問題児? 失礼な、俺は常識人だ   作:怜哉

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ハイスクールDxD
悪魔?へぇ...で?


 

 

 

「...スター、お...ター。...を覚ませ、マスター!」

 

...誰かの声がする。ついでに硬い所に寝そべっている感じもする。

 

「う、ううん......はっ!此処は何処、敵はどれ!?」

「敵がいるとことは確定なのかね?いや、確かに私が此処に来た時に襲ってきた生物はいたが...」

「やはりか」

 

俺が箱庭以外の異世界、又は特異点に着いた時には必ず周囲で戦闘が展開されてるからな。今回は襲撃だけらしいのでいつもと比べるとマシだ。ひどい時は街1つ廃墟になってるからな。

 

「おはようございます、マスター」

「む、目を覚ましたかマスター。敵は既に無力化、拘束したぞ?」

「ああ、おはよ。アンドお疲れさん。そいつは何処にいる?」

「そこの鉄骨に貼り付けてある」

 

クイッ、っとエミヤが顎で奥の方を示す。

見るといかにも「私人外です」という風貌のラミアの様な生物が気絶した状態で捕縛されているのが目に入る。

ついでに周りを見渡してみると、此処は廃工場の様な建築物の室内である事が推測出来た。時間帯は夜。何時くらいかまでは分からないが、天井にある窓からは綺麗な月が覗いている。

 

「そのラミアっぽい奴、なんで襲ってきたんだ?」

「理由は不明だが、まあ恐らく驚いたのだろう。何せ、突如として私達が虚空から現れたのだからな」

「なる」

 

確かにエミヤの言う通りだ。俺だって、目の前にいきなり見知らん奴が出てきたら思わず殴り飛ばす自信がある。

 

「貴方達、そこで何をしているの!?」

 

ラミアっぽい人が目を覚ましたら話を聞くか、という結論に至ったその瞬間。工場の正面扉が開かれ、そこから女性の声が響き渡った。

近所迷惑でしょ、声のボリュームを落としなさい。...あ、もしかして警察?

 

「補導か?」

「いや、どうだろう?学生に見えるが...」

「あ、本当だ。制服来てるな」

 

コソコソと話す俺とエミヤに痺れを切らしたのか、女性が再度大声で呼びかけてくる。

 

「質問に答えなさい!貴方達は誰で、此処で何をしていたの!?」

 

語尾を先程よりも強めているし、今は誰が敵かも分からないので素直に答える事にした。いやまあ?敵対しても負けない自信はありますけどね?

 

「坂元凌太、15歳。ここでは特に何もしていませんが何か」

「あらあら、ではそちらに繋がれているはぐれ悪魔は何なんですの?」

 

先程まで声をかけてきていた紅髪女性の後ろから黒髪ポニテの女性が言ってくる。気配を探ってみると、彼女らの後ろにも更に3人程いる事が分かった。5人とも人間とはどこか違う感じの気配だ。

 

「寝込みを襲われたらしいので仲間が反撃しました。反省はしています」

「いくら4対1とは言え、人間がはぐれ悪魔を...?まさか貴方達神器(セイクリッド・ギア)の保持者?」

「セイク...?いえ、知らない子ですね」

 

更に言うとあのはぐれ悪魔だっけ?はネロが単騎で屠ったそうだよ。

 

「...そうね。1度私達に付いてきて貰えるかしら」

「だがことわr」

「もちろん拒否権は無いわ」

「えー...」

 

台詞を最後まで言わせてもらえず、しかも同行を強制させられるというこの仕打ち。まあ傍から見たら俺達って不審者以外の何者でもないし、ここは大人しく付いていくか。それにコイツらなんか色々知ってそうだしな。

 

「一応付いて行くけど、3人はそれでいいか?」

「私は構わんよ」

「うむ、余も構わぬぞ?」

「マスターに従います」

「そう言うと思ってた。んじゃま、行きましょうかね」

 

3人の同意を確認してから紅髪の女性達に付いて行く。

ちなみに、例のはぐれ悪魔と呼ばれたラミアっぽい奴は、紅髪の女性に欠片も残さず滅された。俺並に容赦無かったな、あの女。

 

どこかへ向かう途中、相手5人のうち1人がネロと静謐ちゃんにいやらしい目を向けていたので制裁として殴り飛ばしたのはまた別のお話。相手のリーダーっぽい紅髪の女性からお咎めは無かったので反省はしていない。まあ何か言われても反省する気はサラサラ無かったがな。俺の仲間に不快な思いをさせる奴への慈悲など無い。

 

 

 

 

 

 

* * * *

 

 

 

 

 

 

 

暫く歩きながらお互いの名前程度は教え合いつつ、俺達はとある学校の木造校舎、その中のオカルト研究部と書かれたプレートの部屋に案内された。

 

「単刀直入に言うわ。私達は悪魔なの」

「はあ...」

 

部屋に入るなり、置いてあったソファに腰掛ける紅髪の女性、改めリアス・グレモリー。

というか、そんな事を若干ドヤ顔で言われても...。こちとら数日前に悪魔と戦ってきたばかりですよ?

 

「信じられないかしら?」

「いや別に」

「あら、それは話が早いわね。他にも堕天使や神、天使などがいるのだけれど...」

 

 

 

とまあかれこれ30分くらい3種族間の戦争の事や悪魔事情、今のリアス・グレモリーの立場などの話が続いた。正直半分以上どうでもいい話だったが、この世界には強い奴らも多いという情報は有益だ。運が良けりゃ有能な奴らをコミュニティに誘えるだろうしな。

 

「私達からは以上よ。それでは、貴方達の素性を話してくれるかしら?」

「とあるコミュニティのリーダー兼マスター」

「ただのしがない弓兵だ」

「ローマである!」

「アサシンです」

 

上から俺、エミヤ、ネロ、静謐ちゃんの順である。嘘は言っていないよ、嘘は。

流れるような説明(笑)を聞き、なんとまあ意外にもすんなり信じたリアス・グレモリーとその眷属達。コイツらは些か危機感が足りないのではないだろうか?

 

「そう。どこの組織のリーダーかは知らないけれど、貴方達、私の眷属にならない?」

「結構です」

「...他の3人は?」

「私はマスターに全てを捧げていますので」

「私も間に合っている」

「うむ。余もマスターは凌太1人で十分過ぎる程十分だ」

 

即答。一切の思考の余地も無く誘いを断った俺達に多少の疑問を抱いたらしいグレモリーは、更に俺に質問してくる。

というか各々のその反応は素直に嬉しいな。

 

「そう...。理由を聞いてもいいかしら?」

「理由も何も、俺が眷属になるメリットが無い。こっちの3人は今言った通りだしな」

「...分かったわ。けど、監視も兼ねて、貴方達にはこのオカルト研究部に入部して貰うわよ」

「だがことわ」

「拒否権は無いわ」

「えー...」

 

本日2度目のこの対応。せめて最後まで言わせてくれよ...。

 

「それじゃあ、今日はこの辺で解散にしましょうか。凌太達は明日も此処に来ること、いいわね?」

「だがこと」

「拒否権は無いわ」

「...うん知ってた」

 

そうして、何故かオカルト研究部への入部が決定してしまい、俺達は校舎から出ていったのだが...。俺達は何処で寝ればいいんだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

* * * *

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず徹夜で街を探索したその翌日。俺達は再び木造校舎へとやって来ていた。

昨日は暗くてよく見えていなかったのだが、ここは駒王学園という高校らしい。今の時間帯は夕方で、ちょうど生徒達が帰路に着く頃だ。なので、先程からチラホラと制服姿の人を見かける。...生前、勉強嫌だったけど学校自体は結構好きな場所だったんだよなぁ。

 

「失礼しま」

 

パンッ!

 

「す?」

 

扉を開けて部室に入った瞬間、乾いた音が木霊する。音の発生源を見てみると、何やらリアス・グレモリーがイッセーを平手打ちしていた。

 

「何度言ったら分かるの? ダメなものはダメよ。 あのシスターの救出は認められないわ」

 

緊張した空気が流れる中、状況が全く分からないので近くに居た木場に事情を聞く。

 

「あれなに?」

「ああ、こんにちは。うん、ちょっとね...」

 

木場が言うには、イッセーがとあるシスターを堕天使から救い出したいと言ったらしい。だが、シスターというのは神側の人間である。なので助ける事は出来ないとリアス・グレモリーが言った事が原因らしいが...。正直どっちもどっちだよなー。

堕天使、ねぇ...。

 

「大事な用事ができたわ。私と朱乃はこれから少し外へ出るわね」

「部長、まだ話は終わって――」

 

俺が少し思案していると、イッセーとグレモリーの話は進んでおり、神器は想いの力で動くとか何とか言い残してグレモリーが部室から出ていった。

...あの、俺達呼び出しといて声もかけずに退室とか何なんですか?

 

そして、何だかんだで俺達もそのアーシアとかいう少女を助けに行くことになった。なんでさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

* * * *

 

 

 

 

 

 

 

 

 

既に空は暗くなっており、街灯の光が道を照らす時間となっていた。

現在地は教会の近く。そこで様子を窺っている状態だ。

...ちなみに、ここの調査も昨日と今朝で済ませている。何なら相手の戦力、及び教会の内部構造まで知っているまであるが、一応イッセー達に付き合って様子見をしていた。

 

「この図面を見る限り地下が怪しいね。聖堂へ侵入するのは簡単だろうけど、問題は待ち受けているであろう刺客を倒せるかどうかだね」

 

木場のその見解は間違っていないと思う。相手は100人に満たない神父共と堕天使4人程。イッセー達の実力は知らないが、話に聞く堕天使の光とやらは悪魔には効果バツグンらしいからな。苦戦はするだろう。

ま、危なくなったら助けるって方向でいきますかね。

 

 

暫く様子見をしてから突撃した俺達。イッセーが聖堂の扉を勢いよく開けると、中からパチパチと拍手が聞こえてきた。見ると白髪の神父らしき男が笑みを浮かべながらこちらを見据えている。

 

「ご対面!再開だねぇ、感動的だねえ!俺としては2度と会う悪魔はいないってことになってたんだけどさ!ほら、俺メチャクチャ強いんで悪魔なんて初見でチョンパなわけですよ!1度会ったらその場で解体、死体にキスしてグッドバイ!それが俺の生きる道でした!でも、お前らが邪魔したから俺のスタンスがハチャメチャ街道まっしぐら!ダメだよねぇー。俺の人生設計を邪魔しちゃダメだよねぇー!だからさ!ムカつくわけで!死ねと思うわけよ!つーか死ねよ!このクソ悪魔のクズ共がよォオオオオ!!」

「長い!」

 

思わず突っ込んでしまう程の長い口上の後、神父は懐から拳銃と柄だけの剣らしきものを取り出す。ブォン!と剣らしきものの先端から光の刃が出現した。なにあれカッコイイ。ビームサーベル?

 

「テメェら、アーシアたんを助けに来たんだろう?ハハハ!あんな悪魔も助けちゃうビッチを救うなんて悪魔様はなんて心が広いんでしょうか!てか、悪魔に魅入られた時点であのクソシスターは死んだほうがいいよね!」

「死ぬ?おい、アーシアは何処だ!」

「んー、そこの祭壇の下に地下への階段が隠れてございます。そこから儀式が行われている祭儀上へ行けますぞ?」

「そーかよ!セイクリッド・ギアァ!」

 

イッセーの激昂に呼応するかの様に、左腕に赤い籠手が顕現した。

...あの籠手、なんかヤバイ感じがするんだが...。

 

「潰れて」

 

ドォン!と、近くに置いてあった長椅子を神父に向けて投げる子猫ちゃん。見た目によらず、結構な怪力なんですね。

 

「ワーオ、しゃらくせぇ!」

 

神父は小躍りしながら飛んでいった長椅子をビームサーベルで一刀両断、愉快そうに笑っている。

しかし、その両断された長椅子の影から木場が接近する。完成な死角からの攻撃ではあったが、神父はそれに反応し、木場の剣をビームサーベルで受ける。

というか木場はいつの間に剣なんて装備したんだよ。

 

「んー、んー!邪魔くせぇ、しゃらくせぇ!テメェら何でそんなにウザイのよ!もうチョベリバ!死語てゴメンね、死語に許してちょ!」

 

そう言いながら銃弾を放つ神父だが、それを木場は全て避けた。ふむ、木場のやつなかなか速いな。

 

「やるね。キミ、かなり強いよ。だから、僕も少しだけ本気を出そうかな―――喰らえ」

 

低い声音に続くように、虚空からもう1本剣を創り(・・)、さらにその剣を黒いモヤのようなものが覆っていく。木場の闇剣と神父のビームサーベルが接触した瞬間、闇が神父のビームサーベルの光を文字通りに喰っていく。

 

「な、なんだよこりゃ!」

「『光喰剣(ホーリー・イレイザー)』。光を喰らう闇の剣さ」

「な!テメェも神器持ちか!」

 

驚く神父に、イッセーが1発重い拳を振るう。直前に『戦車(ルーク)』にプロポーションしていたらしく、神父が後方に吹っ飛んで行った。

 

「あの時はよくもアーシアを殴ってくれたな。1発殴れてスッキリした気分だ」

「...んー。...あらら、クズ悪魔に殴られたうえ、訳分からんこと言われてますよ...。っけんな!」

 

激昂を飛ばす神父だが、もういいや。飽きた。

 

「はいそこまで。敗者は大人しくご退場願いまーす」

「あん?」

 

何言ってんだコイツ、という目線を向けられるが無視。

木場やイッセーの神器とやらは見れたし、もうそろそろ地下に向かわないとそのアーシアって子もヤバそうだからな。

 

「...おいおい。クズ悪魔共と一緒に居たから気付いてなかったけど、お前人間?」

「そうですが何か」

 

まあ俺を人間と言っていいのかは分からんけどな。カンピオーネになると体の作りも変質する、みたいな話も聞いたことあるし。

 

「ハ、ハハハ、ハハハハ!え、何?ただの人間が俺ちゃんを退場させるって?おーおー、言ってくれるねぇ!それじゃあやってみて下さいよぉ!」

 

ハハハ!と笑う神父に向かって歩き出す。

室内じゃ俺の権能は危険だし、何よりこんな奴に権能を使うまでもないか。

 

「歯ぁ食いしばれよ」

「はいはい、ちゃぁんとぼくちゃんのパンチを受けてブラァ!!」

 

何やら余裕そうに突っ立っていたので、遠慮無しにぶん殴る。そう、岩を粉砕出来るレベルの威力で。

パリィン!というガラスの破壊音と共に外へ吹き飛んでいった神父。遠慮無しとは言っても、ある程度加減はしたので死んではいないだろう。たぶん。きっと。

 

「凌太、お前...」

「あーはいはい。そういう反応は後でいいから。アーシアって子を助けるんだろ?さっさと行こうぜ」

 

俺がした事を理解し切れずにいるイッセー達を催促し、俺達は地下祭壇へと足を向けた。

 

 

 

 

「余は常々思っていたのだが、やはりマスターは容赦が無いな」

「ああ。さすがは『鬼、悪魔、凌太!』と言ったところか」

「はいそこ、聞こえてるからね?俺でも傷つくことくらいあるんだよ?というか俺の名前を鬼畜の別称で使うな」

 

 




どの世界に飛ばすかを悩みに悩んだ結果、最終的にルーレットアプリで決めました。

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