

「さて、俺らが行くぞ。獄寺、山本、了平。こっちは任せた」

 

「了解っす」

 

「おう」

 

「うむ!」

 

三人の返事を聞くと、ツナとリボーンとエンマ、ザフィーラとリイン。乗せ、ヘリは現場に向かって飛びだって行った。

 

「(ありがとう・・・・ツナさん・・・・)」

 

なのはは心の中でツナに感謝すると、FW陣に向き直った。

 

「ーーーー皆、話したい事があるの」

 

 

 

 

 

 

ー雲雀sideー

 

ーーーーグシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンッ!・・・・・・・・ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンンッ!!

 

その頃、雲雀は仮面の戦士達の偽物達と死ぬ気の炎を使う機械の軍団を破壊し終えると、軽い運動をしたように少し伸びをすると、退屈そうに欠伸をした。

 

「ふわ~・・・・本物の方がもっと噛み殺しがいがあったな」

 

あれだけの軍団を相手にしても、雲雀はまるで余裕の態度を崩さなかった。

 

「・・・・ん?」

 

雲雀がふとヘリコプターのプロペラ音を聞いて顔を向けると、ヘリコプターがこちらに向かってきた。

機械の軍団の持ち主か、草壁が迎えに来たのかと思ったが、ヘリコプターから小さな影が飛び出し、こちらに向かって飛んで来た。敵かと思ったが、その思考は向かって来る影の正体が分かると、すぐにトンファーを袖口にしまった。

 

「雲雀さーーーーーーーーん!!」

 

そう、リインだった。

リインは雲雀の近くに来るとポンッ、と身体をヴィータくらいの年齢の子供のサイズになり、雲雀に抱きついた。

 

「雲雀さん! 雲雀さん! 雲雀さんですぅ!!」

 

抱きついたリインは激しく頬擦りしながら雲雀に甘えていた。リインを優しく受け止めた雲雀は、小さく笑みを浮かべ、リインの頭を撫でた。

雲雀恭弥と言う人間を知る人達が見たら、目をひんむきながら驚くだろう。

次にヘリコプターが地面に着地すると、トテトテと早歩きで狼形態のザフィーラがやって来て頭を垂れた。

 

「ーーーーザフィーラ」

 

「はっ!」

 

「これはどういう状況だい?」

 

「恐れながら、ここは雲雀様達がいた時代から、八年後の未来のミッドチルダです」

 

「ふぅん成る程。だから行方不明になっていた小動物達もいるんだ」

 

雲雀はリインは離させてザフィーラの背中に座らせると、超<ハイパー>モードのツナと戦闘形態のエンマに向けてトンファーを取り出した。

 

「やぁ元赤ん坊。君も元気そうだね」

 

「まぁな。所で雲雀、今からヘリに乗ってこの時代のはやて達が作った新部隊の隊舎に来るか?」

 

「・・・・彼女達、強くなった?」

 

「・・・・・・・・正直お前が見たら、“失望するレベル”だ」

 

「ふぅん・・・・」

 

リボーンがそう言うと、雲雀は少し落胆したように肩を落とすと、ツナとエンマに向けてトンファーを構える。

 

「少し運動不足でね。解消役、やってくれる?」

 

「構わねえぞ。ツナ。エンマ」

 

「「ああ」」

 

ツナとエンマが拳を構えて炎を放出すると、雲雀もその目を細めて、亀裂のように笑みを浮かべてトンファーを構え、『雲の死ぬ気の炎』を放出した。

 

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・!!」」」

 

ツナとエンマ、雲雀がぶつかり合い、橙色と真紅と紫色の炎がその場に爆発したかのように弾けた。

 




雲雀が大人しくついていく性格ではないですね。

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