カルデアに来て早2日。
今日は第2の特異点に出向くそうだ。場所は1世紀ヨーロッパ、古代ローマだとか。
ローマかあ...。俺の中でもローマと言われれば、まず最初にコロッセオが出てくる。なんせ護堂がブチ壊してたし。
今回のレイシフトに同行するのはマスターである俺と藤丸さんを含めた7名+フォウくん。ダ・ヴィンチちゃん以外のサーヴァントは全出撃である。正直過剰戦力な気もするが、まあ楽に勝てるに越したことは無いだろう。
大まかな作戦を立て、レイシフトに取り掛かる。
俺はレイシフトするのが今回初めてなので、何気に楽しみにしていた。まあ、やってみたらいつもの転移が明るく、且つ早くなっただけだったが。
何はともあれ、俺達は無事レイシフトに成功した。辿り着いたのは草原。1世紀というだけあって空気がだいぶ澄んでいる。
とまあ、ここでとある問題が。ここ、絶対首都ローマじゃないよね?ただの丘陵地帯だよね?
プラス、丘の向こうから大規模な戦闘の音が聞こえてくる。これは個対個ではなく多対多、つまり軍隊の戦争のような音だ。
...俺が来ると、何故か絶対にこういう音が聞こえるよね。何でだろ?呪い?
ロマンからも連絡が入り、とりあえず戦闘の様子見をすることになった。
丘を越え、戦闘の風景が見える所まで行く。
「あれは――間違いありません。戦闘中のようです。片方は大部隊で、もう片方は極めて少数の部隊です」
マシュがロマンに現状報告をする中、俺は少数部隊の先頭で一騎当千といっても過言ではない働きを見せる女の子を見つけた。あの顔は...、アルトリア?
ジャンヌやアルトリアと瓜二つの顔立ちの少女は、今も尚前線で戦っている。
「...とりあえず、あの少数部隊の方の手助けに入る?」
「そうだね。あの女の子を助けよう」
俺の提案に藤丸さんが同意し、サーヴァント達も俺達に従うとのこと。
この時代に来て初めての戦闘だ。ちょっち、気合い入れて行こうかね。
「じゃ、行こうか。――我は雷、故に神なり」
聖句を口にし、紫電を迸らせる。
エミヤとアルトリアも俺に続き、それぞれ自分の武器を構えた。エミヤは今回は双剣ではなく、黒の大型の弓を投影している。
静謐ちゃんとマシュは藤丸さんの守護、清姫は炎を吹いて相手を牽制している。
俺は大軍の中心部まで突っ走り、四方八方に雷砲や
雷槍を放っていく。
エミヤは投影した様々な剣を射って、着弾と同時に剣を爆破させて1度に10人以上を倒している。
アルトリアは不可視の聖剣“
うん、これガチの過剰戦力だわ。
しばらくすると、敵が俺らを恐れて後退して行った。そりゃそうだわな。だって傍から見た俺達って、雷ブッパしてくる奴、爆弾型刀剣を放ってくる奴、不可視の剣で斬り刻んでくる奴、とキチガイそのものだからな。
「剣を納めよ、勝負あった!そして貴公達、もしや首都からの援軍か?見事な戦いぶりであった!うむ、実に好みだ!なんとも言えぬ倒錯の美があったな!よいぞ、余と轡を並べて戦う事を許そう。至上の光栄に浴すがよい!」
お、おおぅ...。グイグイ来るなこの娘。そして偉そうだ。
「ただの通りすがりの援軍です」
藤丸さんが冷静にそんなことを言う。貴女、場馴れし過ぎじゃない?
「なんと都合の良い!さてはブーディカめの采配だな?ともあれこの勝利は余とお前達のもの。たっぷりと報酬を与えよう。...あ、いや、すまぬ。つい勢いで約束してしまった。見ての通り、今は剣しか持っておらぬのでな。報酬は首都ローマに帰ってからだ」
そう言い、ズンズンと進んで行く赤い人。確かに報酬は欲しいし、ローマも見てみたいけど、それはもう少しお預けかな。
「...敵襲だ。相手にサーヴァントの気配もする」
「なんと!ええい、忙しない連中め!余の玉音を妨げるとは不届きなっ!行くぞ、そこの黒髪よ!特別に余の護衛を任せる!」
「えー...。守るとかそう言うのはマシュの役割じゃ?」
「つべこべ言わず着いてこい!」
「ヤダイケメン...」
赤いイケメン少女に押され、何故か攻撃特化の俺が彼女の護衛をすることに。自分以外を守るとか、俺の権能と正反対な性質なんですけど。
まあ、任されてしまったものはしょうがない。静謐ちゃんには引き続き藤丸さんの護衛を頼み、エミヤには敵を狩れと一言だけ告げて赤い少女に続く。
彼女に近付く敵を片っ端から焦がしていき、彼女の行く手を阻む敵も感電させる。
...敵であるならば、人を殺しても特に何も思う所が無くなったのは、俺がよりカンピオーネとして成長したからなのだろうか?聞く話によると、カンピオーネは人間に対しての一切の興味が失せるという。ごく稀に興味を引かれる相手も出てくるらしいが、基本的に殺したりしても何も思わないらしい。そう、今の俺の様に。その事に若干自分自身が怖くなりもしたが、今は戦いに集中することにした。
「黒髪!そのサーヴァントとやらは今何処にいる!?」
前方を走る赤い少女がそう叫ぶので、あたりの気配を探ってみる。
「...すぐ近くだ。こっちに向かってきている。もうすぐ見えると思うぞ?」
「ネ...ロォ...!」
俺が言うとほぼ同時に、敵性サーヴァントを目視で確認した。
見た感じバーサーカーっぽい。
「叔父上...!」
「叔父上!?」
赤い少女、あのバーサーカーにネロと呼ばれた少女は驚愕に顔を染め、そう口にする。
てかあれ叔父上?え、身内がサーヴァント?しかもバーサーカー?
「いや...いいや。今は敢えてこう呼ぼう。如何なる理由にて連合に属した!.........カリギュラッ......!」
苦悶の表情でそう問いただすネロ。てかバーサーカーと会話が成立するのか?ウチのバーサーカーは全く話が通じないんだが?本当に誰だよ安珍って。
「余、の......余の、振る舞い、は、運命、で、ある。捧げよ、その、命。捧げよ、その、躰。
すべてを!捧げよ!」
「くっ...!叔父上、何処まで...!」
「やっぱ話が通じる様には見えねえな。ネロとやら、アイツは君の身内らしいが、倒してもいいのか?」
今にでも襲いかかって来そうなカリギュラを警戒しながらも、一応確認をとる。後で確執とか出来たら厄介だし。
「っ...!...うむ。構わん」
葛藤の末、ネロは叔父より自兵を取ったようだ。それを聞き、とりあえず安心してカリギュラとの戦闘に入る。
「我は雷、故に神なり。喰らえ、
雷槍よりも攻撃範囲の広い雷砲で、カリギュラごと周りの兵士達も吹き飛ばす。雷砲を喰らった兵士達はもちろん、直撃していない兵士達も風圧で吹っ飛んでいった。
カリギュラも多少は後退させたものの、未だ現界している。
「エミヤ!」
「心得た」
俺の叫びとほぼ同時に、エミヤの放った爆弾型刀剣が3本、カリギュラの方へ飛んでいく。
「ああ......我が、愛しき、妹の、子...。何故、捧げぬ。何故、捧げられぬ。美しい、我が...。我が...。我が...」
そこまで言って、カリギュラは消えていった。光の粒子になっていないところを見ると、これはただの霊体化か?
「き、消えた...?叔父上...」
「敵軍、撤退して行きます」
マシュが来て、周りを確認してそう結論付ける。確かに、敵兵達が次々と後退して行くのが見て取れる。
『敵サーヴァント、カリギュラは霊体化して移動したようだ。撤退、と言ったところかな。お疲れ様』
「ふむ、先程から声はすれども姿が見えぬ者がおるな。感じからして魔術師の類か?」
早々に叔父上ショックから立ち直ったネロは、ロマンの声に反応した。確かに、ロマンって声しかきこえないから、知らない人が聞いたら不思議がるよな。
『お?魔術の事を理解しているとは、話が早い。そう、ボクとそこにいる7名はカルデアという組織の』
「まあ良い。そこの7名、いや8名!」
『あ、遮られた...』
ロマンドンマイ!
「姿なき1名は分からぬが、全員見事な働きであった!改めて褒めてつかわす!そなた達の素性を尋ねる前に、まずは余だ。余こそ、真のローマを守護する者。まさしくローマそのものである者。余こそ、ローマ帝国第5代皇帝、ネロ・クラウディウスである――!」
「「「な、なんだってー(なんとなく分かってた)」」」
「ふふ!驚いているな、驚いているな!?そうであろう、そうであろう。存分に驚き、そして見惚れるがよい!特別に許す!」
フンスッ、と胸を反らす皇帝殿。
とりあえずその格好止めてあげて。アルトリアさんが自分の胸見て悲しそうにしてるから。同じ顔だからショックが大きいんだよ、お願い止めたげて!
『まさか、ネロ皇帝が女の子だったなんて...。歴史とは...深いな...』
「何を今更。アーサー王が女の子だった時点で、こういう事もあるって実証されてたでしょ」
ロマンの呟きにツッコミを入れて、俺達含む皇帝陛下一行は、首都ローマを目指して再び歩き出したのだった。
一応、今の所のオリ主のプロフィールを。
【坂元 凌太】男
・年齢―15歳
・誕生日―10月9日
・身長/体重―178cm/65kg
・ステータス― 筋力A、耐久C、敏捷B、魔力A+++、幸運C-
・スキル― 直感B+、魔力放出A、対魔力EX
・恩恵(権能)― “???”、“順応”、“転生者”、“雷で打つ者”、“形作る者”
・契約英霊―静謐のハサン、エミヤ
とまあ、こんなところですかね。
“???”の能力は遠からず判明させる予定です。一応言っておくと、固有結界ではありません。似て非なるものって感じです。
“順応”については、とある事象を起こす事が出来なければ、出来るようにすればいいじゃない。という暴挙に出た能力です。例を上げるのならば、「魔術を使うには魔術回路が必要?なら作ろうじゃないか」といった感じに、自らの体をその事象を起こせるように“変化”させる、というものです。まあ限界はあるし制約もあるので、他人の能力を自由に使う、といったことは出来ません。
“転生者”は生前の記憶を持ち続けるというだけの能力です。プラスで、パンドラと生と死の境界で話した内容まで覚えていられることも出来る、という設定にしました。
以上が大まかなオリ主の設定です。分かりにくかったらすいません。