ー時空管理局・本局ー
刺々しい機械の柱がつらなった時空管理局・本局。そこに通路から見える、整備中のアースラを眺めながら、黒髪の少年クロノ・ハラオウンと茶髪の女性、エイミィが歩いていた。
「フェイトちゃんは今頃、感動の再会タイムかなぁ」
「そうだろうな」
ーフェイトsideー
ツナとなのは、リボーンと炎真と再会したフェイトは、なのはの通う『私立聖祥大学付属小学校』に転入し、なのはの家の近くのマンションに保護責任者であるリンディと狼の使い魔アルフと一緒に引っ越した。シモンファミリーにはなみもり民宿で泊まると通学に不便だからで納得してもらった。
「フェイト・テスタロッサです、よろしくお願いいたします・・・!」
顔を赤らめながら挨拶するフェイトに、なのはと友達のアリサとすずかを含んだクラスメート達から歓迎されていた。
ーリンディsideー
その頃、引っ越し作業を手伝っていたボンゴレとシモンはリビングで休憩に入った。ライトグリーンの長髪をポニーテールにした若い女性(年齢は不明)、リンディ・ハラオウンは息子のクロノとエイミィに連絡を取っていた。
「うん・・・引っ越し作業はもうだいたいおしまい」
《そうですか》
「綱吉君達や炎真君達、それにアルフも手伝ってくれて本当に助かったわ」
「あぁ、いやいや・・・/////」
「お礼ってんならリンディさんよ、いっちょサービスでも!」
ゴンッ!
手をワキワキさせたジュリーがリンディにダイブしようとするが、アーデルの拳骨で撃沈した。
《色々片付いて、艦長もゆっくりできますね~♪》
「そうね、でもどうやら私達が地球に来ない半年間の間に、ボンゴレやシモンの方で“事件”があったらしいわ」
《“事件”とは・・・?》
「どうやら、管理局にとって“触れてはならないロストロギア”、『トゥリニセッテ』に関わる事のようなの・・・」
《っ! 『トゥリニセッテ』、地球にある『Sランクロストロギア』、かつて回収に向かった管理局員が惨い死に様を晒し、“触れてはならないロストロギア”と断定されたアレですか・・・!》
「えぇ、私達が地球を離れてから僅か半年で、大きな動きがあったらしいわ、詳しい事はなのはちゃんとフェイトさんが帰ってきてからになるわね・・・」
《分かりました、僕達は仕事があるので後で聞かせてもらいますね・・・》
《アルフ、フェイトちゃんによろしくね》
「うん!」
そう言ってクロノとの通信を切ったリンディはお茶に大量の角砂糖を入れる。
「さてと、少し休憩が済んだら買い物に出掛けましょうか、私はまだこっちの世界に詳しくないから、色々教えてね」
「任せて!」
「二人が買い物に行ってる間は、俺とアーデルが仕切っとくぞ」
「お願いね、リボーン、アーデルさん」
「任せてください」
更にお茶にミルクを入れるリンディにツナ達は凝視した。
「あの・・・ええっと・・・リンディ提督」
「ん?」
「ありがとうね、フェイトの事をあれからずっと守ってくれていて・・・/////」
「アァラ、やぁね、何急に・・・!」
「クロノやエイミィもだけど、フェイトの資格試験とか、裁判の時も、何時も暖かくしてくれていた。炎真達やなのはの事とか、色々気を遣ってくれて・・・」
「あなた達の保護責任者ですもの、それくらい当たり前よ。でも、こっちの世界への移住と転入の話、フェイトさん、喜んでくれて良かったわ」
「話聞いたとき、フェイト、ホントに一晩中泣いてたんだよ。嬉しくて・・・楽しみで・・・」
「フェイトさんもあなたも、悲しい事件で大変だったけど、これからは自分の未来を選んでく自由があるんだから・・・」
リンディは優しく微笑む。
「あなたもフェイトさんもいい子だから大好きよ。この先何時まででも、一緒に居てくれたら嬉しいわ」
「ありがとう・・・/////」
リンディとアルフの会話を炎真達は嬉しく見ていた。
「おーおー、アルフってば顔紅くしやがって♪」
「やっぱコイツ狼って言うより犬っぽいな・・・」
「誰が犬だ!!」
茶化すジュリーと獄寺にアルフが飛び掛かり、そのまま喧嘩を始まり、リンディもツナ達も微笑ましそうに見つめた。
その日の夕方、なのはとフェイトが帰宅する。
『お帰り! フェイト!!』
「皆・・・!」
リビングに入ったフェイトにアーデル達が出迎えた。
「フェイト、元気そうで良かったわ」
「アーデルさん・・・!」
「少し背ェ伸びたか?」
「ジュリー・・・!」
「結局嬉しいぞーーーーーーーーーーー!!!」
「紅葉・・・!」
「新しい学校生活は大丈夫か?」
「薫・・・!」
「また会えてオイラ嬉しいよ」
「らうじ・・・!」
「ん~♪フェイトちゃん、相変わらずお肌スベスベ気持ちいい~♪」
「しとぴっちゃん・・・!」
前後からアーデルとSHITT・Pに抱き締められ、久しぶりにファミリーと再会したフェイトが涙ぐんで口を開く。
「た、ただいま・・・皆!」
涙混じりに言うフェイトをシモンファミリーは大喜びで歓迎した。
「ウオオオオオオオオオッ!! 極限にいい話だぞーーーーーーーーーーーッ!!」
「うるせぇよ! 芝生!」
「何だとタコヘッド!!」
「まぁまぁ二人共、お、なのは久しぶりだな♪」
「お久しぶりです! 山本さん、獄寺さん、了平さん!」
なのはも獄寺達との再会に花を咲かせた。
ー一時間後ー
「「「「『虹の代理戦争』・・・!」」」」
ツナ達やリボーンから聞かされたそれは、なのは達の想像を遥かに上回る物であった。
「“最強の赤ん坊 アルコバレーノ”の『呪い』を解く代わりにアルコバレーノそれぞれが代理人を決めて戦わせるバトル・ロワイアル・・・」
「だがそれは、オレを含んだ今のアルコバレーノのクビにし、新たなアルコバレーノを選定する儀式だったんだぞ・・・!」
「それで、ツナさん達がリボーン君の代理人として・・・」
「炎真達は、“紫<雲>のアルコバレーノ スカル”の代理人として参加した・・・!」
「他にも、“ボンゴレ独立暗殺部隊 ヴァリアー”や、“死刑囚 六道骸”の一派、“ボンゴレ門外顧問 チェデフ”、“ジッジョネロファミリーと白蘭率いる真・六道弔花の連合”等が参加したんだ・・・」
「名前だけ聞くと、相当厄介な人達と戦ったようね」
「あぁ、どいつもコイツも管理局の高ランク魔導師と互角以上の戦闘力を持っている・・・」
「そして、炎真達も半殺しにして、“裏社会の法の番人 ヴィンディチェ”が参戦した・・・!」
管理局が『トゥリニセッテ』に関するおぞましい記憶を刻んだ“ヴィンディチェ”が炎真達を半殺しにした事を聞いて、フェイトとアルフが思わず立ち上がってしまったが、炎真達が押さえた。
「その“ヴィンディチェ”と戦って勝って、ツナさん達は主催者である“チェッカーフェイス”って人から“アルコバレーノの秘密”を聞かされたんですね・・・」
「うん、詳しくは“沈黙の掟<オメルタ>”に引っ掛かるから言えないけど、とりあえずリボーン達はもうアルコバレーノじゃなくなったんだけどね・・・」
「アルコバレーノじゃなくなったってどういう事?」
「まぁ簡単に言うとな、俺達アルコバレーノは『呪い』のお陰でずっと赤ん坊の姿にされていたんだぞ」
「つまり、リボーン達はこれから普通に成長するって事なの?」
「そう言う事だぞ・・・」
「ツナさん・・・・・・!」
「な、何なのはちゃん・・・」
なのはがジト目で恨みがましく見つめるのを見てツナはタジタジになりながら応じる。
「何でそんな事が合ったのに、私に何にも言ってくれなかったんですか・・・!?」
「え、えぇっと、それは・・・」
「仕方ねぇだろうが、相手はガチモンの殺し屋集団だ、お前には荷が重すぎんだよ・・・!」
「ツナはなのはに危ない目に合って欲しくなかったんだよ・・・」
「沢田の気持ちも極限に汲んでやってくれ・・・」
「だからって・・・!」
「なのはさん、気持ちは分からなくもないけど、綱吉君の判断は正しいわ・・・」
「何しろ相手は“殺しの経験豊富な連中”だ。相手がガキだろうが容赦なく殺る奴等ばかりだからな・・・」
「ム~~~~!!!」
リンディとリボーンに諭されても、意外に負けず嫌いで頑固ななのはちゃんはむくれる。
ツナはそんななのはを、炎真は“ヴィンディチェ”に怒りを燃やすフェイトを宥めるのであった。
今回はここまでです。ヴォルケンリッターとの戦いを早く書きたいですね。