君のギアスは   作:JALBAS

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今回は少し趣向を変えて・・・・・・入れ替わり無しのルルーシュと三葉の話です。
お互い入れ替わって、周りの人達にいろいろ影響を及ぼしました。その反動が、それぞれ自分の元に返ってきます・・・・・・



《 第五話 》

今朝は自分の体で、ナナリーと朝食を食べていた。

「お兄様?今日は帰りは遅いのですか?」

「すまない、ナナリー。今日は、多分遅くなると思うから、夕食は咲世子さんと済ませてくれないか。」

このところ、入れ替わりが多くて、黒の騎士団の作戦の進行が遅れている。三葉に影武者を任せているとはいえ、最重要ポイントは自分で無いとまずい。入れ替わりの無い時に、できる限り進めておかねば・・・・・・

「分かりました。でも、あまり無理はなさらないで下さいね。」

何故か、ナナリーは、このところ妙に機嫌が良い。以前なら、遅くなると言った途端にすごく淋しそうになるのだが、最近は、そう言っても平気な顔をしている・・・・・・

「あ・・・そうだ、お兄様!この間教わった、ハリネズミの折り紙ですけど・・・・」

「え?・・・・」

ハリネズミ?折り紙?・・・・何だそれは?覚えが無い・・・・だいたい、俺は折り紙なんか折れん!・・・・あ・・・そうか!三葉か・・・・・

「ちょっと、分からなくなったところがあって・・・もう一度、教えて頂きたいのですけど・・・・」

「あ・・・ああ、それじゃあ、今度の夕食の後にでも・・・・・」

「はい!ありがとうございます!」

 

朝食を終え、部屋に戻る。C.C.が、いつものようにピザを食べている。毎日ピザばかりで、よく飽きないものだ。

「C.C.、三葉は、よくナナリーに折り紙を折ってやるのか?」

「よくと言うより、最近はいつもだな。お前達の素性を話してやった日に、折ってやったらナナリーがすごく喜んでな・・・・それからは、一緒に食事をした後は、いつも折り紙を折ってやっているぞ。」

「そうか・・・・・」

「それに、寝る時も、いつも何か話をしてやっているぞ・・・・日本の昔話のようだが。」

「そんなことまで?」

「何だ?元々、お前の制約にも、似たような指示があっただろう?」

「そ・・・そうだったかな?」

「どうした?三葉に、妹を取られたようで悔しいのか?」

「そんな事は無い!」

「だったら、お前も三葉の妹・・・四葉と言ったか?そいつを奪ってやればいいだろう。」

「だから、違うと言っているだろ!」

「ああいうところは、やはり女だな?母性本能とでもいうのか?」

「お前だって女じゃないのか?全然違うぞ!」

「ふっ・・・私は魔女だからな・・・・・」

 

今日の作戦は夕方からなので、昼間は学校に行く。行くといきなり、リヴァルが絡んでくる。

「ルルーシュ・・・・最近、付き合い悪くないか?」

「ん?そうか?・・・・」

「なあ・・・何か面白い事やってんなら、俺にもかませろよ!」

「だ・・・だから・・・・」

「リヴァル!もうルルを変な事に巻き込まないでっ!」

シャーリーが、割って入って来る。

「やっと、賭け事から足を洗ったんだから!もう悪の道に引き込んじゃダメっ!」

「ひっでえ!まるで、俺が誘惑したみたいな言い方じゃん!始めたのルルーシュの方だぜ!」

「だったら、もうルルは足洗ったんだから、蒸し返さないのっ!」

あ・・悪の道って・・・・賭けチェスの事?・・・別に、足洗った訳じゃ無くて、そんな事してる暇が無くなっただけなんだが・・・・・・

「ルルだって、もう賭け事はしないって言ったわよね?」

え?言ったのか?そんな事・・・・・ま・・・まさか?・・・三葉が?

「“高校生が賭け事なんて、もってのほかだ”って!」

え?・・・賭け事どころか、もっと高校生らしからぬ事を、やっているんだが・・・・・

「え~っ!そんな事、ルルーシュが言う訳無いだろ!」

「言った!」

「言って無い!」

『どっちだ(よ)?ルルーシュ?』

さ・・・さあ?どっちだろう?・・・・・・・

 

三葉のやつめ、いったいシャーリーとどんな約束をしたんだ?もっと、制約事項を増やさねばならないか?・・・・・・

「る・・ルルーシュ?」

廊下を歩いているところを、後ろから呼び止められた。振り向くと、難しい顔をしたスザクが立っていた。

「い・・・言ってくれ、ルルーシュ!」

「え?・・・な・・・何を?」

「僕に、悪いところがあるのなら、謝る!だから・・・はっきり言ってくれ!」

「な・・・何を・・・言ってるんだ?」

「君の・・・態度を見ていれば分かる・・・・君に、嫌われるのだけは辛いんだ・・・・悪いところがあるのなら、必ず直すから・・・頼むから、はっきり言ってくれ!」

だ・・・だから、何を言ってるんだ?こいつは・・・・・あ・・・そう言えば・・・・“スザクとは話すな!”って、三葉に・・・・・それに、あいつは、名誉ブリタニア人を嫌っていたな・・・・だから、余計こいつに冷たくあたったのか?・・・・・

「ルルーシュ!」

「わ・・分かった!スザク・・・お・・お前は悪く無い!わ・・悪いのはみつは・・・じゃ無い!俺だ!・・・ちょっと・・・虫の居どころが悪かっただけなんだ・・・・本当だ!こ・・・今後、気を付けるから・・・・・」

つ・・・疲れる・・・・・

 

昼間は散々だったが、夜は黒の騎士団の作戦だ、団員との私的会話は禁止してるから、ここではもう面倒な事はあるまい・・・・・

作戦開始までまだ時間があるから、俺はアジトの自室で、明日以降のシナリオを考えていた。そこへ・・・・・

『ゼロ!カレンです!入っていいですか?』

「ああ、いいぞ!入れ!」

そう答え、俺はマスクを被る。

『失礼します!』

カレンが、部屋に入って来る。

「どうした?」

「ゼ・・・ゼロ!つ・・・次こそは、白兜は、私が倒します!」

「ん?・・・ああ!期待しているぞ!」

「そ・・その為にも、わ・・私は、もっと強くなりたい!」

「あ・・・ああ・・・」

「お願いです!ゼロ!模擬戦で、私を鍛えて下さい!」

「な・・・何?」

「この間の、戦闘・・・圧倒的にスペックの劣る無頼で、白兜を相手にあそこまで・・・私には、とても無理です!だから、私を鍛えて下さい!紅蓮弐式を使うのに、相応しい腕になるまで!」

「ま・・・待て!カレン!お前は、今のままでも十分強い!」

「いいえ!あなたの足元にも及びません!せめて、あなたの半分・・・いえ十分の一でもいい!それくらいになれるように・・・・」

ば・・・馬鹿を言うな!俺の方こそ、お前の足元にも及ばないぞ!模擬戦なんかやったら、瞬殺されるだけだ・・・・ど・・・どうすればいいんだ!な・・・何とかしろ!三葉っ!

 

 

 

「ん・・・ん~っ・・・・」

目が覚める、私の部屋だ・・・・今日は自分の体だ・・・・・私は、手探りで布団の横の携帯を取り、時間を見る・・・・・・

「ええ~っ!」

時間を見て、驚いて飛び起きる!慌てて着替えて、階段を駆け降りる。

「あれ?今起きたん?」

既に、朝食を終えた四葉が、呑気に声を掛けて来る。

「よ・・四葉!何で、声かけてくれへんの?」

「だって、最近お姉ちゃん、きちっと起きてくるし・・・降りてこん時は、なんか忙しそうにしてるやない・・・邪魔しちゃ悪いと思って・・・」

え?忙しそうに?朝から?・・・・ルルったら・・・朝から、人の体で何やってんの?そ・・・そんな事より・・・携帯のアラームくらい、セットして寝てよっ!朝になるまで、どっちで目を覚ますか分からないんだからっ!

 

急いで朝食を済ませ、学校まで走る。四葉は、自分だけでさっさと行ってしまった。何て冷たい妹だ!ナナリーちゃんなら、どんな事があろうと、待っていてくれるだろうに・・・・

 

何とか、ぎりぎりで教室に駆け込んだ。私は疲れ果て、机に突っ伏した。

「三葉、どうしたん?」

サヤちんが、心配そうに聞いて来る。

「け・・・けいたいの・・・あら・・・む・・・わすれ・・・・」

息があがって、まともに喋れない・・・・・

「何や三葉!久々に侍モードやな?」

さ・・・侍モード?・・・何?それ・・・・・

「ああ、今日髪結ってへんね?」

ああ・・・その事か・・・時間が無かったから・・・結えなかった・・・でも・・・侍って・・・・何?

 

1時限目が終わった後、急にサヤちんが、数学の問題集を取り出して言ってくる。

「ねえ三葉!この間教えてもらった、ここの問題、また解らんようになってもうたから、もういっぺん教えて!」

「え?・・・こ・・・こんな問題、私かて解らんよ!」

「うそ!この間は、あっという間に解いてまったやない!」

「せやな、小テストでも満点やったし、三葉が、こんなに勉強できるなんて知らんかったで・・・・今迄、わざと隠してたんか?」

「そんな訳ないやろ!東京の大学行くために、猛勉強しとんのやろ?」

「え?ちょ・・・ちょっと待って・・・・・」

こ・・・これって・・・やっぱり・・・ルルよね?・・・あ・・・頭がいいのは知ってたけど、少しは加減してよ~っ!後で、私が困るんだから~っ!

 

私は、疲れ果てて家に帰って来た・・・ルルったら、サヤちんだけじゃ無く、他の子にまで勉強教えてた・・・・中間テストが近いから、みんな私に質問しに来て・・・休み時間の度に、逃げ回ってた・・・・・かと思えば、授業中も、先生にいきなり指されて、“じゃあ、この問題の模範解答を、宮水さんにお願いしますね”なんて・・・・・こ・・これじゃ・・・ゼロの影武者より・・辛い・・・・

私は部屋に入るなり、大の字になって倒れ込む。も・・・もう、動きたく無い・・・・

しかし、そんな私に四葉が追い討ちをかけて来る。

「お姉ちゃん!今日、夕飯の当番やよ!」

ええ~っ?そうなの?も・・・もう限界・・・勘弁して~~~っ!

そんな私の気も知らず、四葉は、私の横に座って言う。

「ねえ!この間作ってくれた、アッシュフォード・ディネ作って!」

「え?な・・・何?あ・・・アッシュフォード?・・・・・」

そ・・それって、ルルの通ってる学校の名前じゃ?・・・・

「ブリタニアの名家、アッシュフォード家に代々伝わる伝統料理やって、この間作ってくれたやん!あの時の材料、まだいっぱい残ってるから・・・あの料理、すっごくおいしかった!ねっ!お願いやからっ!」

四葉は、目をキラキラさせて、私にねだる・・・こんなに頼りきった表情、ここ数年見たこと無い!こんな顔されたら、断れない・・・・でも・・・アッシュフォード・ディネって何?どうやって作ればいいの?た・・助けて~~~~っ!ルル~~~っ!

 




今回は、メインのお話はちょっとお休みして、入れ替わり後の日常の話にしました。
お互い中身は別人ですから、気をつけていても、いつもの自分が表に出てしまう・・・・・それは、周りにも影響を及ぼし、いざ元に戻ると収拾が付かなくなっている・・・・・そんなお話でした・・・・・

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