お互い入れ替わって、周りの人達にいろいろ影響を及ぼしました。その反動が、それぞれ自分の元に返ってきます・・・・・・
今朝は自分の体で、ナナリーと朝食を食べていた。
「お兄様?今日は帰りは遅いのですか?」
「すまない、ナナリー。今日は、多分遅くなると思うから、夕食は咲世子さんと済ませてくれないか。」
このところ、入れ替わりが多くて、黒の騎士団の作戦の進行が遅れている。三葉に影武者を任せているとはいえ、最重要ポイントは自分で無いとまずい。入れ替わりの無い時に、できる限り進めておかねば・・・・・・
「分かりました。でも、あまり無理はなさらないで下さいね。」
何故か、ナナリーは、このところ妙に機嫌が良い。以前なら、遅くなると言った途端にすごく淋しそうになるのだが、最近は、そう言っても平気な顔をしている・・・・・・
「あ・・・そうだ、お兄様!この間教わった、ハリネズミの折り紙ですけど・・・・」
「え?・・・・」
ハリネズミ?折り紙?・・・・何だそれは?覚えが無い・・・・だいたい、俺は折り紙なんか折れん!・・・・あ・・・そうか!三葉か・・・・・
「ちょっと、分からなくなったところがあって・・・もう一度、教えて頂きたいのですけど・・・・」
「あ・・・ああ、それじゃあ、今度の夕食の後にでも・・・・・」
「はい!ありがとうございます!」
朝食を終え、部屋に戻る。C.C.が、いつものようにピザを食べている。毎日ピザばかりで、よく飽きないものだ。
「C.C.、三葉は、よくナナリーに折り紙を折ってやるのか?」
「よくと言うより、最近はいつもだな。お前達の素性を話してやった日に、折ってやったらナナリーがすごく喜んでな・・・・それからは、一緒に食事をした後は、いつも折り紙を折ってやっているぞ。」
「そうか・・・・・」
「それに、寝る時も、いつも何か話をしてやっているぞ・・・・日本の昔話のようだが。」
「そんなことまで?」
「何だ?元々、お前の制約にも、似たような指示があっただろう?」
「そ・・・そうだったかな?」
「どうした?三葉に、妹を取られたようで悔しいのか?」
「そんな事は無い!」
「だったら、お前も三葉の妹・・・四葉と言ったか?そいつを奪ってやればいいだろう。」
「だから、違うと言っているだろ!」
「ああいうところは、やはり女だな?母性本能とでもいうのか?」
「お前だって女じゃないのか?全然違うぞ!」
「ふっ・・・私は魔女だからな・・・・・」
今日の作戦は夕方からなので、昼間は学校に行く。行くといきなり、リヴァルが絡んでくる。
「ルルーシュ・・・・最近、付き合い悪くないか?」
「ん?そうか?・・・・」
「なあ・・・何か面白い事やってんなら、俺にもかませろよ!」
「だ・・・だから・・・・」
「リヴァル!もうルルを変な事に巻き込まないでっ!」
シャーリーが、割って入って来る。
「やっと、賭け事から足を洗ったんだから!もう悪の道に引き込んじゃダメっ!」
「ひっでえ!まるで、俺が誘惑したみたいな言い方じゃん!始めたのルルーシュの方だぜ!」
「だったら、もうルルは足洗ったんだから、蒸し返さないのっ!」
あ・・悪の道って・・・・賭けチェスの事?・・・別に、足洗った訳じゃ無くて、そんな事してる暇が無くなっただけなんだが・・・・・・
「ルルだって、もう賭け事はしないって言ったわよね?」
え?言ったのか?そんな事・・・・・ま・・・まさか?・・・三葉が?
「“高校生が賭け事なんて、もってのほかだ”って!」
え?・・・賭け事どころか、もっと高校生らしからぬ事を、やっているんだが・・・・・
「え~っ!そんな事、ルルーシュが言う訳無いだろ!」
「言った!」
「言って無い!」
『どっちだ(よ)?ルルーシュ?』
さ・・・さあ?どっちだろう?・・・・・・・
三葉のやつめ、いったいシャーリーとどんな約束をしたんだ?もっと、制約事項を増やさねばならないか?・・・・・・
「る・・ルルーシュ?」
廊下を歩いているところを、後ろから呼び止められた。振り向くと、難しい顔をしたスザクが立っていた。
「い・・・言ってくれ、ルルーシュ!」
「え?・・・な・・・何を?」
「僕に、悪いところがあるのなら、謝る!だから・・・はっきり言ってくれ!」
「な・・・何を・・・言ってるんだ?」
「君の・・・態度を見ていれば分かる・・・・君に、嫌われるのだけは辛いんだ・・・・悪いところがあるのなら、必ず直すから・・・頼むから、はっきり言ってくれ!」
だ・・・だから、何を言ってるんだ?こいつは・・・・・あ・・・そう言えば・・・・“スザクとは話すな!”って、三葉に・・・・・それに、あいつは、名誉ブリタニア人を嫌っていたな・・・・だから、余計こいつに冷たくあたったのか?・・・・・
「ルルーシュ!」
「わ・・分かった!スザク・・・お・・お前は悪く無い!わ・・悪いのはみつは・・・じゃ無い!俺だ!・・・ちょっと・・・虫の居どころが悪かっただけなんだ・・・・本当だ!こ・・・今後、気を付けるから・・・・・」
つ・・・疲れる・・・・・
昼間は散々だったが、夜は黒の騎士団の作戦だ、団員との私的会話は禁止してるから、ここではもう面倒な事はあるまい・・・・・
作戦開始までまだ時間があるから、俺はアジトの自室で、明日以降のシナリオを考えていた。そこへ・・・・・
『ゼロ!カレンです!入っていいですか?』
「ああ、いいぞ!入れ!」
そう答え、俺はマスクを被る。
『失礼します!』
カレンが、部屋に入って来る。
「どうした?」
「ゼ・・・ゼロ!つ・・・次こそは、白兜は、私が倒します!」
「ん?・・・ああ!期待しているぞ!」
「そ・・その為にも、わ・・私は、もっと強くなりたい!」
「あ・・・ああ・・・」
「お願いです!ゼロ!模擬戦で、私を鍛えて下さい!」
「な・・・何?」
「この間の、戦闘・・・圧倒的にスペックの劣る無頼で、白兜を相手にあそこまで・・・私には、とても無理です!だから、私を鍛えて下さい!紅蓮弐式を使うのに、相応しい腕になるまで!」
「ま・・・待て!カレン!お前は、今のままでも十分強い!」
「いいえ!あなたの足元にも及びません!せめて、あなたの半分・・・いえ十分の一でもいい!それくらいになれるように・・・・」
ば・・・馬鹿を言うな!俺の方こそ、お前の足元にも及ばないぞ!模擬戦なんかやったら、瞬殺されるだけだ・・・・ど・・・どうすればいいんだ!な・・・何とかしろ!三葉っ!
「ん・・・ん~っ・・・・」
目が覚める、私の部屋だ・・・・今日は自分の体だ・・・・・私は、手探りで布団の横の携帯を取り、時間を見る・・・・・・
「ええ~っ!」
時間を見て、驚いて飛び起きる!慌てて着替えて、階段を駆け降りる。
「あれ?今起きたん?」
既に、朝食を終えた四葉が、呑気に声を掛けて来る。
「よ・・四葉!何で、声かけてくれへんの?」
「だって、最近お姉ちゃん、きちっと起きてくるし・・・降りてこん時は、なんか忙しそうにしてるやない・・・邪魔しちゃ悪いと思って・・・」
え?忙しそうに?朝から?・・・・ルルったら・・・朝から、人の体で何やってんの?そ・・・そんな事より・・・携帯のアラームくらい、セットして寝てよっ!朝になるまで、どっちで目を覚ますか分からないんだからっ!
急いで朝食を済ませ、学校まで走る。四葉は、自分だけでさっさと行ってしまった。何て冷たい妹だ!ナナリーちゃんなら、どんな事があろうと、待っていてくれるだろうに・・・・
何とか、ぎりぎりで教室に駆け込んだ。私は疲れ果て、机に突っ伏した。
「三葉、どうしたん?」
サヤちんが、心配そうに聞いて来る。
「け・・・けいたいの・・・あら・・・む・・・わすれ・・・・」
息があがって、まともに喋れない・・・・・
「何や三葉!久々に侍モードやな?」
さ・・・侍モード?・・・何?それ・・・・・
「ああ、今日髪結ってへんね?」
ああ・・・その事か・・・時間が無かったから・・・結えなかった・・・でも・・・侍って・・・・何?
1時限目が終わった後、急にサヤちんが、数学の問題集を取り出して言ってくる。
「ねえ三葉!この間教えてもらった、ここの問題、また解らんようになってもうたから、もういっぺん教えて!」
「え?・・・こ・・・こんな問題、私かて解らんよ!」
「うそ!この間は、あっという間に解いてまったやない!」
「せやな、小テストでも満点やったし、三葉が、こんなに勉強できるなんて知らんかったで・・・・今迄、わざと隠してたんか?」
「そんな訳ないやろ!東京の大学行くために、猛勉強しとんのやろ?」
「え?ちょ・・・ちょっと待って・・・・・」
こ・・・これって・・・やっぱり・・・ルルよね?・・・あ・・・頭がいいのは知ってたけど、少しは加減してよ~っ!後で、私が困るんだから~っ!
私は、疲れ果てて家に帰って来た・・・ルルったら、サヤちんだけじゃ無く、他の子にまで勉強教えてた・・・・中間テストが近いから、みんな私に質問しに来て・・・休み時間の度に、逃げ回ってた・・・・・かと思えば、授業中も、先生にいきなり指されて、“じゃあ、この問題の模範解答を、宮水さんにお願いしますね”なんて・・・・・こ・・これじゃ・・・ゼロの影武者より・・辛い・・・・
私は部屋に入るなり、大の字になって倒れ込む。も・・・もう、動きたく無い・・・・
しかし、そんな私に四葉が追い討ちをかけて来る。
「お姉ちゃん!今日、夕飯の当番やよ!」
ええ~っ?そうなの?も・・・もう限界・・・勘弁して~~~っ!
そんな私の気も知らず、四葉は、私の横に座って言う。
「ねえ!この間作ってくれた、アッシュフォード・ディネ作って!」
「え?な・・・何?あ・・・アッシュフォード?・・・・・」
そ・・それって、ルルの通ってる学校の名前じゃ?・・・・
「ブリタニアの名家、アッシュフォード家に代々伝わる伝統料理やって、この間作ってくれたやん!あの時の材料、まだいっぱい残ってるから・・・あの料理、すっごくおいしかった!ねっ!お願いやからっ!」
四葉は、目をキラキラさせて、私にねだる・・・こんなに頼りきった表情、ここ数年見たこと無い!こんな顔されたら、断れない・・・・でも・・・アッシュフォード・ディネって何?どうやって作ればいいの?た・・助けて~~~~っ!ルル~~~っ!
今回は、メインのお話はちょっとお休みして、入れ替わり後の日常の話にしました。
お互い中身は別人ですから、気をつけていても、いつもの自分が表に出てしまう・・・・・それは、周りにも影響を及ぼし、いざ元に戻ると収拾が付かなくなっている・・・・・そんなお話でした・・・・・