キリトに双子の妹がいたとしたら   作:たらスパの巨匠

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 メールの差出人はエギルだった。メールには文字はない。画像が添付されているだけだ。その画像は何かのゲームかアニメのもののようだ。そこには荒い画像で一人のキャラクターが写っていた。

 耳がとんがっていて、長く栗色の髪をしている。それよりもその顔。画像は荒く、確信は持てない。でも、アスナに似ている。

 私はすぐにエギルに電話した。電話に出るまでの数コールがとても長く感じる。

 

 「おう。ユカか。あのが

 

 「エギル!あの画像は何?どこの画像なの?」

 

 「ち、ちょっと待て。とりあえず落ち着け。電話で話すには少しややこしい。俺の店に来れるか?」

 

 「わかった。今すぐ行く。」

 

 私は病院を出て自転車を飛ばした。エギルの店の前に自転車を停め、扉を開ける。

 

 「はぁはぁ、エギル。」

 

 「おう。早かったな、ユカ。」

 

 エギルはカウンターでグラスを磨いていた。とても様になっている。私はエギルの前に座った。店の中には他にお客さんはいない。

 

 「ほら、とりあえずこれでも飲め。」

 

 「ありがとう。」

 

 エギルは私にアイスコーヒーを出してくれた。それを飲み、のどを潤す。

 

 「それで、あの画像は何なの?」

 

 「ふむ・・・。まず、このソフトを知っているか?」

 

 エギルは一つのゲームソフトを私に渡してきた。そのソフトはSAOのデータが引き継ぐことができたゲームの1つだ。

 

 「これは、アルヴヘイム・オンライン。」

 

 「ほぉ~、知っていたか。」

 

 「うん。詳しくは知らないけど。結構人気だったよね。」

 

 「ああ、そうだ。その画像はアルヴヘイム・オンラインの中で撮られた写真だ。」

 

 「・・・この画像に写ってるのって。」

 

 「ああ。似てるだろう。」

 

 エギルの言った通り、見れば見るほどアスナに似ている。これは偶然なのか?

 

 「その写真はこのゲームの中に世界樹と呼ばれる大きな木があってな、その木の上で撮られた写真だ。本来この世界樹に上るのがこのゲームの最終目標らしいんだ。木の中に入ってクエストを受けるらしいんだが、そのクエストがクリア不可能と言われるほど難しくてなあ。」

 

 その話は聞いたことがある。前にゲームについて調べていた時に読んだ覚えがある。

 

 「このゲームは飛べるのは知っているか?」

 

 「うん知っているよ。」

 

 「オーケー。だが飛べるとは言っても滞空時間に制限があってな。世界樹の外から飛んで上まで登るのは不可能なんだが。ある時、数人のプレイヤーが肩車をして、多段ロケットのようにして飛んだんだ。」

 

 「なるほど。かしこいね。」

 

 「それで一番上のプレイヤーは世界樹の木の枝までもう少しのところまで行ったんだが、届かなかったそうだ。それで、もう少しのところまでいった証拠に写真を撮った。そのうちの一枚がこれだ。」

 

 これはゲームの中の写真で、アスナによく似たプレイヤーかNPCが写っている。それに鳥かごの中に捕らわれているみたいだ。もしこれがアスナなら茅場の言っていた通りになる。

 このゲームを販売しているのは、レクト。・・・まさかね。

 でも、試してみる価値はある。

 

 「エギル、教えてくれてありがとね。」

 

 私はアイスコーヒーを飲み干し、席を立つ。

 

 「行くのか?」

 

 「うん、ちょっと気になることもあるしね。」

 

 「そうか。・・・もしこの写真に写っているのがアスナだったらキリトの奴もいるかもしれないな。」

 

 「・・・そうだね。いつかここでオフ会をしよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エギルの店を出た後、アルヴヘイム・オンラインの攻略本を買って帰った。家に着く頃にはもう14時を回っていた。私は軽くご飯を食べて、掃除と洗濯を済まし、夜ご飯の準備をしている。お母さんは家にいることが少ないので、家事は私とスグでしている。スグももうすぐ部活から帰ってくるだろうから、お風呂も沸かしておかないと。

 私は一通り家事を終わらせてから、買った攻略本を読んでいた。

 

 「ただいまー。」

 

 「おかえりー。お風呂湧いてるよー。」

 

 「ありがとうー。お姉ちゃん。入ってくるね。」

 

 スグが帰ってきたし、夕飯の準備しよう。

 二人でご飯を食べた後、洗い物はスグに任せて私もお風呂に入った。お風呂から上がるとスグはリビングにはいなかった。自分の部屋に行ったんだろう。

 私も自分の部屋に行き、ナーヴギアを被る。攻略本で一通りの知識は覚えたし、あとは実践あるのみだ。

 

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