キリトに双子の妹がいたとしたら   作:たらスパの巨匠

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鍛冶屋の女の子と出会いました

 

 今の最前線はアインクラッド第17層。もうすぐ五分の一に届くというところだ。私はアスナとコンビを組んで攻略を続けている。キリトはギルドには入らずソロで攻略を続けているみたいだ。かくいう私たちもギルドには入ってないんだけど。

 

 

 

 今は第12層にアスナのレイピア・アクアラピエルの強化素材を取りに来ている。

 

 

 「ごめんねユカ。今日は私に付き合ってもらって。」

 

 「気にしないで。コンビが強くなれば私が楽になるからねぇ~。」

 

 「ありがとうね。」

 

 

 

 今日狩りに来たのはブルーリノセラス。その名の通り青いサイだ。欲しい素材はその角、ブルーリノセラスの角だ。

 基本的な攻撃方法は突進と頭を振ったかちあげ、前足での踏みつぶしだ。攻撃力は高いが動きが遅い。ましてや最前線から5層もしたのモンスターであり敏捷振りのアスナが相手ではああなる。

 

 突進してきたサイをかわし、片目をリニアーで突く。かちあげをすれば横に回り込み横腹を突きまくる。踏みつぶしくれば後ろに回り込み後ろ足を切りつける。 ...サイがかわいそうだよアスナ。

 

 

 

 

 

 狩りを始めて約2時間。ブルーリノセラスの角が必要数集まった。

 

 「アスナー。どこの鍛冶屋で強化してもらうの?」

 

 「うーん。特に決めてなかったのよねぇ。前まで行ってた鍛冶屋はデートしてって言ってくるからあまり行きたくないのよ。」

 

 

 「あーー。あの人ね。あの人アスナのこと狙ってるみたいだったからねぇー。」

 

 

 

 アスナ今まで何人もふってきたもんね。まあ、知らない男性にいきなり告白されても困るし、ひどい人だと逆上して襲い掛かってくるから恐怖でしかないし。アスナの場合圏内でそれ以上の恐怖を刻み込むんだけど。

 っていうか多分アスナも私と同じくらいの年だと思うんだけど、告白してくる人はどう見ても二十歳を超えているというか、三十路もいたりそれ以上もいたような気がするけど。これってロリコ...いや、深く考えるのはやめよう。

 

 

 「特に決めてないなら、今話題の女の子の鍛冶屋に行ってみない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「リズベット武具店にようこそ!」

 

 店に入ると茶髪の元気のいい声が聞こえてきた。店内は様々な武器が所狭しと並んでいる。昼過ぎだからかお客は少ない。

 

 「あの、武器の強化を頼みたいんですが。」

 

 「強化ですね。素材は持ち込みですか?」

 

 「はい。この細剣を+3。正確性でお願いします。」

 

 「わかりました。では武器をお預かりさせていただきますね。   ってすごいステータスの武器ですね。もしかして攻略組ですか?」

 

 「あーはい、そうです。」

 

 「もしかして、鬼姫さんですか?」

 

 

 その瞬間アスナからピキっと音が聞こえたような気がした。

 鬼姫というのはアスナの別称である。アスナに告白し、振られ、逆上して襲い掛かってきた相手やアスナを罵った相手をアスナが圏内で恐怖を刻み込んだ結果、鬼姫という名をつけられたのだ。

 

 「ハイ、ソウデスヨ。」

 

 「ひっ、ちょ。ちょっとまって。ごめんなさい。」

 

 「ア、アスナ。その顔はダメ。今にも人を殺しそうな顔しているよ。 ごめんね。この人鬼姫っていう呼ばれ方が嫌いなんだ。」

 

 「ご、ごめんなさい。そうとは知らなくて。その、強化してきますね。」

 

 

 

 そういうと少女は店の奥に作業をしに行った。

 

 「アスナ。彼女も悪意はなかったみたいだし。その...大丈夫?」

 

 

 アスナは固まったまま動かない。

 

 

 「ねえ、ユカ。私ってそんなに怖いかなぁ。」

 

 「大丈夫!アスナが優しいことは私はわかっているから。それにアスナがボコボコにした奴らが悪いんであってアスナは悪くないよ。」

 

 「そうだよね。私は悪くないよね。もういっそのこと私のことを鬼姫なんて呼んだ人を片っ端からボコボコにすればいいんだよね!」

 

 「アスナ...」

 

 

 「お、お待たせしました。」

 

 

 

 強化を終えた少女が戻ってきた。まだ少し怯えているようだ。

 

 

 「えーと、三回とも成功して+3になりました。」

 

 「ありがとうございます。改めまして、私はアスナといいます。」

 

 「私はユカだよ。」

 

 「あ、私はリズベットといいます。」

 

 「へー、店の名前とおんなじなんだ。」

 

 「あのー、先ほどはとんだ失礼をしてしまって、申し訳ありませんでした。」

 

 「あっ、私もごめんなさい。あなたは別に悪くないのに。」

 

 「それにしてもリズベットさん鍛冶スキル高いんですね。最前線で通用する武器の強化を三回連続で成功するなんて。ギルド専属の鍛冶屋でも失敗してもおかしくないのに。」

 

 

 

 ギルド専属の鍛冶屋は素材などを自分で集める必要がないので鍛冶スキルを上げることだけに集中できるが個人ではなかなかそうはいかない。個人では資金や素材などの問題が出てくるので余計な手間が増えるのだ。

 

 

 「ああ。それはエギルさんっていう人が良くしてくれているので。」

 

 「えっ! エギルさんが!?」

 

 「はい!ご存知ですか?」

 

 「うん。知ってるよ。にしてもエギルがねぇ。」

 

 (エギル、ロリコンじゃないよね...)

 

 「あ!あと敬語はやめにしない。年も近そうだし、SAOでは珍しい女の子だし仲良くしたいからさ。私のこともユカでいいから。」

 

 「...わかったわ。じゃあ、私のこともリズって呼んで。」

 

 「よろしくリズ。」

 

 「私のこともアスナでいいからね。よろしくねリズ。」

 

 「うん。よろしくユカ、アスナ。」

 

 

 「それじゃあ、私たちこの後レベル上げに行くからまたね。」

 

 「またね。リズベット武具店を御贔屓に~。」

 

 

 

 こうして私たちは店を出た。

 

 

 

 


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