かてきょーリリカルREBORN   作:BREAKERZ

82 / 105
ファースト・アラート、くる

ーツナsideー

 

ツナとエンマは、ヴァイスが運転するヘリコプターの中で、緊張しているFW陣の皆を元気付けていた。

因みにリボーンはロングアーチ達といる。

 

「エリオ? 緊張してる?」

 

「う、うん、少し・・・・。ツナ兄ぃは、こんな事、経験した事あるの?」

 

「ああ・・・・まぁ結構、な。どれだけ経験しても、これは慣れないな。でも、エリオ。皆がいるから。もしもの時は、俺も力になるから、だから頑張ろう」

 

「うん!」

 

「・・・・・・・・」

 

「キュル~・・・・」

 

「キャロ」

 

エンマがキャロの頭を撫でてあげた。

 

「エンマお兄さん・・・・」

 

「不安なのは分かるよ。でも、自分を信じて、仲間を信じれば、きっと大丈夫だよ」

 

「・・・・はい」

 

年少組はお兄さん二人の言葉に、安心したように笑みを浮かべた。

 

「エリオとキャロ、大丈夫みたいだね!」

 

「ええ。凄いわねあの二人。あっという間にエリオとキャロの緊張を解したわ・・・・」

 

「何か、安心感があるんだよねぇ。ツナとエンマって」

 

「で、アンタはいつまでナッツのお腹を撫でてんの?」

 

「ガゥゥゥゥ~・・・・!」

 

スバルはちゃっかりツナの肩に乗っていたナッツを捕まえ、お腹を撫で回して癒されており、ティアナは半眼で呆れていた。この二人も、緊張が解れたようだ。

それを見て、なのは達が声を発する。

 

「新デバイスでぶっつけ本番になっちゃったけど、練習通りで大丈夫だからね」

 

「はい」

 

「がんばります」

 

「エリオとキャロ、それにフリードもしっかりですよ!」

 

「「はい!!」」

 

「キュー!」

 

「危ない時は私やフェイト隊長、リィンがちゃんとフォローするから、おっかなびっくりじゃなくて、思いっきりやってみよう」

 

「「「「はい!!」」」」

 

「ツナさんとエンマさんには、コレを渡しておくね」

 

そう言うと、なのははツナとエンマに、片耳に着けるマイク付きのイヤホンのようなものを渡した。

 

「なにこれ?」

 

「通信機だよ。これでロングアーチの人からの指示が送られるから、それに従ってね」

 

なのはが説明していると、ロングアーチから通信が入った。

 

《ガジェット反応! 空から!!》

 

《航空型、現地観測隊を補足!》

 

空間に浮かんだモニターに映し出されたのは、空から現場へ迫ってきている大量のガジェットの姿だった。

すると、ここでフェイトから通信が入る。

 

《こちらフェイト。グリフィス、こちらは現在パーキングに到着。車を止めて現場に向かうから、飛行許可をお願い・・・・》

 

《了解、市街地都市飛行。承認します》

 

それを聞いたなのはも行動を開始する。

 

「ヴァイス君、私も出るよ。フェイト隊長と二人で空を押さえる!!」

 

「ウッス、なのはさんお願いします!!」

 

ヴァイスはヘリの後部のハッチを開いた。

 

「じゃ、ちょっと出てくるけど、皆も頑張ってズバッとやっつけちゃおう!」

 

「「「「はい!」」」」

 

四人の返事を聞くと、なのはは開かれたハッチから飛び出し、バリアジャケットを身に纏い、ガジェットの元へと飛んで行った。

それを見送ったリィンが四人に任務の説明を始める。

 

「任務は二つ。ガジェットを逃走させずに全機破壊すること。そしてレリックを安全に確保する事」

 

モニターを表示し、確保対象であるレリックのある重要貨物室を映し出す。

 

「スターズ分隊、ライトニング分隊でガジェットを破壊しながら、車両前後から中央に向かうです。レリックはここ。7両目の重要貨物室。スターズかライトニングのどちらか先に付いた方が、レリックを確保するですよ」

 

「僕とツナくんはどうすればいいのリィン?」

 

「ツナさんとエンマさんは、ヘリで待機です! フォワードの皆が危ない時は援護に回ってください!(ーーーーボンゴレギアとシモンリングの出力は、管理局のレーダーに引っ掛からないレベルに抑えておいてくださいね)」

 

エンマの質問に、リィンがそう答え、二人の耳元に近づいて囁いた。

 

「「(コクン)」」

 

リィンの言葉にツナとエンマは静かに頷く。ボンゴレギアもシモンリングも、管理局にとっては〈ロストロギア〉であるから、探知されないようにして欲しいのだ。

そして、リィンが二人から離れ、改めて口を開く。

 

「で・・・・私も現場に降りて、管制を担当するです!」

 

リィンも服装を変え、準備をする。すると、ヴァイスから連絡が入る。

 

《さぁて新人ども。隊長さんたちが空を抑えてくれてるおかげで、安全無事に降下ポイントに到着だ。準備は良いか!?》

 

「「はい!」」

 

開いたハッチの近くに立っているスバルとティアナが返事をし、スバルはナッツをツナに返した。

 

「スターズ3。スバル・ナカジマ」

 

「スターズ4。ティアナ・ランスター」

 

「「行きます!!」」

 

そう言うと二人は勢いよくハッチから飛び降り、新デバイス、『マッハキャリバー』と『クロスミラージュ』をセットアップし、バリアジャケットを装着して降下して行った。

 

《次、ライトニング! チビ共、気ぃつけてな!》

 

「「はい!」」

 

スバルとティアナが降下したことで今度はライトニングであるエリオとキャロの番が来る。

キャロがまだ不安そうな顔をしている事に気がついたエリオが、キャロに手を差し伸べる。

 

「一緒に降りようか?」

 

「え?・・・・うん!」

 

そんなエリオの言葉にキャロは少し戸惑うが、エリオの真っ直ぐな目を見て、すぐにその手を取った。

 

「「エリオ。キャロ。フリード。気をつけて」」

 

「「うん!」」

 

「キュルー!」

 

ツナとエンマの応援に、エリオとキャロとフリードは笑顔で応えた。

 

「ライトニング3。エリオ・モンディアル!」

 

「ライトニング4。キャロ・ル・ルシエとフリードリヒ!」

 

「キュルー!」

 

「「行きます!!」」

 

手を繋いで降下するエリオとキャロとフリード。

二人も新しくなったデバイス、『ストラーダ』と『ケリュケイオン』をセットアップし、バリアジャケットを装着して降下していく。

 

「大丈夫、だよね?」

 

「・・・・・・・・」

 

残されたツナとエンマは、何やら嫌な予感がしていた。

 

 

 

ーフォワード陣sideー

 

「あれ? ねぇ、このジャケットって・・・・」

 

「もしかして・・・・」

 

「デザインと性能は、各分隊の隊長さんたちのを参考にしてるですよ。ちょっと少し癖はありますが、高性能ですぅ」

 

四人は自分のバリアジャケットを見て驚いている。そんな四人に、いつの間にかエリオの肩に乗っていたリィンが答える。

 

「うわぁ・・・・」

 

四人の中で特にスバルは、憧れであるなのはとお揃いなバリアジャケットに感激していた。

 

「っ、スバル! 感激はあと!」

 

ティアナがそう言った瞬間ーーーー数体のガジェットが屋根を突き破ってきた。

それを見たティアナはすぐにクロスミラージュを構える。

 

「シュート!!」

 

魔力弾を放ち、ガジェットを破壊した。それがゴングとなり、フォワード陣がガジェットと交戦を開始した。

 

 

 

 

ーリボーンsideー

 

その頃、同時刻、機動六課のロングアーチ。

 

≪スターズF、4両目で合流。ライトニングF、10両目で戦闘中≫

 

「リボーンくん! スターズ1、ライトニング1、制空権を獲得しました!」

 

「リボーンくん! ガジェットⅡ型、散開開始! 追撃サポートに入ります!」

 

「順調、だな」

 

リインとの通信を開きながら状況をグリフィスへと報告していく通信士メンバーが、何故かリボーンにも報告していた。

すると、ちょうどそこへ、聖王教会から戻ってきたはやてが走って入ってきた。

 

「ごめんな、お待たせ」

 

「八神部隊長」

 

「おかえりなさい」

 

「ここまでは比較的順調です」

 

「うん。リボーンくん、代わりやってくれてありがとな」

 

「構わねえぞ」

 

報告を聞いたはやては少々安心し、代役をしてくれたリボーンに礼を言ってから椅子に座る。

 

「ライトニングF、8両目突入・・・・!」

 

と、シャーリーがそこまで言うと、彼女は何かに気がついた。

 

「エンカウント、新型です!!」

 

そう言うと、モニターには新型のガジェットが映し出される。しかし、シャーリーが気がついたのはコレだけではなかった。

 

「大変です! リニア上空に次元湾曲反応!」

 

『っ!!?』

 

この言葉にはやてとロングアーチ達に衝撃が走ったのだった。

そして、モニターに映し出されたのは、なのはとフェイトが交戦している空域のさらに上空から、白い『穴』が開き、そしてーーーー。

 

♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪

 

ーーーーファァァァァァァァァン!!

 

「な、なんやあれぇっ!!?」

 

はやてが目を見開いて驚愕した。ロングアーチ達も同じような顔になったが仕方ない。何故なら、突然現れた『穴』から線路が伸び、その上を頭が赤い目のようになっている、流線型の新幹線が軽快なメロディを流し汽笛を鳴らしながら走ってきたのだ。

 

《え、ええっ!?》

 

《い、今の何っ!?》

 

なのはとフェイトの近くを通りすぎた新幹線を見て、二人も驚いた声を発し、

 

《な、何だありゃぁっ!?》

 

()()()()

 

「・・・・・・・・〈デンライナー〉か」

 

ヴァイスも驚いた声を出すが、ただ三人、ツナとエンマとリボーンだけが、その新幹線の事を知っており、リボーンは、はやて達に聞こえないように小さな声で呟いた。

空を走る新幹線は、リニアの真上に平行するように走行すると、新幹線の扉が開き、ソコから三人の少年が飛び出し、リニアの屋根に飛び移った。

 

一人は白い髪の短髪にした、手に包帯を巻き付けた少年がボストンバッグを抱え。

 

もう一人は黒髪の短髪に爽やかそうな風貌の少年は、手に竹刀を持っていた。

 

そして最後に、銀色の髪を肩口まで伸ばした不良っぽい少年が、鋭い目付きで周辺を睨む。

 

「あ、あの人達はっ!?」

 

はやての記憶から、八年前の思い出が鮮明に甦り、記憶の中の少年達と完全に一致している三人を見て、思わず口を開く。

 

「隼人さんっ!? 武さんっ!? 了平さんっ!?」

 

そう、ツナの守護者である。『嵐の守護者 獄寺隼人』。『雨の守護者 山本武』。『晴れの守護者 笹川了平』だったのだ。

三人はリニアの屋根から現れたガジェットを捉えると、即座に臨戦体制となり、交戦を開始した。

 

「(了平と山本、そして獄寺も『未来の世界』にやって来た。しかも、あのルールに厳しい『オーナー』が、〈デンライナー〉を使ってまで。・・・・どうやら、俺達がこの時代にやって来たのは、ただの偶然じゃぁねぇ見てぇだな)」

 

リボーンは、あっさりとガジェットを破壊していく三人を見て、そう考えていた。




次回、守護者達と合流するのと同時に、新型ガジェットと遭遇。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。