一日分を一話にしている為、一日の内容で文章量が変わるのです。
どうぞご理解ください。
「ふぁあ」
あくびを噛み殺してベッドから起きた僕は、ドアから外に出てみた。
「あ、匠」
左手の湿地に隣接した丘に見えるは緑の自爆魔が二匹。
「とりあえず、あっちには行かないとして、今日はどうしようなぁ」
高い場所に登って周辺の地形を把握するか、それとも。
「とりあえず、山の山頂に登ってみよっか」
何か発見が有れば、遠出してみるのも良いし、山頂にたいまつでも置いておけば、少し遠出した時の目印にもなるはずだ。
「んー、山の形を壊すのはちょっと申し訳なくも感じるけど」
登れない場所は削って道を作る。以前石炭を掘った場所まではもうそんな必要もなかったが、更に上はそんなことも言ってられず。
「ふぅ、ようやく山頂だぁ。わぁ、良い眺め」
これですぐに村が見つかってくれたらいいな、なんて考えつつ僕は辺りを見回し。
「まぁ早々都合良く人工ぶ……え゛っ」
人工物なんて見つからないと思ったにも関わらず、視界に入ってきたのは、明らかに人の手が加わった何か。
「村? いや、あれは――」
まだちょっと距離があるから自信がないが、僕の記憶が確かならそれは、砂漠の神殿。
「地下に爆破トラップ床つきの宝物庫があるんだっけ」
知らずに色が違う床を怪しみつつも踏んで、爆発に巻き込まれたのはほろ苦い思い出だ。
「けど、あの時と違って中には魔物も居るかもしれないよね」
探検した時は難易度を敵が出なくなるところまで下げていたのでモンスターとは出くわさなかったが、吹き抜けの二階や隠し部屋である宝物庫の有る部屋の左右にある通路など、明かりがないなら魔物が湧いていても不思議でない厄介な場所は多い。
「うーん、宝物は魅力的なんだけどなぁ、モノによっては」
個人的に欲しいのは、道具や武器防具に特殊な効果をエンチャントする本。神殿で手にはいるかまでは覚えていないが。
「とりあえず、目印を設置して……あ」
自分の背丈程の短い石柱を山頂に立て、上と四方にたいまつを飾ると手持ちのたいまつが尽きた。
「また作らないとなぁ……ん、あー、あの森っぽいところに出来た開けた場所、作業台が有るや。あそこがスタート地点か。あれ? あっちにも野生のカボチャがなってる……けど、一応まだ種も残ってるし」
砂漠の神殿と同じぐらいかもう少し離れた場所には草原とサバンナも見えたが、これはこれでどちらに行くか迷う。
「……とか言っておいて結局こうなるんだよね」
種はあってもカボチャは多くても困らないと僕はカボチャを採りに山を下り、ついでに木を二本伐採、中腹に戻る道すがら近くに残っていた石炭の露出した場所を掘って石炭を補充。最終的に拠点へと戻ってきた。
「えーと、まずたいまつの補充と……あ、サトウキビがちょっと伸びてる。刈り取って、空いてるところに植えとこ」
ついでに山頂へたいまつを設置しに行った時に少しだけ回収しておいた雪をチェストに放り込み。
「あ、羊肉も焼いておこう……肉が腐らないのっていいよね、うん」
ゾンビの死肉は例外だ。あれは最初から腐ってるし。
「さー、次は何を……あ」
明るいからもう少し何か出来るんじゃないかと、ドアの外に出て太陽を探すと、今まさに西の山に太陽が着地しようとしているところで。
「時間切れ、かぁ」
ロスタイムだと出かけて戻る前に日が沈み、窮地に陥る気はさらさらない。
「村とか溶岩の池みたいに自分から光を発してる場所は夜の方が見つけやすいんだけど、湧き潰ししてない山頂に今から行くのは危険だしなぁ」
資材はあるから、夜が明けてから山頂に敵の侵入出来ない展望台を建設する事は不可能じゃない。
「もっとも、昼とはいえ周辺は一度見てるんだよね。……展望台作ってあれ以上の発見があるかどうか……」
それなら、山頂から見た中で一番遠い高山に登ってそっちに展望台を作った方が新しい発見はある気がする。
「ただ、今日はもう日が沈むし、とりあえずこの拠点の改良、かな」
出来れば内部で木材を育成する部屋が作りたい。
「んー、高さが要るから作るならやっぱ、階段を下りたここだよね」
木が生長する分のマージンを考えると、寝室と同じ高さで作るのは拙かった。
「んー、一本目のスペースはだいたいこんな……あ、石炭」
山の中をくりぬいたからか、嬉しい資材との出会いはこんな所にも転がっていて。
「うわー、思ったより高いわ。土を積んで足場作らなきゃ」
けっこうリーチが有るはずのつるはしでも下の方の石炭にしか届かない状況に、僕は荷物を漁って苗木用に持ってきた土ブロックの残りを取り出し、石の上に積んだ。
「あー、壁面の上の方にもあるのか。こっちは壁に足場を掘って埋め戻しておけば良いかな。あ、苗木の育成用にたいまつも設置しとかないと」
想定外の所で作業も増えてしまったが、収穫があると思うとそう苦にもならない。
「ふー、回収完了。さてと、今日はこのぐらいで……って、やばっ、空が白み始めてる」
チラッと見えた屋内農園にカボチャが見えたが、気にしていたら寝はぐれる。
「おやすみなさーい」
慌ててベッドに潜り込んだ僕はすぐに目を閉じた。
短めなのでまさかの連続投稿。
次回、五日目。