かてきょーリリカルREBORN   作:BREAKERZ

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今回、守護者登場。


ホテル・アグスタⅣ

ー???sideー

 

獄寺が新型ガジェットと交戦を始める前。

ホテル・アグスタから少し離れた場所で、小さな、それこそ管理局のセンサーでも感知されない程の小さな時空湾曲が発生した。そしてソコから三人の男女が現れる。

一人は、牛柄のフード付きパーカーに短パンを着用した幼い少年と、もう一人は学校の制服を着た高校生くらいの少女。そして、『赤いカブトムシのようなアーマーを纏った戦士』が現れた。

 

「ぐぴゃ? ここどこだもんね?」

 

「ここに、ボス達がいるの? でも、何処を探せば・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

[ハイパークロックアップ!]

 

「「あ!」」

 

不安そうに辺りを見回す少年と少女に、『カブトムシの戦士』は腰に巻いたベルトの左側にある、昆虫のような装置を起動させると、アーマーの随所が展開していき、昆虫の翅のような物が開かれていくと、再び小さな時空湾曲が発生し、戦士のその中に入っていく。

が、その時、置いていく二人に向かって、戦士は天を指差して声をあげる。

 

「・・・・おばあちゃんが言っていた。俺が望みさえすれば、運命は絶えず俺に味方する。同じように、お前達が望みさえすれば、運命は味方してくれるかもな」

 

そう言い残すと、戦士は時空湾曲の中に消え、二人は途方に暮れそうになるが、近くで爆発音が聞こえ、ソコに向かって走り出した。

 

 

 

 

 

ーツナsideー

 

そして時は戻る。

 

「・・・・シグナムとヴィータ、ザフィーラが、撃墜された・・・・?」

 

はやては、シャマルから届いた念話を聞くと、顔を青ざめ、オークション会場から飛び出しそうなる。

が。

 

「待ってはやてちゃん!」

 

「離したってツナさん!」

 

「落ち着いてはやてちゃん!」

 

ツナとエンマが引き止めるが、はやては会場から出ようとし、なのはとフェイトもFW陣が心配なのか、はやてについていこうとする。

 

「落ち着ける訳ないやろ! ヴィータが、シグナムが、ザフィーラがーーーー《・・・・狼狽えてんじゃねぇ、八神はやて部隊長。お前らも行くんじゃねぇ、スターズ隊長・高町なのは。ライトニング隊長・フェイト・T・ハラオウン》っ!」

 

「「っ!」」

 

と、その時、通信機からリボーンの声が、重く、静かに、そして有無を言わせない威圧感が放たれているのを通信機越しに感じて、三人は息を呑んだ。

おそらくリボーンのすぐ近くにいるアインスやロングアーチ達などは、完全に畏縮してしまっているだろう。

 

《はやて。指揮官であるお前が取り乱してどうする。指揮官はどんな状況に陥っても冷静さを忘れるな、とラル・ミルチはそう教えなかったか?》

 

「っ!」

 

はやてが息を詰まらせると、リボーンはなのはとフェイトに声をかける。

 

《なのは。フェイト。お前らもだ。自分の隊員達が心配なのは分かるが、今お前らの任務は、パーティー会場の警護だ。それを捨てて行こうとすんじゃねぇ!》

 

「で、でも・・・・!」

 

「あの子達は・・・・!」

 

《だから獄寺が向かったんだろうが。それに、山本と了平から、裏口でも敵のような存在が現れたと報告を受けている》

 

「「「う、裏口から敵っ!?」」」

 

三人が驚愕した声を発し、リボーンが続ける。

 

《(やっぱり気づいてなかったか)・・・・『敵が真っ正面から馬鹿正直に攻め込んで来た時は、増援、もしくは陽動である可能性があるので、人員を向かわせるべし』。これは戦術の初歩中の初歩だ。これもラルは教えなかったのか?》

 

「「「っっ!」」」

 

リボーンの言葉に、三人は息を詰まらせた。『闇の書事件』からほんの2~3回会って、地獄のような訓練を受けたラル・ミルチから、確かに教えられていた事だ。

 

《裏口の方は山本と了平が対処している。終わったら獄寺と合流する事になっている。だが、会場の方にも何が起こるか分からねえ。お前らはソコにいる客を守る事に集中しろ。唯でさえ和服の女性ばかりの会場で、洋風ドレスのお前ら三人がいなくなったら、それこそ悪目立ちだ。ソコで警護を続けろ》

 

「「「・・・・・・・・」」」

 

三人は悔しそうに顔をしかめるが、ツナとエンマが声を発する。

 

「大丈夫だよ皆。確かにヴィータ達を撃墜させる程の相手を獄寺くん一人で相手するのは不安なのは分かるよ」

 

「でも、獄寺くんもボンゴレ守護者の一角だ。絶対にエリオ達を守ってくれる」

 

「「「ツナ(さん)・・・・エンマ(さん)・・・・」」」

 

二人の言葉に、なのは達は少し表情を和らげる。

 

《(さて、獄寺の今の状況はーーーーっと)》

 

そしてリボーンは、モニタから、戦況を見ていた。

 

 

 

 

ーティアナsideー

 

「皆、無事!?」

 

「大丈夫ですかぁ!?」

 

「「「「し、シャマル先生・・・・! リィン曹長」」」」

 

漸く現場に到着したシャマルとリィンはFW陣と合流し、戦場に目を向けると、ボロボロになって気絶しているヴィータとシグナム、ザフィーラを見て絶句する。

 

「ヴィータちゃん! シグナム! ザフィーラ!」

 

「っ! なんて、事なの・・・・!」

 

「シャマル先生! 隼人さんが!」

 

「隼人くん!?」

 

シャマルとリィンが新型ガジェットと交戦する獄寺に目を向ける。

丁度最初の一撃を相殺した後のようだ。

 

「・・・・・・・・??」

 

獄寺は髑髏の砲台の砲口を新型ガジェットに向ける。が、新型ガジェットはピクリとも動かないでいた。それを不審に思い、訝しそうに睨む獄寺。

その時ーーーー。

 

ーーーーバシュゥゥゥン・・・・!

 

『っ!?』

 

一同が驚くと、新型ガジェットの背面から、直方体のフリードと同じ大きさの『匣』のような物が、煙をあげながら飛び出してきた。

 

「(あれは・・・・)」

 

獄寺はコンタクトディスプレイで調べようとするが、新型ガジェットが突如起動し、獄寺に緑色の電磁砲<レールガン>を放った。

 

「ちっ!」

 

獄寺は寸前で回避すると、『フレイムランチャー』を放ちながら移動する。

 

「(チラッ)」

 

「?」

 

《何ボカンとしてやがるシャマル》

 

「リボーンくん?」

 

と、その際、シャマルに目線を送ってきて、シャマルは首を傾げるが、リボーンから通信が入った。

 

《獄寺がガジェットを引き寄せてんだ。この隙にヴィータ達を助けろ》

 

「あっ、そ、そうね・・・・! 皆、ガジェットに気づかれないように、ヴィータちゃん達を助けましょう!」

 

『は、はい!』

 

 

 

ーリボーンsideー

 

モニタで戦況を見ていたリボーンが、小さく息を吐くと、アインスに目を向ける。

 

「アインス。守護騎士<ヴォルケンリッター>も、随分ぬるくなったものだな?」

 

「・・・・面目次第もありません」

 

リボーンの言葉に、アインスは申し訳なさそうな顔になる。

 

 

 

ー獄寺sideー

 

一瞬獄寺は、視界の端でヴィータ達を担いで離脱しようとするシャマル達を見て、すぐに新型ガジェットに意識を切り換えた。

 

「(コイツの戦法は俺のSISTEMA C.A.Iと同じだが、俺と違って弾の切り替えのない分厄介だな。だが、強敵とはいかねえな)」

 

手数が自分よりも上だが、使っている炎を見て、獄寺は『形態変化<カンピオ・フォルマ>』する必要もないと確信した。このまま『アレ』が再び射出されるのを待って見ようと思ったその瞬間。

 

ーーーーパキッ!

 

「っ!」

 

『!』

 

突然シャマル達の方から枝が折れる音が響き、獄寺と新型ガジェットの目が音の発生地に向けると、ヴィータを担ぐ大きくなったリィンとキャロ。シグナムを担ぐシャマルとエリオ。ザフィーラを支えるティアナとスバルだが、スバルが足元に落ちていた枝を踏んでしまったようだ。

スバル自身、やっちゃった、と云わんばかり顔を青くし、ティアナはすぐに新型ガジェットに目を向けると、新型ガジェットの砲身が、ティアナ達に向けられていた。

 

「野郎!」

 

獄寺が砲口を向けるが、ガジェットの機関銃で攻撃され、それから回避しておりできなかった。

そして、緑色の雷の電磁砲か、ティアナとスバルとザフィーラに向けて放たれた。

 

 

 

ーティアナsideー

 

「「あっ!!」」

 

『ティアナ(さん)! スバル(さん)!!』

 

電磁砲がティアナ達に迫り、ギュッと目を閉じそうになったその時。

 

ーーーーバリバリバリバリバリバリ・・・・!!

 

「ぐぴゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 牛丼! 防ぐもんねーーーー!!」

 

「頑張って、牛さん・・・・!」

 

と、ティアナ達の前に来て電磁砲を防ぐ、黒い大きな牛

と、その牛の背に乗る牛柄のパーカーの少年と、ティアナ達くらいの少女が現れた。

 

「えっ?」

 

「く、クロームちゃん!?」

 

「ランボくんですぅ!!」

 

そう、ツナの『霧の守護者の片割れ クローム・髑髏』と、『雷の守護者 ランボ』であった。

 

「お! クロームにランボか!?」

 

「極限に無事かお前達!」

 

と、ソコでさらにこの場に、山本と了平がやって来た。

 

「武さん! 了平さん!」

 

「アンタ達、どうして・・・・?」

 

「ん? 裏口にいた新型を片付けたから、こっちに助っ人に来たんだぜ」

 

「しかし、『襲撃してきたヤツ』には逃げられてしまったがな」

 

そう、山本と了平も新型と遭遇し、最初の一撃で倒されたーーーーかに見えたが、山本が『雨の死ぬ気の炎』をドーム状に放出して防ぎきり、一瞬で新型ガジェットを斬り捨て、拳で粉砕したのだ。

襲撃してきた『影』はすでに退散していたが。

 

 

 

ー獄寺sideー

 

「(アホ牛に、クローム・・・・!?)」

 

獄寺もランボとクロームの登場に面食らったが、すぐに気持ちを新型ガジェットに切り換える。

 

「獄寺! 手助けいるか!?」

 

「必要ねぇ!」

 

「だろうな!」

 

獄寺は手助けを必要ないと言い、新型ガジェットと交戦を再開する。

 

「ちょ、ちょっと良いの? 獄寺くん一人で《心配ねぇぞスバル》リボーンくん?」

 

スバルの言葉を遮るように、リボーンが通信を寄越した。

 

《獄寺はとっくに、ヤツを攻略している》

 

『えっ?』

 

山本と了平を除いた一同が、リボーンの言葉に目をパチクリさせた。

 

《黙ってみてろ》

 

リボーンがそう言い終わると、ティアナ達は、一見すると、防戦一方状態の獄寺を見据える。

が、その瞬間ーーーー。

 

ーーーーバシュゥゥゥン・・・・!

 

新型ガジェットの背面から、『匣』が射出された。その時。

 

「ーーーー果てな。『フレイムサンダー』!」

 

獄寺が『フレイムサンダー』を放つと、再起動した新型ガジェットは防御が間に合わず。その機械の体を貫通した。

 

ーーーージジジジ・・・・バチバチ・・・・! ズガァァァァァァァァァン!!

 

新型ガジェットはそのまま爆発した。

 

 

 

ーティアナsideー

 

「ど、どういう事?」

 

《分からねえのかお前ら》

 

「え?」

 

戸惑うシャマルとリィン、FW陣に、リボーンが声を発した。

 

《良いか。あのガジェットは一定の攻撃をした後、『匣』を射出してさらにおよそ数秒間後に再び起動する仕組みだ》

 

「???」

 

スバルは首を傾げるので、リボーンがさらに言葉を続ける。

 

《似てねえか? お前ら魔導師が使うカートリッジみたいな》

 

そこまで言われて、シャマルはハッとなる。

 

「つまり、あのガジェットは攻撃をし続けるとエネルギーが無くなってしまう。あの『匣』はバッテリーのような物って事なの!?」

 

「じゃぁ、射出した後すぐに動かなかったのは、エネルギーが充填するタイムラグだったですかぁ!?」

 

《そう言う事だぞ》

 

シャマルに続いてリィンがそう言うと、リボーンが肯定する。

 

《獄寺はヤツが『匣』を射出するのを見て、戦いながらヤツの分析をし、再充填する僅かな時間で決めたんだぞ》

 

「アイツ、戦いながらそんな事をしてたんだ・・・・」

 

ティアナにリボーンが声をかける。

 

《良いかティアナ。さっきの力任せなやり方はお前には不向きだぞ》

 

「え?」

 

《お前はどちらかと言うと相手の戦力と能力を分析し、的確な指示を出して戦うのに向いているぞ。あんなやり方は『猪娘』のスバルがやる事だぞ。そんなスバルの手綱を握ってやるのが、お前の役目だ》

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ティアナが言葉を失い、代わりにスバルが声を張り上げる。

 

「ちょっとリボーンくん! 『猪娘』って酷くない!?」

 

《おおすまねぇ。女の子のスバルに『猪娘』は酷いな》

 

「そうそう!」

 

《馬鹿正直なスバルは、『暴れ馬』がピッタリだな。お馬鹿なだけに》

 

「そうそう!・・・・って、リボーンくん酷いよぉーーーー!!」

 

涙目でスバルで叫ぶと、そのスバルをまるで新しい玩具で遊ぶようなリボーンに、山本と了平、ランボとクロームは笑い、シャマルにリィン、エリオとキャロは緊張感が解き放たれたように笑みを浮かべる。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ただ、ティアナだけは獄寺を静かに見据えていた。

 

 

 

 

ー獄寺sideー

 

そして獄寺は、新型ガジェットが射出した『匣』を、コンタクトディスプレイで分析していた。

 

「(コイツは純度はかなり悪いがーーーー『死ぬ気の炎』の反応がある・・・・!!)」

 

以前、リニアでツナとエンマも、『死ぬ気の炎の反応を持ったガジェット』と交戦していたのを思いだし、獄寺は頬に一筋の汗を垂らしていた。




さて、ランボとクロームが参戦しました。ランボは七歳なので、服装は牛柄のフード付きパーカーに短パンです。

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