問題児? 失礼な、俺は常識人だ   作:怜哉

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白夜叉って、どんな手段使えば勝てるんですかね?
仏門に帰依してるとかなんとかで星霊の力を封印してるらしいですけど、それでも勝てるとは到底思えない...


白夜叉というバグ

 

 

 

「な、なんであの短時間に“フォレス・ガロ”に喧嘩を売る状況になったのですか!?」「しかもゲームの日取りは明日!?」「準備をしている時間もお金もありません!」「一体どういう心算があってのことです!」

「聞いているのですか三人とも!!」

 

 

「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています」」」

 

 

「黙らっしゃい!!!」

 

今あの三人ぴったりハモってたんだけど打ち合わせとかしてたのか?

黒ウサギがプリプリと怒っているのをニヤニヤしながら見ていた十六夜が止めに入る。

 

「別にいいじゃねえか。見境なく選んで喧嘩売った訳じゃないんだから許してやれよ」

「い、十六夜さんは面白ければいいと思ってらっしゃるかも知れませんけど、このゲームで得られるものは自己満足だけなんですよ?この“契約書類”を見てください」

 

そう言って黒ウサギが差し出した“契約書類”を十六夜と共に覗き込む。

ふむ。「参加者が勝利した場合、主催者は参加者の言及する全ての罪を認め、箱庭の方の下で裁かれた後、コミュニティを解散する」か。

確かに勝った時の“ノーネーム”へのメリットが無いな。

十六夜も読み終えて感想を口にする。

 

「まあ、確かに自己満足だ。時間をかければ立証できるものを、わざわざ取り逃がすリスクを背負ってまで短縮させるんだからな」

「でも時間さえかければ、彼らの罪は必ず暴かれます。だって肝心の子供達は...その、」

 

黒ウサギが言い淀む。

まあ確かに、その“フォレス・ガロ”って奴らは外道だな。特にリーダーは飛び切りの下衆なのだろう。お世辞にも余り良い印象は抱けない。

 

「僕もガルドを逃がしたくないと思ってる。彼のような悪人は野放しにしちゃいけない」

 

ジン坊ちゃん、と呼ばれた子供も久遠さん達に同調する姿勢を見せている。

......しかし、アレが“ノーネーム”のリーダーか。

などと俺がジン坊ちゃんに対して思考していると、黒ウサギが諦めたように頷いた。

 

「はあ、仕方ない人達です。まあいいデス。腹立たしいのは黒ウサギも同じですし。それに“フォレス・ガロ”程度なら十六夜さんか凌太さんのどちらかがいれば楽勝でしょう」

 

ちょっと待て。今こいつなんて言った?

 

「何言ってんだよ。俺は参加しねえよ?」

「同じく」

「当たり前よ。貴方達なんて参加させないわ」

 

フン、と鼻を鳴らす十六夜と久遠さん。

 

「だ、駄目ですよ!三人はコミュニティの仲間なんですからちゃんと協力しないと」

「そういうことじゃねえよ黒ウサギ」

 

十六夜が真剣な顔で黒ウサギを制す。

 

「いいか?この喧嘩はコイツらが売ってヤツらが買った。なのに俺が手を出すのは無粋だって言ってるんだよ」

「あら、分かってるじゃない」

「俺に至ってはまだ“ノーネーム”に加入してないしな。そもそもの参加資格が無い」

 

俺の発言に久遠さんが若干不機嫌そうな顔で反応した。

 

「あら、貴方“ノーネーム”に入らない気なの?権力やお金が無いから気が引けた?だとしたらさっさと私達の前から消えてもらえるかしら?」

 

訂正。不機嫌そう、では無く大変怒ってらっしゃいます。

 

「落ち着こうぜ久遠さん。まだ、って言ったでしょ?まだ、って。“ノーネーム”へ加入するかどうかはこれから決める。俺にも事情があるからね。みんなみたいに『招待状』を貰った訳じゃ無いし、いろいろとやる事もあるし。まあ“ノーネーム”の不利益になるようにはしない、これだけは約束するよ」

「あらそう。そう言えば貴方、自分がどうやってこの箱庭に来たのかも分からないんだったわね」

 

俺の言い分に一応は納得してくれたのか、久遠さんが引き下がる。

 

「.........ああもう、好きにしてください」

 

いろいろな事に疲れきった黒ウサギが肩を落としていた。

俺が言えた事じゃないかもしれんが、頑張れ黒ウサギ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、明日のゲームの為にギフト鑑定なるものをしに“サウザンドアイズ”というコミュニティの支店に向かった。

俺も一応同行していいらしい。久遠さんの視線が痛いが、自分の“恩恵”というやつを把握しておきたいので我慢して着いて行く。

道中、立体交差並行世界論とかいうのが話題にあがったが意味が分からなかった。

自慢じゃないが俺は頭が悪い。前の世界(生前と言うべきか?)での俺のあだ名の一つに「赤点保持者(レッドホルダー)」というものがあるくらいには頭が悪い。よく高校通ったな、とはいつも思っている。

 

しばらく歩くと前方に目的地らしい店舗が見えてきた。

その店舗の旗には蒼い生地に互いが向き合っている二人の女神が記されていた。おそらく、あれが“サウザンドアイズ”の旗印なのだろう。

日が暮れて看板を下げる割烹着の女性店員に、黒ウサギは滑り込みでストップを、

 

「まっ」

「待った無しですお客様」

 

かけさせてもらえなかった。

黒ウサギが悔しそうに店員さんを睨んでいる。

 

「なんて商売っ気の無い店なのかしら」

「ま、全くです!閉店五分前に客を締め出すなんて!」

「いやいや黒ウサギ。これは俺らが悪いわ。閉店直前に押し入ろうとするとか、俺が店員でも追い返そうとするわ」

 

さすがにこちらに非があると思ったので、とりあえず黒ウサギ達を制する。

相手からみたら迷惑な客以外の何者でもないし。

 

「そちらの方の言う通りです。文句があるなら他所へ。あなた方は今後一切の出入りを禁じます」

「出禁!?これだけで出禁とかお客様舐めすぎでございますよ!?」

 

チラっ、と俺の方を見てくる店員さん。

たぶんさっきみたいに援護射撃が欲しいんだろうなー。

 

「ま、まあ落ち着け黒ウサギ。要は明日のゲーム前に来ればいいんだろう?だったら明日の朝イチで来ればいいじゃないか。な?」

「それでも出禁はやりすぎでございます!」

 

なおもキャーキャー喚く黒ウサギ。

だ、駄目です店員さん。俺には無理でした。

店員さんにアイコンタクトを送る。これが意外と通じるのだから凄い。いや本当に。

 

「なるほど。“箱庭の貴族”であるウサギのお客様を無下にするのは失礼ですね。中で入店許可を伺いますのでコミュニティの名前をよろしいでしょうか?」

「...うっ」

 

一転して黒ウサギが言葉に詰まる。

しかし十六夜が何の躊躇いもなく名乗った。

 

「俺達は“ノーネーム”ってコミュニティなんだが」

「ほほう。ではどこの“ノーネーム”様でしょう?よかったら旗印を確認させて頂いてもよろしいでしょうか?」

 

皆が黙り込む。

黒ウサギが言ってたな。名前と旗印がないコミュニティのリスクがまさにこの状況ってわけだ。

商売をする側は客を選ぶ。信用出来ない奴らを扱うようなリスクは冒さない、ってことか。

 

「その......あの......私達に、旗はありま」

「いぃぃぃぃやぁほおぉぉぉぉ!久しぶりだな黒ウサギイィィィィ!」

 

黒ウサギが悔しそうに呟いたその時、店内から爆走して来た真っ白い髪の少女に抱きつかれ、少女と共に街道の向こうにある浅い水路まで吹き飛んでいった。

 

「きゃあーー......!」

 

遠くなる悲鳴と、ポチャン、という着水音。

俺達は目を丸くし、店員さんは頭を抱えていた。

 

「......おい店員。この店にはドッキリサービスがあるのか?なら俺にも別バージョンで是非」

「ありません」

「なんなら有料でも」

「やりません」

 

割とマジな二人を横目に見つつ、黒ウサギ達が吹き飛んでいった方に目を向ける。

そこには黒ウサギの豊満な双丘に顔を埋める少女の姿が。

名も知らない少女よ、そこ変わって欲しい。

 

「し、白夜叉様!?どうして貴方様がこんな下層に!?」

「そろそろ黒ウサギが来る予感がしておったからに決まっておろう!フフ、フホホフホホ!やっぱり黒ウサギは触り心地が違うのう!ほれ、ここが良いかここが良いか!」

「ちょ、し、白夜叉様離れて下さい!」

 

黒ウサギは白夜叉と呼ばれた少女の頭を掴んで店に向かって投げつける。

くるくると縦回転で飛んできた少女を、十六夜は足で受け止めた。

お前に優しさはないのか。

 

「てい」

「ゴハァ!お、おんし、飛んできた初対面の美少女を足で受け止めるとは何様だ!」

「十六夜様だぜ。以後よろしくな和装ロリ」

 

ヤハハと笑いながら自己紹介する十六夜。

一連の流れの中で呆気に取られていた久遠さんが、思い出したように白夜叉に話しかけた。

 

「貴女はこの店の人?」

「おお、そうだとも。この“サウザンドアイズ”の幹部様で白夜叉様だよご令嬢。仕事の依頼ならおんしのその年齢の割に発育がいい胸をワンタッチ生揉みで引き受けるぞ」

「オーナー。それでは売上が伸びません。ボスが怒ります」

 

何処までも冷静な声で店員さんが釘を刺す。

すると濡れた服を絞りながら水路から上がってきた黒ウサギが呟いた。

 

「うぅ...まさか私まで濡れる事になるなんて」

「因果応報、かな」

「にゃーにゃー」

 

春日部さんの言葉に同意するかのように鳴く三毛猫。

そういや春日部さんは動物と会話できるギフトを持ってるんだっけか。今の三毛猫の言葉も分かってるんだよなー。ウラヤマ。

と、そんな俺達を見て白夜叉がニヤリと笑った。

 

「ふふん。お前達が黒ウサギの新しい同士か。予定より一人多いみたいだがそこはよい。それより異世界の人間が私の元に来たということは......遂に黒ウサギが私のペットに」

「なりません!」

 

ウサ耳を逆立てて怒る黒ウサギ。

何処まで本気か分からない白夜叉は笑って店に招く。

 

「まあいい。話があるなら店内で聞こう」

「よろしいのですか?彼らは旗も持たない“ノーネーム”。規定では」

「“ノーネーム”だと分かっていながら名を尋ねる、性悪店員の詫びだ。身元は私が保証するし、ボスに睨まれても私が責任を取る。いいから入れてやれ」

 

白夜叉の言葉にムッとした表情を見せる店員さん。

そりゃそうだわな。店員さんは規定を守っただけっぽいし。

十六夜達四人と一匹は店員さんに睨まれながら暖簾をくぐる。

 

「すいません。なんか俺らのせいで...」

「いいえ、大丈夫です。それに貴方は止めるように進言して下さいましたし」

「あはは。まあ止まりませんでしたけどね。ありがとうございます」

 

一応店員さんに謝罪をしてから入店すると、店の外見からは考えられない不自然な広さの中庭に出た。

もうちょっとやそっとじゃ驚かんぞ。

どうせアレだろ?魔法かなんかで空間拡張かなんかしてるんだろう?

 

「生憎と店は閉めてしまったのでな。私の私室で勘弁してくれ」

 

そう言って白夜叉は奥の個室と言うにはやや広い和室まで俺達を案内し、上座に腰掛ける。

 

「さて、もう一度自己紹介しておこうかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えている“サウザンドアイズ”幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と認識しておいてくれ」

 

この子自分で美少女って言い切ったぞ。

いやまあ確かに整った顔してるけども。

 

「その外門、って何?」

 

春日部さんの問いに黒ウサギが答える。

 

「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市の中心部に近く、同時に強大な力を持つ者達が住んでいるのです」

 

出された箱庭図を見た俺達は口を揃えて、

 

「...超巨大タマネギ?」

「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら?」

「そうだな。どちらかと言えばバームクーヘンだ」

「俺もバームクーヘンに一票」

 

うん、と頷き合う四人。

久遠さんの視線が和らいできているからすごしやすいぜ。

 

「ふふ、上手いこと例える。その例えなら今いる七桁の外門はバームクーヘンの一番薄い皮の部分にあたるな。外門のすぐ外は“世界の果て”と向かい合う場所になる。あそこにはコミュニティに属していないものの、強力なギフトを持ったもの達が棲んでおるぞ。その水樹の持ち主などな」

 

白夜叉は薄く笑って水樹に目を向ける。

 

「して、一体誰が、どのようなゲームで勝ったのだ?知恵か?勇気か?」

「いえいえ。この水樹は十六夜さんと凌太さんがここに来る前に蛇神様を素手で倒して手に入れたのですよ」

「いや、俺は水柱爆散させただけだから。実質十六夜一人で倒したよな」

「なんと!?クリアでは無く直接的に倒したと!?ではその童は神格持ちの神童か?」

「いえ、黒ウサギはそう思えません。神格なら一目見れば分かるはずですし」

「む、それもそうか」

「白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いなのですか?」

「知り合いもなにも、ヤツに神格を与えたのはこの私だぞ。もう何百年も前の話だがの」

 

小さな胸を張り、呵々と豪快に笑う白夜叉。

しかし、それを聞いた十六夜は物騒な光を目に灯して問う。

 

「へえ?じゃあお前はあのヘビより強いのか?」

「ふふん、当然だ。私は東側の“階層支配者”だぞ。東側の四桁以下にあるコミュニティでは並ぶ者のいない、最強の主催者なのだからの」

 

最強、というワードに問題児達は一斉に瞳を輝かせた。

お前ら戦闘民族か何かなの?怒ったら金髪になっちゃう某野菜人なの?もしかして十六夜って既に至っててその状態を保ったままなの?だったらあの強さも納得ですよ。

 

「そう...ふふ。ではつまり、貴女のゲームをクリア出来れば、私達のコミュニティは東側で最強のコミュニティという事になるのかしら?」

「無論、そうなるの」

「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けた」

 

三人の闘争心丸出しの視線を受け、白夜叉が呵々と笑う。

 

「抜け目のない童達だ。依頼しておきながら、私にゲームで挑むと?」

「え?ちょ、ちょっと御三人様!?」

 

慌てる黒ウサギを白夜叉が右手で制する。

 

「よいよ黒ウサギ。私も遊び相手には飢えている。して、そこのおぬしはどうする?おんしも私に挑むのか?」

 

くくっ、と笑いを堪えながら俺に問うてくる白夜叉。

正直、この幼女からは嫌な予感しかしない。

止めとけ、と俺の直感が告げている。気がした。

だが、ただ逃げるのはイヤだ。

 

「そうだな、白夜叉の試練に“挑戦”させてもらいたい」

 

命や俺のギフトをかけた勝負は挑まない。

その代わり、試練には“挑戦”させてもらう。

 

「ふふ、そうか。相分かった。おんしの“挑戦”に応えよう。そして他の三人よ、おんしらにもゲームの前に一つ確認しておきたい事がある」

「なんだ?」

 

白夜叉は着物の裾から“サウザンドアイズ”の旗印が刻まれたカードを取り出し、

 

「おんしらが望むのは黒髪の小僧と同じ“挑戦”か?

―――それとも“決闘”か?」

 

刹那、俺達は白い雪原と凍る湖畔、そして水平に太陽が廻る世界に投げ出された。

 

「...なっ!?」

 

誰かが驚嘆の声を上げた。

文字通り、世界が変わった。

 

「今一度名乗り直し問おう。私は“白き夜の魔王”。太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは試練への“挑戦”か?それとも対等な“決闘”か?」

 

魔王。これが魔王か!

俺、人の事言えねえな。挑戦とはいえ、この強者に挑むことにワクワクしている!

思えば蛇神様と出会った時もそうだった。

あの時は驚愕の気持ちが大きかった事もあり気づかなかったが、心の何処かではワクワクしていたような気がしないでもない。

 

「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉」

「ふむ?それは決闘ではなく、試練を受けるという事かの?」

「ああ。これだけのものを見せられたんだ。今回は黙って試されてやるよ、魔王様」

「く、くく......して、他の二人も同じか?」

「...ええ。私も、試されてあげていいわ」

「右に同じ」

 

なんだ、結局みんな挑戦か。

ん?そういや俺ってコミュニティに属してないのにゲームに参加出来んのか?

いや、さっき十六夜はまだ“ノーネーム”に入ってなかったのに蛇神様とゲームしてたし、大丈夫か?

そんなことを考えていると、遠くからグリフォンが飛んできた。

...うん、大丈夫、ボクオドロカナイヨ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、ゲームは恙無く行われ、そして終了した。

今回は戦闘系じゃなく、しかも春日部さんが一人でクリアしたので完全に不燃だ。

試練が終わった後、白夜叉が春日部さんのギフトに興味を示し、そこで系統樹がどうとか言っていたがよく分からなかった。

で、肝心のギフト鑑定はと言うと、どうやら白夜叉の専門外なことらしい。

 

「ふむ。四人とも素養が高いのは分かる。しかしこれでは何とも言えんな。おんしらは自分のギフトの力をどの程度把握している?」

「企業秘密」

「右に同じ」

「以下同文」

「知らない」

「うおおおい?いやまあ仮にも対戦相手だったものにギフトを教えるのが怖いのは分かるが、それじゃ話が進まんだろうに」

 

んな事言われてもなあ。

知らんもんは知らん。

 

「ふむ。何にせよ“主催者”として、星霊のはしくれとして、試練をクリアしたおんしらには“恩恵”を与えねばならん。ちょいと贅沢な代物だが、コミュニティ復興の前祝いとしては丁度良かろう」

 

白夜叉がパンパンと柏手を打つと、俺達四人の前に光り輝く四枚のカードが現れる。

カードにはそれぞれの名前と、体に宿るギフトを表すネームが記されていた。

 

コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム“正体不明”

 

ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム“威光”

 

パールエメラルドのカードに春日部耀・ギフトネーム“生命の目録” “ノーフォーマー”

 

バイオレットのカードに坂元凌太・ギフトネーム“順応” “???” “転生者”

 

それぞれの名とギフトが記されたカードを受け取る。

黒ウサギは興奮したように俺達のカードを覗き込んだ。

 

「ギフトカード!」

「お中元?」

「お歳暮?」

「お年玉?」

「商品券?」

「ち、違います!というか皆さんなんでそんなに息があっておられるのです!?このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ!耀さんの“生命の目録”だって収納可能で、それも好きな時に顕現できるのですよ!」

「つまり素敵アイテムでオーケーか?」

「だからなんでテキトーに聞き流すのですか!あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」

 

ふーん、と言ってそれぞれ自分のカードを物珍しそうにみつめる。

てか“転生者”ってギフトだったんだ。

それに“???”って...みるからに怪しいな。完全にこれだろ、俺のヤバイ能力って。

“順応”ってのには心当たりが無い。てか順応してるならこの状況に一々驚いてないだろ。頑張れよ俺の恩恵。

 

「本来はコミュニティの名と旗印も記されるのだが、おんしらは“ノーネーム”だからの。少々味気ない絵になっているが、文句は黒ウサギに言ってくれ」

 

いやだから俺まだ“ノーネーム”に属してないんですけど。

まああとで説明すればいいか。

 

「そのギフトカードの正式名称は“ラプラスの紙片”、即ち全知の一端だ。そこに刻まれるギフトネームとはおんしらの魂と繋がった“恩恵”の名称。鑑定は出来ずともそれを見れば大体のギフトの正体は分かるというもの」

「へえ。それじゃあ俺のはレアケースなわけだ?」

 

そう言った十六夜のギフトカードには“正体不明”の四文字。

全知を持ってしてもこのモンスターのギフトは分からなかったか...

本当に何者なんだよ、十六夜って。いやまあ人のこと言えないけども。俺も“???”とかいう意味分からんものがあるけども。

 

「ま、俺は凌太のギフトが気になるな」

 

そう言いながら十六夜が俺のギフトカードを覗いてくる。別に隠すようなものでもないと思うし、特に拒むことはない。ついでに“正体不明”に驚いていた黒ウサギや白夜叉も後ろから覗いてきた。

あ、この体勢だと黒ウサギの胸が当たる!

実に素晴ら...ゲフンゲフン、けしからんな!

 

「...またしても“ラプラスの紙片”が解析出来ないギフトだと?」

「それに“転生者”とありますがこれはなんでございますか?」

「“転生者”...そう言えばお前、箱庭には『死んで』来たとか言ってたな...」

 

三人が各々の感想を述べるが、とりあえず落ち着けよお前ら。

 

「まあ待て。聞きたい事は多いだろうが、順番に話して行こうじゃないか。あと黒ウサギ、俺的にはこの状況は嬉しい限りなんだが、集中出来なさそうだしとりあえず離れてくれ」

 

俺に指摘されて、胸が当たっている事に初めて気づいたのだろう。黒ウサギは顔を真っ赤にして湯気まで出していた。

 

「じゃ、とりあえず久遠さん達も呼んでから話そうか。今後どうするかも今話す。そうだな、とりあえずは俺が殺されたところから始めるか?」

 

 

 




駄文が出てくる出てくる。

さて凌太のギフト“順応” “???” “転生者”とはそれぞれどのような能力なのか!?
...正直、“順応”しか決めてません。“???”とか、フワッとしか考えてません。
見切り発車?その通りですが何か。

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