75層をアクティベートしたあと、アスナはヒースクリフに報告に行くということで血盟騎士団本部に転移した。私とキリトは迷宮区攻略とボスを倒した時にドロップしたアイテムをエギルの店に売りに行くことにした。
「エーギルー!」
「おう!ユカ。いらっしゃい。」
「久しぶりだなエギル。」
「おう!キリト。お前の噂は聞いたぜ。」
キリトがなんのことか首をかしげ、なんのことか分からない様子を見てエギルはニヤついている。
「お前、閃光のアスナと結婚したんだろ?」
「あ、ああ。その事か。」
そうだ。今日の朝クラディールとアスナが言い争っているときに、アスナが口を滑らしてしまったのだ。この事は既にアインクラッド全土に行き渡っているらしい。
「それでだ。そんなお前に是非売りたい商品があるんだよ。」
エギルは悪い笑みを浮かべている。ガチムチガングロスキンヘッドでそんな笑いかたされると控えめに言ってかなり怖い。
「ど、どんな物なんだ?怪しいものじゃないだろうな?」
「怪しいものじゃないさ。物としちゃ1枚の紙切れだ。」
あ!!あれか!
エギルはシステムウィンドを開き、1つのアイテムをオブジェクト化する。エギルの手には1枚の長方形の紙があらわれる。
「これなんだか、まあ見てみろよ。」
「なんだよ…なっ!!これいつ撮ったんだ?」
その写真には眠っているキリトとキリトにくっついて眠るアスナの姿があった。
「どうする?今なら100000コルだぜ?」
写真一枚に十万…流石に法外すぎるよエギル…
「なっ!!高すぎだろ!!!誰が買うかよ。」
「そうか。それは残念だ。」
エギルはわざとらしく右手で自分の頭を撫でながら続ける。
「なら仕方ねぇ。この写真はお前とアスナ一人ずつの写真にして、複製して売りさばくとするか。アスナは男女関係なく人気があるから飛ぶように売れるだろうな。お前も一部のコアな男の連中にけっこう人気があr
「エギル100000コルだったな。」
キリトは素早く右手を動かした。エギルの前にウィンドがあらわれる。
「毎度あり。」
こ、これが大人のやり方か~。流石エギル。…現実でも同じ事してないよね?
バタンッ!
急にエギルの店のドアが開かれた。そこにいたのは息をきらしたアスナだった。
「ど、どうしようキリトくん。大変なことになっちゃった。」
私とキリトはアスナに連れられて血盟騎士団本部に来ている。目の前にはヒースクリフが座っている。
「まず、急に呼び出したことを謝罪しよう。」
「別に大丈夫ですよ。それで俺に何の用で?」
「ふむ。君とアスナ君が結婚したという噂を聞いてね。またこの頃アスナ君の活動時間が減ってきているとういのもあり、我々血盟騎士団としては無視できない問題として先ほどまで幹部会議を開いていたのだよ。まあ、幹部の中には君達の結婚を快く思っていない者が多くてね。」
ヒースクリフは淡々と話していく。
「キリト君。私とデェエルをしないか?君が勝てばアスナ君は自由にしていい。血盟騎士団を辞めるなり、もしくは籍は残すが主に君と活動するなりと本人の自由にするといい。私が勝てば君は血盟騎士団に入って貰おう。」
「…俺がその勝負を受けなかった場合はどうなる?」
「その時はアスナ君には血盟騎士団副団長として働いて貰う。無論、そうなれば君たち二人は時間をとるのが難しくなるだろう。」
「いいでしょう!その勝負受けましょう!」
「え!?キリト君!!?」
「ふふっ。それとユカ君。君を勧誘するのは2度目になるが、血盟騎士団に入るつもりはないかね?」
今まで傍観きめこんでたから、ちょっとびっくりした。血盟騎士団か~。キリトが入るなら。ていうかキリトとアスナが結婚した時点で私としては特にソロにこだわる理由は無いんだよね。でもここで素直に入るって言うのもなんかこう、雰囲気がねぇ~。
「うーん。キリトが負けたら私も一緒に血盟騎士団に入ることにします。」
「え?なんで!?」
ここはキリトに任せることにしよう。
「了解した。では決闘の日時は追って連絡しよう。」
という訳で、ヒースクリフとキリトのデェエルが決定したところで私たちは血盟騎士団本部をあとにした。
そしてデェエル当日。デェエル会場は超満員のコロシアム。いい席ほど入場料が高いらしい。キリトとアスナはコロシアムの控え室にて準備中だ。私はあの二人といるとなんか気まずいので、ヒースクリフが用意してくれたVIPルーム観覧席でポップコーンを食べていた。ポップコーンはコロシアムの前に出店が立てられていたのでそこで買った。
あっ!キリトとヒースクリフが出てきた。どうやら早速始めるようだ。
デェエルカウントが0になりまず、キリトが攻める。だが、ヒースクリフはその攻撃を防ぐ。やっぱりあの盾強すぎるよ!キリトもよく両手で剣が振れるな~。まあ、でももう二刀流スキルが発現して一年くらいたつんじゃないかな?それくらいあれば使えるか!
ここでキリトが二刀流ソードスキル・ジ・イクリプスを発動。ヒースクリフはその攻撃を防いでいくが20連撃位で一度決定的な隙ができる。ジ・イクリプスは27連撃。これはキリトが勝った。そう確信したとき、ユカは何か違和感を感じた。次の瞬間ヒースクリフは盾でキリトの剣を防ぎその後全ての連撃を防いだのち、硬直状態のキリトを斬りつけることでデェエルは幕を閉じた。