君のギアスは   作:JALBAS

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三葉は、ルルーシュのナナリーを想う気持ちに同調し、共にブリタニアを倒す事を決意します。ついには、“ゼロ”の影武者として戦場に出る事に・・・・・果たして、三葉の運命は?そして、田舎町で、特にやる事の無いルルーシュは・・・・・・


《 第四話 》

今日は、いよいよ“ゼロ”の影武者としての最初の務め・・・・C.C.さんに案内され、黒の騎士団のアジトに到着する。

「わあ~~っ!おっきな車!」

「ばか!素っ頓狂な声を出すな!・・・・お前は今、ゼロなんだぞ。」

「あ・・・ご・・ごめんなさい・・・・」

幸い、まだ団員達は集まって来ていなかったから、助かった・・・見張りが数名居るが、何とか聞かれなかったようだ。

車の中に入ると、中も凄い。会議ができる広いスペースや、簡易宿泊スペース、ハイテク機器も装備されている。更に、2階まであるようで、そこは、ゼロの個室のようだ。私は、その中に案内された。

「特に用事の無い時は、この中に籠っていろ。」

「は・・・はい!」

私は中央のシートに腰を降ろし、マスクを外す。緊張で、汗がびっしょりだ・・・・

「今の内に、シナリオに良く目を通しておけ。」

「は・・・はいっ!」

休む間も無く、C.C.さんからの指示が飛ぶ。私は、朝渡された、本日の作戦指示の内容に目を通す。何度も、何度も・・・・せっかく、協力を認められたんだ!ちゃんと、影武者を演じなくっちゃっ!

しばらく、そうしていると・・・・

『ゼロ!カレンです!ちょっといいですか?』

「へ?・・・・・」

不意の呼び掛けに、また奇声をあげそうになり、慌てて手で口を塞ぐ。CCさんは、目で私に合図を送る。私は急いでマスクを被り、その声に答える。

「いいぞ!入れ!」

『失礼します!』

そう返事があった後、ドアが開き、ひとりの女が入ってくる。その姿を見た私は ―――

「か・・カレン?ど・・どうしてここに?」

「は?・・入って良いとの、許可を頂いたので・・・・」

困惑するカレン・・・・でも、こっちはもっと困惑している・・・・何で?学校の同級生のカレンがここに居るの?な・・・なんか、学校の時よりも活発そうで・・・か・・髪型まで変わっちゃってる・・・・カレンは、ブリタニア人じゃないの?何で黒の騎士団に・・・・

「ゼロ・・・実は、紅蓮弐式のことなんですが・・・・」

クレンニンシキ?・・・・何じゃそりゃ?

「やはり、リーダーのあなたが乗るべきです。私では・・・・」

な・・・ど・・どうすればいいの?こ・・・こんな展開、シナリオに載って無いよ・・・

私は、C.C.さんの方を向き、助けを求める。しかし、黙ってこちらを見つめているだけで、何も言ってくれない・・・どうして?・・・ま・・・まさか?私を試しているの?・・・だったら、ここは、なんとかしなくっちゃ!で・・・でも、何て言えばいいのよっ!

「ぜ・・・ゼロ?」

ええい!もうやけくそだっ!

「心配するな!カレン!私の指示に従っていれば!何も問題は無い!」

「ゼロ・・・」

「クレンはお前の物だ!期待しているぞ!」

「は・・・はいっ!」

カレンは、満足したように笑顔になって、出て行った。こっちは、一気に疲れ果て、デスクの上に突っ伏している。

「ふふふ・・・なかなかだったぞ。」

「わ・・・笑い事じゃないわよ!なんで、カレンがここにおんの?」

「あいつは、元々レジスタンスのメンバーだ。学校の方が仮の姿・・・あいつは、ブリタニア人と日本人のハーフだ。ここでは、紅月カレンと名乗っている。」

「そういう事は、お願いだから、ちゃんと先に教えてっ!」

 

 

 

また、朝が来る。今日は、自分の体のようだ。まずは、前日の三葉の言動をC.C.に確認する。

「何か問題は無いか?」

「黒の騎士団の方はな、お前のシナリオ通りに、命令しているだけだからな・・・もっとも、学校の方はかなりドタバタしている・・・・お前のキャラも、大分変わってきているぞ・・・・」

そう言って、C.C.は笑いを押しころす。

「ちっ!・・・まあ、その程度は仕方が無い・・・・もう少しの辛抱だ、彗星が落下すれば、この異常な状態も終わるだろう・・・・・」

「あの娘達を、助けないのか?」

「何故助ける?・・・・そんな義理は無いだろう!何かに利用できないかとも考えたが、あんな僻地に利用価値も無い!それに、前にも言ったが、それでひと思いに逝けた方が、あいつらには幸せだろう。」

「それはどうかな?・・・・ところで、田舎での生活は楽しいか?」

「皮肉のつもりか?とんだ災難だ!あんな戦略的に全く利用価値が無いところで、1日無駄な時間を過ごさねばならんなど・・・・おかげで、計画の進行が大幅に遅れた・・・・」

「・・・・そういえば、その当時、お前は枢木の家に居候していたんだろう?そんなにやる事が無いなら、昔の自分にでも会って来たらどうだ?」

「会ってどうする?自分にギアスでも掛けてくるのか?それならば、枢木ゲンブにでも何か仕込んでおく方が・・・・いや、下手に歴史を変える方が問題だ!今の体制に影響が出るやもしれん!」

「では、愛しのナナリーに会ってくるとか・・・・」

「昔の俺が、黙っていないだろうな・・・見ず知らずの他人を、ナナリーに近づけるなどと、あの地震の時も・・・・・ん?」

そういえば・・・あの地震があったのは・・・・・・・

 

翌日は、また三葉の体と入れ替わる。その昼休み、いつものように俺は、勅使河原と名取と一緒に、校庭の隅で過ごしていた。

あの後記録を調べたが、やはりあの地震が起こるのは今日だ・・・・ここは震源地に近いから、かなりの揺れが予想される。時間は正午過ぎ・・・丁度、午後の授業が始まる直前くらいだ。ただ、それ程大きな被害が出た記録も残っていないから、特に警戒する必要もないだろうが・・・・まあ、ここに居れば問題は無い。ちょっと授業に遅れて行けばいいだけだ・・・・・

「あ・・・いかん!俺、次の授業当番やった!」

勅使河原が、慌てて立ち上がり、校舎に戻ろうとする。

馬鹿!今戻ったら・・・・

「ま・・待って、テッシー!」

「ん?・・・なんや?」

「も・・もうちょっと、ここに居た方がいいよ!」

「何でや?俺、当番や言うたやろ!急がんと、先生に怒られてまうで!」

ええい!今行くと、危ないと言ってるんだ!わざわざ、危険の中に飛び込むことはないだろう!

しかし、勅使河原は俺の言葉は聞かず、校舎に向かって走り出そうとする。そればかりか、名取もそれに付いて行こうとしている。

仕方が無い、ギアスを使うか?・・・いや、待てよ・・・こいつら、俺が前にギアスを使ったの時の事を、“狐憑き”とか言って恐れていたな?ならば・・・・

「行くな!お前達!」

「?!」

突然、俺が大きな声を上げたので、2人は足を止め、怪訝な顔で振り返る。

「私に、お告げがあった!この場より、動いてはならん!」

「な・・・み・・・三葉?」

「ま・・また・・狐憑き?」

その時、地面が大きく揺れ始めた。

「う・・・うわああっ!」

「きゃ・・きゃああああっ!」

2人は、悲鳴を上げてその場に蹲る。俺も、立っていられなくなり、膝と両手を地面に付く。かなりの揺れだ。校舎内でも、生徒達から悲鳴が上がっている。

だが、揺れは数十秒程度で収まった。一部、校舎のガラスが割れた所もあるようだが、この程度なら大した被害は出ていないだろう。

俺は立ち上がって、校庭の更に端、町全体が見渡せる位置まで行く。思った通り、町にも大きな被害は出ていないようだ。校庭側に向き直ると、勅使河原と名取は、まだ蹲ったままだ。

「はあ~っ・・・び・・びっくりした・・・・」

「じ・・・地震が来んの・・・分かっとったんか?三葉?」

「え?・・・な・・何?私・・・何かした?」

俺は、さり気なく“狐憑き”が去った演技を付け足した・・・・・

 

 

 

ルルーシュと入れ替わった三葉は、遂に現場での指揮も担当する事となった。

その夜、ゼロ(三葉)達は、武器の横流しの闇業者を一掃する為、港の倉庫街に集結していた。

ゼロとC.C.が乗る無頼は、倉庫街を見渡せる位置に待機し、指示を送っていた。そこに、先発隊で突入した、扇から通信が入る。

『変だ!ゼロ!倉庫の中はもぬけの空だ!』

「なんだと?」

突如、轟音と共に前方の倉庫から爆煙が上がる。同時に扇の声が・・・・

『ゼロ!はめられたっ!これは軍のワナだ!』

「え?・・・わ・・ワナって?」

うろたえるゼロ。即座に、C.C.がプライベート通信で指示を出す。

「落ち着け!パターンDだ!」

「・・は・・はいっ!」

ルルーシュは、緊急事態を想定して、その際の回避パターンを幾つか、三葉とC.C.に伝えていた。選択するのはC.C.の役目、それを団員に伝えるのは、ゼロである三葉の役目になっていた。

「各位!迎撃しつつ撤退だ!カレン、お前が敵を引き付けて、退路を作れ!」

『了解!』

「私達も撤退するぞ!」

「は・・はい!」

C.C.に誘導されて、倉庫街を後にする。が、その時、突然横のコンテナが弾け飛び、白いナイトメアが姿を現す。

「な・・・何?」

「ま・・まずい!白兜か?」

「ゼロ!今日こそは捕らえる!」

ランスロットの右腕から、スラッシュハーケンが放たれる。

「いかん!逃げろ!」

C.C.の無頼が、とっさにゼロの機体を庇う。ハーケンにより、C.C.の無頼の片腕が弾け飛ぶ!

「C.C.さん!こ・・・このっ!」

ゼロは、無頼の機銃でランスロットを撃つが、ランスロットは、素早く後退して銃撃を難無く交わす。

「な・・は・・・早い!なんて動き・・・」

「ばか!相手をするな!早く逃げろっ!」

しかし、ランスロットはそんな隙も与えない。間髪を入れずに、再度スラッシュハーケンを放つ!

「きゃああああああっ!」

ゼロの無頼の機銃が弾かれる。そして、もう片方の腕からもハーケンが繰り出され、ゼロの無頼に迫る。

や・・・・やられる!

その瞬間、三葉の中で何かが弾けた・・・殆ど無意識に、操縦桿をきる。ゼロの無頼は素早く横にスライドし、ハーケンを交わす。

『な・・・何?』

スザクとC.C.、2人同時に驚嘆の声をあげる。

ゼロの無頼は素早く機銃を拾い上げ、ランスロットに向けて乱射する。

「くっ!」

ランスロットは、ブレイズルミナスでこれを防ぐ。

「な・・ずるいわよ!バリヤーなんてっ!」

ランスロットは、今度はソードを抜いて、ゼロの無頼に迫る。

「今度こそ!」

メーザーバイブレーションソードの一撃!

「?!」

ゼロの無頼はこれも紙一重で交わし、ランスロットの横をすり抜けて逃れる。

「ば・・・ばかな?」

「あ・・あの白兜の攻撃に・・・反応している・・・だと?」

「うわあああああああっ!」

ゼロの無頼は、再び機銃を連射!しかし、これもブレイズルミナスに阻まれてしまう。健闘する三葉だが、機体性能に差がありすぎる。

「ゼロっ!」

その時、コンテナの山を突き破って、紅蓮がランスロットに飛び掛かる。紅蓮の右手がソードを掴み、輻射波動が炸裂する。

「くそっ!」

ランスロットは、即座にソードを離す。ソードは赤く膨れ上がり、破裂する。

「大丈夫ですか?ゼロっ!」

「今だ!」

C.C.は、煙幕弾を発射する。

「三葉!この隙に退却だ!」

「・・・え?・・・は・・はいっ!」

三葉は正気に戻り、カレン、C.C.と共に何とかその場を逃れるのだった・・・・

 

 

 

「何?あの白兜と、対等に渡り合っただと?」

朝起きて直ぐに、昨日の状況をC.C.から聞き、俺は驚く。

「殆ど、無意識に反応していたようだがな・・・・正直、驚いたぞ・・・シミュレーションは随分こなしていたとはいえ、実戦は昨日が初めてだ。あんな奴は、私ですら今迄見たことが無い・・・・・」

「カレンと同等・・・いや、それ以上か?・・・」

あの三葉という女、思わぬ掘り出し物かも・・・・いや、だが、俺の影武者として指揮官を務めてもらわねばならん以上、いくら戦闘能力が高くても宝の持ち腐れか・・・・・今、この場に自分の体で居るのであれば・・・・まてよ?・・・・・

 

ルル-シュの中で、ひとつのプランがまとまりつつあった・・・・・

 




三葉が、ただルルーシュと入れ替わって翻弄されるだけだと、この話の中での三葉の存在価値が低くなってしいます。また、ルルーシュにとって、三葉が無視できない重要な存在になる必要もあるので、実は隠れたナイトメア乗りの才能がある事にしました。
果たして、それを知ったルルーシュは、どう動くのか?・・・・・・・

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