ーなのはsideー
《こちらロングアーチ。なのは隊長! フェイト隊長! ソチラに向かって新型ガジェットが旧型ガジェットと共に大軍で迫っています!》
保護した女の子を連れて、ツナとエンマとなのはとフェイトが乗るヘリに、旧型と新型ガジェットが迫っていると報告を受けた。
「フェイトちゃん!」
「うん! ツナ。エンマ。ガジェットは私達の任せて!」
「「(コクン)」」
「「セットアップ!」」
ツナとエンマが頷くと、二人はBJを纏うと、ヘリのハッチが開くと、空に飛び出した。
そして飛行していると、空を覆い尽くさんばりの大量のガジェットがいた。その中に、ヴィータ達の記録で見た機体に両手を装備した新型ガジェットが黄色い焔を纏うと、先陣を切って飛び出した。
『ーーーー!!』
「「なっ!?」」
新型ガジェットは、フェイトの『ソニックムーブ』並のスピードで接近すると、赤いレーザーを放った。
「『プロテクション』!」
「『ソニックムーブ』!」
フェイトはレーザーを回避し、なのはがレーザーを防ごうとするが。
[マスター! 駄目です! 破られます! 逃げて下さい!]
「えっ!?」
レイジングハートの言葉に一瞬気を取られたなのはに、『プロテクション』を分解して、レーザーが迫る。
「きゃっ!!」
回避が遅れ、なのはの右腕のBJにレーザーが掠ると、ソコから炎が燃え上がり、徐々にBJを燃やしていく。
「くっ! どうなっているの!? ただの炎じゃないの!?」
[マスター! このレーザーには、『嵐の死ぬ気の炎』を纏っています!]
レイジングハートからの報告を聞いて、なのはは『分解』されたと察した。
フェイトの方は新型ガジェットにクレッセントフォームのバルディッシュで斬りかかるが、緑の雷、『雷の死ぬ気の炎』を纏い、『硬化』によって防がれていた。
「もしかしてこのガジェット、死ぬ気の炎を使いこなしているのっ!?」
《なのはちゃん! フェイトちゃん! もう少し堪えてや! 私とアインスもソッチに駆けつける!》
はやてから念話が届くが、苦戦は免れないと、なのはは顔を顰める。
ールーテシアsideー
獄寺達が行動を起こしているその頃、街のポールの上では一人の少女、ルーテシアが立っていた。
すると、彼女の側に女性の姿が映った空間モニターが出現する。
《ヘリに確保されたケースとマテリアルは、妹達が回収します。お嬢様は地下の方に』》
「・・・・うん」
《騎士ゼストと『アギトさん』は?》
「別行動」
《お一人ですか?》
「一人じゃない」
そう言うと、ルーテシアのデバイスの宝玉から小さな黒い塊が出現する。ルーテシアはそれを愛おしそうに両手で包み込む。
「私にはガリューがいる」
《失礼しました。それと、大変勝手ながら、協力者を一人そちらに寄越してあります》
「協力者?」
「私、私、わた〜しだ、小さな魔法使いのお嬢さん♪」
ルーテシアは声がした方に振り向くと、ニンマリとした気持ち悪い笑みを浮かべる男性が、馬上ムチを手のひらでペシペシと叩きながら近づいてきた。
ー獄寺sideー
「『フレイムアロー』!」
「『マキシマムキャノン』!!」
「『時雨蒼燕流攻式一の型 車軸の雨』!」
その頃、地下水道で調査をしていた獄寺達とFW陣は、襲い掛かってくる通常ガジェットを破壊しつつ、レリックを探していた。
「空の上は何だか大変みたいね」
「うん」
ロングアーチからの通信で、ツナとエンマ、そして保護して少女の乗るヘリに向かって新型ガジェットが大軍で攻めてきて、なのはとフェイト、そしてリミッター解除したはやてが応戦していると聞いて、隊長達の事が気がかりだが、自分の任務に集中する。
「ケースの推定位置まで、もうすぐです!」
「んじゃあ、さっさと済まして帰るぞ!」
「おい獄寺! 単独行動はいかんぞ!」
そう言って、獄寺と了平が歩き出そうとした瞬間ーーーー。
ーーーードゴォォォォォン!!
「「なぁぁぁぁああ!?」」
『っ!』
突然壁が爆発し、近くにいた獄寺と了平は吹き飛ばされるのを見て、山本とティアナ達はその爆発に身構える、
すると、そこから現れたのは青い長い髪をした、何処かスバルと似た女性が現れた。
「『ギン姉』!」
「『ギンガさん』!?」
「スバル!? ティアナ!?」
『ギンガ』と呼ばれた女性の登場に歓喜の声を上げるスバルとティアナ。
「何だ? スバルとティアナの知り合いか?」
「ええ。ーーーー『ギンガ・ナカジマ』さん。スバルのお姉さんよ」
「えっ? スバルの姉ちゃん?」
それから、山本達の紹介を終えると、スバル達がここに来た理由を話した。ギンガもこの地下水道に来た理由を話した。
「つまり、その横転事故と、エリオ達が見つけた女の子と関係してそうですね」
「ええ。一緒にケースを探しましょう。ここまでのガジェットは殆ど叩いてきたと思うから」
「うん!」
ギンガの言葉に頷くスバル。ソコで山本も口を開く。
「ギンガさんは、一人で来たんすか?」
「ああいえ、実はもう一人協力してくれている、次元漂流者がいたんだけど、ガジェットの数が多くてはぐれてしまったの」
「えっ? その人大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ。その子、とても強くて、私以外の陸士108部隊の隊員達を総ナメにしちゃったの。私も本気にならないと相手にすらならないくらいにね」
「ええっ!? そんなに強いのその人っ!?」
「ええ。歳の位は、山本くんと同い年くらいかしら」
「とりあえず、その次元漂流者も探しながら、調査を続けましょう」
ティアナの言葉で、調査を再開しようとする。
「あの~・・・・」
すると、キャロが手を上げてティアナに話しかける。
「ん? どうしたのキャロ?」
「えっと・・・・さっきの爆発で、隼人お兄さんと了平お兄さんさんが・・・・」
「「え?」」
キャロの言葉を聞いたティアナとスバルはすぐさまナツとグレイが居る方角を見た。
そこにはーーーー。
「「・・・・・・・・」」
頭に大きなタンコブを生やし、うつ伏せに倒れ、ピクピクっと、動いて気絶している獄寺と了平の姿があった。
どうやら先ほどの爆発で吹き飛ばされた際に思いっきり頭を打ち付けたらしい。
「ちょっ、獄寺っ!? しっかりしなさいよ!」
「了平さん! 大丈夫ですか!?」
ティアナは獄寺を、スバルは了平の身体を揺さぶったり頬をペチペチと叩いたりしたが、起きる気配はなかった。
「・・・・ダメだな。完全に伸びてるぜ」
二人の容態を見た山本が苦笑し、ギンガがおずおずと声をかける。
「えっと、その人達は?」
「ほら、前にメールで話したでしょ? 民間協力者の人達」
「あぁ、その人達なのね」
スバルの説明に納得するギンガ。
「それでティア。この二人はどうする?」
「・・・・仕方ないわね。起きるまで待ってられないし、このまま放って行きましょう」
「え? 大丈夫なの?」
ティアナの判断にギンガは目を丸くする。
「大丈夫ですよ。この二人は簡単に死なないゴキブリ並のしぶとさと、スバル並の頑丈さを持っていますから」
「そ、そう・・・・?」
笑顔で言うティアナに顔を引きつらせるギンガ。 そして一同は本気で気絶した獄寺と了平をその場に取り残し、レリックの捜索を再開した。
ーティアナsideー
それからティアナ達は、ガジェットと戦いつつも水路を進んで行き、やがていくつかの水路がまとまっている場所に出る。そこで各自散開してケースの捜索を行なっていると。
「ーーーーあっ、ありましたー!」
キャロがケースを見つけ、抱えてそう言った。目的の物を見つけた一同は安堵の息を吐く。
だがその時、
ーーーーズズズズズズズズズズズズ・・・・。
キャロのすぐ近くあった水路の水面から、水柱がせり上がりーーーー。
「ーーーーっ! キャロ! 危ねえっ!!」
「えっ?」
山本の叫びで振り向いたキャロに、水柱の先端が槍のように尖り、キャロへと迫る。
『キャロ!!』
エリオと山本が駆け出し、ティアナとスバルとギンガも、一拍子遅れて駆け出すが、水の槍がキャロに当たりそうになったその瞬間ーーーー。
ーーーーバシュゥゥゥゥ!!
「っ! 小次郎くん!?」
『ピィィッ!』
山本が『雨のネックレスver.X』から、『雨燕の小次郎』を召喚し、『雨の死ぬ気の炎』の防壁で、水の槍を防いだ。
「エリオ! キャロを助けろ!」
「はい!」
「行くぞ次郎!」
『ワンっ!』
エリオがキャロを連れ出し、山本が時雨金時を、『雨犬の次郎』が『雨の死ぬ気の炎』で刀身が伸びた小太刀を口に咥えて、水の槍を切り裂いた。
切り裂かれた水の槍の一部は地面に落ち、残った方は水路に引っ込み、切られた箇所から水が落ちると、その中身を露わにした。
それはーーーー。
「な、何これ!?」
「コイツはーーーー"イカの足”だ!」
『イカぁっ!?』
寿司屋の息子である山本の言葉に、FW陣とギンガが目を見開いて、素っ頓狂な叫びを上げたが、それも仕方ない。こんなクラナガンの大都会の水路で、巨大なイカの足が現れたのだから。
「あった、あった、あ〜った♪ ソコのお嬢さん。そのケースを私に渡しなさい♪」
『っ!』
突然水路に響いた声に全員が目を向けると、水路の奥から一人の男がやって来た。
黒い隊服の肩に羽に、黒いマントを靡かせ、乗馬ムチを持った長身に赤毛のボブカットヘアに眼鏡をかけ、歪んだ笑みを浮かべながらコチラを見下すような視線と、
「ほう、ほう、ほ〜う。中々ソソられる女性ばかりだなぁ」
『うぅっ!?』
女性陣を上から下へ舐るような視線を向け、ティアナとスバルとギンガは、自分の身体を隠すように両手で身体を抱きしめる。キャロはケースで自分の身体を隠す。
その男は女性陣の反応を面白げに頷く。
「やぁやぁ。ボンゴレファミリー・雨の守護者、山本武♪」
「・・・・っ! あっ・・・・!」
時雨金時を構えた山本はその男を見て、驚愕に目を見開く。
「あっ、あぁっ・・・・!」
震える声を発する山本に、男はまたもや満足げに微笑みながら頷く。
「驚くのも無理はない♪ 何しろ、あの『もう一つの未来』で戦った強敵が現れたのだからな♪」
『(『もう一つの未来』?)』
その男の言葉に、ティアナ達は首を傾げ、山本は震える声でその男に向けて発する。
「あっ・・・・あ、アンタは・・・・! ーーーー誰っすか?」
『だぁああっ!!!』
山本の言葉に、男だけでなく、ティアナ達まで盛大にズッコケた。
「き、貴様! この私の事を忘れたかっ!? 『ミルフィオーネファミリー』の『六弔花』の一人! 『雨の六弔花』である! この! 『グロ・キシニア』をっ!!」
ーーーーザパァァァァァァァァァンン!!
その男、『グロ・キシニア』が叫ぶと、水路から、『雨の死ぬ気の炎』を纏った巨大なイカが水飛沫を上げて現れた。
「ーーーースンマセン。全然覚えていないッス」
『どぉおおっ!!!』
呑気な笑みを浮かべて言う山本に、またもグロ・キシニアとティアナ達、そして巨大イカこと『雨巨大イカ』まで盛大にズッコケた。
今思ったんですか、山本ってグロ・キシニアと面識無かったですね。