能力については今後判明させていきます。
初めまして異世界...
一瞬、目の前が真っ暗になったと思ったら大空へ放り出された俺氏。状況?分かりませんが何か。
「なんでだぁぁぁぁ!!!!」
気づいたら上空4000Mに放り出されていた。
な、何を言っているのか分からないかもしれないが(ry
「わっ」
「きゃ!」
俺が狼狽えていると、近くに三人と一匹が新しく現れた。リアル瞬間移動を初めて目にした事に感動を覚え...られる訳がないだろこの状況で。
「ど.........何処だここ!?」
誰かのそんな声が聞こえたが答えられない。
だって俺も知らねぇし、むしろ俺が聞きたいくらいだわ。
いやまあ、完全無欠な異世界であることは確かだけれども?
「ギニャアアァァァ!!」
あ、猫が超叫んでる。
猫は高い所から落ちるの慣れてるかと思ったけど、やっぱこの高さは無理か。最早高いとかそういう次元じゃないもんな。風圧半端ない。
というかこれはヤバイ。何がヤバいって全てがヤバイ。元から無い語彙力が更に無くなるくらいにはヤバイ。一周回って落ち着くくら(ry
てかこれ転生後即死コースだって、いやマジで。
とか言ってる間にもう地上近いし死も近いし。
唯一救いなのは落下地点が水面なことか?いや、この高さなら水面だろうが地面だろうが関係ないな。どっちにしろ数瞬先はトマトだわ。
もう、覚悟を決めた方がいいかもしれない。
俺は重力に身を任せた。 諦めたとも言う。
すると、ポチャン、という予想外に穏やかな音を立てて着水。
なんか落ちる寸前くらいに膜っぽいのがあったな...。流石異世界、予想を超えてきやがるぜ...。とりあえず転生後即死コースは間逃れたらしい。
あ、ほかの奴ら大丈夫かな?
とりあえず近くで溺れていた三毛猫を抱き抱えて一足先に陸へ上がる。すると、ほとんど間もなくほかの三人も上陸してきた。目立った怪我はみんな無いようだ。
と、そんなふうに3人を観察していると、短髪の少女が俺の方に歩いて来た。
マズイ、ジロジロ見すぎたかな...?イジメとセクハラはやられた相手がそう思ったら冤罪だろうがなんだろうがやった方が悪いらしい。ひどい話だ。
「三毛猫を助けてくれてありがとう」
少々身構えていた俺だったが、少女は怒った様子も見せず、俺の抱いていた三毛猫を持っていった。俺の心配が杞憂であって何よりだ。
内心ホッと胸を撫で下ろし、他の2人の方へと視線を移す。
「し、信じられないわ!まさか問答無用で引きずり込んだ挙句、空に放り出すなんて!」
「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」
どっちも即ゲームオーバーだよ、と思った俺は間違っていないはず。石の中とか窒息死不可避だろ。
「.........いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」
「俺は問題ない」
「そう。身勝手ね」
二人の男女はフン、と互いに鼻を鳴らして服の端を絞る。先ほど話しかけてきた短髪の少女も服を絞っていた。
というか、女子二人はなかなかに格好がエロいな。服透けてんじゃん。ごちそうさまです。
「ここ...何処だろう?」
「さあな。まあ、世界の果てっぽいものが見えてたし、どこぞの大亀の背中じゃねえか?」
短髪少女の呟きに金髪の少年が答える。
何にせよ、俺らの知らない世界であることは確定しているな。爺さんの言う事を信じる信じないとかじゃなく、これが異世界でなかったらなんだというのか。逆に怖いわ。
どうしてこうなった、と軽く頭を抱えていると、金髪少年が髪を乱雑に掻きあげながら口を開く。
「まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」
ふむ、手紙とな。...はて?
「そうだけど、まずは“オマエ”って呼び方を訂正して。私は久遠飛鳥よ。以後は気を付けて。それで、そこの猫を抱き抱えてる貴女は?」
どうやらこっちの黒髪少女──久遠さんも貰っているらしい。俺知らないんですけど、大丈夫ですかね?
「......春日部耀。以下同文」
フォウ。短髪少女改め春日部さんも貰ってるっぽいぞ?
俺だけか?俺だけなのか、貰ってないのは。なんだそれ仲間外れ?異世界に来て早々に?...やだ泣ける。
ま、まあこちとら神様転生ですからね。
一回死んでるからね。みんなとは文字通りスタートラインが違うのですよ。...言ってて悲しくなってきた。
「そう。よろしく春日部さん。次に、野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」
「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃ったダメ人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」
「そう。取扱説明書をくれたら考えてるあげるわ、十六夜君」
「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」
見えない火花を散らす2人を若干引きながら、そして遠巻きに見る。いや、アレに巻き込まれたくはないし。
「では最後に、そこの黒髪の貴方は?」
そんな事をしていたら俺の番がきた。
あんな自己紹介の後ってのはやりづらいことこの上ない。もう少し順番とか考えて欲しかった。
「俺は坂元凌太だ。よろしく。あ、あと俺はその手紙を貰ってないんだが...。仲間ハズレはやーよ?」
「なんだお前、あの手紙貰ってないのか?じゃあ、どうやってここに来た?」
金髪少年改め十六夜が俺に聞いてきた。春日部さんと久遠さんも俺を訝しげに見ているし...。俺が一番分かってねえよ、と逆ギレしそうになる。
どうしたものか。いや、普通にありのままを言えばいいのか?
「どうって...、死んで?」
「「「は?」」」
三人の声が重なった。
デスヨネー。想像はしてました。なぜなら俺が一番状況を理解できていないから。
「安心しろ、三人共。俺自身、自分が何を言っているのか、そしてなんでここに居るのかさっぱり分かっていないから」
「...いえ、それはそれで問題ではないかしら?」
「ま、細かい事はそこに隠れている奴に聞くのが早えんじゃねえか?」
十六夜が草陰の方を見ながら笑みを浮かべる。その笑顔を簡単に表現するならあれだ。「ショーウィンドウに飾ってあるオモチャを見る少年」だ。
てか、やっぱ気のせいじゃなかったのか、あの青いやつ。さっきから気になってたんだよね。
「なんだ、貴方も気付いてたの?」
「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?そっちの二人も気付いていたんだろ?」
「風上に立たれたら嫌でも分かる」
「いや普通に青いの見えてるし」
三人は理不尽な招集を受けた腹いせか、殺気の籠った冷ややかな視線を隠れている何者かに向ける。
俺は特に殺気とか込めてない、というか殺気なんてものをそう簡単に出せるってお前ら何者なの?
そんな極めて凡庸な疑問を抱いていると、3人の殺気に耐えられなくなったのか、草陰から人が出てきた。
いや、あれ人か?ウサ耳生えてんだけど...。妖怪?
「や、やだなあ御四名様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」
「断る」
「却下」
「お断りします」
「いやいや御三人、話くらい聞こうよ。てかこっちから話しかけようとしてなかったっけ?俺の気のせい?」
「「「気のせいだ(ね)(だよ)」」」
「...お前ら実は仲良いだろ」
「あっは、黒髪の方以外取りつくシマがないですね♪」
バンザーイ、と降参のポーズを取る黒ウサギ。
しかし、その目は俺たちをジロジロと見ている。値踏みでもしているのだろうか?何故に?
すると、春日部さんが不思議そうに黒ウサギの横に立ち、そのウサ耳を根っこから鷲掴み──
「えい」
「フギャ!」
力一杯、それはもう力一杯引っ張った。
あの勢いはもげるんとちゃうかな?
「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きにかかるとは、どういう了見ですか!?」
「好奇心の為せる技」
「自由にも程があります!?」
「へえ?このウサ耳って本物なのか?」
今度は十六夜が右から掴んで引っ張る。
「.........。じゃあ私も」
「ちょ、ちょっと待―――!」
今度は久遠さんが左から。
左右に力一杯引っ張られた黒ウサギは、言葉にならない悲鳴を上げ、その絶叫は近隣に木霊した。
余談だが、俺も後から堪能させて貰った。うん、超気持ちよかったよ。
テスト?ナニソレオイシイノ?
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