マッカンから始まるラブコメは間違っている   作:那由多姫

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大嫌い。大好き。ちゃんと喋らなきゃ人形とさして変わらないし

シュガーソングとビターステップ
UNISON SQUARE GARDENより



マッカンの思い出②

土曜日。

今日ホワイトと遊ぶ約束をしていた。

集合場所はマッカンの売ってある自販機だ。

ホワイトの分のマッカンも忘れずに買っている。

 

「おーいハチマン」

 

「よぉ、ホワイト」

 

今日もホワイトは元気がいいな。見ているこっちまで元気になるまである。

 

「今日はなにして遊ぶの?」

 

マッカンを飲みながらホワイトが話しかけてくる。ホワイトにマッカン最強の組合せだな

 

「そうだな……ゲーセンなんてどうだ?」

 

ゲーセンはいいぞ、中は暑くないし。暇にはならないからな。

 

「分かった。なら行きましょ」

 

「了解」

 

歩きながら昨日なにをしていたかなど話をしていた。そしてあっという間にゲーセンに着いた。

 

「ハチマン……私あれにする!」

 

そうやってホワイトが指差したのはマリオカートだった。

 

「よし、やるか」

 

そうやってコインを入れる

 

はじめのうちはホワイトが下手くそで勝負にならなかったが案外センスがあったらしくあっという間に同じくらいのレベルになった。

そもそもボッチな俺はマリカーなどパーティー系のゲームはあまりしたことがなかったのだ。なにそれ悲しくなってくる。

 

「次は絶対に勝つ」

 

「そうか、だが残念俺が勝つのさ」

 

「なら賭けようか。勝った方が負け方に何でも命令できるってのはどう?」

 

なんでも……だと。ホワイトになんでもできるだと……。ダメだ煩悩退散。ハチマン落ち着け。

 

「隙あり!」

 

あっ……やっちまった。考え事をしていると既にスタートしていた。あれ?これ負け確定じゃね?だって既にホワイトの実力は俺と同じくらいだ。今からスタートしても間に合わない。くそ、なんでも命令できるって言葉は相手の時間を止める能力なのか?いや、俺だけか。結果は……はい。負けました

 

「私の勝ちね。なら命令するわ」

 

ゴクリと唾を飲む。美女の命令か……なんかゾクゾクする……って変態かよ

 

「何があっても私の事を嫌いにならないでね。あ、あと今度また一緒にマッカン飲もうね」

 

「当たり前だろ。てかマッカンならいつでも飲めるだろ」

 

どんだけマッカン好きなんだよ。いや俺もか、人のこと言えねぇな。だって家のなかにストックがたくさんあるからな。

 

そのあともたくさんのゲームコーナーを回った。

 

「ちょっとトイレに行ってくる」

「なら、私はここでまってるわ」

 

ホワイトは近くのベンチに座る。

しかし、こいつといると面白くて楽しいな

などと思いながらトイレに向かった。

 

トイレを済ませてホワイトのところに戻るとなにやらホワイトの声がする。

 

「やめて!あなた達なにすんのよ」

 

ちっ、ナンパか……

ホワイトがナンパされてて凄くイライラしてくるのがわかる

「おい!お前ら俺の女に手を出すな」

ついつい俺の女と言ってしまったが仕方がない。これで退いてくれるとたすかるが。

退く気配なしと。

しかし、困ったな俺は喧嘩なんてしたことがない。が、虐めにあってたこともあり打たれ強い。

ナンパ男Aが拳を俺に向けて放ってくる。直撃したが倒れそうになるのを堪えた。

だって後ろにはホワイトがいるからな倒れるのは格好がつかない

その後もたくさん殴られ続けられた。

何回殴られたら終わるのだろうか……

 

「もう、やめてよ!」

 

ホワイトが俺の目の前に立つ。

くそ……格好悪いな俺……

 

「なんだよ女のくせに男に楯突こうてか?なんなら今からお前を犯してもいいんだぜ?」

 

「残念だったね。今警察を呼んだわ」

 

「は?何言っているんだ?お前電話してなかったじゃねーか!ははっ笑わせるなよ」

 

「私のお父さんはね……警察官なの」

 

そう言ってホワイトはボタンの付いた装置を出す。

 

「これはね押すだけでお父さんのところにつながる仕組みなの。で押すときのルールがあってねこれを押すときは私が危険なときだけなの。つまりこういう時とかね」

 

そうホワイトが言うとナンパ……いや不良は逃げて行く。

 

「大丈夫ハチマン!?」

 

「ああ、辛うじて……」

 

視線をホワイトに向けるとホワイトの後ろ側でバールを振りかぶる不良の姿が見えた

 

「このくそ女が!」

 

くそったれが女の子に手を出すとは最低だろ。俺は最後の力を振り絞ってホワイトの盾になる。そしてバールが俺の頭部に直撃する。意識が遠退く感じがした。ああ好きな女の子を守れたんだ。だからもう……

自分の倒れた地面を見るとたくさんの血溜まりができている。もちろん全部俺のだ。

 

「ねえ、お願い!ハチマン死なないで!」

 

ホワイトの声がする。ああ、最後に笑った顔が見たかったかな。

サイレンの音がする。良かった。

「お願い……なんでもするから死なないで」

 

なんでもしてくれるのか……

なら、最後一緒にマッカン飲みたかったな

 

「さっき、命令したじゃん一緒にマッカン飲もうって」

 

最後の力を振り絞り涙交じりで口にする。

 

「ごめんな……ぞじで、ありがどう」

 

そこで俺の意識は途絶えた。




でも言葉にしようものなら稚拙が極まれり

シュガーソングとビターステップ
UNISON SQUARE GARDENより

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