かてきょーリリカルREBORN   作:BREAKERZ

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鉄槌、来る

ー時空管理局・本局ー

 

ツナ達がリンディ達の引っ越しを手伝っている頃。

 

本局の運用部に呼び出されたクロノとエイミィは待合室にやって来た藤色の長髪を後ろに結わえ、眼鏡を掛けた知的な雰囲気のあるリンディと同い年位の女性、リンディの同僚で時空管理局運用部の提督、『レティ・ロウラン』。クロノとエイミィは立ち上がり敬礼する。

 

「クロノ君、エイミィ、お久しぶり」

 

「レティ提督、お久しぶりです」

 

「ご無沙汰してます」

 

「フェイトちゃんは、もう?」

 

「現地入りしました。今頃は学校ですよ」

 

レティは、リンディが保護観察者になったフェイトとアルフとは面識があった。

 

「そう、リンディも一緒だし、しばらくゆっくりできるわね」

 

「はい」

 

クロノの言葉を聴くと、レティの顔付きが、“プライベートの顔”から“提督の顔”に変わり、クロノとエイミィも少々面食らうが気持ちを切り替えた。

 

「で、クロノ君にお願いしたい“事件”なんだけど・・・」

 

「はい」

 

レティが空中パネルを出して操作すると、部屋が暗くなり、幾つもの事件の現場映像が出てきた。その映像には傷だらけになって倒れる『大型魔導生物』と『魔導師』の姿が映っていた。

 

「“違法渡航者グループ”の追跡と確保。主な犯罪行為は、大型生物のハンティングと魔導師を狙っての略奪」

 

「略奪?」

 

「みんな襲われて、奪われているの。魔導師の魔力の源、“リンカーコア”を・・・」

 

「「っ!」」

 

レティが自身の胸元を親指で指差して告げた言葉にクロノとエイミィが驚く。“リンカーコア”が奪われたと言う事は、“魔導師として死”を意味していたからだ。

 

 

ーなのはsideー

 

ツナ達に送られ(帰り道もずっとぶーたれていた)、フェイト達のマンションから帰ってきたなのはは、部屋に戻り、魔法の先生であり、現在『次元世界 ミッドチルダ』の『無限書庫』で仕事に付いている『ユーノ・スクライア』と通信と言うより、ツナに対する愚痴を溢していた。

 

「ツナさんってば、私の事“足手まとい”だって思ってるんじゃないかな!?」

 

《なのは、確かになのはは強くなったけど聴くところによると、ツナさん達が相手にしていたのは本物の殺し屋軍団だそうじゃない? それになのはは一応管理局と関わりのある魔導師だしね、下手にマフィアの問題に関われば、管理局とマフィアの間にある“条約”に違反する事になるかも知れないよ》

 

「それはそうだけど・・・・・!」

 

納得出来ないと言わんばかりのなのはにユーノは苦笑いを浮かべて話を変える。

 

《ところでさ、フェイトと久しぶりに会えて、いっぱい話せた?》

 

「うん! ユーノ君はお仕事忙しい?」

 

《まぁそれなりに・・・かな。『無限書庫』はものすごく広くて深いから・・・・・》

 

「そっか。でもユーノ君だって“京子さん”に会いたいんじゃないの?」

 

ツナの憧れであり、了平の妹である“笹川京子”に恋慕の感情を抱いているユーノになのはは茶化す。

 

《ん・・・まぁ、確かにね・・・/////》

 

「ウフフフ、ユーノ君も早く来られると良いね♪」

 

《(ムッ)そう言うなのはも、“愛しいツナさん”と久しぶりに会えて嬉しいでしょ? もう告白した?》

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ボンッ!)/////////////////////」

 

ニヨニヨとイヤらしい笑みを浮かべるなのはにムッと来たユーノが仕返しをすると、なのはの頭と耳からボンッ!と湯気が出て、顔がトマトもポストも真っ青になる位に真っ赤になる。

 

「ユ、ユユユ、ユユユユユユユーノ君! な、何言ってるのっ!? 何言っちゃってるのっ!!?? 言ったでしょ!! なのははツナさんの事をそう言う風に見てないってッッ!!!////////////////////」

 

《ハァ、まだそれ言ってるの? いい加減に素直に認めなよ。もしかしてアリサやすずかにも同じ事を言われてるんじゃないの?》

 

「何で分かるのっ!!??」

 

《(やっぱり・・・)》

 

顔を真っ赤にして両サイドに結わえた髪をピンっと跳ね上げさせたなのはは相も変わらず説得力の欠片もない弁明をし、ユーノは呆れながらなのはの弁明を右耳から左耳へと聞き流していた。

 

 

 

 

ーフェイトsideー

 

そしてフェイトは、炎真達の住んでいる『なみもり民宿』にて転送ポータルを設置し、起動させようとしていた。

 

「それじゃ、行くよみんな」

 

『(コクンっ)・・・』

 

炎真達が頷くのを確認したフェイトは、ポータルを起動させると、フェイト達の周りを光が包むと、フェイト達はリンディとアルフがいるマンションに転送された。

 

「うおおおおおおおおっ!! 結局これが転送ポータルかぁッ!?」

 

「これでフェイト達とも直ぐに会えんな♪」

 

「成功してよかったわ」

 

初めて行った転送にはしゃぐシモンファミリー、炎真と紅葉とジュリーを残して、他の守護者達はポータルで民宿に戻った。すると炎真はリンディと一緒にいる筈のアルフが居ない事に気付くが。

 

「フェイト~、準備できたよ~」

 

「アッ」

 

「えぇっ!?」

 

「結局っ!?」

 

「ハァっ!?」

 

「あら、アルフ! どうしたの、縮んじゃって!」

 

そこには、大型犬イヤ、大型オオカミだったアルフが子犬もとい、子供オオカミの姿になっていた。

 

「オオカミ姿のままだと、目立っちゃいますので・・・」

 

「工夫してみた!」

 

「そう~」

 

「じゃお散歩、行って来ます」

 

「僕とジュリーも一緒に行きますから」

 

「よろしくね、炎真君、ジュリー君」

 

「紅葉、お前はアーデル達に伝えておけよ」

 

「何で俺では無くジュリーなのだ・・・?」

 

無駄に喧しい紅葉が一緒だと悪目立ちしてしまうので、見た目は中学生に見えないし口も達者なジュリーが選ばれた。ブチブチ文句を言う紅葉はポータルを使って民宿に帰って行った。

 

 

 

ー???sideー

 

そして、海鳴のビル街にあるビルの屋上で、一人の少女が黄昏ていた。赤い長髪を両サイドに三つ編みにさせたなのはやフェイトと同い年位の少女。その少女は“本”と“ハンマー”のような物を持ち、手のひらから魔法陣が描かれた球体を見つめていた。球体が何かの反応をキャッチした。

 

[大型魔力反応発見しました]

 

「おぉ・・・」

 

“ハンマー”から知らせに少女は立ち上がり、目を鋭くする。

 

「やるぞ、『グラーフアイゼン』」

 

[了解]

 

少女が“ハンマー”を振ると、“ハンマー”の中心部に付けられた宝石が光輝き、少女の足元に三角形の魔法陣が展開される。すると、四角錐の巨大な結界が少女のいる地点を中心に拡がった!

 

その結界に触れた車や人間達はその姿を消した。

 

 

ーツナsideー

 

並森に帰る為にバスに乗ろうとしたツナ達に結界が迫る!

 

「ツナっ!」

 

「なにこれっ!?」

 

ツナとリボーン、獄寺に山本に了平は咄嗟に防御しようとすると。

 

キュイイイイィィィィ・・・・

 

結界に触れた瞬間、『大空のリングverX』と『嵐のバックルverX』、『雨のペンダントverX』と『晴れのバングルverX』が何かに反応するかのように共鳴し、ツナ達を護った。

 

ツナ達と山本の肩に乗っていたリボーンが辺りを見渡すと、バスや人間達が消えてしまう光景を見た。

 

「リボーン、これって・・・」

 

「あぁ、魔導師が使う結界だな」

 

 

 

ーなのはsideー

 

[エマージェンシー]

 

「えっ!?」

 

レイジングハートからの警告に驚くなのはに結界に閉じ込められた。

 

「結界!」

 

[通信断絶、こちらに向かって何者かがちかづいてきます]

 

「っ!」

 

なのはは着替えて、レイジングハートを持って外に出る。

 

 

ーフェイトsideー

 

散歩していた炎真達も巨大な結界を目視した。

 

「フェイト! アルフ!」

 

「「うん!」」

 

フェイトは懐から待機状態のバルディッシュを取りだし、炎真は『大地のシモンリング』を指に嵌める。

 

「ジュリーはリンディさんにこの事を!」

 

「あいよ!」

 

 

ーツナsideー

 

「10代目!」

 

「ツナ!」

 

「沢田!」

 

「行くぞ!」

 

『超死ぬ気モード』になったツナは、持ち前の超直感に従って飛んで行った。

 

すると、近くのビルの屋上が砕け、そこからなのはが落下していた。

 

「なのは!?」

 

 

ーなのはsideー

 

ビルの屋上に来たなのはは突然“赤いゴスロリ”風のバリアジャケットを纏った少女に襲われ、少女の武器であるハンマーによって吹き飛ばされた。

 

「レイジングハート、お願い!」

 

「スタンバイレディ、セットアップ]

 

赤い少女は手から小さな鉄球を3つ取り出すと、なのはに向けてハンマーで鉄球3つを叩き飛ばす、なのはも防御しようとするが間に合わず、鉄球がなのはに迫る!

 

「ナッツ、防御形態!」

 

「GaaaaaaoooooOO!!」

 

 

 

 

ーツナsideー

 

「何だぁ!?」

 

赤い髪の少女は戸惑いを浮かべた。バリアジャケットを纏ったなのはに向けて投げた鉄球が、突然現れたツナの纏うマントに触れた瞬間、“コンクリート”となって砕けたからだ。

 

「ツナさん! ナッツ!(パアッ)」

 

「無事のようだな、なのは」

 

「ガァウ♪」

 

『防御形態 Ⅰ世のマント』を纏ったツナは、微笑みながらなのはを見て、“形態変化”したナッツもなのはに向けて声をあげる。

 

 

ー???sideー

 

ツナはすぐになのはを襲った少女に目を向ける。“赤い髪の少女”は戸惑いを浮かべた。相棒であるデバイス、“グラーフアイゼン”が見つけた“大型魔力反応者”が“空戦魔導師”だったからでは無い。

 

「(アイツ・・・色は違うけど、“あの野郎”と同じ“炎使い”か・・・? でも、何だ・・・?)」

 

“少女”はツナを見ると、“主”がなついている(最近では仲間の守護獣も)“ムカつくあんちくしょう”と同じ感じのする炎を纏う少年に、妙な“既視感<デジャブ>”を感じていた。

 

「(何でだよ・・・? 何でアイツ<ツナ>を見ると、心がざわつくんだよ・・・!?)」

 

それは以前に、件の“ムカつくあんちきしょう”と初めて会った時に感じた頭痛と“心のざわつき”に良く似ていた。

 

「オイ・・・」

 

「ッッ!!??」

 

ツナに話しかけられ、漸く気を取り戻した“少女”は、ツナを睨む。

 

「お前は一体、何者だ・・・?」

 

「・・・・・“ヴィータ”、『紅の鉄騎 ヴィータ』とその相棒、『鉄の伯爵 グラーフアイゼン』だっ!!」

 

『鉄槌の騎士』と『不屈のエースオブエース』、『天空の炎皇』が邂逅した。

 


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