ーツナsideー
機動六課の初出動の任務は、様々な失敗と思いもがけない事が連続であったが、無事に解決することが出来た。
そして事件が終わり、機動六課に到着すると、リボーンが出迎えて、獄寺達に話しかけた。
「獄寺。山本。了平」
「リボーンさん! ご無事で何よりです!」
「よっ! 小僧!」
「大丈夫そうだな!」
「まぁな。・・・・それよりも、何でお前ら〈デンライナー〉で来れたんだ?」
リボーンがツナとエンマになのは達の相手をさせている間に、獄寺達から時の列車〈デンライナー〉でこの八年後のミッドチルダに来たことを聞いた。
「はい。実はリボーンさん達が行方不明になってすぐ、白蘭の野郎が現れまして」
「白蘭が?」
「ああ。それで俺らに〈デンライナー〉のチケットをくれて、この時代に来たんだぜ」
「だが『オーナー』が言うには、俺達のチケットは片道乗車券で、帰りは別との事で下車されたのだ。ついでに、色々な道具が入ったバックも貰ったぞ」
「(あの時の運行に厳しい『オーナー』が、オレ達がこの時代のミッドチルダに留まるのを見逃した。それに白蘭も一枚噛んでるとすると・・・・どうやらこの状況、白蘭だけでなく、“誰かの意図が絡んでいるな”)」
リボーンはそう思考すると、この事をツナとエンマにも伝えるが、なのは達にはあまり詳しく教えないように守護者達に言った。
そしてーーーーツナ達は食堂にて、改めて大人になったなのは達やFW陣に獄寺達に紹介した。
「獄寺隼人。10代目である沢田綱吉さんの右腕だ。しばらく世話になる」
「おっす! 俺は山本武! よろしくな!」
「俺の名は並森高校二年! 笹川了平だぁっ!! 座右の銘は、極限だぁぁぁぁぁっっ!!」
「うるせぇよ! 芝生頭! テメェは一々でかい声上げなきゃ死ぬ病気でも患ってんのかっ!?」
「何だとタコ頭! 気合いを込めただけではないかぁ!」
「まぁまぁ、獄寺も先輩も落ち着けって」
「獄寺くん、初めて会う人もいるんだから!」
「ここはおさえて!」
喧嘩を始めようとする獄寺と了平。それをおさえる山本とツナとエンマ。
なのは達にしてみれば昔懐かしい光景に思わず笑みを浮かべ、FW陣を含めた他の面子は唖然となった。
そして、成長したなのは達と会話を始めた。
「なのは! フェイト! すっかり身長高くなったなぁ!」
「おお! 俺達よりも大きくなったぞ!!」
「にゃはははは。八年も経っていますから」
「私達も大人になったんだよ」
山本や了平と朗らかな会話を繰り広げるなのはとフェイト。しかし、獄寺は意地の悪い笑みを浮かべながら、はやてとヴィータを見て口を開く。
「だが、はやて。お前はほぼ俺達と変わんねぇな? いや、下手すると俺達より低いんじゃねぇか?」
「やかましいわ! ああもう男の子はすぐニョキニョキと大きくなりおってからに!」
「ま。全く身の丈が変わってねえエビガキもいるけどなぁ?」
「あぁん? どういう意味だタコ頭!?」
「あん? 桜エビ、お前はむしろ縮んだか? その内リィンにも追い抜かれんじゃねぇかぁ?」
「ええ~、そうですかぁ?」
「(ブチッ)上等だよこの銀ダコ頭ぁ! 今すぐアイゼンでその頭ごと背丈を潰して! タコじゃなくてクラゲにしてやらぁっ!!」
照れるリィンだが、頭に♯マークを浮かべたヴィータはアイゼンをバトンのように振り回しながら、獄寺に飛びかかろうとするが、シグナムとアインスが抑えた。
「ははっ、ヴィータは相変わらず元気なのなぁ!」
「いや、これを元気の一言で片付けて良いのだろうか山本よ?」
「ヴィータ落ち着け」
「おおっ! ザフィーラにシャマルではないか! 二人とも元気そうではないか!」
「ええ。了平くんも変わらず元気ね」
「寧ろ有り余っているように見えるがな」
八年前の姿なのだから変わっていないと改めて認識した。
「ねえねえティア! 新しく来た人達も結構仲良くできそうだよ!」
「そうね。山本って人と笹川って人は、アンタと似た雰囲気だものね」
「え? そう?」
「ええ。体力自慢で運動馬鹿でお気楽お馬鹿な所が特にね」
「ヒドイよティアー! そんな事を言うなら、あの獄寺って人なんて、初めて会った時のティアにそっくりだよぉ?」
「一緒にしないで、私はあんなヤンキー野郎とは違うわよ」
「えぇ~。ツンツンしている所は似てると思うけどなぁ」
「・・・・・・・・」
「エリオくん嬉しそうだね」
「えっ、う、うん。やっぱり男の人が多いと少し安心できるんだ」
FW陣も守護者組と仲良くできそうな雰囲気だった。
ーFW陣sideー
それから数日後。
「極限だぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」
「極限だーーーーーーーーっっ!!」
了平とスバルが一緒になってランニングをしたり、
「おりゃっ!」
「うっ!」
「よぉしエリオ上手いぞ! 次は俺に投げてこい!」
「は、はい! えぇい!」
「エリオくん、頑張ってー!」
「エリオ、山本とキャッチボールしてる・・・・」
「野球では手加減知らずの山本くんと投げ合えるなんて・・・・」
「エリオも中々傑物だな」
エリオは野球では手加減できない山本とキャッチボールを楽しみ。キャロはそれを見てエリオを応援し、ツナとエンマとリボーンは、エリオの運動能力に目を見張った。
そしてーーーー。
「山本! モンディアルとのキャッチボールを終えたら、久しぶりに手合わせをしてくれ!」
「おう!」
ちゃっかりシグナムも山本との模擬戦を予約していた。
「(何かコイツ、何処かで会った気がするけど)・・・・アンタ、何ソレ?」
ティアナが獄寺を訝しそうに見ていると、獄寺の武器である、SISTEMA.C.A.Iの髑髏の砲台を磨いている獄寺に話しかけた。
「あん? 俺の武器だ。イカすだろう」
「髑髏の砲台って、趣味悪過ぎ・・・・」
「んだとぉっ!? このセンスが分からねえのかっ!?」
「そんなので喜ぶのはアンタくらいよ!」
と、ギャーギャー口喧嘩を繰り広げていた。
そして六課の中庭ではーーーー。
『ガァゥゥゥゥ~!』
『ニャァアアアッ!』
『ガ』
『ニャッ!? ニャァァァッ!』
『ガゥゥ・・・・!』
『ワゥン』
『ピィ』
『キュル~』
ナッツが瓜に攻撃され、見かねた我流が瓜の首根っこを掴んでナッツから離れさせ、次郎と小次郎、そしてフリードが、泣いているナッツを慰めていた。
◇
腕を鈍らせてはならないと思い、リボーンがツナ達に訓練をさせていた。
「はぁっ!」
「ふっ!」
「おらっ!」
「よっと!」
「極限!」
そして早速、シミュレーターでガジェットの大軍との戦闘を繰り広げていた。
ツナとエンマは、フェイトクラスの超スピードでガジェットを破壊していき、獄寺は髑髏の砲台から放たれる『嵐の死ぬ気の炎』で次々とガジェットを撃ち抜き、山本は時雨金時に『雨の死ぬ気の炎』を纏わせ、一刀両断していき、了平は『晴れの死ぬ気の炎』を纏ったグローブで破壊していく。
「シャーリー、次はガジェットの戦闘能力をギリギリまで上げていけ。そして最初は100機のガジェットを出せ。ツナ達が全滅させたら今度200機。また全滅させたら400機。次は800。さらに次は1600と順繰りに数を増やしていってくれ」
「リ、リボーンくん! 何その拷問染みた訓練!? そんなのやっちゃって良いのっ!?」
「構わねぇぞ、オレが許可する。“このくらい楽にこなせたいようじゃ話にならねえ”。それに、お前のシミュレーターで作ったガジェット達が何処までの戦闘能力か、実験してみるのも良いだろう」
「で、でも、ツナくん達、大丈夫なの?」
シャーリーは不安そうな顔をするが、リボーンは平然と答える。
「この程度で音を上げるようなら、オレが鉄拳をお見舞いしてやる。気にしないでやってくれ」
ゴキリ! ゴキリ! と、拳を鳴らしながらそう言うリボーンの言い様のない謎の迫力に、シャーリーは汗を垂らしながら、どうなっても知らないと言わんばかりにコンソールを操作した。
ーなのはsideー
そして、先に訓練を終わらせていたなのは達は、ツナ達の訓練の様子を眺めていた。
「凄~い! ツナ達もう1000機もガジェットやっつけちゃったよ!」
「す、スゴいです・・・・!」
『キュル~』
スバルとキャロ、そしてフリードは、ツナ達の戦い様に目を光らせる。
「「・・・・・・・・」」
ツナ達の戦い様を、エリオは真剣に目に焼き付けようとしているが、ティアナは何処か不機嫌そうな目で見ていて、それぞれ真逆の反応をしていた。
「・・・・皆。ツナさん達の訓練はとても無茶で危険だから、真似しないようにね」
なのはは10年前からリボーンのやり方に苦い顔をしていており、FW陣が真似しないように注意した。
そして、1万機を越えたほどで訓練を終えたツナ達に駆け寄るエリオ達。しかし、ティアナだけは素っ気ない態度を取っており、獄寺だけがその様子に目を細めていた。