ーツナsideー
「炎真! バラバラでは壊れない、合わせるぞ!」
「うん!」
ツナと炎真はタイミングを合わせて、『大空の炎』の拳と『大地の炎』の拳をドス黒い繭に叩き込んだ。
ビキビキビキビキビキビキ・・・・バリーーーンッ!!
その瞬間、繭がひび割れて、力なく落ちるなのはとフェイトを回収した。
「っ・・・・ツナ、さん・・・・はやて、ちゃんは・・・・?」
「はや、て・・・・」
なのはとフェイトが顔を上げたその先には、黒い光の柱が、天高く伸びていた。
ーはやてsideー
その柱の中では、はやてが裸の姿で、意識があるのか無いのか分からない状態のまま、迸る黒い魔力の中にいた。
そして、『闇の書』、いや、『ナハトヴァール』がはやての前に現れた。
[管制ユニット。融合]
『ナハトヴァール』は、『黒いリンカーコア』をはやてに向けて射出すると、コアははやての胸元から、体内に入り込んだーーーー。
ーリボーンsideー
「これは、想像以上にヤベェな。獄寺、山本、此処は退くぞ。草壁、お前もだ!」
白蘭から情報を聞いていたが、想像以上の事態に、リボーンは危険を察して獄寺と山本に呼び掛け、山本の肩に乗ると、山本は『三本の小太刀』を取り出して飛翔し、獄寺は改良された『SISTEMAC.A.I.』のホバリングで空を飛び、草壁を連れて脱出したが、“雲雀の姿は無かった”。
「恭さん・・・・」
草壁が、“黒い光の柱に呑まれた雲雀”の名を呟くと同時に、黒い光の柱が弾けるように爆発した。
『っっ!!!』
爆風に吹き飛ばされないように踏ん張る一同。
爆発が止むと同時に、はやてがいた地点に、黒い三角錐の魔法陣の上に、1人の少女が立っていた。
風に靡く銀色の長髪。黒いバリアジャケット。肩と腰から生やした漆黒の翼。美麗な顔には血の亀裂ような痣が付いており、その閉じた瞼からは涙が零れていた。
「・・・・また、全てが終わってしまった・・・・」
その少女の瞼を開かれると、赤い瞳が露になった。
「はやてちゃん・・・・?」
「違う・・・・あの女の人が・・・・!」
「『闇の書の管制ユニット』って事か?」
ツナ達と合流したリボーン達も少女をまっすぐ見据えた。
「我は魔導書・・・・我の力の全ては・・・・忌まわしき敵を、打ち砕くために・・・・!」
少女はそう呟くと、顔を俯かせて、右手を天に向けて掲げる。
その両隣には、『闇の書』と『ナハトヴァール』が鎮座していた。が、『闇の書』が少女の動きに合わせて動きだす。
[ーーーーーーーー]
『闇の書』がベルガ語で呟くと、少女の掲げた手のひらから、黒い球体が出現し、徐々に膨張していった。
『っっ!!』
それを離れた上空から見ていたツナ達に、戦慄が走る。
「空間攻撃!」
「お前ら! 離れろ!!」
フェイトが魔法攻撃を見て呟き、リボーンが叫ぶと、一同は離脱する。
「闇に沈め・・・・」
少女がそう言うと、小さく縮小した黒い球体が、一気に膨張した。
その瞬間。少女を中心に周辺が黒い球体に呑み込まれた。
「・・・・・・・・・・・・」
そして少女の頬に、涙が一筋流れていたーーーー。
ーリンディsideー
アースラの管制室で状況を見ていたリンディも、現状に息を呑んだ。
「観測点に異常反応!」
「映像は来ますが、音声通信通りません! ですが、これは!」
オペレーター達も愕然となる。
《『闇の書』の、管制融合騎》
エイミィからの通信連絡で、リンディも事態の重さを感じなから冷静に務める。
「クロノと、“他の皆”は?」
「すでに現地に飛んでいます!」
クロノと、“リボーンが呼んだ協力者達”も、現地に向かっていた。
ー???sideー
管制融合騎の少女は光が収まると頬に伝っていた涙を拭って、『ナハトヴァール』に向けて唇を開く。
「自動防衛、一時停止。これより暫しは、私が主をお守りする。ナハト・・・・。ただの防衛プログラムであるお前を責めはしない。全ては、私に責がある」
融合騎は、『ナハトヴァール』に左手を伸ばし、中心部分を掴むと、『ナハトヴァール』の蛇がうねりながらその左腕に絡み付く。
「せめて後少し、大人しくしていろ・・・・」
融合騎の左腕に絡み付いた『ナハトヴァール』の蛇が、徐々にその姿形を、黒いパイルバンカーとなって、融合騎の左腕に装備された。
「我が主、どうかしばし、私の中でお休みください」
ソッと自分の胸元に手を置いた管制融合騎はボソッとそう言うと、再び顔を上げ、パイルバンカーを上に翳すと、黒い封絶結界が、まるで海鳴市を覆い尽くさんばかりに展開された。
ーなのはsideー
「みんな、無事か?」
遠くまで離脱した一同に、ツナが無事を確認すると、一同は無事であることを示すように頷くと、なのはが融合騎のいる地点を見据える。
「あの人、一体?」
「ベルカの融合騎。主と一体化して戦う、『人格型管制ユニット』」
「本来は主、つまりはやてに融合し、主であるはやてが表に出るが、ユニットの方が表に出ているって事は、はやては意識を失っている事だろう」
フェイトとリボーンの解説を聞いて、草壁は声を発する。
「・・・・リボーンさん。恭・・・・委員長は?」
「さぁな。雲雀も呑み込まれたなら、雲雀も彼女の中にいるんだろう」
「「助けるには?」」
リボーンがそう言った瞬間、ツナとなのはの言葉が重なり、一同は一瞬唖然となったが、すぐに気を引き締める。
「今はまだ分からん。だが・・・・」
リボーンがそう言うと、なのはが引き継ぐ。
「話してみるしか、無いよね?」
『(コクン)』
一同が頷くと、草壁を近くのビルの屋上に避難させて、管制ユニットに向かい、海鳴市を覆い尽くすほどの結界を展開し終えた融合騎に、なのはが話しかけた。
「あの・・・・『闇の書』さん!?」
融合騎が、なのは達に目を向ける。
「私達、はやてちゃんやヴィータちゃん達と「我が騎士達は」っ!」
なのはの言葉を遮り、融合騎が声を発する。
「お前達を打ち破り、ナハトの呪いを解き、主を救うと誓った。そして我が主は、目の前の絶望か悪い夢であって欲しいと願った。我はただ・・・・それを叶えるのみ」
そう言いながら、融合騎の顔は暗く、まるで苦しみを吐き出すように声を上げる。
「主には、穏やかな夢の内で、愛するお方と、永久の眠りを・・・・!」
『っっ!!』
「・・・・・・・・」
それは、『はやてと雲雀の死』。最も聞きたくなかった言葉を聞いて愕然となるリボーンを除く一同。
「そして、我らに仇なす者達には、永遠の闇を!」
融合騎が頭上に手を伸ばすと、黒い球体が現れ、周辺から、炎の柱がアスファルトを砕いて天に伸びる。
一同は伸びる火柱を回避しながら、管融合騎と交戦を始めた。
「キャアッ!!」
「なのはっ!」
なのはがパイルバンカーの攻撃を受けて落下すると、フェイトはバルディッシュをクレッセントモードに切り換えて、金色の斬撃を飛ばす。
「『クレッセントセイバー』!」
回転しながら向かってくる斬撃をパイルバンカーで防いだ融合騎の後ろに回り込んだフェイトが、バルディッシュを振るおうとするが、融合騎は防いでいた『クレッセントセイバー』をフェイトに返した。
「っ!」
自分の放った斬撃を防ぐフェイトに、融合騎はパイルバンカーから黒い稲妻の魔力弾を放つ。
「フェイトっ! ぐぁっ!」
「炎真!」
「僕に構わないで、相手に集中してフェイト!」
「っ!」
フェイトを庇って魔力弾を防ぐ炎真だが、あまりの威力に吹き飛び、斬撃を弾き飛ばしたフェイトが炎真に向かおうとするが、炎真に一喝されて、魔法陣を展開する。
「・・・・・・・・」
融合騎が下方を見ると、なのはが、前方を見ると獄寺が、砲撃体勢に入っていた。
「コンビネーション2、バスターシフト!」
「ロック!」
「っ!」
フェイトとなのはが、融合騎の両腕にバインドを仕掛けた。
「「シュートっ!」」
「『嵐+雷 フレイムサンダー』!!」
三方から放たれた桃色の光と金色の光と緑色の雷を纏った赤い炎が、融合騎に向かった。
「貫け」
が、融合騎はバインドを簡単に破壊し、三方の攻撃を魔法陣の障壁を展開して防ぐと、さらに赤いレーザーを幾つも障壁を外に出るように発射し、なのは達に襲い掛かった。
バヒュゥゥゥゥゥンン・・・・。
三方から爆裂が起きるが、爆発からなのはを連れてツナが、フェイトを連れて炎真が、『SISTEMA C.A.I.』の防御で防ぐが、攻撃の威力に吹き飛ぶ獄寺を山本が受け止めた。
「・・・・その炎は・・・・『死ぬ気の炎』か?」
融合騎は、ツナ達の『死ぬ気の炎』を見て呟く。
なのはとフェイトは、融合騎が『死ぬ気の炎』を知っている事に首を傾げるが、ツナ達は目を鋭くする。
「なるほど。我が騎士達が『失った記憶』・・・・。今の主と出逢う以前にあった、『幸福な時間』・・・・。まさか、それが遥か時を越えて、こうして合間見えるとは・・・・。運命とは、残酷だな・・・・」
自嘲するように呟く融合騎は『闇の書』を取りだし、ページが独りでに捲れると、魔法を発動させた。
ボンゴレファミリーと『闇の書』。果たして、この2つに何があったのか? その答えを知るための戦いが、今始まる。
いつの間にか、お気に入り300になってました! こんな駄文にありがとうございます!