剣舞のスキル・鬼舞。発動すると外見の変化として目が赤く輝く。このスキルの効果は発動したプレイヤーの攻撃力と速度が上がる。その最大倍率はともに2倍。その代償として被ダメージが攻撃力と速度の倍率を掛け合わしたものになる。両方を2倍にしたならば被ダメージは4倍。2倍と1.5倍なら被ダメージは3倍になる。
普通のゲームなら多くのゲーマーが好んで使いそうなスキルだ。しかしデスゲームであるSAOでは、簡単には使えない。
ユカは倍率を攻撃力と速度ともに1.5倍に設定した。被ダメージは2.25倍。
「ほぉ。その眼の色が変わるのも何かのスキルか。」
ユカはなにも答えず斬りかかった。白雪を左から右に振りぬく。Pohはメイトチョッパーでそれを受ける。剣舞のスキルを使っていない、鬼舞のスキルを使っていなければ簡単に受けれていただろうが、ライトエフェクトを使っていないとはいえ鬼舞のスキルは発動している。Pohはノックバックする。剣を振りぬいた勢いのまま左足で蹴りを放つ。蹴りはpoh
の顔面をとらえふきとばす。
「くそ。ライトエフェクトじゃないから油断した。その眼はステータスの強化か。」
ユカは追撃を仕掛ける。次は剣に黒色の腕と足には白色のライトエフェクトを発動させ、袈裟斬りをはなつ。右上から左下に白雪を振る。Pohは短剣ソードスキル・サイドバイトを発動。右から左にメイトチョッパー振りユカの白雪にあてる。その結果Pohは後方に飛ばされた。
ライトエフェクトのない状態で競り負ける相手に、相手は最大の自分は基本的なソードスキルで勝負しても競り負けるのは当然。しかしPohの判断は正しい。変幻自在の攻撃を仕掛けられることのできるユカ相手、ましてや今のユカは閃光にも勝らずとも劣らない速さである。避けるという選択肢はないに等しい。なら向かい打つしかない。
Pohは地面を転がり、体制を整える。ここでPohは予想外の行動に出る。Pohは自分の左腕にメイトチョッパー突き立てた。
暗黒剣スキル・血の契約。自分に剣を突き立て減ったHPに比例して筋力値と敏捷値が3分間上昇する。その倍率は(1+全HPに対する減ったHPの%)²。10%なら1.21倍、20%なら1.44倍になる。この時Pohは20%のHPを減らしたので1.44倍に強化されていた。
Pohは腕から剣を引き抜くとユカに斬りかかる。短剣ソードスキル・インフィニット。短剣の小回りの良さを生かした高速連撃。右から左、左から右、上から下、下から上と連撃が繰り出される。だがユカはそのすべてを防いだ。続いてPohは左腕で体術ソードスキル・エンブレイザーを発動。ユカは半身になって避けPohの鼻に左腕を黒色に輝かせ肘鉄を叩き込む。そのまま回転し右足で後ろ回し蹴りを放つが、Pohは短剣ソードスキルラピッドバイトを発動しユカを斬りつけていった。この時ユカのHPが大きく減少する。ユカはピックを取り出し、後方にいるPohに向け振り向きざまに投げる。ユカは投げたピックの後ろにつき白雪と腕と足を白色に輝かせ、左から右に白雪を振りぬく。Pohはピックを左腕で受け、メイトチョッパーでユカの白雪を受ける。しかし、勢いを殺しきれずノックバックする。そのすきにユカは白雪を輝かせたまま上から下に振る。Pohの左腕を斬り落とした。
左腕を失ったpohは後方に下がった。ユカはすかさず追撃を仕掛ける。白雪を白色に輝かせ右下から左上に斬り上げる。Pohはメイトチョッパーで向かい打つ。その後ユカは上段回し蹴りをはなつ。Pohは左腕がないため防ぐことができず、蹴りをくらい飛ばされた。
この時、索敵スキルに反応があった。三人の反応。オレンジだ。
「ヘッド。大丈夫ですか。」
三人がPohに近づいていき、そのうち二人がまえに出る。そして、その奥でPohは転移結晶を取り出していた。
「逃がすか!」
ユカはPohに向かって突っ込んでいった。白雪を黒に腕と足を白に輝かせて。しかし二人のプレイヤーが行く手を阻む。ユカは白雪を振りぬき二人を斬り、Pohに突っ込む。
後ろでガラスの割れるような音が聞こえた。
Pohはもう転移先を言っていた。光がPohを包み込み、消えた。逃がしてしまった。
もう一人いたプレイヤーが何かを叫びながら突っ込んできた。ユカは剣舞のスキル・鬼舞を解除し、そのプレイヤーの手足を斬り落とした。
「くそ、くそ。よくも俺たちのギルドを。」
ユカは監獄エリアにつながるコリドーを開きそのプレイヤーをコリドーを通らせようとする。
「この人殺しが。お前のやったことは俺たちと何ら変わらねぇ。ギルドをつぶし、人を殺した。お前は俺たち人殺し側の人間だ。お前はいずれヘッドに殺されるだろうがな。」
ユカはこのプレイヤーをコリドーに投げ入れた。
「人殺し・・・か。」