かてきょーリリカルREBORN   作:BREAKERZ

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今回、オリジナル匣兵器が登場します。


ホテル・アグスタⅠ

ーツナsideー

 

とある日。六課食堂にて。

 

「10代目。入江から『コイツ』の調整が終わったと言われ、持ってきました」

 

「あっ! ありがとう獄寺くん!」

 

『ガゥ』

 

ツナが獄寺から『オレンジ色の匣兵器』を受け取った。ツナの隣に座り、ナッツを膝の上に乗せていたなのはが、首を傾げた。

 

「ツナさん。その匣って」

 

「あぁ。正一くんが作ってくれた。新しい相棒だよ。ちゃんと調整が終わるまで、八年前のなのはちゃん達にも紹介できなかったんだ」

 

ツナが笑みを浮かべながら、『大空のリングver.X』に炎を灯すと、匣の窪みに押し込むと、匣が開き中から『大空の死ぬ気の炎』の塊が飛び出す。塊はテーブルの上に乗って炎が弾け飛ぶと中からーーーー『ナッツと同じ大きさをしたメスの仔ライオン』が現れた。

 

「ナッツのパートナーで、俺の新しい相棒、『大空ライオン(♀)のココ』だよ」

 

『ガォ』

 

『可愛い~~~~!!』

 

なのはと近くいたフェイトとはやて、守護騎士達、FW陣(女子)もナッツと違って少々目付きが鋭い仔ライオン(♀)のココにメロメロになっていた。

 

『ガォ?・・・・・・・・』

 

が、ココはなのはの膝の上に乗っているナッツを見ると、眼を細めた。

それに気づかず、なのはは笑みを浮かべてココの頭を撫でようと手を伸ばしーーーー。

 

「ココちゃんって言うんだね! 私は高町なのはだよ。ヨロシク(ガブッ!)ガブ?」

 

なのはが手を見ると、ココが思いっきりなのはの手に噛みついていた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

『ガゥ?』

 

なのはとココ、ツナ達に沈黙が広がる中、ナッツが声を発したその瞬間、

 

『(ガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブっ!)』

 

「~~~~~~~~~~!! にゃぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!」

 

ココが連続でなのはの手を噛み、なのはは手に激痛を感じて立ち上がって悲鳴を上げた。ココはスッポンのようになのはの手に噛みついて離れない。

 

「なぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ココやめろっ!!」

 

『ガゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!』

 

ツナとナッツがココをなのはの手から離させようとする。エンマ達も一緒に四苦八苦するのであった。

幸いか、ココが手加減したのか、手には歯形が無数に付けられたが血は流れておらず、シャマルの回復魔法で回復する傷だった。

 

「ココ! 謝るんだ!」

 

『ガゥ!』

 

「テメェ! 何でなのはの手を噛みまくりやがった!」

 

ツナとナッツが怒り、ヴィータが掴み掛かろうとするが、シグナムが羽交い締めする。

 

『ガォ』

 

ココはソッポを向いて話を聞こうとしなかった。

 

「まぁまぁツナさん。ココちゃんは私がナッツと仲良ししていたのに怒っていたんだよ」

 

「えっ、そうなの?」

 

『ガゥ?』

 

『~~~~!//////』

 

ツナとナッツが首を傾げると、ココは顔を赤くした。

 

「ココちゃん。私はココちゃんとも仲良くしたいんだよ。ね、お友達になろう」

 

『(・・・・・・・・イラっ)』

 

なのはが笑みを浮かべてココに手を差し伸べた。

が、ココはそのなのはの微笑みに、不快感とムカつきを感じて。

 

『(ペシッ! プイッ)』

 

「あっ」

 

尻尾でなのはの手を弾いてソッポを向くと、匣に戻っていった。

 

「あっコラ、ココ! 出てこい!」

 

それからリングを押し込んでも、ココは匣から出てこず、訓練にも参加しなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

それからまた少し経ち、『ミッドチルダ』・首都南東地区。

その上空を飛行する一台のヘリ。それに搭乗しているのはなのはとフェイトとはやての隊長陣。ツナとエンマ、獄寺と了平の民間協力者組。そしてスバルとティアナとエリオとキャロのFW陣。さらにはシャマルとザフィーラとリィンも乗っていた。

因みにリボーンとアインスは、六課でロングアーチに指示を出す隊長代理とその補佐の為に不在。

 

「ほんなら改めて、ここまでの流れと任務のおさらいや。これまで謎やったガジェットドローンの製作者及びレリックの収集者は現状ではこの男・・・・」

 

モニターには、一人の紫色の髪を肩口まで伸ばし、もみ上げが首に届くまで伸ばした白衣の男性の画像が映し出される。

 

「違法研究で広域指名手配されている次元犯罪者ーーーー『ジェイル・スカリエッティ』の線を中心に捜査を進める」

 

「こっちの捜査は主に私が進める事になるけど、皆も一応覚えておいてね」

 

「(ん?)」

 

「「「「はい」」」」

 

フェイトの言葉にFW陣は返事をする。エンマは人知れず少し首を傾げる。

 

「で、今日これから向かう先はここ、『ホテル・アグスタ』」

 

「骨董美術品オークションの会場警備と人員警護。それが今日のお仕事ね」

 

「取引許可の出ている『ロストロギア』が幾つも出品されるので、その反応を『レリック』と誤認したガジェットが出て来てしまう可能性が高い。とのことで、私たちが警備に呼ばれたんです」

 

「この手の大型オークションだと密輸取引の隠れ蓑にもなったりするし、色々油断は禁物だよ」

 

「現場には昨夜からシグナム副隊長とヴィータ副隊長、武さんの他、数名の隊員が張ってくれてる」

 

モニターには警備をしているシグナムとヴィータ、山本が映し出される。

 

「私たちは建物の中の警備に回るから、前線は副隊長達の指示に従ってね」

 

「「「「はい!」」」」

 

なのはの指示に返事をする四人。

 

「ツナさん達もそれでええか?」

 

はやての質問に、山本を除いたボンゴレ&エンマが頷いた。

すると、キャロが手を上げて向かいに座っているシャマルに質問する。

 

「あの、シャマル先生。さっきから気になってたんですけど、その箱って・・・・?」

 

キャロはシャマルの足元にある箱を指差す。

 

 「ん? あぁ、これ? ふふっ・・・・隊長達と10代目とエンマくんと隼人くんのお仕事着♪」

 

「「えっ?」」

 

「は?」

 

シャマルは楽しそうに微笑みながら言うと、ツナとエンマが素っ頓狂な声を上げた。

 

「おい、なんだそりゃ? 俺らは聞いてねぇぞ」

 

「ふふっ、向こうに着くまでの秘密よ♪」

 

そう言ってシャマルはイタズラっぽい笑みを浮かべ、そのままホテル・アグスタに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ホテル・アグスタ。

そこの受付では長蛇の列が出来ており、オークション関係者がIDカードを提示しながら受付を済ませていく。

 

「あっ・・・・!」

 

すると、受付の男性が一枚のIDを見て小さく声を上げ、その人物達を見た。

 

「こんにちは、機動六課です」

 

ソコには綺麗なドレスと、少しの化粧で美しく着飾ったなのはとフェイトとはやて。そして黒いタキシードに身を包んだツナとエンマと獄寺だった。

受付を済ませた六人はなのはとツナ、はやてと獄寺、フェイトとエンマの三手に分かれ、オークション会場の警備の点検を始めた。

 

「緊張する・・・・!」

 

「ツナさん似合ってるよ。結構慣れた様子でタキシード着ていたね?」

 

「あ、う、うん。ボンゴレの流儀ってヤツで、ここ一番の戦いに赴く際にスーツで戦場に向かうってのがあって、スーツの着方を覚えたんだ」

 

「そうーーーーなんだ」

 

ツナの言葉になのはは少し沈んだような声を発した。ツナのそういう所を自分が知らない事に、疎外感を感じたからだ。

 

「なのはちゃん?」

 

「あ、何でもないの」

 

なのはの様子を少し訝しそうにするツナだが、なのはから言ってくれるのを待とうと思い、今は任務に集中した。

そしてーーーー。

 

「「え?」」

 

ツナとなのはは間の抜けた声を漏らした。オークション会場にいる他の女性達の格好を見て。

 

 

 

 

 

ーエンマsideー

 

「うぅっ。少し動き難いなぁ・・・・」

 

「ふふ、似合ってるよエンマ」

 

少し服に着られている感のあるエンマと素直に褒めるフェイト。

 

「・・・・そう言えばフェイトちゃん」

 

「ん? 何エンマ?」

 

「『ジェイル・スカリエッティ』って人の調査だけど、何かあったの?」

 

「えっ?」

 

フェイトが素っ頓狂な声を発した。

 

「フェイトちゃんがスカリエッティの事を話している時、何かいつもと違う風に見えたから」

 

「・・・・・・・・」

 

フェイトはエンマの言葉に、少し驚き、顔を俯かせる。

 

「・・・・エンマ。私もね、執務官になってからこの八年間、結構色々な事を知るようになったの」

 

「うん」

 

「少しだけ、待っていて。いずれエンマにもちゃんと話すから」

 

「・・・・分かった。フェイトちゃんが話したくなったら、いつでも言って」

 

「ありがとう」

 

そう会話をし終えると、オークション会場に赴いた二人は、

 

「「え?」」

 

会場の女性達の格好を見て、先に来ていたのだろうツナとなのはと同じ、間の抜けた声と顔になった。

 

 

 

ーはやてsideー

 

「おい八神、これはどうなってんだ?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ツナ達より先に来ていた獄寺とはやても、オークション会場の女性達の装いを見て、唖然となっていた。

何故なら、オークション会場にいた女性達が全員ーーーー和服を着ていたからだ。

洋風のドレスを着ているなのはとフェイトとはやては、この中では悪目立ちしている。

 

「これは多分、雲雀さんの会社、和雑貨企業『HUHKI』では、呉服とかを販売しててな。それを常連のリンディさんが和服でパーティーとかに出席してるって話を聞いた事があったわ・・・・」

 

「まさかそれで・・・・」

 

「ミッドチルダの女性達のパーティードレスになってもうたんやなぁ。いやぁ、私やシャマルやリインも和服のデザインとかやっとったから、少し鼻高いわぁ・・・・なんて・・・・」

 

渇いた笑みを浮かべるはやてに、獄寺が半眼で見据えた。この後すぐに合流したツナとなのは、エンマとフェイトも、獄寺と同じ目で見られるのであった。




『オリジナル匣兵器・天空ライオン(♀) ココ』

見た目:ナッツから鬣を外し、目をつり目にした姿。

性格:勝ち気で強気で気まぐれ。

好きな物:ツナ。魚。日向ぼっこ。・・・・・・・・後ナッツ。

嫌いな物:上から目線で薄っぺらで上っ面の良い言葉を吐くヤツ。

能力:ナッツと同じ咆哮を持ち、形態変化能力をもつ。




ココの能力はこれから明かされます。

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