キリトに双子の妹がいたとしたら   作:たらスパの巨匠

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双子はFPSを剣でプレイするみたいです

 

 

 GGO内で出会ったシノンという女性プレイヤーはキリトの性別についてショックを受けていた。SAOでは男性プレイヤーが女性プレイヤーとしてログインしていたこともあった(結果として現実の性別に戻ったが)が、基本的にフルダイブ型のVRMMOは現実世界の性別とゲーム世界の性別は変更できないのだ。そのため今のキリトはフルダイブ型のVRMMOでネカマができる希少なアバターなのだ。

 

 

 

 

 私とキリトはシノンに案内してもらって武器屋に来ていた。

 

 「それにしても二人ともGGOを始めてすぐにBoBに出場しようとするなんて勇気あるね。」

 

 BoB(Bullet of Bullets)はGGO内の最強プレイヤーを決める大会だ。

 

「勇気?」

 

「そう。予選に出る人は多いけど、本選に出る人たちはガチ勢だからね。人によっては初心者がBoBに出るっていうだけでキレる人もいるからね。」

 

 GGOはゲーム内通貨を現実世界のお金に換えられることからガチ勢が多い。そのためFPS初心者にとってはハードルが高い。

 

 

 

 武器を選ぼうとしたときに、私とキリトはお金がないことを忘れていた。

 

 「そういえば俺たちこのゲームにコンバートしたばっかりだったな・・・」

 

 「さすがに1000クレジットじゃ何も買えないし、買えたとしても大会で優勝とかは無理だよね・・・」

 

「・・・良かったら私が少し貸そうか?これでも私結構長い事このゲームやってるし。」

 

「いや、さすがにそれは悪いよ。なんかドカンと一気に稼ぐ方法ないか?」

 

「一応あるにはあるわよ。」

 

 そういうとシノンは部屋の端の方を指さした。

 その先には西部劇に出てきそうなガンマンのロボットがいた。

 

 「あれは弾を避けながらあの人形にタッチするっていうゲームなの。ワンプレイ1000クレジットよ。」

 

 シノンが説明している時に一人のプレイヤーがそのゲームにエントリーした。

 そのプレイヤーは途中立ち止まって変なポーズをとったりして弾を避けていたが、あれは相手が銃弾を打つ際にプレイヤーに見える予測線を基に避けているらしい。

 結果としてそのプレイヤーはあっさり撃たれてゲームオーバーとなった。

 

 

 そのあとキリトがそのゲームに挑戦してあっさりクリアしてしまった。キリト曰く、あのゲームは予測線を予測するゲームらしい。あとから知ったことだが、SAOでの二刀流スキルは全プレイヤーの中で一番の反応速度を持つプレイヤーに与えられるとのことだったので、ただでさえ反応速度の速いキリトが予測線を予測するならクリアできるだろう。

 

 

 「えっと、キリトはこれでいいとしてユカのクレジットはどうしようか。」

 

 「あ、私は大丈夫。」

 

 私は茅場がナーヴギアに送ってくれていたお金がまだあるので課金することにした。とりあえず一万円課金して100万クレジットを手に入れた。それを見ていたシノンはどこか羨ましいそうな複雑な表情をしていた。

 

 

 

 

 

 

 私とキリトは二人ともほぼ同じ装備を選んだ。FPSだというのに二人ともフォトンソードという剣、超有名映画に出てくるライトセーバーをメイン武器に選択したのだ。キリトは二本買って二刀流にしようとしていたが、流石にシノンが止めた。

 またキリトは軽装の防具とFN57というハンドガンを買った。私はクレジットに余裕があったので軽装の防具と手榴弾とスモークグレネードを10個、あとコルトパイソン357マグナムを買った。S&W41マグナムとどちらにしようか迷った。ちなみにシノンからはどちらも止められたが、これは譲れなかった。

 

 

 シノンに連れられて、地下にある射撃練習場に来た。ここで買った銃の試し打ちができるらしい。

 私は早速コルトパイソン357マグナムを撃った。反動がすごい!弾は的には全く当たらなかった。天井に水道管なんかがあれば打ち抜きたかったが、残念ながらなかった。

 それにしても的に当てるのは結構難しい。いっそのことキリトみたいに二刀流で戦うか、フォトンソードを複数用意して投擲武器として戦った方がまだ中距離が戦えるのではないかという気がしてきた。

 それをシノンに話すと、弾が的に当たらないのはコルトパイソン357マグナムが上級者向きだからと言われた。シノンはさっきも説明したけどとも言っていた。フォトンソードを投げるのは、そんなもの相手には当たらないし、当たるとしたら初心者だけじゃない?それに投げて当たるなら、当てやすいハンドガンをちょっと練習したほうがいいよ、と言われた。

 

 

 

 

 

 

 「シノン、武器選び手伝ってくれてありがとう。」

 

 「本当に助かったよ。」

 

 「気にしないで。たいしたことはしてないし。あとは総督府に・・・やばっ。」

 

 「どうかしたの?」

 

 「大会の受付終了間であと10分しかない。」

 

「え、ごめん。」

 

 「ああ、いや、気にしないで。私もうっかりしていたし。」

 

 私たちは総督府を目指して走ったが、距離的に間に合いそうにない。

 

「・・・キリト!あれ!」

 

 「・・・あれなら間に合うな!」

 

 私はシノンの手をつかんで、先に行ったキリトの後を追った。

 

 「まって!このゲームのバイクは運転が難しいの。」

 

 キリトはバイクにまたがって準備万端である。私はシノンと二人でキリトの後ろに乗った。現実では完全にアウトである。

 バイクの運転は難しいとのことだったが、現実世界でもバイクに乗っているキリトは難なく乗りこなしていた。

 総督府について、大会へのエントリーはギリギリ間に合った。

 

 

 

 


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